Con Gas, Sin Hielo

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「プーと大人になった僕」

2018年09月15日 23時37分04秒 | 映画(2018)
大人とは寂しい生きもの。


映画は、観たときの精神状態によって感じ方が違ってくるものだが、ディズニーが得意とするファンタジーであるにも拘らず、感想として真っ先に浮かんできたのが「寂しさ」という言葉だった。

子供のクリストファーロビンがプーたちに別れを告げる場面から映画は始まる。自宅から遠くにある寄宿学校へ入学するため、もう一緒に遊ぶことはできないというのだ。

「君たちのことは絶対に忘れない」。その言葉がまるでフラグであるかのように、クリストファーロビンのその後の人生は大きな波乱に揉まれ、いつしか子供のころの心を失ってしまっていた。

型にハマった設定とはいえ、現実の世界もほぼそのようなものだ。子供のころ世界のすべてと思っていたことが、実はちっぽけなものだったと何十年も経って初めて気付くのと同じことで、それ自体は良し悪しなのだけれど、本作の大人の世界は夢に乏しく、あまりにも寂しく描かれている。

家庭を後回しにして仕事に没頭するクリストファーロビンの前に、ある日突然プーが現れる。100エーカーの森の仲間が行方不明になって困ったプーは、一緒に探してほしいと頼む。

思わぬ出来事に驚く間もなく、「脳みその小さい」プーは放っておくと何をしでかすか分からない状況になっており、クリストファーロビンは仕方なく自らの手で故郷の森まで送り返すことを決める。

森まで連れて行き「じゃあ、さよなら」と言ってみるが、蘇ってきた昔の思い出を簡単に断ち切ることはできず、クリストファーロビンは遠い昔の記憶の地へ再び足を踏み入れる。

前半の寂しい現実から、夢をかなえるハッピーエンドへ。この流れを素直に受け入れられる気分の時もあるのだろうけど、少なくとも今日は後半のファンタジーのあり得なさが、より寂しさを増幅させた。

父親思いの娘と家族思いの妻が奔走し、最後は会社のお偉いさんの前で理想をぶち上げて、すべてが成就して幸せに暮らしましたとさ。もちろん否定はしないが、いま求めているものではなかった。

どうやら休みが必要なようだ。

(70点)
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