Con Gas, Sin Hielo

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「犬ヶ島」

2018年06月23日 12時05分56秒 | 映画(2018)
とらえどころが、ない。


ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞。北米マーケットで地味ながらサプライズヒットを記録しているという本作。

監督はW.アンダーソン。一風変わった作品を撮るというイメージが先行するが、振り返れば実際に観たのは「ムーンライズキングダム」だけだった。そのときの評価は良くも悪くも取れる感じ。

本作の話題は何と言っても日本を舞台にしたストップアニメーションフィルムだということ。これはもうイメージだけじゃなく完全に風変わりな作品である。

舞台は架空の都市・メガサキ。中華街やランタンフェスティバルといった、いかにも外国人受けしそうな色合いを持つ長崎市がモデルであることはおそらく間違いない。

主人公の少年の名前は小林アタリ。苗字からはそれなりに日本に造詣が深いことが分かるが、アタリはゲームの名前である。

一事が万事そのような調子で、現実の日本に寄せている部分とまったく見当違いな部分がまだら模様に描かれていて、よく言えば独特の世界観を創り出すことに成功している。

そして、もう一人の主人公は犬だ。アタリ少年の育ての親であるメガサキ市の小林市長は、人間の友人として長い歴史をともにしてきた犬を目の敵にし、海を隔てたゴミの島にすべての犬を隔離してしまう。

小さい頃から犬と生活をしてきたアタリ少年は、不当な扱いから犬たちを救おうとたった一人でゴミの島へ向かう。

基本的に言葉が通じない中で、お互いの思いや感情を伝え合うコミュニケーションの描写は独特ながら説得力がある。なかなか心を開かなかった野良犬のチーフと絆を築く過程が物語の中心となる。

それにしても、なぜこの話をストップモーションアニメで撮ったのか。映画の良し悪し以上にそこがどうしても気になってしまう。

ここでもキーワードは「独特」だ。他にはない世界観にする必要があったということなのだろうけど、それによる効果とは?何か自分に近い特定の場所であり事象でありを容易に想像させないための仕掛けと見るのは早計だろうか。

いずれにせよ、それほど複雑ではない物語を強く印象付けることに成功したのは確かなことだ。

ただ評価は、・・・今回も良し悪しとしか言いようがない。

最後に、声優陣はS.ヨハンソンE.ノートンといった一線のハリウッド俳優から、ヨーコ・オノ渡辺謙野田洋次郎まで、洋邦を問わずまぶしいくらい豪華だ。監督の芸術性に関する評価が高いことの証であろう。

(70点)
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