Con Gas, Sin Hielo

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「ヘレディタリー/継承」

2018年12月09日 22時23分51秒 | 映画(2018)
正気と邪悪のあいまいな境界。


久しぶりの正統派オカルト映画と話題の本作。心の芯がじわじわと凍り付くような恐怖を期待していたのだが、実際に観てみると通り一遍で理解するのが難しい代物であった。

その最たる原因がミスリードだ。特に主人公の娘・チャーリーのオカルト要素全開な容姿に振り回された。

古くは「エクソシスト」から、悪魔が取りつくのは小さい女の子と相場は決まっている。加えて題名が「継承」である。祖母から邪悪なものを引き継いで後半で大暴れするのだろうと勝手に思い込んでしまっていた。

母親のアニーも序盤から半ば倒錯しているから、誰が真人間であって観客として寄り添っていけばいいのか判断が難しく、唯一間違いなく怪しいと分かったのは、アニーに接近する謎の女性・ジョーンくらいであった。

更に、頭に描かれた悪夢と現実の場面が時折入り混じることも混乱の一因となった。これは、怒涛の展開を見せるクライマックスを半信半疑で捉えざるを得ないという、致命的なマイナス点につながってしまった。

アニーがワイヤーで自傷する場面は、後から整理すればトラウマ級のものすごい画なのだが、彼女が何故壁に張り付いているのかがすとんと落ちず、前にもちらほら出ていた夢や幻想の類かと流してしまった。

息子のピーターのその後も、自分の理解が正解なのかどうか自信が持てないでいる。

苦悩や恐怖が表情から消え失せ、柔らかな音楽と光に包まれて歩を進めた先にいた出迎えの面々は、はっきりと判別はできないが、おそらく首から上はなかったのだろう。

完全なる継承。悪夢の完成。観終わってからいろいろなサイトで脳内補完をして、この映画の本質にようやく指が届いた気がした。

でも過去に名作と言われ伝説になったオカルト映画は分かりやすく恐怖を感じることができた。もう少し改善の余地はあったのではないか。

・・・と思っていたら、公式ホームページに「観た人限定完全解析ページ」なるものがあった。やっぱり映画としては不完全ということでしょう。

(70点)
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