こじらせ世代に花束を。
年末になると週刊誌などでよく見かける「あの人はいま」的な企画や往年のスターが出てくる歌合戦。外国に同じような風習があるかどうかは知らないが、K.リーブスとW.ライダーという20年前に輝いていたスターを主役に迎えた本作には、まさにそんな感じの匂いがする。
映画は、記憶が正しければ全篇を通して2人の会話しか出てこない。他の出演者にはセリフひとつない。全員がエキストラ状態である。
これは二人だけの物語という一面の裏に、他の誰からも相手にしてもらえないという、この世代の悲哀を表しているようにも捉えられる。
その二人の会話もきらきらした恋人同士の会話というにはほど遠い、自分の環境に対する愚痴や、ささいなことにケチを付ける因縁であり、周囲に人が寄り付かないのはまさに必然。
そんな二人が出会ったのは知り合いの結婚式へ向かう途中の空港。お互いが言葉を交わしたのは、今思えば同じ空気を身にまとっていたからなのかもしれない。
決して愉快ではない会話でも話し相手がいることはとても重要なこと。憎まれ口ばかりぶつけ合っていた二人が突然結ばれる下りは限りなく無様ではあったが、同じかもしくはもう少し上の世代から見たときにはとても微笑ましいものでもあった。
若い頃は見た目の良さがどうしても先行するが、そこには届かなくなったと諦めたときに違う価値観が生まれる。彼らの行動は極めて子供じみているけれど、そうした生まれ変わりを「おとな」と総称するのは有りなのかもしれない。
私生活等でいろいろあって決して順風満帆ではなかったW.ライダーであるが、今でもそれなりの美しさを保ちながら、それを崩して格好悪い女性を演じる点に好感が持てた。昔好きだった同級生に再会したときのように甘酸っぱい気持ちになった。
(75点)
年末になると週刊誌などでよく見かける「あの人はいま」的な企画や往年のスターが出てくる歌合戦。外国に同じような風習があるかどうかは知らないが、K.リーブスとW.ライダーという20年前に輝いていたスターを主役に迎えた本作には、まさにそんな感じの匂いがする。
映画は、記憶が正しければ全篇を通して2人の会話しか出てこない。他の出演者にはセリフひとつない。全員がエキストラ状態である。
これは二人だけの物語という一面の裏に、他の誰からも相手にしてもらえないという、この世代の悲哀を表しているようにも捉えられる。
その二人の会話もきらきらした恋人同士の会話というにはほど遠い、自分の環境に対する愚痴や、ささいなことにケチを付ける因縁であり、周囲に人が寄り付かないのはまさに必然。
そんな二人が出会ったのは知り合いの結婚式へ向かう途中の空港。お互いが言葉を交わしたのは、今思えば同じ空気を身にまとっていたからなのかもしれない。
決して愉快ではない会話でも話し相手がいることはとても重要なこと。憎まれ口ばかりぶつけ合っていた二人が突然結ばれる下りは限りなく無様ではあったが、同じかもしくはもう少し上の世代から見たときにはとても微笑ましいものでもあった。
若い頃は見た目の良さがどうしても先行するが、そこには届かなくなったと諦めたときに違う価値観が生まれる。彼らの行動は極めて子供じみているけれど、そうした生まれ変わりを「おとな」と総称するのは有りなのかもしれない。
私生活等でいろいろあって決して順風満帆ではなかったW.ライダーであるが、今でもそれなりの美しさを保ちながら、それを崩して格好悪い女性を演じる点に好感が持てた。昔好きだった同級生に再会したときのように甘酸っぱい気持ちになった。
(75点)
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