Con Gas, Sin Hielo

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「バーフバリ 王の凱旋」

2018年07月16日 20時27分55秒 | 映画(2018)
どこを切り取っても大活劇。


インド映画の歴史を塗り替えたスペクタクル超大作。「伝説誕生」をしっかり鑑賞し、記憶が新しいうちにこちらの完全版を観た。

遥か昔のインドに栄えたとされる大国マヒシュマティ。先代の王が早逝したことをきっかけに、正当な継承者であるバーフバリといとこのバラーラデーヴァの間に起こる諍いを中心に物語は進行する。

神話的な世界の中で、強い者は徹底的に強く、バーフバリ(父子)もバラーラデーヴァも全篇を通して超人ぶりをいかんなく発揮する。

岩や象を持ち上げぶん投げ、高い城壁を飛び越え、剣や矢を自由自在に扱う。何十人、何百人を相手にしようと決してひるまず、ちぎっては投げていく様は壮観のひとこと。

その一方で、決してマッチョな男性だけのストーリーにしないところはさすが。主人公の傍らに美女を配し、マサラムービー伝統である豪華絢爛な歌と踊りの場面をしっかり用意している。

更に言えば、娯楽を追求する中で人物設定や脚本にも決して手を抜かず、バーフバリとバラーラデーヴァの関係が女性をきっかけにこじれていく筋書きはなかなか良くできていると思った。

バラーラデーヴァは嫉妬に己を乗っ取られ破滅するが、立場が違っていれば立派な王になれていたかもしれない。もちろんバーフバリ父も、デーヴァセーナ妃と違う出逢い方をしていれば運命は変わっていた。

国を治めつつ二人を母として育てたシヴァガミは立派であったが、二人の間の溝を修復不可能にしたのも彼女であった。デーヴァセーナは芯の通った女性であったが故に不幸な対立を招いてしまった。

一見勧善懲悪に徹している物語の陰に、繊細で脆い運命のいたずらが垣間見える構図が興味深かった。

エンドロールの後ろで「この後、バーフバリの子孫が王族を継いだの?」「それは分からない」という会話が流れるのが粋なところで、結局世の中は「神のみぞ知る」ということなのである。

本作の成功を経て、インド映画がどこへ向かっていくのか。国力の拡大とともにこれからも目を離せない。

(85点)
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