ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

ひとりじめ

2017年12月22日 | ノンジャンル
忘年会シーズン、深夜の帰宅の時に、凍えそうな
星空を見上げれば、あの日を思い出す。

結婚前、その日は二人ともそれぞれの勤め先の
忘年会で、それが終わってから会うことにしていた。

彼女のアパートに行くとまだ帰っていない。
合鍵など持っていない頃だ。

もちろん携帯などない時代である。

酒の酔いと痛いほどの寒さが身に染みて、
半ば眠りそうになっていた。

なぜかその時は、いつまででも待っている
つもりだった。

やがて帰ってきた彼女は、私の蒼白な顔を見て、
雪山でもあるまいに、凍死すると思ったのか、
抱きかかえるように部屋に入れ、いきなり私に
抱きついた。

寒い中帰ってきた彼女の身体も冷えていたが、
必死で私の身体をさする彼女を見て、一緒に
なるなら、こいつとだなと思った。

口下手な私が、プロポーズ代わりに歌ったのが
この「ひとりじめ」という曲である。

今もこの曲を歌う時は、あの時の緊張が蘇る。

歌い終わると、彼女は笑って、ひとこと言った。
「いいわよ」と。