ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

コントロール

2016年06月30日 | ノンジャンル
記事としては何度も取り上げてきたキーワードだが、
依存症という病気を一言でいえば、コントロールを
失う病気である。

よって、その判別は比較的容易である。
要するに、依存対象となるものを断って、
継続できるかどうかである。

お酒の場合、週に2日、休肝日を設けて、
それを1年でも2年でも変わらず継続できるなら、
その人は依存症ではない。

無論、飲まずに1か月でも2か月でも過ごせる
人はコントロールを失っておらず、依存症ではない。

依存症であれば、飲みたくなくとも飲まずには
おられない。

したがって、依存症そのものの病識のないものが、
依存症患者を見れば、意志の弱い、身勝手で嘘つきで
だらしない、どうしようもない人ということになる。

反面、コントロールを失った人間の本性とは、
存外、皆そんなものなのかもしれない。

回復とは、失ったコントロールを取り戻すことであり、
同時に、取り戻しつつあるコントロールも
一瞬にしてまた失う危険と常に対峙していることになる。

いわゆる、コントロールを有している者が、
失った者を責めたところで意味がない。

そして、この病気の厄介なところは、コントロールを
有している者を巻き込むことで、その人をもまた異なる
疾患へと陥れることなのである。

トラックの内輪差ではないが、巻き込まれないという
ことも、当人の周りにおいては重要なことである。





薔薇色の人生

2016年06月29日 | ノンジャンル
先天性の色覚異常で、色を認識できない兄弟がいた。

彼らの見る世界はモノトーンで、薄い青写真の様だった。
もちろん、色を認識できないので、色の名前は
憶えていても、それがどんな色なのかはわからない。

そんな彼らに、色覚を補正するサングラスが両親から
贈られた。色のない世界で成長してきた彼らが
生まれて初めてこの世界の色彩を見たのである。

その感動というより、衝撃が二人を絶句させ、
息をのませた。
言葉にならない驚きと喜びが嗚咽になって、
ただ抱き合うよりほかなかった。

言葉など実は意味がない。そこに宿る人の体温が
全てなのである。

これとは逆に、アル中という病気は、徐々にその人の
色彩感覚をマヒさせていく。
いわばカラーからモノトーンへと世界が変わっていく。

回復途上にあるものは、世界が真っ白か、真っ黒に
なった感覚を覚えている。
回復とは、いわばこの色彩を徐々に取り戻していく
ことかもしれない。

そしてそれは、折々に、言葉にならない感動を
重ねていくことでもあるだろう。