ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

負け癖

2017年12月18日 | ノンジャンル
勝ち負けという言葉は好きではないが、
アルコール依存症について敢えて用いるなら、
それは、アルコールに対して負け癖がついて
しまったという事である。

アルコール至上主義となって、その支配下にある
患者は、無力であり、負け組である。

地位や財産、社会的信用、家族、そして自身の命に
代えてでもアルコールを摂取しようとしてしまう。
つまり、アルコールに負け続けていくのである。

そこで、医療なり自助グループなりの支援を得て、
初めて勝つのが断酒である。

過去も現在も、そして未来も負け続けるべき者が、
初めて勝ったのであるが、負け癖は消えたわけ
ではない。

支援によって勝ち続けることは可能である。
そしてそれはやがて勝ち癖となっていくだろうが、
それでも負け癖が完全に消えることはない。

一日断酒とは、飲むか飲まないかの一日勝負である。
これに勝つことを積み重ねていく中で、勝ち癖が
身につく。

一日とはいえ、勝負は常に一瞬である。
目の前の一杯、いや、手にした一杯に口をつけるか
つけないかの一瞬の勝負である。

それに口をつければ、たちどころに昔の負け癖が
よみがえる。

スリップとは、失敗ではなく、その一瞬の負けである。
お酒に関して言えば、この負けが、すぐに次の勝利に
つながることは稀有である。

我々の勝利とは、この一瞬の勝負に負けない
ことである。

そして、その負けない積み重ねが、
やがて勝ち癖へと昇華されていく。

勝ったり負けたりは世の常だが、我々の場合は
それが生死の問題に達する。

負け癖があることを受け入れて、今日あるやも
しれぬ一瞬の勝負に負けないこと。
そして今日を自分なりに精一杯生きること。

これが一日断酒なのである。