仕事柄、飛行機に乗ることが多い。
あまり意識していないが、搭乗の時には
それなりに覚悟はしている。
子供が小さい頃は、万一に備えて、一億以上の保険に
入っていた。
しかしながら、統計的には飛行機は最も安全な乗物である。
とはいえ、墜落事故が起きた場合、殆どの場合、生還できる
可能性はないので、敬遠する人も多い。
自動車や鉄道と異なり、いわゆる衝突事故というのは
滅多にないが、レーダーなどを見ていると、高度差による
コントロールがなければ、衝突は頻発するだろうと思われる
ほど混雑している。
今や無限に思えた大空も、非常に狭いものになっている。
ともあれ、自動車事故による即死については、被害者は
ほんの一瞬の「あっ!」という後に死ぬ。
その一瞬の前には死など微塵も意識していない。
ところが、爆発ならともかく、飛行機の場合は最終的に
墜落するまでに、十分死を意識する時間があるのが常だ。
むしろ、墜落すればまず命はない事をわかっている上で、
その時が来るのを機内で何もすることができずに待つ
というのは、想像を絶する恐怖だと思う。
これまでに一度だけ墜落を覚悟したことがある。
窓際に座っていたが、エンジンの一つが、
一瞬火を噴いたように見えた。
そのエンジンはストップ、シートベルト着用サインが点き、
機体は乱気流にもまれるような上昇、下降を繰り返した。
これはやばいかもしれないと思い、手帳に遺書というか、
銀行のキャッシュカードの暗証番号とか、事務的なことを
中心に書き留めたと思う。
結局無事に着陸し、事なきを得たが、そのエンジンは
やはり黒い焦げ跡が残っていて、ぞっとした記憶がある。
今ではもう子供達も成人し、そうした心配もない分、
空の旅を楽しんでいる。
それでも、搭乗する時には、無意識にそれなりの覚悟を
決めているのである。
断酒を飛行機に例えることが多いのだが、お酒をやめると
覚悟して断酒機に搭乗する。離陸から巡航航路に達する
までが最もエネルギーを要し、危険も多く、困難な時である。
断酒初期に似ている。
巡航航路に達すれば、さほどエネルギーを必要とせず、
安定した飛行が続けられる。
ここで何らかの事故に遭えば、墜落し、命を落とすことに
つながる。
九死に一生を得て、再び搭乗するも、また墜落の憂き目に
遭う人もいる。
スリップを繰り返す人は、この墜落を繰り返すようなもので、
そのたびに命を失わずに来たことを、類稀な幸運と
自覚すべきである。
そして遂には、目的地に無事着陸することを望み、
願うのみである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/70/b718f5506b2a53f002a45a85e06710ef.jpg)
あまり意識していないが、搭乗の時には
それなりに覚悟はしている。
子供が小さい頃は、万一に備えて、一億以上の保険に
入っていた。
しかしながら、統計的には飛行機は最も安全な乗物である。
とはいえ、墜落事故が起きた場合、殆どの場合、生還できる
可能性はないので、敬遠する人も多い。
自動車や鉄道と異なり、いわゆる衝突事故というのは
滅多にないが、レーダーなどを見ていると、高度差による
コントロールがなければ、衝突は頻発するだろうと思われる
ほど混雑している。
今や無限に思えた大空も、非常に狭いものになっている。
ともあれ、自動車事故による即死については、被害者は
ほんの一瞬の「あっ!」という後に死ぬ。
その一瞬の前には死など微塵も意識していない。
ところが、爆発ならともかく、飛行機の場合は最終的に
墜落するまでに、十分死を意識する時間があるのが常だ。
むしろ、墜落すればまず命はない事をわかっている上で、
その時が来るのを機内で何もすることができずに待つ
というのは、想像を絶する恐怖だと思う。
これまでに一度だけ墜落を覚悟したことがある。
窓際に座っていたが、エンジンの一つが、
一瞬火を噴いたように見えた。
そのエンジンはストップ、シートベルト着用サインが点き、
機体は乱気流にもまれるような上昇、下降を繰り返した。
これはやばいかもしれないと思い、手帳に遺書というか、
銀行のキャッシュカードの暗証番号とか、事務的なことを
中心に書き留めたと思う。
結局無事に着陸し、事なきを得たが、そのエンジンは
やはり黒い焦げ跡が残っていて、ぞっとした記憶がある。
今ではもう子供達も成人し、そうした心配もない分、
空の旅を楽しんでいる。
それでも、搭乗する時には、無意識にそれなりの覚悟を
決めているのである。
断酒を飛行機に例えることが多いのだが、お酒をやめると
覚悟して断酒機に搭乗する。離陸から巡航航路に達する
までが最もエネルギーを要し、危険も多く、困難な時である。
断酒初期に似ている。
巡航航路に達すれば、さほどエネルギーを必要とせず、
安定した飛行が続けられる。
ここで何らかの事故に遭えば、墜落し、命を落とすことに
つながる。
九死に一生を得て、再び搭乗するも、また墜落の憂き目に
遭う人もいる。
スリップを繰り返す人は、この墜落を繰り返すようなもので、
そのたびに命を失わずに来たことを、類稀な幸運と
自覚すべきである。
そして遂には、目的地に無事着陸することを望み、
願うのみである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/70/b718f5506b2a53f002a45a85e06710ef.jpg)