ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

死の覚悟

2016年11月30日 | ノンジャンル
仕事柄、飛行機に乗ることが多い。

あまり意識していないが、搭乗の時には
それなりに覚悟はしている。

子供が小さい頃は、万一に備えて、一億以上の保険に
入っていた。

しかしながら、統計的には飛行機は最も安全な乗物である。
とはいえ、墜落事故が起きた場合、殆どの場合、生還できる
可能性はないので、敬遠する人も多い。

自動車や鉄道と異なり、いわゆる衝突事故というのは
滅多にないが、レーダーなどを見ていると、高度差による
コントロールがなければ、衝突は頻発するだろうと思われる
ほど混雑している。

今や無限に思えた大空も、非常に狭いものになっている。

ともあれ、自動車事故による即死については、被害者は
ほんの一瞬の「あっ!」という後に死ぬ。
その一瞬の前には死など微塵も意識していない。

ところが、爆発ならともかく、飛行機の場合は最終的に
墜落するまでに、十分死を意識する時間があるのが常だ。

むしろ、墜落すればまず命はない事をわかっている上で、
その時が来るのを機内で何もすることができずに待つ
というのは、想像を絶する恐怖だと思う。

これまでに一度だけ墜落を覚悟したことがある。
窓際に座っていたが、エンジンの一つが、
一瞬火を噴いたように見えた。

そのエンジンはストップ、シートベルト着用サインが点き、
機体は乱気流にもまれるような上昇、下降を繰り返した。

これはやばいかもしれないと思い、手帳に遺書というか、
銀行のキャッシュカードの暗証番号とか、事務的なことを
中心に書き留めたと思う。

結局無事に着陸し、事なきを得たが、そのエンジンは
やはり黒い焦げ跡が残っていて、ぞっとした記憶がある。

今ではもう子供達も成人し、そうした心配もない分、
空の旅を楽しんでいる。
それでも、搭乗する時には、無意識にそれなりの覚悟を
決めているのである。

断酒を飛行機に例えることが多いのだが、お酒をやめると
覚悟して断酒機に搭乗する。離陸から巡航航路に達する
までが最もエネルギーを要し、危険も多く、困難な時である。
断酒初期に似ている。

巡航航路に達すれば、さほどエネルギーを必要とせず、
安定した飛行が続けられる。
ここで何らかの事故に遭えば、墜落し、命を落とすことに
つながる。
九死に一生を得て、再び搭乗するも、また墜落の憂き目に
遭う人もいる。

スリップを繰り返す人は、この墜落を繰り返すようなもので、
そのたびに命を失わずに来たことを、類稀な幸運と
自覚すべきである。

そして遂には、目的地に無事着陸することを望み、
願うのみである。






魂の解放

2016年11月28日 | ノンジャンル
たとえば無実の罪で投獄され、獄中生活を余儀なく
されているとしよう。

身の潔白を証明する術もなく、悲嘆に暮らすなら、
身だけでなく、その魂をも縛られていることになる。

何十年もの獄中生活の後に、人のために尽くし、偉大な
仕事を成し遂げた人は多いが、そういう人たちは
身は縛られていても、決して魂までは縛られなかった
のであろう。

組織というと印象が悪いが、共同体というなら、
それが最小の家庭から社会、国家という枠組みにおいて
人にはなにがしかの制約が課せられ、悪く言えば
縛られることになる。

それを身だけでなく、心まで縛られていると感じるなら
生きることそれ自体が苦しいだろう。

たとえ手かせ、足かせを嵌められていようとも、
自身の心と魂は、誰にも縛られることはない。

それを縛ることができると考えるもの、そして縛られて
しまうと感じる自身が、問題なのであって、
この身は宇宙の一塵、この心は宇宙そのものと
観て取るとき、魂そのものは自由なのである。





あるがまま

2016年11月26日 | ノンジャンル
結局バタバタしていて、今日になってやっと
墓参りに行ってきた。

叱られに来たつもりだったが、なんだか黙っている。

ああ、そうだった。自分でわかってることは、
あえて何も言わないで黙っている人だった。

そうだねえ、どんな状況になっても、結局は今を、
出来ること精一杯で生きていくしかない。

まあ、そこに遺骨があるとしても、そこにいる
わけではない。
生きているものの気分というものだ。

ともあれ、その人の一生が、人の心に遺る。
そして、それを自分の人生と重ねて、人は生きていく。





天空の城

2016年11月24日 | ノンジャンル
最近めったにそんな時間はないのだが、
晴れた青空や星空を眺めているのが好きだ。

初めはいろいろと浮世の悩みも浮かび、
考えを巡らしたり、ありもしない想像を
してみたりと落ち着きがない。

それでもしばらくすると何も考えないで、
自分の存在すら意識することなく、流れる雲と
一体となり、輝く星と一体となる。

それがわずかな時間であっても、何とも言えない
安らぎのひと時となって、また現実の生活に
戻っていける。

天空に夢見た城は、我が内に築かれしもの
なのかもしれない。

それに気が付けば、また今日を精一杯生きていける。





あきらめ

2016年11月22日 | ノンジャンル
あきらめないことが良くて、
あきらめることが悪いのではない。

どちらにも良し悪しがあるだけのことである。

あきらめないは、良く言えば忍耐と継続は力なり。
悪く言えば、往生際が悪い。

あきらめるは、悪く言えば根気と忍耐がない。
良く言えば、潔い。

酒害で言えば、お酒をコントロールすることを
あきらめなければならない。
コントロールできれば、酒害はない。

断酒で言えば、お酒をやめ続けていくことを
あきらめてはならない。

この問題の根源は、お酒のコントロールを
あきらめきれず、断種継続をあきらめることにある。

それは、当事者と周りの者を問わない。

私たちは常に、何をあきらめ、何をあきらめないかの
問いを突き付けられているのである。