お盆を過ぎても蒸し暑い日々が続いていたが、今年は3年ぶりに
花火大会が開催された。
さすがに中止、中止の鬱憤が溜まっていたのか、見物客も多く、
花火の内容も、以前とは比べようもないほど豪華だった。
とはいえ、ドンドンと雷鳴のように響き渡る音を聞きながら、
いつものように玄関側で花火見物ということはしないで、
テレビのライブ映像を観ていた。
玄関を出て、下を見下ろせば、堤防に集まった大勢の見物客。
淀川の上流側を見れば、毎年眺めてきた花火が打ち上がっている。
本当に久し振りだなと思ったのも刹那、幼くして病気で逝った
近所の女の子の姿がフラッシュバックした。
その子は弱った体で、最後にこの花火を見て、その年に逝った。
元気で明るかった子が、声も出せないほどになって、
最後に見た花火はその瞳にどう映ったのだろう。
あれから13年。まさか花火を見て落涙するとは思わなかった。
あの子と同じように花火を見ることに堪えられず、
部屋でテレビを見ていた。
その夜は急に風が変わり、一気に秋の気配に包まれた。
猛暑、猛暑といわれた今年の夏も、もう去っていく。
人もまた、来去・去来を繰り返す。
それは、まさしく花火そのままなのである。