ひろせ明子の市議日記

無所属・無会派。
市議として日常で見たこと・感じたことを綴っています。

情報公開 意見書の提出

2009年04月29日 | 情報公開
市側の「不開示決定の理由説明書」に対して、意見書の提出を行いました。
この意見書の提出は義務ではありません。意見書を提出せずに意見陳述のみを行うことも可能ですが、事件が大変複雑なので、意見陳述の時間(約1時間)では不足するのは目に見えていますので、当日の意見陳述を補完する意味で意見書を提出しました。
以下はその全文です。

意  見  書

浦安市長が行った、平成21年3月6日付けの理由説明書に対して意見書を提出いたします。

〈一〉意見書提出の背景
(1)平成19年6月14日、「普通教室・特別教室用パソコン等の賃貸借」及び「平成19年度用パソコン等の設定変更委託」の指名競争入札が実施された。
(2)平成20年3月11日、浦安市教育委員会所属職員(以下「教育委員会職員」という。)が入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律第8条違反で逮捕された。
(3)平成20年3月28日、千葉簡易裁判所において、教育委員会職員に対して略式命令が下された。罰金50万円。
(4)平成20年4月、千葉地方検察庁に「6月議会一般質問で使用するため」との理由で、同事件の記録の開示請求を行う。
開示決定が出、その後、約1ヵ月間に渡り千葉地方検察庁で事件記録の録取を行う。
  ※私が一般質問で取り上げたのは、本事件の真相を解明し、再発防止・不正防止に市がどのように取り組む予定なのかを明らかにすることが目的だった。
(5)平成20年6月11日、6月議会一般質問に向けてのヒアリング時に、市側が事件記録を読んでいないことが判明したので、「事件について一般質問を行うので、必ず事件記録を読んで議会に臨んでほしい」旨を伝える。
(6)平成20年6月16日、浦安市職員6名が出向き、事件記録を録取した。
(7)平成20年6月24日、広瀬一般質問で事件を取り上げる。
〈主な19年度教育用パソコン等の設定変更委託質問内容〉
 ①教育委員会職員がどのようにして落札率を操作していたのか
 ②指名競争入札(7者指名)であったが、入札参加業者間では競争の原理は全く働いていなかった。
 ③教育委員会職員が「業者の指名」に関与していた

※本事件に関する私の一般質問の大半(13か所、1200文字以上)が議長権限で削除された。
削除に先立ち、市長が「(刑事確定訴訟記録法)第6条に閲覧者の義務として、閲覧により知り得た事項をみだりに用いて関係者の名誉を害する行為をしてはならない、こういったことがございますので、我々は答弁をしないということを明確にお伝えしているものでございます。 そういった意味では、広瀬議員も質問に際して、供述調書をもとにすること自体ここに抵触するのではないかなと思います。そういった意味では、議長へもお取り計らいのほどよろしくお願い申し上げます。」との発言がなされ、議会運営委員会が開かれ、議長一任となり、議長権限で削除された。
 
(8)しかし、市側は、私が録取して来た内容とは全く正反対の答弁を行い、あるいは答弁拒否を繰り返した。
(9)市側の答弁が何故記録と異なったのかを確認するために、平成20年7月18日、「平成20年6月16日に千葉地方検察庁で記録閲覧し、筆録した文書」の公文書名で、開示請求を行う。
(10)平成20年8月1日、不開示決定。
(11)平成20年9月30日、不開示決定に関して異議申し立てを行う。
(12)平成21年3月26日、開示請求に対する理由説明書を受け取る

〈二〉意見書提出の理由
(1)浦安市が行った不開示には合理的理由がない
浦安市が刑事記録を閲覧した法的根拠は、浦安市が認めているように、刑事確定訴訟記録法によるものであったことには異論はない。しかし、その録取した記録の開示は、刑事確定訴訟記録法の閲覧の手続規定の潜脱になり、浦安市公文書公開条例7条第一項(注1)に該当すると判断している。
同条第一項は、不開示に出来る場合として、「法令又は条例の定めるところにより公にすることが出来ないと認められる情報」とされ、刑事確定訴訟記録法第6条を引用している。
同法6条は「保管記録を閲覧した者は、閲覧により知り得た事項をみだりに用いて、公の秩序若しくは善良の風俗を害し、犯人の改善及び更生を妨げ、又は関係人の名誉若しくは生活の平穏を害する行為をしてはならない」と規定している。
もしこれに該当するのであれば、市が録取した文書の公開が、閲覧により知り得た事項をみだりに用いることに何故なるのかの説明がなされなければならないが、全く説明もなく、徒にこの法律を引用して不開示にしているに過ぎない。また、開示することが何故公の秩序若しくは善良の風俗を害する行為になるのか、その理由も明らかにされていない。

(2)市が言う「秘密性」とは
市提出3月12日付開示請求に対する理由説明書によると、「教育委員会職員及び検察の取り調べを受けた関係者の捜査過程における供述内容は、秘密性が高く、個人に関する情報も多い」(2頁21行目)と述べている。
しかし、ここでも「秘密性」・「個人に関する情報」とは具体的にどういうことかが述べられていない。開発行為に関する企業秘密などの場合は、確かに「秘密性」が高く、非公開にする理由はあるが、本事案において検察で取り調べられたことは、そのような「秘密性」があるものは一つもなかった。
「個人に関する情報」とあるが、供述調書に書かれていることは、プライベートのことではなく、仕事・業務で行ったことが書かれているに過ぎない。供述調書で書かれていることは、教育委員会職員は公務上の事であり、また、民間会社の社員は市の仕事に関連して行ったことを述べているに過ぎない。
非公開にして守らなければいけないと主張するのであれば、何故「個人に関する情報」と言えるのか、詳細な説明が必要である。

(三)供述調書で明らかになった、入札の裏の実態
   私が録取した本事件に関する問題ある供述の一部を紹介する。

①「19年度教育用パソコン等の設定変更委託」入札案件で、教育委員会職員はエヌ・ティ・ティ・コミニケーションズを指名業者にしてもらえる様に、担当者に働きかけをした。当時、NTT東日本が指名停止を受けてしまっていたので、NTTグループの他の会社が事業に参加できるように働きかけをした。
②NTT東日本は「ISMS」や「プライバシーマーク」の資格がなかったが、それと同等の信頼性を有していれば入札に参加できる文言を仕様書に入れる工夫をしたりした。(NTT東日本は県や他市で指名停止になったので、この努力は不毛のものとなったが。)
③市から指名を受けた業者を裏で仕切っていた会社が明らかに存在していた。
「大崎コンピューターを富士通サポートが全く同じ設計書を入札時に提出してしまうと、市側から業者間で価格調整をして、同じ人間が設計書を作っているのではと疑われるのではと思い、フォントなどを少し変えた」との供述。(内田洋行社員供述)
④教育用パソコンは、内田洋行が以前から担当していることを知っていたので、富士通のパートーナー会社の内田洋行が落札するのなら、無理に落札目指さなくてもよいと思った。しかし、内田洋行が落札するにしても、当社が辞退した結果、参加者が一社のみで不調に終わると内田洋行に迷惑がかかると思った。そこで、お付き合いで入札に参加した。私は小椋さんから送られてきた添付のファイルの設計書に「27,325,000」と記入されており、「会社名」欄に「富士通サポートアンドサービス会社」と打ち込んだ他は、データに全く手を加えていない。(富士通エスサス/サポートサンドサービス社員供述)
⑤教育委員会職員は落札率を操作していた。
「浦安市議会では、過去にある市議会議員を中心に、浦安市が発注する入札案件の落札率が90%を根拠に、入札が適正に行われていないと指摘されたことがあって、今回の設定変更委託案件の落札率は90%をきっていないと、後になってこの案件の落札率が高いことを市議会議員らに指摘されて、市議会で問題にされるといやだと思った。そこで、NTT東日本が作成した設計書の「標準単価」や「標準合計」の千円台の数字を削り、万単位の数字に操作した。
例えば、「職員プリンタ優先イクリアドレス変更」の標準単価・1万5千円を3万円、標準合計・31万5千円を63万円に修正して、落札率が90%を切るようにした。」(教育員会職員供述)
  ※この落札率の操作に関しては、市は一貫して否定している。
   「操作するようなことはないと考えております」(平成20年6月24日)、「調査により操作していないことを確認し、判断したところでございます。」(平成20年9月20日)
⑥入札に勝つ見込みがないから辞退した
「19年度教育用パソコン等の設定変更委託」は、ヘルプデスクの見積もりが必要になっていた。だからこの入札に勝つ見込みがないと判断した。(大塚商会社員供述)
   ※大塚商会は辞退届け出を出しているが、辞退の裏にはこの入札に参加することは最初から無理であるとことがわかっていたことが供述調書ではわかるが、市の調査報告書では、「入札辞退届けを提出し入札を辞退したものである」とだけ書かれている。供述調書を丹念に読めば、指名を受けが業者が提出した辞退届書の裏には、この入札が出来レースであったことが自ずと分かるはずである。
⑦ 出来レースの入札であった
 「19年度教育用パソコン等の設定変更委託」で東芝ソリューションが5千5百80万円で入札に参加したのは、本案件の入札が明らかに出来レースであることを市議会にアピールしようとして、あえて高めの金額で入札に参加したのだと思う。(大塚商会社員供述)

(四)秘密性はあるのか
これらの供述のどこが「秘密性が高い」と言うのか理由が明らかにされていない。
入札の結果の支払いは全て市民の税金で賄われており、市民はその税金の流れに不正がなかったのかどうかを知る権利がある。また、議会は税金の流れに不正がないかどうかをチェックする義務がある。
私が検察庁に通い、開示され録取した刑事記録と市の答弁はあまりにも隔たりがあるので、その落差の理由を明らかにするためには、昨年6月16日市が録取した文書を調査することは不可欠である。もし、市の録取に間違いあれば、再録取を市はすべきであり、間違いはないが議会答弁で録取内容と異なる答弁をしたのであれば、その理由を明らかにして、速やかに訂正すべきものと考える。

本年3月、(事件発生から1年以上経って)やっと市は「浦安市教育委員会職員による『入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律』違反事件に関する調査報告書」を公開した。(資料参考)
同調査書では、上述(2)①~⑦のことには全く触れた個所がなく、昨年録取してきたものがどのような形で生かされたのか、知ることが出来ない。
本事件は入札に参加した業者に、教育委員会職員が予定価格を漏らしたことだけが問題ではなく、むしろ、その背後で想像を絶する思惑が働き、業者間の動きがあったことが問題であった。競争性・公正性・透明性が保障されていなければならない入札であるが、刑事記録を読む限り、全くその担保はなかった。何故このような事態になったのかの真相を解明することなくして、再発防止策は生まれない。
市は録取した記録を忠実に分析していていないから、同調査報告書の「入札制度の見直し」(10頁)では、(1)入札案件の事前公表、(2)予定価格の事前公表、(3)担当課入札廃止などと言う、見当違いの見直し策しか述べられていない。これでは防止には程遠いと言わざるを得ない。
また、同報告書では、「指導主事(教育委員会職員を指す)は、設計金額と予定価格が同額であるという入札業務上の認識はなかったものであるが、・・・」とあるが(同報告書4頁12行目)、供述調書によると、「今回扱った19年度の入札でも、私が作成して提出する設計書の金額がそのまま予定価格になると思っていた」と全く相反することを述べている。
市が録取した供述調書では一体何を録取したのか、この事件の真相を真摯に追求する意思があったのかを知る必要を感じる。

浦安市民の税金を預かる市政として、本事件の問題点をあぶり出し、再発を防止することは早急に取り掛からなければならない。その為には、市が録取した刑事記録の中身を分析し、市は録取文書から事件の真相を何処まで把握しているのかを知るのは市民として当然の権利である。
(五)要望
市が録取した文書を不開示にすることではなく、むしろ、市が録取し知った事実を公表し、本事件の真相を市民の前に明らかにして、入札の実態を白日のもとにさらし、二度と不正が起こらない仕組みを議会や市民と共に編み出す努力が必要と考える。

●注1
(公文書の開示義務)
第7条 実施機関は、開示請求があったときは、開示請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該公文書を開示しなければならない。
(1)法令又は条例(以下「法令等」という。)の定めるところにより公にすることができないと認められる情報

●参考資料:新聞記事 平成20年3月12日 読売新聞
               〃      朝日新聞
               〃      東京新聞
               〃      産経新聞
               〃      毎日新聞
           平成20年3月13日 千葉日報
               〃      読売新聞
               〃      朝日新聞
               〃      毎日新聞
               〃      東京新聞
●調査報告書 一式
●入札経過書 平成19年6月14日 午前11時執行
              平成19年度教育用パソコン等の設定変更委託
       平成19年6月14日 午前11時10分執行
              特別教室用パソコン等の賃貸借



      2009年4月23日


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