ひろせ明子の市議日記

無所属・無会派。
市議として日常で見たこと・感じたことを綴っています。

住民監査請求結果

2016年11月30日 | 福祉・情報公開

昨年9月1日付けで社会福祉法人パーソナル・アシスタンスともに市が675万9025円もの多額の返還を求めたことは、このブログでも再三お知らせしてきました。問題は、一体全体何を根拠(法律的根拠)に変換を求めたのかです。この点については議会がある度に質問をしてきたのですが、未だにわかりません。

返還を求めるにあたり、市は利息も求めていなかったのでそれは納得出来ないということで、住民監査請求を9月末に起こしました。

監査請求では「675万9025円の過年度分の意味を明らかにして、過去に遡って利息を付けた返金を命じるべきである」と主張しましたが、28日に出ました監査結果は、予想通りに「棄却」でした。この監査内容は、これまでの議会答弁とほとんど同じです。監査人はもう少し突っ込んだ調査をして、(結論はともかくとしても)判断をしてくれるものと期待していたのですが・・・。

監査結果


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ノリ弁

2016年11月29日 | 音楽ホール

昨日公開したノリ弁情報ですが、これはこちらに関連するものです。
議案19号・指定管理者の指定について(音楽ホールの指定管理者)として、第四回定例会に提案されて来ているものです。

11月15日に書いたように、「きちんとした審査をするために、昨日参加事業者三者が提出した企画書を開示請求しました。十分な資料がないと十分な議案審査ができませんので。」との目的で開示請求をしたわけです。

ノリ弁状態のものしか出てこなかったわけですが、これでは市の選定行為そのものを審査などできません。議案提案者は一体何を審査せよと言っているんのでしょうか。「間違いなく合計点が一番多い事業所を選定しました」ということを審査せよと言うことなのでしょうか。

向こう五年間で(市予定額では)市民は13億円を超える負担を強いられる事例です。その審査に関連する開示請求だったのです。

ちなみに、11月14日にはこの事業に名乗りを挙げたS&Uドリームアンサンブルと株式会社ケイミックスの事業計画書・収支計画書につていも開示請求をしましたが、こちらはノリ弁どころか不開示決定でした。
理由は、「指定管理非候補者の提出書類であり競争上の優位を獲得するための法人のノウハウまたは販売上の秘密である情報であって、公にすることにより、社会的評価の低下や事業活動が損なわれるおそれがあるため」でした。

 


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ノリ弁

2016年11月28日 | 音楽ホール

「ノリ弁」という言葉が豊洲への築地移転を巡り流行していますが、これは決して東京都だけの話ではありません。私はこれまで可成り沢山浦安市保有の公文書を開示請求をしてきましたが、ノリ弁に遭遇することは結構ありましたので、東京都で「ノリ弁」が問題になったときもさほど驚きませんでした。

本日開示されたものも凄いです。
  35ペイジもある公文書なので、開くのに少々時間がかかりますが・・・、是非クリックしてご覧ください。
    これがノリ弁だ!

 ※市民の関心の高い音楽ホールの指定管理者選定に当たり、指定を受けた事業者が市に提出した事業計画書・収支計画書です。

こんなノリ弁状態が延々と続きます。
  

そして最後ペイジでやっと数字が見えてきました。
   


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山本太郎「非人道的すぎる!」 11/18参院・復興特別委員会

2016年11月27日 | 原発

是非ご覧ください。

山本太郎「非人道的すぎる!」 11/18参院・復興特別委員会

 

 


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原発・放射能汚染とエネルギー政策を考える集い

2016年11月25日 | 原発

29日の平日午後ですが、小出裕章さんと飯田哲也さんの講演会があります。


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隣家の薬剤散布

2016年11月22日 | 環境

化学物質過敏症に関する判例です。同じような事例が全国にあるはずですから、薬剤を散布する側も慎重になるでしょう。
以前、過敏症の方から同じような相談を受けてきていますので、とても大事な判例だと思われます。佐賀地方裁判所の判例です。

隣家に知らせず薬剤散布で賠償命令

争点1 シロアリ防除剤の散布行為に「過失」があるか  ⇒ ある
薬剤の危険性を当然認識すべきである

争点2 散布行為と損害に因果関係あるか ⇒ ある
自宅の損害は妻所有であるから認められない

※ 化学物質過敏症(CS)を患う男性が、隣家で散布したシロアリ防除剤で体調が悪化し、住宅が汚染されたとして、薬剤を散布した住宅・リフォーム会社に損害賠償を求めていた。佐賀地方裁判所は30万1585円の支払いを命じた


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県知事選

2016年11月21日 | 県知事選

現職市長は残り二年の任期を残して、来年三月予定の県知事選挙に出ることが明らかになりました。

YOMIURI ONLINE でよめます。

千葉県浦安市の松崎秀樹市長(66)が来年4月の任期満了に伴う県知事選に出馬する方針を固めたことが19日、わかった。

市議会12月定例会後に県庁で記者会見し、正式表明する予定だ。自らの辞職に伴う浦安市長選は、知事選と同日選とする方向で調整している。

松崎市長は読売新聞の取材に、「出馬する。市長を18年やり、市長としての使命は終わった。国にも県にもストレートに(ものを)言えるのは私しかいない」と述べた。現在、市長5期目だが、6期目については「全く考えてない」と明言。選挙戦では、教育や福祉、少子高齢化対策などを重点的に訴えるつもりだという。

 松崎市長は10月下旬、浦安市内で記者団に、森田知事について「こんなに市町村長に寄り添わない知事は初めて。大半の首長は同じ思いだ」と批判。県知事選への立候補を検討していることを明らかにしていた。

 松崎市長は元自民党県議で、知事選では同党からの支援を得たい考えだったが、同党内では現職の森田知事を支持する声が強い。公明党にも支援を求めたが、同党は静観している。両党の支援が得られそうにないことについて、松崎市長は「もう、がんじがらめはいい。結果は最後についてくる」と語った。

 知事選は、来年3月9日告示、同26日投開票という日程が有力視されている。松崎市長は、知事選と浦安市長選を同日選とする狙いについて、「選挙に伴う市の経費を抑え、市民の負担を軽減するため」としている。市長に近い国会議員からは「同日選にして選挙を盛り上げ、浮動票を掘り起こすべきだ」との声も上がっている。

 次期市長選の候補者については、自身の後援会が中心となって候補者を絞り込む見通しで自ら後継指名はしないという。

2016年11月20日 12時57分
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

※「市長としての使命は終わった」とのことですが、いやいや、まだやり残しは沢山ありますよ。せめて任期位は全うしてから、四年後の知事選でも良いのではないですか?


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政務活動費

2016年11月20日 | 政務調査費

兵庫県議、富山市議等々で政務活動費の使い方がかなりいい加減であったことがバレて大問題になったのですが、こんな記事が出ています。色々と使いみちを考えるものですね。

政活費1200万円で漫画3万冊制作 静岡・自民市議団

静岡市議会の自民党市議団(20人)が政務活動費で地元の偉人のPR漫画を約3万冊作り、後援者らに無償で配っていたことがわかった。費用は1200万円を超える。政活費は議員が自治体の仕事を調査研究するための費用で、識者からは趣旨を逸脱しているとの指摘が出ている。有権者への寄付を禁じた公職選挙法に抵触する可能性も指摘されている。

【写真】漫画の中身の一部。聖一国師の軌跡がたどられている

 漫画のタイトルは「しずおか 聖一(しょういち)国師物語」で、A5判、48ページ。鎌倉時代に市内で生まれ、中国から茶を伝えたとされる僧侶(円爾〈えんに〉)の生涯を振り返る構成だ。

 政活費の収支報告書によると、市議団は2013年2月、聖一国師を研究している同市清水区の男性(72)に70万円を支払って監修などを依頼。男性が印刷会社などに発注する形で今年3月までに計2万2千部を作った。ほかに英語版、フランス語版計6千部も作り、累計で約1255万円を政活費から出した。今秋には中国語版も作った。

 市議団の鈴木和彦会長は「静岡茶を伝えた人物のことを、多くの市民に伝えたかった」と説明。別の市議によると、漫画は市政報告会で後援者らに無償で配ったという。市教育委員会も80を超す小学校に数部ずつ配った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

浦安市議の政務活動費報告はこちらで見れます。(が、領収書が公開されていないので、その中身までは知ることが出来ません。残念です。)26年度、27年度分が公開されています。

市議会 のHP ⇒ 左側のバーナーに進み


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県知事選

2016年11月18日 | 県知事選

市長の県知事選挙への意欲が十分に感じられる記事です。二年前の10月末に五選を果たして丁度折り返し点になったのに、何かしっくりきませんが・・・。朝日新聞千葉版記事です。↓

 クリックすると拡大します


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TPP反対決議

2016年11月17日 | 情報公開

岩手県県議会がTPPに対しての反対決議を出しました。国会では強行採決までして通したのですが、以下の約束は選挙民への裏切りだったわけですね。(佐々木順一さん岩手県議チラシより) 政治家が平気で前言を翻す行為が、最近目立ちます。不信感を助長するだけです。

 

岩手県議会

県議会9月定例会は11日、本会議を再開し、国会で審議中の環太平洋連携協定(TPP)について批准しないことを求める意見書を賛成多数で可決した。批准に反対する意見書を国に提出するのは全国の都道府県議会で初めて。

 田村誠議長と病気療養のため欠席した木村幸弘氏(社民党)を除く46人で起立採決した。改革岩手15人、共産党3人、社民党1人、無所属2人といわて県民クラブの佐々木努氏、千葉絢子氏、ハクセル美穂子氏、創成いわての工藤大輔氏、五日市王氏、中平均氏、工藤誠氏の計28人が賛成。自民クラブ13人、公明党1人、同県民クラブ3人、創成いわて1人の計18人が反対した

 意見書では▽国会での議論やTPP参加を不安視する生産者や生産者団体の理解が深まっていない▽本県の農林水産業に重大な影響を及ぼすことが強く懸念される―などとして国に批准しないよう求める。


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選定結果

2016年11月16日 | 指定管理者制度

こちらは公益社団法人青年海外協力協会一社しか参加がありませんでした。28年4月から5年間です。

浦安市国際センター指定管理選定結果

 

 


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選定結果

2016年11月15日 | 音楽ホール

浦安市音楽ホール指定管理者の候補者選定結果が公表されました。

浦安音楽ホール指定管理者の候補者の選定結果

「市民、地域団体等の参加・連携による運営に配慮されているか」の項目で、選定事業者は21点しか取っていません。(A社は26点)また、収支計画では「経費縮減に配慮した適正な収支計画であるか」では25点を取っています。(従業員への賃金圧縮になっていないかが気になります。)

当然この案件は第四回議会に議案として出てくるでしょう。きちんとした審査をするために、昨日参加事業者三者が提出した企画書を開示請求しました。十分な資料がないと十分な議案審査ができませんので。


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野菜工場

2016年11月14日 | 福祉・情報公開

千鳥に障がい者就労を目的とした野菜工場を作る予定ですが、野菜工場そのものの運営は大変なようです。この事業は、現在事業者選定に入っているようですが、以下の記事を読むと、可成りの専門的技術を持った事業者でないと難しそうです。市は、こんな困難さが伴う事業を敢えて事業化したわけですが、大丈夫でしょうか?

補助金漬け「植物工場」の不毛~どうなる?日本の次世代農業

2つの象徴的な倒産

  • 植物工場で育つリーフレタス

1980年代後半の第1次、90年代後半の第2次を経て、農水・経産両省連携の国家プロジェクトとして2009年に始まった植物工場の第3次ブームが今なお続いている。しかし、植物工場の多くは(1)コストが高い(2)栽培法・経営ノウハウが未熟(3)露地野菜との差別化ができない――の三重苦に喘(あえ)ぎ、赤字経営に陥って撤退・倒産するケースも珍しくはない。

 15年前半に象徴的な植物工場の倒産が2件相次いだ。1月初旬、東日本大震災の復興モデルとして注目された宮城県名取市の「さんいちファーム」(11年11月設立)が、約1億3200万円の負債を抱えて倒産した。

 仙台市の被災農家3人が、資金約3億5000万円(うち国・宮城県・名取市の補助金が8割)で植物工場を建設。ベビーリーフなどの葉物野菜を土壌の代わりに養分を溶かした水を使う水耕栽培で生産し、スーパーなどに販売していた。

 しかし、彼らには畑での露地栽培の経験はあるが、水耕栽培は初めてだ。その上、メーカーの技術指導が不十分なため、発育障害が多く売上高が落ち込んだ。その一方で、電気代や人件費などコストがかかって赤字が累積し、再建を断念した。

 2件目は15年6月末、04年9月に設立された大学発ベンチャー「みらい」(東京都中央区)が負債額約10億9200万円で倒産した。

 創業者の嶋村茂治氏は第3次植物工場ブームに火をつけた農水・経産両省連携プロジェクト推進の拠点、千葉大学大学院で蔬菜(そさい)園芸学を専攻。設立後、水耕栽培装置を全国12か所に導入したほか、南極昭和基地への栽培技術システム提供やモンゴルでの植物工場稼働など、先駆的かつ業界の広告塔的役割を果たしてきた。

 同社は14年、経産省補助事業「みやぎ復興パーク」(宮城県多賀城市)に世界最大規模の施設、千葉大学近くにも大型工場を建設した。

 しかし、レタスなどの生産が当初の予定通りには安定せず、逆にその設備投資資金などの返済に窮して経営が追い込まれた。本来「起こるはずのない」倒産であり、業界に大きな衝撃を与えた。

赤字が普通

  • 管理運営していた農業法人が撤退し、休業中のドーム型農業工場(福島県南相馬市)
    管理運営していた農業法人が撤退し、休業中のドーム型農業工場(福島県南相馬市)

 09年、農水・経産両省が巨額の植物工場関連予算(農水省97億円、経産省50億2000万円)を付けたのを機に、企業などの参入が相次ぎ、現在約420社の植物工場が稼働中だ。

 日本で植物工場とは、栽培施設内で光や温度などの環境条件を制御し、作物を安定的に生産するシステムを指す。植物工場は、閉鎖された環境で太陽光を一切利用せずに蛍光灯や発光ダイオード(LED)などを使う「人工光型」と、補助的に人工光を使う併用型を含めて基本的に太陽光だけの「太陽光型」の2つのタイプに大別される。

 双方とも水耕栽培だが、環境条件をほぼ完全に制御しなくてはならず、難度が高いことから、天候や昼夜に左右される太陽光型ではなく、人工光型が植物工場の主流となっている。

 約420社のうち人工光型の約200社について、植物工場研究の第一人者、古在豊樹・千葉大学名誉教授は、「全体のうち15%は黒字だが、単年度では黒字でも工場建設費の減価償却がまだなのは10%。残りの75%は赤字」と指摘した。太陽光型はというと、さまざまな報告で40~50%は赤字と指摘されており、たとえ難度は低くても、環境制御は難しいようだ。

 結局、01年に撤退したオムロンに始まり、居酒屋チェーンを運営する親会社を持つエコファーム・マルシェは10年に解散。産業用LED照明のシーシーエスは12年に撤退するなど、撤退・倒産が珍しいものではない。

 

オランダからどのくらい学べるのか

 13~14年、安倍首相や当時の林農相、根本復興相、甘利経済再生相などが続々とオランダの施設園芸(ガラス温室)を視察した。

 オランダは九州程度の狭い国土と冷涼な気候で農業不適地だが、それをバネに世界第2位の農産物輸出国になり、強い農業を目指す日本には垂涎(すいぜん)のマトだ。

 オランダは広い農地が必要な小麦など穀類を輸入し、独仏などに需要の多い野菜などを輸出する戦略だ。それも選択と集中と称して、施設園芸ではトマトやパプリカなどの少品種に絞り、効率良く生産。80年代に温室内の温湿度、光、炭酸ガスなどの環境制御システムを実用化した。

 さらに温室の大型化や環境制御のコンピューター化などを進め、日本施設園芸協会の「次世代施設園芸の全国展開~攻めの農業の旗艦~」(16年6月)によると、トマトの平均収量は10アール当たり50トン以上と日本(同11トン)の4・5倍以上の高い生産性を誇る。

 ただ、オランダの栽培施設はグリーンハウス、温室であり、植物工場とは呼ばれない。日本はそれを太陽光型に分類しているが、温湿度や光などを統合的に制御するためのデータ化、精密農業化、さらに作業の自動化や労務管理にIT技術を活用するなど、日本の太陽光型に比べて植物工場に近い。

 フェンロー型と呼ばれる温室も、間口(3~4メートル)が狭くて背(5~7メートル)が高い、簡単な構造のユニットをつなぐ多連棟式で、大型化が可能だ。日本に多い大屋根型などに比べて建設コストも安いなど、日本が学べる点も多い。

 一方で、例えばトマトでは品種を絞る極端な選択・集中の結果、過剰生産で価格が低迷し、スペインやポーランドなど他の生産国との競争が激化した。このオランダの経験を踏まえて、日本は収量を高め、味や品質などにこだわりつつ品種の多様化を図る道がある。

 とは言え、目の前の現実は厳しい。

立ちはだかる高い壁

  • 発光ダイオード(LED)ライトで野菜を栽培している植物工場(東京都板橋区)
    発光ダイオード(LED)ライトで野菜を栽培している植物工場(東京都板橋区)

 人工光型は施設が光を通さない断熱材で覆われ、密閉性と断熱性が極めて高い。昼夜と季節の違いをなくし、農業を自然環境の制約条件から解放することによって、工業的に食料資源生産を可能にする。工業的農業のユートピアだが、そこに至る道筋が現状では見えていない。

 一番目の問題は、人工光型の栽培法と経営ノウハウが未熟な点だ。作物は生き物で、環境の変化の中で成長する。露地栽培では、農家は自らの技術、勘と経験で柔軟に対応してきた。

 ところが、植物工場では環境を完全に制御するとしながら、それに必要なデータ・知見がまだまだ不十分だ。例えばレタスを40日間で栽培するには、最適なLED光度や室内温度、養液濃度(水耕栽培)が、発育段階でそれぞれ微妙に違う。

 二番目の問題は、植物工場経営のコストの高さだ。09年4月の農水、経産両省共同の「植物工場ワーキンググループ報告書」によれば、10アール当たりの設置(建設)コストは施設生産(ビニールハウスでのホウレンソウなどの水耕栽培)の1800万円に対し、植物工場が約17倍の3億1000万円。同運営コスト(光熱費)は施設生産の40万円に対し、植物工場が約47倍の1860万円である。

 また別の報告書では、人工光型の設置コストは太陽光型の約4倍だが、運営コストは太陽光型の約11倍で、人工光型がエネルギー多消費型の金食い虫であることがわかる。

 野菜のマーケティングと販路の拡大が三番目の問題で、特に一般野菜への差別化がポイントだ。ところが、植物工場事業者や小売りなどの調査報告書によると、「味や食感ではまだまだ露地野菜に負ける」「(露地野菜の)あくまでも副次的な野菜」などの評価があり、“植物工場産野菜”の身の置き所のない心細さが伝わってくる。

農商工連携のお膳立て

 それでは、農業に無縁な企業が植物工場ビジネスに乗り出すのはなぜか。第3次ブームが始まった「2009年」が、一つの答えだ。09年の農地法改正で、企業も最長50年の農地借用が可能になり、農業参入に弾みがついた。

 戦後、農地取得(借用、所有)は耕作農家に限られてきたが、日本がコメなど農産物の大幅な輸入自由化を迫られたガット・ウルグアイラウンド合意(93年)が近づく中で、経済界が農業参入と農地取得を強く要求。その後、段階的に企業の農業参入への道が開かれてきていた。

 09年農地法改正の流れの中で、農水・経産(通産)両省が農商工連携のシンボルとして植物工場の普及・拡大に乗り出し、補助金も付けた。それ以降、これまで両省合わせて総額500億円の補助金が投じられた。

 ただ近年、農水省は太陽光型、経産省は人工光型へと、それぞれ政策の中心軸を移し、農水省は強い農業作り交付金で、地域エネルギーと先端技術を活用した太陽光型植物工場など次世代型の大規模な高度環境制御型栽培施設の整備を支援中だ。

 片や、経産省は植物工場を、LEDやICT(情報通信技術)、各種センサーなどの工業分野の先端的技術を駆使した農産物の「高度生産管理システム」と位置づけ、企業の発展と共に、農業の成長産業化に取り組むという。企業の中には、半導体事業低迷などで遊休化したクリーンルームの転用の例も珍しくない。いずれにせよ、政策的なお膳立てがあればこその企業参入例が多いようだ。

特殊用途に特化すべき

 植物工場産野菜が一般の野菜ビジネスに馴染(なじ)みにくいならば、特殊用途に特化すべきだろう。低カリウムレタスが一例で、現在生産・販売共に好調だ。これはカリウムが多い生野菜摂取を制限される透析・腎臓病患者向けのもので、富士通系の会津富士加工がカリウム含有量を5分の1に減らしたレタスの量産化に成功した。

 また、甘草(かんぞう)など漢方薬原料の薬用植物なども有望だという。漢方薬の生薬の約7割に用いられる甘草の場合、国内の使用分のほとんどが中国からの輸入だが、栽培されたものではなく野生のものだ。

  • 福島県川内村の植物工場で栽培されるレタス
    福島県川内村の植物工場で栽培されるレタス

 近年、乱獲から採取・輸出規制が強化された結果、レアアース(希土類)ならぬレアプラント(希少植物)とも呼ばれ、国内での栽培が急務となっていた。こうした中、三菱樹脂は昨年、苗を人工光型植物工場で生産し、その後、露地に植え替える栽培法を開発した。

 国内での植物工場の運営がコスト高なので難しいなら、技術そのものの農業不適地への輸出は有望なのかもしれない。砂漠や冷涼地、高地、災害被災地、巡視船など大型船舶、宇宙空間などの農業不適地だ。こういう場所なら、多少のコスト高も許容される可能性がある。

 その点で注目されるのが、経産省のグローバル農商工連携推進事業だ。これは海外需要創出に向け、植物工場などの先端的な生産システムを構築し、3年以内に事業化を目指す実証事業を支援するプロジェクトだ。15年度の場合、超省エネLED採用の人工光型植物工場自体のフィンランドへの輸出ビジネスや、植物工場産野菜をシンガポールに、また他の企業のハワイ、グアムなどへ輸出する事業も採択された。

 国や自治体の補助金にぶら下がらず、様々なニーズを汲(く)み上げてこそ、日本の植物工場や運営企業はこれからの農業の希望の星となっていくだろう。


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政務活動費

2016年11月13日 | 政務調査費

富山市議会で政務活動費の不正使用が発覚し、何人もの市議が辞職してマスコミを賑わしていましたが、県内八千代市議会は領収書までインターネット公開を決めたそうです。提案は議長がされたとのこと、議長の先見性には脱帽です。

千葉日報

千代市議会は7日、市議の政務活動費の会計簿と領収書をインターネットで公開すると発表した。全国で政務活動費の不正問題が発生したことを受けた取り組みで、同市議会によると千葉県内自治体で初。2016年度分からで、早ければ来年6月には、本年度分の閲覧ができるようになる。

 富山市議会などでの不正問題を重く見て八千代市議長が提案。市議会最終日の9月28日の会派代表者会議で全会派が賛同して決めた。今後、各会派や議会事務局で準備を進めていく。

 議会事務局によると、政務活動費は年に2回(4、10月)、会派に支給され、議員1人当たり年間48万円。年度終了後に会派から収支報告書と経理簿、領収書が議長に提出される。現在、収支報告書を公開。領収書も公文書開示請求すれば部分開示している。

 


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選定結果

2016年11月11日 | 指定管理者制度

浦安市富岡地域包括支援センター指定管理者の候補者の選定結果が出ました。

ここは新たに設けられた施設です。社会福祉法人浦安市社会福祉協議会が採択されていますが、類似施設管理の実績が劣っていますが、大丈夫なのでしょうか。


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