yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

広瀬淡窓 桂林荘雑詠

2013-04-23 06:39:02 | 文学
広瀬淡窓は江戸時代末期の学者、詩人(1782~1856)。豊後、日田の人。弟、旭荘とともに有名です。漢詩、七言絶句 「桂林荘雑詠諸生に示す」を紹介します。

桂林荘雑詠諸生に示す

休道他郷多苦辛
同袍有友自相親
柴扉暁出霜如雪
君汲川流我拾薪

道(いう)ヲ休メヨ他郷苦辛多シト
同袍友有リ自ラ相親シム
暁ニ柴扉ヲ出ヅレバ霜雪ノ如シ
君ハ川流ヲ汲メ我ハ薪ヲ拾ハン




他郷へ出て勉学するのはつらいなどと言いたもうな。着物を共にする友もでき、仲よく暮らすようになるのだ。朝早く、柴の扉を開けて外に出れば、雪のように霜が降りている。さあ、炊事のしたくだ。君は川に水をくみに行きたまえ、僕は薪を取りに行こう。

昔の塾には、故郷からはるばる名高い先生のもとへやって来ました。そういう塾生を励ますために作られた詩です。励ますといっても、只「勉強しろ、元気を出せというのでは、不十分です。塾の生活の春夏秋冬、朝昼晩、いろいろな場面において最も印象的な一コマを切り取っています。冬の朝の炊事の支度の場面です。吐く息も白く見える冬の朝、外はまっ白に霜が降りています。その中を、柴の戸を開けて走り出る、という転句の描写により、ピーンと張りつめた厳粛な雰囲気と爽快な気分が見事にとらえられています。「君は川の水くみ、僕は薪とり」と何の趣向もなく賦して、結句が共同生活の真情をとらえてすばらしい漢詩です。

 「吟剣詩舞道漢詩集(絶句編)」 日本吟剣詩舞振興会編
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 違和感のある用語 | トップ | 将棋 電王戦 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

文学」カテゴリの最新記事