夏目漱石の小説「ぼっちゃん」の中で、松山に赴任した江戸っ子のぼっちゃんの一番の友達になったのが、同僚の会津っぽの「山嵐」でした。山嵐の教育の精神は、「教育は単に学問を授ける許りではない、高尚な、正直な、武士的な元気を鼓吹すると同時に野卑な、軽躁な、暴慢な悪風を掃蕩するにあると思ひます」と、正々堂々と言っています。漱石は賊軍・幕臣の血筋、会津人はもとより賊軍。こうした点でも気を許すものがあったのでしょう。
夏目金之助 「漱石全集 第二巻」 岩波書店
夏目金之助 「漱石全集 第二巻」 岩波書店