yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

五計

2021-06-26 05:58:12 | 文学
中国、南宋の官史、朱新仲(1097~1107)がとなえた言葉で、人生をよりよく生きるために5つの計画のことです。すなわち、生計、身計、家計、老計、死計です。
生計の「生」とは「生理衛生」の「生」であり、「いかにして健康な毎日を送るか」という計画です。また、身計の「身体」とは「立身出世」の「身」であり、いかにして世に立つか、処世上の計画であるとのことです。家計、老計、死計は文字の通りの意味です。五計のそれぞれはみな相互に関連をもっており、一つだけ抜けてもいまくいかないようです。
 
 明治時代の書物『芳譚』は、10歳から60歳までの人の人生においてなすべきことに五計がある、とし、次のように説明しています。10歳のころは、父母の養いで成り立っているから、父母の教えに背かない(生計)。20歳は身を慎んで、学問、芸、家学を学び、身を立てる計画をすべし(身計)。30~40歳は家庭を営み、保つ計画をすべし(家計)。50歳では、世事に慣れていない子孫のために父親として計画をすべし(老計)。60歳になったら死後のことを計画すべし(死計)[1]。
昭和初期の陽明学者・安岡正篤は、この五計をいかに生きるべきか(生計)、いかに社会に対処していくべきか(身計)、いかに家庭を営んでいくべきか(身計)、いかに歳を取るべきか(老計)、いかに死すべきか(死計)と解釈しています。

     小島直記 「老いに挫けぬ男達」新潮文庫



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする