yoshのブログ

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偶感 西郷南洲

2015-07-08 05:48:14 | 文学
西郷隆盛(南洲)の漢詩です。

偶感

幾歴辛酸志始堅
丈夫玉碎恥甎全
我家遺法人知否
不為児孫買美田

幾タビカ辛酸ヲ歴(へ)テ志始メテ堅シ
丈夫(じょうふ)玉碎スルモ甎全(せんぜん)ヲ恥ズ
我ガ家ノ遺法人知ルヤ否ヤ
児孫ノ為ニ美田ヲ買ハズ

「訳」

いくたびか辛苦艱難を経験して志が初めて堅くなり、不屈の精神が養われるのである。
男子としては、玉となって砕けるとも、瓦となって生命を全うすることを恥辱とするものである。わが家には先祖から伝わった、子孫の守るべきおきてがある。それはごぞんじかどうか解らないが、子孫のために田畑など財産を残し、安楽に世を送らせるようなことは絶対にしないとの主義である。そんなことをしたならば、かえって子孫のためにならないことで、意志の
強固な人物などできはしないのである。

「鑑賞」
 西郷隆盛は明治維新を成し遂げ、その論功行賞の際、正三位を与えられましたが、維新の大業の完成はこれからであり、安逸をむさぼり禄を私すべきでないと固持し、その所懐を述べたのがこの詩であると言われています。

男性的でさっぱりした西郷家の家風と、私を捨てて公に尽くす姿勢に敬意を抱きます。

「吟剣詩舞道漢詩集 絶句編」日本吟剣詩舞振興会
コメント
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