yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

電力の鬼 松永安左エ門

2013-07-24 05:12:35 | 歴史
松永安左エ門は「電力の鬼」と言われ、今日の十電力体制の基を作りました。
太平洋戦争の後、電気事業が再編されることになり、政府は審議会を設け、会社の会長に引退していた松永を起用しました。従来の日本発送電(日発)を分割し、地域独占の民間会社を全国に九つ設立し、競争しあう体制を松永は主張しました。日本製鉄社長の三鬼隆はこれに反対して事実上の日発存続論を展開して鋭く対立しました。審議会は難航し、三鬼案に傾く幹事役の通産省課長が、松永に議事進行を求めると「小僧、退場を命じる」と、松永は言い放ちました。課長が「小僧とはなんですか」と反発しました。すると松永は「悔しかったら、わしより年をとってみろ。」他の委員には「君たちには電気のことはわからぬ。わしがだいたいの骨子をつくるまで黙っていたまえ」と言ったそうです。議論と対立はその後も続きましたが、結論が出ませんでした。一向に進まない電力再編に業を煮やしたGHQは1950年11月に伝家の宝刀である「ボツダム政令」を発して、松永案(九電力体制)による再編を命じました。GHQによる改革でしたが、実際の主役は松永でした。沖縄電力を含む今日の十電力体制の基がこれです。時代は変わり、現在、発電と送配電の分離する案が検討されています。

ところで昭和40年の正月、90歳の松永は次の1句をつくりました。

  初夢や若き娘に抱きつけり

大宅壮一が松永に、「ふりかえってみて90年というと長いですか短いですか」と問うと
「長いですねえ。もうこれ以上生きたって馬鹿らしいという気がせんでもない」と答えたそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする