熱海ＯＷＳ・・・４００ｍ親子

ガードをしていると、いろんな選手を間近で見る事が出来るので楽しい
ゴーグルを直すのに、ヘルプサインで呼ばれていくと・・・
直しながら、「いや～、ゴーグルに水入っちゃてさ～、水冷たいね～」
と、ちょっとおしゃべりしていく選手もいれば、
「お願い！ゴーグル！・・・サンキュー！」
と、ポンポンポンと、手早く直してすぐにレースに戻る選手もいる

４００ｍは初心者のＯＷＳ登竜門だ
距離は短いが、リタイヤ者も多いので要注意だ
また、小学生が親子で参加したりするので、親御さんに守られながら泳ぐ姿にも感動

お父さんが、大きな声で激励しながら泳ぐ光景を近くで見ていると・・・
男の子は、『もう、やだやだ』と半べそ
泳いでいるというより、お父さんに掴まって進んでいる感じ
両手をバタバタさせて、『いやだ～、溺れる～』と、大騒ぎ

その前方にも女の子と父親の姿・・・
こちらも、お父さんがやはり大きな声で励ましているが、女の子は黙々と泳いでいる

う～ん、とりあえず、男の子親子を範囲に入れてガード

平泳ぎを頻繁にいれたり、仰向け姿勢をとる選手からも目が離せない
止まってこちらをチラッと見た選手がいたので
「どうしました！」と声をかけると
こちらに泳いで来たのでレスキューチューブを差し出した
かなり息を切らしている・・・
「大丈夫ですか？」
『今日は、もう止めておく』
「水も冷たいですしね、でも、ずいぶん距離は泳ぎましたね、お疲れ様です」
パパッチジェットを呼んで、ピックアップ

で、男の子だ・・・
相変わらず、『もう泳げない～泳ぎたくない～やめる～』

流石に「掴まりますか？少し休みますか？」と、声をかけた
子供は『つかまる～、やめる～』
お父さんは、『いえ！大丈夫です！』

お父さんはズ～っと立ち泳ぎ状態で、男の子はお父さんの手を離さない

う～ん、これで４００ｍいったとして、泳いだ事になるのだろうか・・・
ゴールしてから、お父さんに怒られるんじゃないだろうか・・・
怖い思いをして、無理やり４００ｍ泳いで、・・・あがってから怒られる？
やめさせたとしても、やっぱり、怖い思いをして・・・怒られる？

よしここはひとつ、泳がせるか

「ボクッ！　ゆっくりでいいから平泳ぎしてみようか」
すると、お父さんの手を離してセカセカ手を掻きだした

「そうそう、でもも～っとゆっくり、のびて～～～、のびて～～～」
すると、のびて～～～の声に合わせて泳ぎ始めた
「お！いいねぇ！イイ泳ぎだよ！その調子」
１０ストロークくらい落ち着いておよいだが、またセカセカに戻ると、
お父さんに捉まろうとしている
お父さんは『泳げる、泳げる、捉まるな』
と手を払おうとしている

「ボク、大丈夫だよ、ず～っと見てるからね」

『ほら、お姉さんがズーッと見ててくれるって』

エヘっ、お姉さんだって
まあ、おばさんって思っても、お姉さんっていうか

「ほら、ブイが見えるかな？見てごらん」
うんうん、とうなずいている・・・
大丈夫そうだな、
「はい、のびて～～～、のびて～～～、のびて～～～」
お父さんも、一緒に『のびて～～～、のびて～～～』と声をかける

調子良く伸びて平泳ぎをしていると、
お父さんが『顔をつけてみろ、クロールもしてみろ』
というと、また「やだやだ」が始まった

「大丈夫だよ、はい、のびて～～～、のびて～～～」
また落ち着いて泳ぎ始める

第２ブイを周って、あとはゲートブイに向うだけだ

『ほら、ママも応援してるぞ、カッコいいとこ見せよう！手なんかつないでるの見られたくないだろ』
小さくても男のプライドがあるからね、
ゴールの浜が見えると、黙々と一生懸命泳ぎだした

お父さんと声を合わせて「のびて～～～」コールを続ける

ついにゲートブイを通過した、よく頑張ったね

お父さんが、振り向いて『ありがとうございました』と
深々とおじぎをして下さった

ママと妹の待つ浜に、誇らしげにあがっていく後ろ姿を見送り、
まだ泳いでいる泳者を見守る