山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

名水あれこれ

2009-11-21 06:32:35 | くるま旅くらしの話

全国にはたくさんの名水と呼ばれる湧き水があります。私は隠れもなき名水ファンです。何故名水に魅かれるのかといいますと、何よりも美味いからです。酒飲みには水へのこだわりが自然と身につき、造り酒屋の水はどこへ行っても美味なのを知っていますが、天然の湧水も、名水と呼ばれるものは期待を裏切らないと思っています。

水が人体の組成や維持に関して格別の働きをしていることは周知のことですが、実は私といえば、水と身体・健康とのかかわりについての詳しいことは、知識としてはあまり保有していません。美味くて良い水は身体にも良いに違いないという信念があり、旅をしていてその近くを通ると、うっかり見過ごさない限りは立ち寄って水を味わい、汲むようにしています。これも旅の一つの楽しみなのです。

今回の山陽・山陰の道を巡る旅では、残念ながら新しい名水には巡り会えませんでしたが、日本は山国ですから恐らく何箇所も気づかずに素通りしてしまったのだと思います。旅の中における水の扱いは、ライフラインの一つとしてとても大切なものです。私どもの旅では、水は飲料と洗い物用との二つに分けて扱っています。基本的に飲料水はペットボトルに詰めて販売されているものを使っています。そして洗い物には旅先で手に入る一般の水道水を使っています。名水と言われているものは、勿論飲用としても使いますし、折角の汲めるチャンスを活かす意味でも洗い物用としてもタンクを満たすことになります。但し、名水であっても管理が怪しげで、且つ飲んでみて美味いと感じない場合は、飲料としては扱わないという考え方です。美味い水はそのまま飲んでも差支えないと思いますが、そうでないものは、煮沸して用いるなどして気をつける必要があると思います。

さて、今回の旅では若狭町にある「瓜割り名水」を汲みました。瓜割り名水は、若狭町の合併前の上中町にある瓜割の滝から流れ出るものであり、この辺では有名な水で、ペットボトルに詰めて市販もされているようです。この近くを通るときには必ずここに寄って、持参している空のペットボトルを満たし、更に車の水槽を満タンにします。ここの水を汲むには、地元の方たちの維持管理費として、通行手形と称されるラベルを予め購入する必要がありますが、私たちは既にポリタンクに貼付しており、古くなったら再購入するようにしています。

若狭の水は古来より有名で、例えば春を告げる神事として有名な、毎年3月初め(本来は旧暦の2月初め)に行なわれる奈良東大寺二月堂のお水取りは、3月12日に若狭井という井戸から水を汲み上げるのですが、この水は一体どこから来ているのかといえば、それは若狭の小浜にある神宮寺という所から送られてくるものなのです。お水取りの行事に先立ち、神宮寺では毎年3月の2日にお水送りの神事が行なわれています。そしてその送った水は、10日間をかけて東大寺の若狭井に届くというわけです。つまり3月12日がお水取りの期間中、松明等をかざしてイベントは最高潮となるわけです。このような係わりがあることを、旅をしていて何年か前に神宮時を訪れたときに初めて知ったのでした。

このようなことから考えますと、瓜割りの名水も、もしかしたら奈良や京都の方に別のルートを通って送られているのかもしれません。若狭と奈良や京都との係わりは、鯖だけではなく、もっと基本的な水に関しても深く結ばれているということが解ります。今年もその水をたっぷり汲むことができて、十二分に満足したのでした。

ついでに北海道の名水について、少しばかり紹介したいと思います。北海道だけではなくその他のエリアにも名水はたくさんありますが、何と言っても今のところ旅のメインは夏の北海道を訪ねることにありますので、勢い詳しくなってしまうということです。北海道にも名水はたくさんありますが、先ず上陸して最初に汲むのは真狩村の羊蹄山から湧出する名水です。羊蹄山には幾つかの知られた名水がありますが、何といっても有名なのは京極町にある噴出し公園の名水でしょう。これはその名の通り羊蹄山の伏流水が噴出すが如くに湧き出して流れている所で、そこは名水公園になっており、最近は道の駅も開設されています。但し大量の水を汲むには少し遠くて、運ぶのが大へんなものですから、私どもは真狩湧水を使わせて貰っているのです。真狩湧水もかなりスケールの大きいもので、一度に10人以上の人が水を汲むことができます。今年の夏ここに立ち寄った時に、大阪から来られたオッチャンが、溢れ出る清流を見ながら、しみじみと感想を述べておられました。「大阪では高い金を払って、淀川の汚い水を飲むしかないのに、ここではタダでこんな美味い水を存分に汲めるなんて、何とまあ羨ましいことだ、……。」、と。私もまったくオッチャンと同感です。

ここで水を汲んでいると、いつも富士山の忍野の湧水のことを思い出します。富士山は日本一の山ですから、その山を取り巻いてたくさんの湧水があるのだと思います。その中では、南側では白糸の滝、北側では忍野八海と呼ばれているものが最大規模ではないかと思います。しかし、行ってみると確かにスケールの大きな湧水がそこにあるのですが、これを少しばかり飲むことは出来ても、自由に汲めるかというと、それが出来ないのでした。只見物するだけなのです。忍野八海などは目の前に美味そうな水がこんこんと湧き出でているのに、只それを見ているだけなのです。これは私にとっては真につまらないことなのでした。一度忍野八海を訪れて以降、つまらないので、今のところあそこに行くのは止めにしています。富士山の伏流水を汲めるのは、富士吉田の道の駅しかないのかと、少し淋しい気分となります。(これは、未だあのエリアの旅や探訪が不充分であるという証拠なのかもしれません)

北海道には、概して良質の水が多いような気がします。羊蹄山だけではなく、摩周山や樽前山、十勝岳や旭岳などの大雪山系の山々の裾野にも伏流水などが随所にあり、それらの水を水道水として使用しているエリアもあり、東京や大阪などの大都市圏の水とは違った良質のものを手に入れて活用している市町村も多いようです。その代表的なのが、摩周の水や千歳の水ではないかと思います。水道として用いる以上は何らかの薬品による消毒はしてあるのだと思いますが、これらの水はそのような処理をしていても汲みたくなってしまうほど美味いのです。摩周の水では、川湯温泉駅前に水汲み場があり、時々それを利用させて頂いています。

しかし、何といっても地元の人たちが発見して大事にしている湧水や山の中に見出される小さな湧水の魅力には敵いません。美瑛や富良野エリアを訪ねた時には、十勝岳の麓にある延寿の水と呼ばれている水を汲むことにしていますし、摩周湖や屈斜路湖付近では美留和の水などを利用させて貰っています。

   

今年初めて立ち寄った弟子屈町、摩周湖の下の方にある美留和名水。これは本物の美味い水だった。2度汲みに通った。

北海道に行ったときは、これらの水を活用させて頂いて、飲料水を買わなくても済むようにするというのが私どもの旅の考え方ですが、現在では略それが実現できるようになりました。

日本は水資源に恵まれていると思いますが、世界規模では水の調達が難しい国も多く、聞くところによると我が国の水が買占められつつあるとか。水があってもそれを自由に飲めないような国となってしまったら、これはとんでもないことです。国際的な規模で、水を金融投機のビジネスなどに組み入れて貰いたくはないなと思っています。[金融投機というのは、あれは悪質なビジネスです。今回の世界不況も源(もと)はといえば、金融投機ビジネスの失敗から始まっているに違いありません。ああいうものを考え出すのを本当の悪知恵というのだと思います]仮にそのような事態が招来したとしても、名水のありかをたくさん知っていれば、いざとなったときに飲み水だけはそこへ行って手に入れることができるのではないかと思っています。

現在住んでいる近くにある筑波山にも幾つか湧水があるようですが、灯台元暗しで、未だ汲みに行きたいほどの場所が見つかっていません。これは喫緊の課題なのかもしれません。これを書きながら今それに気づいた所です。人生においては、在宅も一つの旅のようなものなのですから。

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