山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

06年 北陸・中四国晩秋の旅(第25日)その2

2008-12-09 00:01:39 | くるま旅くらしの話

忍野へは初めてであり、どのような所なのかもよく分からない。忍野八海というのが地図に書かれているが、それがどういうものなのかも実は知らないのである。とにかくその八海なる場所へ行ってみようと向う。直ぐに着いたのだが、駐車場がうまく見つからなくて、ぐるぐる廻った結果、忍野公園という所の駐車場にSUN号を停め、そこから歩いて八海なるものを見に行くことにした。少し遠かったが、この駐車場はSUN号の他には1、2台しか車はいないほど空いているので、迷惑を掛けることはなかろうと思った。それに歩くことも大切なのだ。もう13時近くなっていた。出かける前に腹ごしらえをする。天気は曇り空だが、綿帽子をかぶった富士山は直ぐ近くに見えている。あのような雲をかぶっている時は天気が下り坂の印なのではないかと思った。

   

2段の綿帽子を冠した富士山。間もなく天気が崩れ出す予兆であろうか。

忍野八海までは1kmほどの距離を歩かなければならなかったが、やたらに車が多くて、歩道も無いため大へん歩きにくかった。ようやく忍野八海の湧池(わくいけ)という所に出た。

   

忍野八海:湧池の景観。こんこんと地下から湧き出す清流は富士山のスケールの大きさを示している。

   

こちらは同じ忍野八海の、中池と呼ばれている所。吸い込まれるような感じのする透明度である。

文字通り水が湧き出していた。説明板を読むと、八海というのは、富士山の伏流水が湧き出している箇所で、それが八つあり、夫々に特徴があって呼称が付けられているらしい。湧池のほかに銚子池とか濁池などの名称があげられていた。その中でもこの湧池は環境庁が選んだ日本名水百選に入っているとか。さすがに日本一の名山からの湧き水とあって、宏大なスケールだ。先ほど通ってきた道路の脇の川も、この忍野八海と呼ばれる池の水を集めて流れているらしい。らしいと言うのは、この大自然の様子を説明する資料が殆ど手に入らず、勝手に想像するしかないからである。資料を探すのが下手なのか、それともガイドの仕方が悪いのか良くわからないが、初めて来た者にとっては、忍野村の観光案内はとても親切とは言えないような気がした。

山の湧き水については、拓は相当の関心を持っており、いわゆる名水と言われるものについては機会あるごとにそこを訪ねるようにしている。又、それらを汲ませて頂いて飲料にも使わせて貰っているが、例えば北海道の京極町や真狩村にある羊蹄山の湧水などは自由に汲めるように簡易設備が用意されているけど、この忍野村の湧水は、そのような設備など皆無のようで、御神水などと書かれた立ち飲み用の水のみ場かしか見当たらなかった。もし観光資源として忍野八海を活用しようと考えるのなら、もっともっと観光客を呼ぶやり方が考えられるのではないか。

先ほど車を置いてきた忍野公園の傍には、絵手紙で有名な小池邦夫氏と写真家の岡田紅陽氏の作品が常設展示されている美術館が作られているが、来訪者は殆ど見られなかった。美術館も結構だけど、来訪者がなければ建てた意義は薄れる。観光客を惹きつける材料は、忍野の富士だけで充分なのかもしれないけど、やっぱり何かが足りないように思った。

忍野八海の全部を廻ろうと思って探しながら歩いたのだが、途中で道が判らなくなってしまった。不親切だと思う。もっとも考えようによっては、このような不親切こそが今の世には大事なのかもしれない。とにかく、忍野の富士だけは、文句なしに素晴らしい。

歩き疲れて車に戻り、今日の宿に予定している富士吉田の道の駅に向うことにする。10分ほどで到着。ここには地下から噴出する水を汲む施設が設けられている。大勢の人が引きも切らず入れ替わり立ち代り水を汲みにやって来ていた。この有様を忍野村の人たちはどのように見ているのだろうか?着いた途端にこの状景を見て、先ほどの忍野八海の様子が思い起こされ、又々文句がいいたくなってきた。ほんとに我ながらしつこいねえ。

先ほどまで見えていた笠雲の富士山はとうとう姿を消し、まだ16時前だというのに急に暗くなった空から雨が落ちてきて、次第に本降りとなった。こうなれば早めに休むしかない。今回の旅の最後の夜は、天井を叩く雨音とともに更けていった。

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