山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

バネ指治療行(冬の喜連川温泉)<その1>

2017-01-20 04:07:22 | くるま旅くらしの話

 正月の騒動(?)が一段落したので、喜連川温泉(栃木県さくら市)に療治にゆくことにしました。というのも昨年の夏の終わりころから、右手の薬指がバネ指の症状を来し、これが次第に悪化して来て、こりゃあもう手術するしかないなと思っていたのです。

何の因果なのか、何年か前にも両手の中指二本がバネ指となり、同時に手術するという荒治療を行い、ようやく元に戻りかけているというのに、今度は右手の薬指が、ということになってしまいました。これはやはり長年居座っている糖尿君の仕業に違いないのでありましょう。

 年が明けたら手術先を探そうかと思っていたのですが、先の手術のことを思うと余り気が進まないのです。というのも、術後の元に戻るまでの時間がかなり長くかかり、未だに右手中指は完全に元に戻らず少し内側に曲がっている状況です。薬指は中指の隣ですから、それが又正常に動かないようなことになったら、これはもう問題となります。手術となると、やはり不安は付きものなのです。

 それで、手術の前に、温泉に浸りながらマッサージをし続けてみたらどうかと思ったのでした。というのも、かなり昔に親指がバネ指になりかけた時、その時は東京に住んでいたのですが、何度か喜連川まで通って温泉に浸っている内に、すっかり治ったという経験があるからなのです。両手中指の時は一度に両手がバネ指となってしまったので、温泉を諦めて病院へ行ったのでしたが、これはもしかしたら早やまった判断だったのかもしれません。

 ということで、4日間の予定で、少なくとも6回は温泉に浸ることにしようと旅車で出かけたのでした。今は合併してさくら市となった旧喜連川町は、足利氏の正統を継ぐ喜連川藩の城下町で、徳川幕府の中でも小藩(1万石未満の実収高)ながら10万石格を与えられていた名門の家柄なのでした。我が家からは車で約2時間と少しで届く距離にあります。

この町が温泉を掘り当てるのに成功したのは、昭和56年(1981)と言いますから、歴史は浅いのですが、良質のナトリウム塩化泉で、湧出温度も50℃と、かけ流しの温泉としては真に適度な条件を備えているのです。斐之上温泉(島根県)、嬉野温泉(佐賀県)と並んで三大美肌の湯と呼ばれている名湯なのです。開発が遅かったせいか、温泉街特有の歓楽街は形成されておらず、普段のままに良泉を楽しめる優れた環境にあると自分は思っています。市の直営する浴場が3箇所あったのですが、先年の東日本大震災やその後の集中豪雨で大被害を受けて、お丸公園の上部にあった浴場は閉鎖されてしまい、現在は2箇所(もと湯・露天風呂)が営業しており、いずれも300円で温泉を楽しむことが出来るのです。

初日は家を11時頃に出発し、道の駅:きつれがわに着いたのが13時半近くでした。ここへ来た時はこの道の駅を基地にして滞在しているのですが、今回来て見ると、何と駅舎のリニューアル工事が行われており、それがかなり大規模なものなので驚きました。この道の駅にも温泉があり、クアハウスも施設されていて、お子さんのいる家族連れにも人気があるのですが、今回は辛うじてそれらの営業だけは継続されているようでした。工事は3月末頃までには終わって、新しい駅舎が現出することのようです。このような状況ではどうも落ち着かないので、ここに泊るのは止め、今夜は露天風呂に入って、その近くに泊ることにしました。

露天風呂は、道の駅からは500mほど離れた、グランドの傍にあります。早速そこへ向かいました。もう何度もお世話になっている場所です。この露天風呂は、まさに露天風呂だけがあり、脱衣所を出ると、もうそこが幾つもの巨岩などに囲まれた露天風呂なのです。剥き出しのカランが数個あって、それは入浴のために身体を洗うだけの場所となっています。勿論源泉かけ流しで、湧出温度が50℃のお湯は、大人が30人くらいは入れそうな大きな浴槽なのですが、全体にまだかなりの熱さで、お湯に馴れるには少し時間がかかることになります。

16時過ぎ、第1回目の入浴開始です。脱衣所を出て身体を洗って浴槽に入ると、ジ~ンと熱さが身体に沁み渡ります。少しずつ身体を沈めて、熱さに馴れながら汗が噴き出るのを待ちます。この間、左手は右手の手のひらと薬指の根元を揉み続けます。バネ指の原因は、指を動かすための腱を包んでいる膜のような組織が、腱に癒着してしまって起こるということですから、バネの現象を来している第二関節ではなく、その指の根っこ辺りを中心に手のひら全体を揉むというのが効果につながるのだと思います。そのような理屈を考えながら、3分も浸っているともう我慢が出来なくなって、傍の石に腰かけての半身浴となりました。外気の温度は5℃以下で、風も吹いているのでかなり冷たくて、恐らくお湯との差は50℃近くあるような感じです。手をお湯の中に入れるようにして、時々休みながら揉み続けて、上半身が冷えてきたら湯に沈むようにして、その繰り返しです。1時間ほどで第1回目は終了することにしました。

浴槽の中はといえば、常連と思しき同世代のジサマばかりで、中には何度も顔を合わせている人が何人か混ざっていました。仕事を引退してからは毎日ここへ通うのが第二の仕事のような人が何人かいるらしく、この近くに住む人たちは真にラッキーだなと、来る度に羨ましさが増します。本物の極上の温泉をたった300円で毎日味わえるなんて、自宅に風呂など無用なのでありましょう。

風呂から出た後は直ぐ近くに留めてあるSUN号に戻り、身体が冷めないうちに着替えを済ませ、夕食の準備です。今夜はここに泊らせて貰うことにしており、予めTVの設定などは済ませています。夕食の後は早めに寝床に入るつもりです。夜になるとかなりの冷え込みが予想されますので、TVは夕食の間だけで十分です。ということで、18時半には就寝となりました。

翌日二日目。長い夜が明けて、6時半頃に起き出すと、何と車内の温度計は0℃を示していました。冷蔵庫の中に居るようなものです。露天風呂の冬期営業開始は9時からとなっており、その前に今日は歩きに出かけることにしました。お湯を一杯飲んで、着替えを済ませて外に出ると、眠気などは一気に吹き飛んでシャキッとなりました。少し明るくなりだした中を、歩きの開始です。今日は喜連川のシンボルのスカイタワーのあるお丸山公園の裾野の道を遠く一回りする予定で、1時間半くらいの歩きを予定しての出発です。

直ぐ傍を流れる内川に沿った道を少し歩いて橋を渡ると、喜連川町の中心街に向かいます。そこを通り過ぎて、左折して坂道を上るとお丸山公園の車道での入り口があり、更に進むと今度は坂を下ることになるのですが、坂を上り始めた頃には既に身体は寒さを離れて、少し汗ばむほどとなりました。人間の身体は、動くことが出来さえすれば、相当に厳しい環境であっても生きてゆくことが出来るようにつくられているのを実感する時です。

坂を下りてしばらく行くと、今度は荒川の流れにぶつかります。喜連川の町はお丸山公園を挟んで、東側を内川、西側を荒川が流れていて、丁度道の駅がある辺りで、二つの川が合流しています。内川は荒川の支流であり、荒川は更に下って那須烏山市の南部で那珂川に合流します。その荒川の側道をしばらく歩いて、道の駅構内の一部とも言える、二つの川の合流点にある親水公園を一回りして、もう一度市街地を通って露天風呂の駐車場の我が家に戻るという、90分ほどの散策でした。途中の散策の道から眺める景色は皆霜枯れしていて、田んぼも畑も堤防の草たちも、霜に塗(まぶ)されて朝日に輝いていました。昨夜の外気はマイナス5℃くらいにはなっていたと思われます。雪はないけれど、厳しい冬の世界が広がっていました。

車に戻ってTVを見ながら朝食です。パン一切れと即席スープの食事は、惰性の一環のような感じで、大した喜びはありません。TVもこの場所は地デジしか写らず、BSばかりなので、ニュースは殆ど海外のものばかりで、あとはコマーシャルだけの世界です。それにしても、BS放送というのは、地デジとの差別化を間違えているのではないかと、思うばかりです。特に民放に問題ありの感じがします。

陽が昇って、ようやく暖かくなり始めた頃に露天風呂の営業開始時刻が迫って来ました。食事を終え、満を持して入口の方へ向かいます。50m足らずで浴場へ行けるというのは、くるま旅ならではの特権です。脱衣所を抜けて早速浴槽へ。既に先客がいて数名の話声が湯気の中で行き交っていました。朦々とした湯けむりで全く見えません。湯けむりの向こう側に山の端から上った朝日が目映く輝いていて、湯けむりを金色に染め上げている感じがしました。外気は未だ0℃前後でしょうか、露天風呂でなければ味わえない風情に包まれての入浴は格別のものでした。

昨日と同じように右手の手のひらを丹念に揉みながらの入浴は、ややゆったり感を損ねる感じがしますが、この療治のために来ているのですから、疎かにするわけには行きません。朝起きた時の感覚では、いつもよりも痛さが増したように思えて、効果に疑問を覚えたのですが、湯に浸っていると痛さは消えて、心なしか少し楽になって来ているのを感じました。このような痛さと回復感を繰り返しながら少しずつ改善が進むのかなと期待した次第です。昨日と同じように半身浴を繰り返しながら1時間ほどの入浴でした。<つづく>

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