ヴァイオレットといえばスミレのことです。春の野に小さな紫の花を見出すのは楽しいものです。わが国はスミレ天国だという話もあるようです。 普段何気なく、素通りしてしまって、スミレの花を見過ごすことが多いのですが、立ち止まって、屈みこんで、花めがね(=拡大鏡)を取り出して覗いてみると、まさにそこにはバイオレットの小宇宙があるような気がします。
「スミレの花の咲く頃、始めて君を知りぬ、……」という歌がありますが、今頃の若者たちよりもはるかに卓越した恋の感性を感じます。スミレにはそのような季節感がたっぷりと含まれているような気がするのです。
我が家の庭には、今3種類のスミレしか見当たりません。その倍くらいあった筈なのですが、スミレは庭の中を移動するばかりでなく、何処かへ飛び出して行ってしまうらしいので、毎年同じ場所で同じような情景を味わうことは困難なのです。植物は動かないと考えている人が多いと思いますが、よく観察していると、それは必ずしも正しいとは言い切れないようです。草によらず木でさえも、結構動き回っていることが多いのです。
屋久島に行った時、縛り首の木というのを見ましたが、これなんぞは木に木が絡まって、一方を絞め殺して枯らしてしまうのだそうで、明らかに木にも何らかの意思があるのだなあと、驚いたことがあります。人間と同じ時間感覚では到底理解できませんが、木の使っている時間や草の使っている時間で彼らを覗いてみると、決してじっとしているのではなく、生きて動いているのが判るのです。
我が家のスミレはやたらに動き回るので、鉢に入れたのもあります。基本的に庭の中のタチスボスミレは自由にさせていますが、写真のスミレ(これが一般にスミレと呼ばれているもの)は、一番スミレらしく思いますので、この一株の他は、鉢に入れており、花が咲き終わって実がはじける頃にタネが遠くに飛ばないようにプラスチックの蓋をすることにしています。彼らにとっては、かなり迷惑な話なのは分っていますが、やっぱりそこに居てもらって、来年もその美しい花を見せて欲しいのです。
今日(4/18)は終日の雨の中を所用で走りまわり、疲れた一日でした。旅に出かけたいのですが、もう少し我慢が必要なようです。ブログも、久しく旅の話から遠ざかっており、このままじゃあ、タイトルを変更しなくちゃならないな、と不安を感じているこの頃です。
我が家の庭のスミレの一株です。スミレは日本に50種類ほどが生息しているようですが、この品種がスミレの代表のようです。小さいながらにキリッとした品位があり、私の好きな野草の一つです。
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