山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

くるま旅は楽しい(講演記録:その7)

2008-05-24 05:08:20 | くるま旅くらしの話

 7.くるま旅のためのこれからの課題

さて、長い話となりましたが、もう一つ、これからの私のくるま旅くらしに関する課題についてお話したいと思います。

くるま旅くらしを提唱した以上は、ただその有効性と面白さを吹聴しながら、自分だけ勝手にくるま旅くらしを楽しんでいては無責任のような気がしています。それで、今考えておりますことは、くるま旅くらしの環境の整備に、微力ながらも尽力したいということです。

前にも申しましたように、わが国は車社会を形成しています。文明のもたらした車という利便なツールは、様々な用途の中で、国内で7583万台も走り回っています。わが国の人口の30%近くを高齢者が占めるような世の中でも、車の台数はそう簡単には減らないのではないかと思います。高齢者の殆どが車を手離さないと思うからです。私たちは、その利便さを旅に使いながら、残された人生を心豊かに生きて、PPKを目指してもよいのではないと考えます。

8千万台近い車社会の中で、旅車として登録されているのは、僅かに10万台そこそこと聞きました。車を旅に振り向ける生活の余裕がないこともあるのでしょうが、私は、USAやヨーロッパ先進諸国のような優れたくるま旅がわが国に定着しないのは、くるま旅を受け入れる環境が、真にプアーなことが最大の要因のように思っています。

退職金を叩(はた)いて、待望の旅車を手に入れ、いざ旅に出てみますと、年金生活の不安を抱えた者には、到底利用困難なオートキャンプ場ばかりが点在し、費用を掛けずに旅をしようと思えば、宿泊場所として道の駅や高速道のSAなどを利用せざるを得ないことになります。しかし、これらの場所は必ずしも安全・快適とは言えず、加えて逆にネガティブな世間の目に晒(さら)されたりしているのです。旅する人のマナーの問題もありますが、それ以前にリタイア後の人たちの、くるま旅を受け入れる環境が殆ど手付かずに未整備なのです。車社会の中で、くるま旅という新しい旅のスタイルを認知もせず、ただあくせくと走り回るのが車社会なのだという考え方は、この国の生活文化の質の貧しさを表わしているような気がしてなりません。

私はせめての願いとしてMHP(Motor Home Port ~くるま旅のための簡易宿泊用駐車場)というものを作って頂くことを提唱したいと考えていますが、そのことについて触れたいと思います。

くるま旅の宿泊場所の基本要件として、次のようなことが考えられます。

①給排水設備があること

②電源の設備があること

③トイレとその処理設備があること

④ゴミ処理(受け入れ)設備があること

⑤簡易炊事場が備わっていること

等々ですが、この他に、せめて半分くらいはオーニングを出せる幅と後部にテーブルや椅子などを出せるくらいの長さの駐車スペースが欲しいものです。更に夜間の安全を確保するためには、MHPは周囲をフェンス等で囲まれていることも大切かと思います。

これらの要件は、例えば①③⑤などは共同で利用できるもので差支えなく、②については、コイン仕様のものが適していると思います。そして1泊の利用料金が千円以下であることを希望したいと思います。その他の詳しいことは、長くなりますので控えますが、わが国の現状を見ますと、これらの要件を直ぐにでも満たして運営できる所として、民間のキャンプ場や道の駅などが考えられます。

このような施設を一般化してゆくためには、国や業界がくるま旅という新しいスタイルの旅を認知し、それを受け入れる環境の整備に尽力して頂かなければなりません。現在は旅車だけが注目され脚光を浴びているようですが、車だけでは質の良い旅は実現できないことを理解して欲しいと考えています。どのような立派な旅車を手に入れても、それを使いこなすための受け入れ環境が用意されていなかったら、安全で快適な旅は実現できないのです。

このような考え方を、何処の誰に向かって働きかけて行くかが、私のこれからの課題です。皆様の是非なるご支援をお願い頂きたいと思います。

8.しめくくり

あれこれ回り道をしながら、ようやく終わりに近づくことができました。くるま旅は楽しいという意味が少しでもお分かり頂けたら、大へん嬉しく思います。

既に第一線を退かれた皆様には、アウトドアライフを楽しみつつ、今度はくるま旅への挑戦を、そして更にはくるま旅くらしへの進展を期待します。

又、現役の皆様には、やがて来る、自分の持ち時間を自由に使える日に備えて、くるま旅、くるま旅くらしへの夢を膨らまし続けて頂ければ嬉しく思います。

心豊かな人生を送るためにも、大いに車を活用して旅を楽しもうではありませんか。くるま旅くらしは、リタイア後の人生の宝探しでもあると思います。旅をすれば出会いと感動という宝物が随所に転がっているのです。

最後にHMCCの皆様方の益々のご発展とご活躍に対して心からエールを送らせて頂きたいと思います。ご静聴ありがとうございました。

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