来る9月27日、日本RV協会主催のシンポジウム「より良きくるま旅を目指して」に、ユーザー代表のパネラーとして出席することになっているのですが、果たして自分がユーザーの代表に相応しいのかという問題は措くとして、今日はそのことに関連して少し私見を述べてみたいと思います。
日本RV協会さんが、「より良きくるま旅」を何故取り上げるのかということについては、実は、くるま旅の現状から寄せられる多くの情報の中で、最近特にキャンピングカーなどのユーザーのマナー違反が目立ち、道の駅などでの宿泊利用お断りのニュースなどが増えてきている実態にあるからです。
私は、現代もそしてこれからの世も、人類は決して文明の利器たる自動車を手放すことはないと考えています。石油が枯渇しても人間は必ずそれに変わる車を動かすためのエネルギー源やエンジンを新たに開発するに違いないと思っています。そして、車を使ったくるま旅は、新しい旅の形として世の中に広まってゆくに違いありません。
今、くるま旅が取り上げられているのは、いわゆる団塊の世代の皆さんの大量リタイアを迎えて、定年後の暮らし方の一つの選択肢として、キャンピングカーなどを手に入れて日本一周の夢を叶えたいという様なムードが高まってきていることからなのでしょう。しかし、決断さえすればその様な夢の実現が可能となった今の時代は、団塊の世代に限らず、くるま旅を指向する人は、これから着実に増えてゆくに違いないと思います。
旅は古来より人々の心を惑わし満たす憧れでした。未知の世界への訪問は、様々な出会いの予感に溢れていて人々をわくわくさせます。のんびりと心を癒したいというのも旅の憧れの一つでありましょう。それがどのような旅であっても、旅は人を元気づけ、人生を活性化するきっかけとなるように思います。その旅の自由度を最高に楽しめる可能性を持っているのがくるま旅なのだと思います。列車や航空機や客船など、時間や空間の規制に縛られながらの旅も又良いものでしょうが、好きな所に好きな時間に行くことが出来るという旅のあり方としては、くるま旅ほど自由度の高いものはないと思います。拠点を決めれば、1日の行動範囲は、100kmくらいは当たり前の自由さなのですから。また、好きな場所から動かない自由さも自在に近いと言っていいと思います。
定年を迎え、今までの労苦を洗い流し、新たな人生のスタートを切るに当って、くるま旅は大きな力になるに違いありません。そして更に年齢を重ねても、くるま旅はたくさんの出会いと発見の喜びに支えられて、その人の向後の人生の活力源となるに違いないとも思っています。少なくとも私自身はくるま旅をその様に考え、老化に伴う心身の病気を避けうる最大の力となると思っています。くるま旅を楽しむためには健康でなければならず、くるま旅を楽しめば更に健康になれるという相乗効果の関係があるように思います。残された人生の時間をどのように使うかはそれぞれの自由でありますが、時間の使い方を誤ると老化に伴う心や身体の病があっという間に忍び寄り取り付いてきます。病院に通う毎日よりも健康で旅先の新鮮な空気を吸える生活がどれほど生きている実感を確認できるかは明らかです。
というわけで、私はくるま旅を単なる観光旅行の延長線のような捉え方ではなく、リタイア後の人生の暮らしの柱として考えているものですから、「くるま旅くらし」の提唱となっているのです。
ここで本論に戻って、「より良きくるま旅」を実現するために、今何が求められるのかについて私見を述べたいと思います。
今回のシンポジウム開催の背景には、前述のように心無いユーザーのマナー違反がもたらす地域社会からの厳しい批判があり、これに対する業界としての不安・心配といったものがあります。私もユーザーの一人として、今夏も北海道を中心に丁度2ヶ月を過ごしてきましたが、途中幾つかのマナーやルール違反の現実を見てきました。その最大の問題はゴミ処理にあるようです。これはキャンピングカーよりもむしろその他の、くるま旅以外の人の違反が多いように思いますが、キャンピングカーが違反すると、ものすごく目立つだろうなと思いました。幸いなことに違反をしているキャンピングカーを見かけたことはありませんでした。
ところで、ゴミ処理をどうするかという問題をここで取り上げるつもりはありません。これについては、このブログでも何度か取り上げていますので、繰り返すことは止めにします。
今回のシンポジウムの中で私が最も主張したいのは、「くるま旅のインフラの整備」ということです。もっと簡単に言えば、毎日安心して安価な費用(1泊千円以下)で宿泊できる駐車場所の整備といっても良いかも知れません。それではどのような条件を備えている必要があるかといえば、絞れば次のようなものとなると思います。
①給排水の設備があること(共同使用でよい)
②トイレがあること(共同使用でよい)
③電源設備があること(個別使用で、出来ればコイン利用)
④ごみ処理設備があること(分別・有料)
この他にも付加すれば便利という設備や装置はいろいろ考えられると思いますが、最低限この4項目は不可欠です。そして駐車場の1区画のスペースは、幅4m長さ7mくらいが必要と思います。私はこれらの要件を備えた施設を仮に「モーターホームポート(Motor Home Port略称MHP)」と呼ぶことにしたいと思います。
問題はこのようなMHP施設を誰が、どのように造るのかということですが、一番期待したいのは、これをビジネスチャンスとして、どなたかが新しいスタイルのくるま旅用の施設をつくり上げ、営業展開をして頂けることです。北海道を除けば各県に2、3箇所の施設があれば、かなりの利用頻度が期待できるのではないかと考えます。
しかし、初期費用はかなりのものとなると思いますので、より現実的な実現への道としては、既存の道の駅やキャンプ場などを改造したり、新たに併設するような形で運用を開始するのがベターだと考えます。これには道の駅の推進・運営している国交省や市町村の関係者への働きかけが必要です。そして民間のキャンプ場経営者に対してもアウトドアライフを楽しむためのオートキャンプ施設とは違った、くるま旅用の施設としてMHPを用意して頂くよう働きかける必要があります。MHPの利用は年間を通してニーズがあり、別途販売施設等を併設すれば、収益の面でも貢献できるはずです。世の中全体の流れの中で、くるま旅がこれからの新しい旅の形として定着して行くことを理解頂き、その基盤を支える施設や設備が不可欠であることをわかって頂くことが大切なのだと思います。
実際に事業を行なうとなれば、より詳細なコスト計算等が必要となるでしょうが、それは各論のレベルで明確にしてゆくべきものと思います。一つだけMHPについて留意しておくことは、オートキャンプ場ほどの高額料金では利用は期待できないということです。
このような、いわばくるま旅のインフラが整備されることによって、現在起こっているキャンピングカーなど旅車のマナー問題もかなり改善されるはずだと思います。現在の多くの問題は、インフラが未整備のために起こっているように思えるのです。既存の公共施設である道の駅などで、ユーザーの一部の人は、設備の不足分を自分の都合のいいように考えてルール違反をしたり、迷いつつも皆でやれば怖くないと、ゴミを所定以外の場所にそっと置くといったようなことを行なっているように思います。最初から悪意の、不正を不正とも思わぬような輩は、論外で、くるま旅の対象者としてカウントする資格も必要もないと思います。正しいくるま旅の実現のためにも、是非ともくるま旅のインフラの整備を提言したいと思っています。
シンポジウムは次のような要領で開催されます。もし興味・関心がおありでしたら、是非ご来場下さい。
○期日;9月27日(木)13時から16時まで
○会場:コア・池袋(豊島区民センター)5F音楽室
○テーマ:「より良きくるま旅を目指して」
○パネラー:キャンピングカー製造者代表(アネックス代表取締役:田中昭市氏)、メディア・マスコミ代表(ジャーナリスト:中島祥和氏)、キャンプ場の代表者(陸前高田オートキャンプ場モビリア支配人:蒲生哲氏)、キャンピングカーユーザーの代表者(山本馬骨)
なお、詳細については、日本RV協会へお問合せください。
URL:http://www.jrva.com/
E-mail:info@jrva.com
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