山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

花オクラのこと

2007-09-19 00:19:11 | 宵宵妄話

今日は、旅の話ではなく私の在宅時の楽しみの一つについて書いて見たい。 いつも旅の話ばかりでは、自分自身も些か疲れを感じてしまう。

旅から戻って、今の毎日の楽しみは、朝一番で畑に行って花オクラの花を摘むことである。花オクラというのをご存知だろうか?本当ならここに写真を添えるべきだと思うけど、ブログに写真を自分の思うままの大きさで掲載する技術を私は知らない。

花オクラは知らなくてもオクラならご存知であろう。六角形ほどの角ばった細長いグリーンの錘状の野菜で、食べるとぬるぬるする食感のあの植物である。オクラの花は綿の花に似て、花の後の実の姿とは打って変わった上品な美しさがある。

花オクラは勿論オクラの仲間である。花オクラというように、こちらはオクラと較べて花の大きさも美しさも格段優れた存在である。最初にそれを見た時には、どきりとした。いとムツクケキ爺いなのだが、私は花に弱いのである。

尊敬する榊獏山先生(書家)の書で、九州の何とか言う焼酎のパックだったかに「花あるときは花に酔ひ、酒あるときは酒に酔ふ」というのが書かれていたが、この文句がたまらなく好きだ。実に素晴らしいキャッチコピーだと思う。獏山先生の書は若い頃からのファンで、奔放な中にも落ち着いた味があって、それに益々磨きがかかり、この文句の表現には実にぴったりなのだ。「花に酔ふ」というのは、酒に酔う以上に素晴らしい酔い方だと思う。

花オクラはそれを見る人を酔わせる力のある花である。そしてこの花が素晴らしいのは、それを食することが出来るということだ。花を食べるというのは、食用菊くらいで他にあまり聞いたことがなかったのだが、花オクラは食べられるのである。尤も、どんな花でも食べる気になりさえすれば、毒が無い限りは食べられるものなのかもしれない。花オクラは、摘んだあと花びらを集め、これを包丁で叩いて細かくする。何度も何度も叩いていると、次第にぬめりが出てくるのだが、それがかなり出てきたところで叩くのをやめ、小皿にとって、酢醤油やポン酢などをかけて食べるのだ。オクラと同じような食感があって、酒の肴にも合うし、身体にも良い様だ。通じが良くなるというのは、漢方の有効食品の一つにつながるのかもしれない。

この花オクラを摘みに毎朝7kmほど歩いて行く。市から借りている菜園は、近道を往復すれば30分足らずの距離なのだが、2時間近く遠回りをして市内のいろいろな道を散策するのが楽しみなのだ。どのコースを選んでも、今のところは必ず畑の花オクラのところに寄って、持参したビニール袋に20個ほどの花を摘む。花オクラは一夜花なので、摘まないまま放置すればたちまち萎れて花を落としてしまう。摘んでやると、翌朝には大輪の美しい花を必ず20個ほど咲かせてくれるのである。

今年は北海道の旅に7月初めに出発したが、その時植えた苗は、僅かに5cmほどだった、2ヶ月経って戻った時には、1m近くに生長していたが、ものすごい雑草(主としてメヒシバ、スベリヒユなど)に埋もれていて、花を咲かせる余裕がなかったらしく、僅かに1、2個の花が見えただけだった。汗まみれになって雑草を取り除いてやると、しばらく経って、すっかり元気を取り戻し、毎朝美しい花を咲かせてくれるようになった。

花オクラからみれば、幾ら雑草を取り除いてくれたからといって、毎朝やってきては折角咲かせた花を摘み取り、しかも食べてしまうという奴に恩義は感じているはずもないと思う。しかし、私は毎朝花に酔い、その花を夕餉に食して今度は酒に酔うのである。それが今のところ最高、最大の楽しみなのである。

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