山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

ブルーベリーとナツハゼ

2009-06-30 02:32:41 | 宵宵妄話

嬉しいことに、今年はブルーベリーが初めての豊作です。守谷に越して来てから6年目を迎えていますが、庭のブルーベリーは、引越して間もなく、近くのホームセンターから買って来て植えたものでした。1本では実りが悪くなると聞いていたので、5本買って来て植えました。そのときに囲いなどを作って、早くも小さなブルーベリー園を夢見ていたのでしたが、1本500円の背丈30cmにも満たない小さな苗木を見て、この人は一体何を考えているのだろうかと、家内にバカにされたのを覚えています。

   

今年二回目のブルーベリーの収穫。あと2回くらいはこれ以上の収穫が期待できそう。でも最後はヒヨドリたちのものとなるに違いない。

その小さかった木は、年を追う毎にすくすくと生長してくれて、早いのは2年後には幾つかの実をつけてくれたのでした。しかし笊(ざる)に入れるほどの量ではなく、ちょっと味見をするという程度のものでした。それが、去年あたりから急速に背丈が伸び、大きいのは自分の背丈を超えるほどとなり、5本が狭い場所に絡み合って、まさにブルーベリーの園というか、ブッシュを作りつつあります。

去年も結構実った筈なのですが、何しろ肝心な時に旅に出ていて不在なため、一体どれくらい実ったのか判らず、その殆どは賑やかにやってくるヒヨドリたちのご馳走となってしまったようです。今年は北海道への旅までに少し時間がありそうなので、ヒヨドリ君たちには気の毒だけど、花が終わるころには早々に防鳥ネットを掛けて、稔りを待ったのでした。

   

我が家のブルーベリーのブッシュ。防鳥ネットはもう少し掛けておく必要がある。来年はこのブッシュはもっと拡大するに違いないと信じている。

その甲斐があってか、一昨日は中程度の大きさの笊にほぼ一杯の収穫がありました。まだ青い実のものがかなり残っており、あと三倍くらいは採れそうなので、北海道への旅に出発するまでには、もう一度笊一杯は期待できそうです。

ブルーベリーというのは、変わった実り方をするのを知りました。食べることができるブルーの実に変身するのは、収穫時の1~2日前で、それまでは到底食べられない青く堅い実をつけているばかりです。スイカやトマトやバナナなどのように、ある程度大きくなったら収穫し、そのまましばらく置いておけば中が熟成して色づいてくるといったものではないのです。ですから早く収穫することは不可能で、とにかく熟してから採らなければなりません。これはブルーベリーを専門に栽培している農家などでは、一挙にたくさんの手間が必要となり、大変だろうなと思ったりします。

我が家では今は、私よりも家内の方がブルーベリーに大いに期待している風があります。6年前にバカにしていたことを反省する気配は少しもありませんが、豊作の現実を前にしては、そのような過去の話など眼中になく、ただひたすらに目一杯収穫してジャムを作ることだけを考えているようです。家内はこの頃何故かジャム作りに妙に関心を持っており、手当たり次第に獲物を見つけてはジャムを作っています。先日は旅先でゲットしたグズベリーを煮て酸っぱいジャムを、そして私が汗を流して採ってきた桑の実ではヨーグルト用のジャムを作ったりしていますが、今度はブルーベリーに挑戦するつもりでいるようです。只今は母の介護で留守ですので、採ったものは果実についた水分をきれいに取り去ってパックにいれ冷凍保存しています。介護から戻ったら直ぐにでもジャム作りに取り掛かり、旅の友とするに違いないと思います。

ところで、ブルーベリーというのには少年の頃の思い出があります。私は茨城県の北部の農村で育ったのですが、子供の頃裏山に入ると、子どもたちが「ハチマキボンボ」と呼んでいた木の実がありました。その実が好きで、秋になると一人山に入ってはその実を探して歩いたものでした。ハチマキとは鉢巻のことであり、ボンボとは丸いものを指して呼ぶこの地の方言だったと思います。ハチマキボンボというのは、従って鉢巻をした丸い実というような意味なのです。そして、鉢巻ボンボの木というのは、ナツハゼの木のことなのでした。紅葉のきれいなナツハゼの木は、最近は庭木としても結構人気があるようですが、その昔の農村での暮らしを思い出すと、裏山に幾らでもあったナツハゼが、気の毒なような気もします。

   

ナツハゼの木。もう早くも、少し葉が色づき始めているようだ。もう実も付いているから、もしかしたら子どもの頃食べたのは、秋ではなく夏だったのかもしれない。

その当時の付近の子どもたちの中では、自分が恐らくナツハゼの実の一番の愛好者ではなかったかと思います。かなり酸っぱいものが交ざっているので、子どもの味覚にはフィットしなかったのだと思いますが、そのようなことに頓着せず、甘いのも酸っぱいのも美味いなあと思いながら口に入れたのでした。昔から相当に卑しいというのか、食べ物に対しては鈍感、貪欲だったところがあり、私はその意味では少し変わっていたのかもしれません。

その変わった奴が大人になって、ブルーベリーという名を聞き、その木を目にしたのは、それほど遠い昔ではなかったように思います。初めてその苗木を見たときは、これはどこかで見たことがあるぞと思いました。しかしそれがどこだったのか思い出せず、ある時植木屋さんを覗いていて、ナツハゼが実をつけているのを見て、「なんだ、ブルーベリーって、このナツハゼと同じじゃないか!」と気づいたのでした。

   

ナツハゼの実。ブルーベリーの実は青いけど、ナツハゼは赤っぽい色をしている。

ナツハゼは、鉢巻というか実を取り巻く一本の筋のようなものがありますが、ブルーベリーはそれがなく、のっぺらぼうです。勿論味の方も栽培品種なのですから、ナツハゼよりは数段上まっています。この頃は目に良いというので、結構人気も高いようです。

しかし、私は本当はブルーベリーよりもナツハゼの実の方が好きです。堅く酸っぱくてもナツハゼの実の方が好きです。なぜかといえば、勿論その中には懐かしいふるさとの思い出が一杯詰まっているからです。もう庭のブルーベリーのブッシュは家内にそっくり譲って、別の場所に、ナツハゼを一本買って来て植えようなかと思ったりしています。やがて付けてくれるであろう実を、毎年数粒でいいから、じっくりと噛みしめて味わいたいなあと思ったりしています。(でも、植木屋で見て来たナツハゼの木は、庭のブルベリーほどの小さいもので1万円近くもするので、この夢は実現しそうもありません

コメント (4)
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