山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

甲信越ちょっと旅:第8日(最終回)

2009-06-28 04:40:02 | くるま旅くらしの話

第8日 <6月18日()

道の駅:はが → (県道・R294)→ 道の駅:下妻(下妻市) → (R294) → 自宅  <72km>

今回の旅の最後の一夜が明けて、今日はただ家に帰るだけ。宇宙を除いては、初めがあれば終わりが必ずある。宇宙というのだけは際限もなく拡大し続けているらしい。というような話をどこかで聞いたか、読んだ気がする。

ここの道の駅は、昨日は休みだった。今日は大丈夫。というのも、芳賀は野菜や果物の産地で、地元で採れた新鮮な野菜がリーズナブルは値段で販売されている。それを手に入れるのがここに泊まる最大の理由である。8時半に店がオープンするのだが、並んで待つというレベルでないと、いいものを早く手に入れるのが難しくなるからである。今日も数人の人たちが開店前に列を作って並んでいた。

8時半になって、店の中に。キャベツ、ナス、キュウリ、トマトなどの他にシソの葉なども手に入れる。シソの葉は、酢に氷砂糖と一緒に入れて、シソ酢を作るため。これは先日大阪のAさんから頂戴したそれが、格別美味で重宝したので、習って作ってみる考えでいる。本当は青紫蘇の方が良いのだけど、今は梅漬けの最盛期だから、赤シソが豊富で、安価である。因みに作成の基本レシピは、黒酢1升に青紫蘇の葉100枚を、水分を良く取って入れ、それに氷砂糖200gを加え、しばらく(4~5日)置き、氷砂糖が溶けたら、青紫蘇を搾って取り出し、その酢を調理などに使うのである。酢味噌和え用の酢としては最高だったし、その他どのような調理にもフィットする万能調味料となる。1週間分ほどの野菜を買い込み、守谷の我が家に向け出発する。

今日も曇りで、いつ雨が降るか予断を許さぬ天気である。ここからは我が家まで2時間足らずである。真岡でR294に入り、そのまま二宮町、筑西市と通過し、下妻の道の駅にちょっと立ち寄り、その後はひたすら我が家を目指し、到着したのは11時丁度だった。総計1,048kmの旅だった。

 

<旅から戻って:後楽>

たった1週間程度ででは、旅から戻っても家の周りがさほど変わったというほどでもない。雨季の真っ最中で、晴れの日も少なかったので、雑草の生育も思ったより抑えられて、すぐさま除草にかかるほどのことはなかった。1週間を一番感じさせたのは、畑のラディッシュだった。出かけるときが丁度食べ頃で、帰るまで大丈夫かなと心配だったのだが、案の定お化けラディッシュになっていて、赤い株の玉が、通常の倍くらいの大きさになってしまっていた。こうなったら、そのまま食べるのは無理なので、漬物にして食べることにした。ラディッシュの赤い玉をきれいに水洗いした後、薄くスライスしたものをフリーザー用のジップロック(ビニール製のチャックのついた袋)に入れ、そこに梅酢を注いで封をし、冷蔵庫に入れて2~3日置くと、真っ赤な株の漬物が出来上がるのである。少し砂糖などを入れると食べやすくなり、独特の味がして結構気に入っている。しかし、我が家で喜んで食べているのは、自分一人だけである。とんだ、脱線となった。

今回の旅は仲間の集まりの参加を利用したものであり、その集まりを除く前後は全くの思いつきのちょい旅だった。前半は簡単に言えば、いつもと違ったコースを通って、会場の入笠山の麓にある富士見パノラマスキー場に行ったということであり、その内容といえば、久しぶりに八ケ岳山麓の雄大な景観を味わえたということであろう。八ケ岳を群馬県側から訪ねたのは本当に久しぶりだった。旅車では初めてのことである。その雄大な景観は昔とそれほど変わっていない様な気がした。清里などの観光別荘地は、早く拓けたので開発も大きなビルなどを建てるような愚かさに届かなかったのかも知れない。総じて自然と調和のとれた景観がそこにあった。

久しぶりのTACOSの仲間との出会いはそれなりに楽しく、充実した時間だった。たった一晩泊まりで、慌しく散ってしまうのが少し勿体ない感じもしたが、殆どのメンバーが現役であり、仕事のことを考えないわけにはゆかず、このようなスタイルでの集まりはやむを得ないのであろう。くるま旅の知人との出会いと比べて、深まりが浅いままに止まってしまうのは、ちょっぴり残念だけど仕方がない。でも仕事を離れての仲間との交流という点では、参加されたメンバーがそのチャンスを大切にされているのが良くわかる。人は様々な変化の中に、様々な経験を積むことで成長するのであり、職場の限定された人間関係から、時に解放されて新たな出会いを形成するというのは、人生を豊かにする上でとても大切なことだと思う。週末のたった1~2日を過すための目的で、高価なキャンピングカーを買って、その他の時間の多くを車庫に眠らせておくというのは、合理的に考えれば不都合なことかも知れない。しかし、それを批判する人には、人生の豊かさを否定する針のような心が潜んでいるように思う。無駄の中にこそ豊かさが潜んでいるのであるから。そのようなことを考えながらのクラブキャンプの2日間でもあった。

集まりの後の3日間が、今回の旅のメイン行程だったと思う。霧ケ峰は青春の終わりごろの最大の思い出の場所である。青春時代が終っても機会がある度に出かけたのだったが、転勤で東京を離れることになってから一挙に疎遠になってしまった。最近では数年前に孫たちを連れて来ただけだった。今回は美ヶ原とあわせて訪ねることが出来、わずかな時間だったけど、これから又行けるような気がしてきた良い時間だった。美ヶ原に道の駅ができたことで、泊りがけでの夏の訪問が可能となったのは嬉しい。今年の夏は北海道へ行きっぱなしとなる予定なのでダメだけど、来年は出来れば孫たちと一緒に訪ねたい。

霧ケ峰を訪ねた後のルートは、今まであまり行ったことが無い場所や初めての場所だったが、これは結構楽しかった。毎日、真昼の無料温泉入浴付きだったというのも、考えてみれば豪気なものだった。別所温泉の老舗の湯宿の、畳の洗い場の風呂は印象的だった。和風とは斯くまでのものかなと思ったりした。くるま旅では、滅多に宿に泊まることもなく、大浴場以外はなかなか立ち寄り湯も難しい。その意味でも別所温泉の柏屋別館の風呂は格別だった。良い思い出となった。

小布施は残念ながら遅刻をした感じで、町のアウトラインも全くといっていいほど掴んでいない。今度行く時は、泊りがけで裏の方も含めてじっくりとこの町の有り様を見てみたい。小布施から後の時間は、未知のエリアを訪ねる楽しみで満たされていた。山ノ内の道の駅の早朝のりんご消毒車事件には辟易(へきえき)したけど、今度は草津温泉の方から志賀高原に抜けて、湯田中温泉などを訪ねてみたい。季節は秋の方がよかろう。しかし、りんごを食べるには勇気が要るけど。

松之山温泉から松代にかけての棚田の風景は、自分よりも邦子どのの再訪の第一候補地となったようである。今回は車でメインの道路をざっと通っただけだから、写真に収めるに相応しい場所を見たわけではないと思う。土地の人に話を訊いて、少しあの辺りを歩いてみれば、必ず日本の原風景のような景観に出会えるに違いないと思う。旅の後楽の一つである。

十日町のへぎ蕎麦は美味かった。麺類なら種類を選ばない人間だけど、海草入りというのはなかなか良い。地元に行かなければなかなか味わえないのだと思うけど、棚田の探訪時には是非もう一度立ち寄りたいと思う。本当は冬の十日町を訪ねてみたいのだが、車では無理だし、列車で行くのはもっと無理のような気がする。雪国というのはどういうものなのか、関東の2~3日間の大雪は知っていても、雪国の暮らしは体験したことがないし、体験したといえるほど長く滞在したこともない。これは永遠の憧れのまま終るのかも知れない。

国境の大して長いとも思われない車道用のトンネルを潜って、三国峠から大雨の中を上州に入ったのだが、麓近くの水上町や月夜野町(今は双方が合併して水上町となっている)などを訪ねたことはまだなかったので、幾つかある道の駅も初めての訪問だった。その中で一番の魅力を感じたのは、道の駅:たくみの里である。集落全治が道の駅のテーマを盛り上げているという感じで、農村工芸の体験場所が集落の中に点在しているというのが面白い。ここには機会を作って必ず行ってみたい。比較的近くに四万(しま)温泉もあるし、1週間もいれば、そばもこんにゃくも豆腐も我が手のものとなるかもしれない。そんな気がした。(気がしただけである)

日光白根山のシラネアオイは、いつか必ず会いに行きたいと思っている花である。その行く手立てが、今回の旅ではからずも明確になってうれしい。丸沼高原のスキーリフトに乗れば行けるというのが分かった。今度はちゃんとトレッキングの用意をして行き、カメラにその優雅な姿を存分に収めたいと思う。来年が楽しみである。

……、というように旅の思い出はあれこれ際限もなく続いている。これが後楽というものだと思っている。そして最大の後楽は、実はこの記録を書いていることなのだ。ブログを書きながら一番旅を楽しんでいるのは自分自身なのである。実際の旅が終ってもう10日も経っているのだけど、これを書きながら気分は旅をしているときと大して変わっていない。ある意味では旅以上に楽しんでいる所がある。というのも、地図や資料を引っ張り出しながら、デジカメ日記の写真を何度も繰り返して眺め、時に辞書を引き、ネットで調べ物などをしながら、旅先の思い出をより正確に、且つ拡大して味わっているからである。旅の現楽では曖昧なことが多いのだが、帰ってきてもう一度記録を整理し、書いてまとめることを通して層倍の旅の楽しさを味わうことが出来るのである。何もそんなめんどくさいことをしなくても、旅だけを楽しめばいいんじゃないかという考えにも賛成だけど、自分としてはやっぱり後楽が一番だと思っているのである。

とにかくこれで今回のちょっと旅は終わりである。再来週の終わりから待望の北海道への旅が待っている。それが今何よりの楽しみである。人生、楽しみがある内が華だと思っている。 

コメント
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