新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

ハイビジョン特集より~神尾真由子~

2007年10月10日 | 音楽

この夏、神尾真由子さんが「チャイコフスキー国際コンクール」で優勝!諏訪内晶子さん以来17年ぶりの快挙です。世界三大音楽コンクールの一つといわれているものです。

8月に日本に里帰りした神尾真由子さんに密着取材し、ツアー演奏の1ヶ月を追ったドキュメンタリーが放映されました。21歳という若さにもかかわらず、インタビュアーの質問にも、自分の心を思いをいかに正確に表現するか言葉を捜しながらゆっくりと答えるところに誠実さと正直さを感じました。

10歳でソリストとしてデビュー。シャルル・デュトワ指揮のオーケストラで演奏するかわいい映像も出ました。神童といわれた所以がよく理解できます。

ジュリアード音楽院に学び14歳でアメリカデビュー。特集を組んだ新聞は「正確なテクニック、温かくよく響く音、強靭な表現力」と絶賛したようです。

07109kamio050930oyuwari_019今回のN響コンサートは、ジェームス・ジャッド氏指揮、優勝曲のチャイコフスキー「バイオリン協奏曲」でした。ジャッド氏の評した「音に誠実さと統一感があり、音楽のページをめくっているような弾き方」は、聴き手にぐいぐいと迫るものがあり、何度も録画を回して見ました。

N響のひとりが『一音一音はっきりと、32分音符の細かいところまでパワーあふれる音色だから、音をつけていきやすい』と感想をもらしていました。

07109kamio050930oyuwari_020珍しかったのは、神尾さんの楽譜が映し出されたことです。びっしりと印と書き込みがされた楽譜。音色にうるおいと深みがあると評されるためには、自分自身の手で自分自身の想像力で書かないといけないのが分かりました。

神尾さんのコメントで『バイオリンは深い甘い音色というけれど、チェロにはかなわない。チェロの深く温かい低音のメロディーにはかなわない。バイオリンはむき出しの金属音で不快直前の音。美しいだけでなく生生しい感情が出ます。』が印象的でした。

07109kamio050930oyuwari_022面白かったのは、左の写真。上はチャイコフスキーが作曲したもの。下は名前は忘れましたが他のバイオリニストが書き直したもので、音程をとるのが難しくなるが曲は派手になるそうです。どちらを弾くかは自由だとか。こんなこともあるんですね。(私みたいな素人には、NHKのこんな解説がとても面白く思われました。)

神尾さんは恩師のブロン氏と対立しながらも、コンクールでは下を選んで弾き叱られたとか。もともと自分で考える癖がついているのでと笑っていました。

使用しているバイオリンは企業の芸術家支援活動として貸与されたストラディバリで、6年目だそうです。10代の頃からストラディバリを弾いていたんだ・・・やはりすごいと驚きました。

『どんないい楽器でも最初は弾きにくく、自分とツーカーになるまでには1年はかかる。どんな楽器でも自分の音でしかない』と、さりげない言葉の中に見えない努力を垣間見た思いです。

「いい演奏とは?」の質問に、「弾きながら音楽が聞こえて来たとき。聞けなくなったらおしまいです。」の答え。体力にも精神力にも恵まれている神尾さんに期待が大きく膨らみます。

(文中の写真は、NHKの番組をデジカメで撮ったものを使わせていただきました。)

 

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7 コメント

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印刷した楽譜ではないのですね。一流の方はそれだ... (kazuyoo60)
2007-10-10 11:14:32
ストラディバリが貸与ですか。沢山の方に感動をくださるのですものね。
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この秋、ゆったりと音楽を鑑賞出来たらいいでしょ... (酒徒善人)
2007-10-10 17:55:53
稲刈りの続きと音楽鑑賞か・・・
そろそろ晴れるかな?
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すばらしい記事ですね。、「弾きながら音楽が聞こ... (山口ももり)
2007-10-10 19:01:59
 天才は、生まれつきですよね。勿論、努力を続けるって言う才能も天才ですが・・・常に、モウ少し・・・の、変えたい発展が目の前に聞こえる・・・なんだか、思った事をうまく言えません。
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こんばんわ (kju96)
2007-10-11 00:41:45
神尾真由子さん凄いですね。
この曲はサラサーテなどに影響され書いた曲
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は三大協奏曲の一つ
ヴァイオリンというよりビオラみたいな感じがしますし、スケール感、
情熱的で神尾真由子さんにはぴったり・・そんな感じがします。
イタリアのクレモナは、何度か行きました。
ストラディバリやグァルネリなどのいまでも沢山のヴァイオリン工房が
有ります。弾けないのに1台買いました。
今は実家に飾っていますが、フォルムは美しいですね。
上手なら音色に酔いしれるのでしょうが(笑)生まれ変わるのならヴァイオリンニストになりたいものですね。このブログ書きながら只今チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲第1楽章を聴いております。
最後のヴァイオリンとの掛け合いは見事です。
若い人がどんどん・・期待できますね。
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kazuyoo60さん、こんばんは! (ちゃぐまま)
2007-10-12 00:52:47
1億2千万人のトップに立つ・・・。
気が遠くなりそうです。
ひと言で努力というけれど、凡人には計り知れないことです。
秋の夜は、ほんとに音楽と読書がぴったりですね。

酒徒善人さん、こんばんは!
室温24度ぐらいの快適な温度です。
喉の渇きを止めたビールより、ちょっと温かめのほうが
ぴったり来るようになりました。
「金魚」いいですね~。


ももりさん、こんばんは!
なるほど、努力を続けることが出来るということも才能ですね。
何事にも運不運はつきものと思うけど、運を「つかみとる」のが
上手な人って必ずいますよね。
それも能力のうちかな・・・。

kjuさん、こんばんは!
いつかラジオでガルネリのバイオリンの音を聴きましたが、
曲がそうだったのか、割と低めの音でした。
21歳の神尾嬢と18歳の時の諏訪内さんの優勝曲チャイコフスキーピアノ協奏曲を
聴き比べてみました。
年齢的なものもあるのかもしれませんが、神尾さんのほうが
断然力強い表現力だった気がします。

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こんにちは。秋も深まり目でも口でも楽しみが増え... (shinママ)
2007-10-13 02:13:35
いつも美味しそうな画像に釘付けになっています。

神尾さんのドキュメンタリー、私も観たいです。
こちらで放送されると良いのですが!
中村紘子さんの「チャイコフスキーコンクール」と小澤征爾の「ボクの音楽武者修行」
を読んでコンクールの奥深さと面白さを垣間見る事が出来ました。
今はもっぱら「のだめ」ですが・・・(笑)

私もチャイコフスキーが聞きたくなりました!
音楽の秋、万歳ですね!

P.S.ところでちゃぐママさんのこのブログをリンクに貼ってもよろしいでしょうか??
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sinママさん、はるばるのご来訪、ありがとうご... (ちゃぐまま)
2007-10-13 14:41:44
『チャイコフスキー・・・』と『ボクの・・・』は読んだことがありません。
小澤さんの本だったら面白いでしょうね。先月hiビジョン特集で、
小澤さんの特集がありました。一語一語が重いですね~。
線路どおりには走らない面白さが、才能を高めた一因でしょうね。
中丸三千絵『マリアカラス・コンクール スカラ座への道』も大変興味深く読めましたよ。

自由時間に、プラハのオペラ座を建物だけでもと見学に行きました。
音楽と生活が自然に溶け合ってる西欧、いいですね~。
「今度来た時こそは・・・」といいながら雰囲気だけを味わいました。
こんなブログでよろしかったらリンクにお貼りください。
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