新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

御衣黄(ギョイコウ)

2018年04月08日 | くらし

「しまった!」と気づいたときには、最盛期を過ぎていました。御衣黄はソメイヨシノが散り始めるころに満を持したように咲き始めます。開花初期の緑色の花を見たかったのに・・・。緑色はすっかり抜けていました。
  

   
花色の緑色がだんだんと薄くなり、黄緑色から白っぽいピンクに変わり始めます。そして中心部がぽっと赤くなって、平安時代の女性の恥じらい???と思ってしまうほどです。はなやかさよりも色っぽさが、でも凛とした品格があります。

夕食の準備を中断して急いで撮ってきました。この木は近くのウォーキングコースの中にあります。15年ほど前、誰が付けたか枝にひらひらと舞う短冊を見ると「御衣黄桜」の文字が。
初めてみる名前を「みころもきざくら?何と風流な・・・」と悦に入っていました。後日「ギョイコウザクラ」の読み方を教えてくれたのは友人です。

福岡市には心温まる桜の話があります。数年前テレビ「アンビリーバボー」で放映されました。「桧原桜」です。
福岡市南区に二つの池に挟まれた道路に10本足らずの桜並木があり、道路拡張のために伐採が始まりました。
桜の季節に
次々に切られる予定の桜の枝に『花守り 新藤市長殿  花あわれ せめてはあと二旬 ついの開花をゆるし給え』という詠み人知らずの短冊が掛けられました。
この話が九電社長に伝わり、
西日本新聞の記者に伝わり『花あわれ ついの開花をゆるし給え』の見出しで社会面トップに掲載されました。
これが反響を呼び、花守りと指名された新藤市長の『花おしむ 大和心のうるわしや とわに匂わん 花のこころは』の返歌の短冊がその桜の木に下げられました。
年度末の公共事業でもあり担当者は相当に苦悩されたようですが、社会の声をしっかりと受け止めて桜を生かす決断をされたのでした。
道路わきの池を拡張する分だけ埋め立てることに変更、そこには小さな公園までができました。
桜を愛する詠み人知らずの歌が、桜を愛する大和心が、大きな流れになって工事変更のエネルギーに発展しました。桜の季節になるたびにこの大和心の桜の話を思い出します。


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