新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

アジサイと映画《ベニスに死す》と美少年

2022年06月14日 | くらし
BSプレミアム«ベニスに死す»はストーリーもさながら、場面々々が美しくとても心に残る映画でした。


ホテル前の海辺の映像が、ブーダンの絵を彷彿とさせて20世紀前後のヨーロッパを堪能しました。背景にはマーラーの『アダージェット』が流れます。折からヨーロッパではコレラが蔓延している時期でもありました。

ベニスの一流ホテルのロビーは壷に生けられたアジサイの花だけで覆われていました。(シーボルトも日本から持ち帰っており、改良を重ねて人気が高かった花のようです)
映画の主人公は作曲家のアッシェンバッハ。「美とは努力によって創造できる」という信念の彼の前に現れた美少年が、ポーランドの貴族タッジオです。(息を飲む美しさに私もはっとしました。世界一美しい!)
アッシェンバッハは創造を越えた美を持つ少年を眩しく、いとおしく、恍惚と見つめます。

ラストシーンの海に向かうタッジオと、砂の上に崩れ落ちるアッシェンバッハの対比が残酷にも、見事でした。

我が家のアジサイも梅雨で命を吹き返しました

遠のいていた故郷への思いが限界に達したらしく、2年5カ月ぶりに娘家族三人が帰省しました。一泊だけです。
県外に出るということで特急に乗る前に駅で無料の抗原検査をして、とにかく車でなくJRで動きたかったらしいです。
孫息子は6年生から170センチの中3に、孫娘は幼稚園から小3に。その成長ぶりに他人を見るみたいにドキドキしました。
いつもの洗面所、いつものソファーのたたずまいが優しく迎えてくれて満足のようでした。

「故郷」の一部に入っているものが、お気に入りのフォンデュのレストランです。
孫たちは成長して食事中のマナーも満点。今どきの若者と少女になっていました。
«ベニスに死す»の老いと若さの対比がよみがえりました。若者はいとおしくきらびやかに未来に向かいます。

ビシソワーズの味が素晴らしく、フォンデュも堪能しました。
孫息子は前回まではコースの最後の飲み物がジュースだったのが紅茶に変化。しみじみと感じ入りました。

老夫婦の家に久しぶりに華やぎが戻りました。26時間の滞在。息抜きに帰省した娘家族より、私たちの方が息を吹き返したのかも。
JRの駅に到着したら、再度抗原検査をするそうです。



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