おやじねこのテレスコ日記

ー八ヶ岳の登山口に住んでいる、テレスコ工作工房の店長のおやじねこが日々の出来事などをタイムリーに伝えています

Carl Zeiss Jena 13cm 対物レンズが戻ってきました!

2020-06-07 16:16:45 | ブログ


ヨシカワ光器さんに預けてから2週間程度かかりましたが、今日無事に戻ってきました。メンテ内容は、分解洗浄、レンズコバ塗りとレンズ性能の検査ですが、いずれも完璧にやってくれてレンズと一緒に作業内容が分かる書類と写真を添付してありました。

レンズのメンテナンスをするには2枚玉のレンズをセルから外さないといけないのですが、セルとレンズのクリアランスが極々小さいので、引き抜くのに少し苦労されたそうです。物によっては抜けない物もあるようです。幸い抜けたので洗浄して綺麗にしてからその前後でオートコリメーター+ロンキー干渉によるテスト撮影をしてレンズの性能が分かったそうです。ヨシカワさんが言うには、僅かな色収差はあるが、球面収差は極小との事で当時の対物レンズとしては非常に優秀なものであるとの事でした。

先日、同じヨシカワ光器さんにレストアしてもらったNikon 10cmED屈折望遠鏡なら口径に対してで最大20倍の倍率に耐えられると言ってくれましたが、5mmアイピースを使って240倍が使えるという事になります。当時のカタログにはOr-7mmが付属していたので、それで170倍で観測できていたのですが、土星が良く見えたと、85年当時にこの望遠鏡を所有していたのでかすかに覚えています。



とにかくこの1920〜30年当時の西ドイツのカールツァイスで作られた貴重な天体望遠鏡の対物レンズは、現状では当時の性能を今も有しているという事が分かりましたので、これから望遠鏡に作り上げるために各部品の製作をしていこうと思っています。今回、メンテナンスをしてもらってラッキーだったのは、レンズの状態がとても良かった事です。保存状態等で酷いものもあるそうなので、そういう意味ではこのレンズは保管状態が非常に良かったという事でしょう。

この対物レンズを取り付けるアルミパイプは、φ150mm x1500mm、t=3.0mmです。製作する部品としては、対物側に2点のリングを作って、接眼部にStarLight Instrument社のフェザータッチマイクロフォーカサー3インチ版を装着しますが、ここにも2点の部品が最低でも必要です。それにフードが必要ですが、φ180mmくらいでセル部にはめ込み式のフードを作ります。最後に鏡筒ホルダーですが、ちょうどお店に販売用のペンタックスの15cm屈折用の純正鏡筒ホルダーBH-180があるので、これを改造してφ150mmの鏡筒を保持できるようにするつもりです。ただ難点なのは、このホルダーが結構重たいので、場合によっては2本式のホルダーを作った方がいいかもしれません。

当時の13cm望遠鏡は重量が相当あったと思われますが、重量があるとそれを保持できる赤道儀が限られてくるので、無理に重たくせずに軽量化できればと考えています。

何れにせよ、今年は星のイベントが無かったり、海外へも行かないかもしれないので、時間がある分この望遠鏡の製作や自社製品の製作に力を注いでいこうと思っています。多分夏頃には完成させられるでしょう。完成したらどこかでお披露目をしたいですが、できれば倉庫で眠っている40cmのドブソニアンと一緒に見てもらうのと、Nikon 10cmEDとも比較してもらおうち考えています。



屈折望遠鏡のお話のついでに一つお知らせがあります。今も販売中ですが、タカハシFS-128NZフローライト大口径屈折望遠鏡の接眼部を当店で新たに製作する費用も込みでお安くしています。フォーカシングはBORGの中判ヘリコイドですので、スムーズなピント調整が期待できます。これにBORG M57仕様の部品を介して2インチ仕様にするか、延長筒を作ってそこに2インチアダプターが付けられるように作り変えようと考えています。BORGのフラットナーと67カメラマウントはそのまま残しているので、欲しい方がいればお安く販売します。元はフィルム時代の中判仕様として作られた製品ですが、今のデジタル時代でも十分その性能を発揮できます。ファインダーもタカハシ純正品がついていますが、照明装置は他社品です。オリジナルがあるのですが、点灯しないので交換してあります。



このセレストロンの珍しい7インチマクカセですが、海外での評価がとても高い製品です。一般的なシュミカセはF10ですが、この18cmマクカセはF15もあります。長焦点鏡なので月惑星には最高に威力を発揮してくれます。今年の火星中接近でも活躍間違いなしです。展示品なので屋外で一度も使われていません。箱に入れた城田で半年近く眠っていました。ぜひ役立ててください。



最後に、ヨシカワ光器さんの事ですが、このレンズをメンテに出すことを心配されている方もいらっしゃるようですが、実は私も過去に小口径の屈折望遠鏡のメンテナンスが出来ずに戻された事があり、それ以降は依頼するのに躊躇しておりました、しかし久しぶりにNikon 10cmEDを出して想像以上に良い状態に戻してくれたので、今回のツァイス13cmもお願いすることにしました。しかしこの13cmも予想通りに非常に良い仕事をしてくれたので安心しています。ヨシカワ光器さんが信頼できると思ったのは、この画像のように毎回依頼した仕事について責任を持って書面などで、また電話で不明な部分はきちんと説明をして納得させてくれる事です。

国内の著名な光学メーカーに清掃等の依頼をしても、こんなに丁寧な仕事をしてくれるところは他にないでしょう。私の知る限りですが、大きな会社組織と小さな個人企業とは同じように比較はできませんが、自社の製品のメンテナンスをする事に対する愛情が書面からは感じられないのはどこも企業も同じなのかもしれません。

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