おやじねこのテレスコ日記

ー八ヶ岳の登山口に住んでいる、テレスコ工作工房の店長のおやじねこが日々の出来事などをタイムリーに伝えています

日本有数の星空ー立山アルペンルート

2017-05-29 16:40:11 | 旅行


昨日、立山黒部アルペンルートの室堂から戻ってきました。27日か28日のいずれかに出発しようか悩んでおりましたが、土曜日の出発で大正解でした。夕方一時雲の中に入ってどうなるかと内心心配しておりましたが、暗くなると共に雲一つない満天の星空に変わりました。透明度も10段階で9-10くらいの望み得る最高の星空になりました。

画像は「雪の大谷」で午前2時過ぎに撮ったものですが、EF8-15mmと改造したEOS 6Dを使っています。この銀河が真上を横切って雪も14メートルと残っているタイミングで撮るチャンスは1年のうち僅かです。おまけに新月後の月明かりが無く、さらに空の透明度が最高である必要があります。これだけ多くの条件が揃って始めてものにできる写真です。28日早朝がまさにそのチャンスに恵まれていました。

雪が溶けるのがかなり早くなっており、4月末の連休入りの頃で19メートルあったものが14メートルまで溶けているので、この後撮るとすると今週一杯くらい迄でしょう。撮影は積雪が最も高く残っている場所で行いましたが、夜なので分かりにくなったですが、LEDで照らしてみて最も深そうなところを見つけました。室堂山荘から30分近く歩いて辿りつきましたが、日曜日明け方でも誰もおりませんでした。



雪の大谷から戻る途中で撮りましたが、午前3時を過ぎていたので天文薄明が始まっており、東の地平線付近が明るくなっています。画面北側は富山平野の光害によるものです。この光害がことのほか大きくて、地平線から3-40度くらいの高さまでライトドーム状に明るくなっていました。撮影当初は雲海がそれにキャップをするように星空を見せてくれていたので、まるでニュージーランドで見る星空のようでした。「星明かりで影ができる」というのを始めて立山で体験したくらいの最高の星空でした。



この時期にもう一つ撮りたいのが、立山三山から夏の銀河が昇ってくるイメージです。午後11時頃には昇ってくるので、それを最高の環境で撮れました。松原湖高原や野辺山でも夏の大三角と射手座銀河は良く見えますが、その周辺の暗い星々の数は立山のほうが遥かに上です。野辺山は日本三大星名所らしいですが、あれが日本で3番目なら立山や乗鞍、千畳敷は何番目なんだと思いました。立山の星の素晴らしさは、単に光害が少ないというだけでなく、アルプスの高山であることが必然的に星空を美しくしているのだと感じています。



今回は、デジタル一眼を3種類持っていきましたが、そのうちの一台のPENTAX K-70で撮った画像です。おなじみの星を追尾する機能アストロトレーサーを使った撮影です。残念ながら未改造カメラなので、改造カメラのような写り方はしませんが、三脚とカメラだけで星を追尾する撮影ができるので山岳地帯や海外などの荷物制限がある場所へ行くには最高に重宝するカメラです。



立山へ持って行ったポラリエ+PCB-EQ3ですが、バランスウェイトがありません。実はこの状態で撮影していました。裏技と呼んで良いのか分かりませんが、カメラを垂直な位置で撮ることを前提に前後1時間くらいなら安定した追尾で撮影ができます。この状態なら駆動軸に対してはバランスウェイトを乗せた状態に近く、負荷もそれほどかからないので、追尾も安定しています。この状態では自由雲台も入れて2kg弱くらいにはなっておりますが、24mmのレンズできちんと追尾してくれています。たぶん望遠レンズでも1分くらいなら極軸望遠鏡を使うことを前提で使えると思います。



これにもう一つ要るのが、ビクセンの「ポーラメーター」です。今回の撮影では北極星の見えないところでの撮影があったので、最初から極軸望遠鏡は使わずに、ポーラーメーターを使いました。これから登山や海外などで荷物を極力持たないで撮影する環境へ行かれる方は参考にされてください。



画像の下にちょっこり写っている「雷鳥」です。曇った日などでないと見られないと考えられていますが、意外にも宿の側で写真を撮っていて目線を下に移したところ雷鳥がおりました。ひょこひょこしていて可愛いです。



立山には確認されているだけで、300羽ほど生息しているそうで、その数はとても少ないです。色合いが派手なのがオスで、茶色っぽいのがメスです。雷鳥との距離はわずか数メートルほどでしたが、怖がることなく写真を撮らせてくれました。



室堂周辺にはいくつか宿がありますが、星の撮影に最も適した宿がこの「立山室堂山荘」です。温泉に入りたいのなら「みくりが池温泉」ですが、土日はいつも混んでいる上に個室などはまず使えないので、室堂山荘なら土日でも個室が空いているので、星の撮影なら迷わずこちらだと思います。ホテル立山は一泊数万円もしますし、下界の高級ホテル並みのサービスは期待されないほうがいいでしょう。室堂山荘には綺麗なお風呂もありますし、インターネットもWiFiが無料です。宿の直ぐ側で最高の撮影ができます。宿からの明かりも気にするほどではありません。冬は雪があるので安定感に欠けますが、基本的に何処でも撮影ができるので便利です。



これが宿の夕食です。二食付きでも素泊まりでも泊まれるようですが、私は二食付きで泊まりました。山小屋よりはいいですが、似たような食事です。あまり期待しないほうがいいでしょう。ご飯とみそ汁はおかわりできます。



こちらが朝食です。朝5時近くまで撮影をしていて、食事は6時から7時半までに食べないといけないので辛かったですが、ほとんど寝ずに朝食を食べて出てきましたので、帰宅途中のドライブではふらふらでした。一般的な山小屋では朝5時過ぎから朝食です。朝が苦手な方は天体撮影が目的の方は食事無しがいいでしょう。ただし、天文ファンなどにありがちな、グループなどで夜遅くまでドタバタ廊下を歩いたり、騒いだりしないようにしたほうがいいでしょう。天文ファンのグループは遅く迄起きているので結構迷惑がられます。山小屋では早寝早起きが鉄則です。それ以外の時間は静かに過ごすべきでしょう。



山での風景はいくら見ていても飽きることはありません。外のベンチで静かに夕日を見送っているだけで優越感に浸れます。普段は八ヶ岳の風景に触れて過ごしていても、環境が違うとそこはまた別世界です。



普段から海外へ良く出て撮影をしておりますが、今回見た星空は日本で見られる最高の星空と言えるでしょう。海外でいくら素晴らしい星空を見て体験していても、それ以上に素晴らしいのは日本でそれを見られたことです。今や日本のどこにでもある光害で、星が見えるところが少しづつ減ってきているのは残念ですが、まだこんなところが日本にもあることが素敵です。私が屋外の雪の上で撮影していると、女性らしき人が二人写真を撮っているらしく、盛んに地面に光をあてて何かをしていたので、聞いてみたら「星の写真を撮っています」ということで、驚いたのは三脚を使わずに雪にコンデジを置いて綺麗に写真を撮っていました。少し話しをしてみると宿の従業員でした。彼女達曰く、「星があまりに綺麗だったので、それを撮りたいと思い星の撮れるカメラを買った」とのことでした。至極最もなことだと感じました。ちなみにそのカメラは二人とも「Canon」でした。



今晩も良く晴れているので、条件が良ければ「白駒池」へ上がるつもりです。標高2000メートルオーバーですので、下界よりは星を撮る条件は良いはずです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。