未唯への手紙
未唯への手紙
統計でみる日本 余暇活動
『統計でみる日本』より
生活時間の配分
1次活動、2次活動及び3次活動の時間の変化
「社会生活基本統計」にみられる1991年から206年にかけての行動の種類別生活時間の変化は以下のようにまとめられる。
1次活動、すなわち、生理的に必要な活動の時間は、1991年から2016年にかけて、徐々に増加している。高齢者ほど身の回りの用事、食事に時間をかける傾向があり、高齢化の影響が認められる。
2次活動、すなわち、社会生活を営む上での義務的な性格が強い活動の時間は下げ止まった。とくに、女性において、家事の時間が減る一方、仕事と通勤・通学の時間が増加した。これは、女性の労働力人口比率の上昇に見合った結果である。とはいえ、項目別には男女間で大きな相違がみられる。仕事と通勤・通学については男性の活動時間が長く、家事と買い物、育児については女性の活動時間が長い。
3次活動、すなわち、各人の裁量で自由に行動する時間は、2011年まで増加傾向にあった。しかし、16年には男女ともわずかながら減少しか。項目別には、11年から16年にかけて男女ともテレビ・ラジオ・新聞・雑誌(以下、テレビ等)の活動時間が減少し、休養と趣味・娯楽の活動時間が増加した。交際・付き合いの活動時間は男女とも減少し続けた。
勤務間インターバルと通勤時間・睡眠時間
総務省は勤務間インターバル(以下、勤務間隔)に関する試算を公表した。勤務間隔とは、勤務終了から翌日の勤務開始までの時間を指す。通常の雇用者は、この間隔の中で、職場から帰宅し、睡眠を取って翌朝出勤する。それ以外の時間が平日の余暇に当たる。
EUでは、法律によって、11時間が勤務間隔の最低限とされる。
表12.1.2には、ホワイトカラーと分類できる4つの職業大分類別に、勤務間隔11時間未満の者の比率、勤務間隔の四分位点、最頻帯、平均通勤時間、平均睡眠時間を示す。それによると、専門的・技術的職業従事者は、短勤務間隔者の割合が高く、通勤時間も相対的に長い。結果的に、平均的な睡眠時間も短くなっている。
表12.1.3は、専門的・技術的職業従事者の中で職業中分類別に勤務間隔に関連する統計を示す。教員は、短勤務間隔者が2割弱存在し、平均的な睡眠時間も最短になっている。保健医療従事者については、勤務間隔が8時間未満と極端に短い者の割合が高いことが指摘されている。
生活時間の曜日効果
曜日による総平均時間の比較
平日と土曜日・日曜日では、仕事や趣味・娯楽に費やす時間に大きな違いがある。男女とも、有業者の方が無業者よりも平日と土曜日・日曜日の時間差が大きい。とくに、男性において顕著な差がある。その一因は、女性は有業者のパート・アルバイト比率が男性よりも高く、男性の有業者の平日の自由時間が短いことにあると考えられる。
平日に比べて日曜における時間が長くなる活動は、男性ではテレビ等、睡眠、趣味・娯楽の順であり、女性では睡眠、テレビ等、趣味・娯楽の順となる。平日に仕事や通勤・通学に費やされる時間が、休日には睡眠や3次活動に向けられる。就業状態が同じ場合、女性の睡眠時間は男性のそれよりも短く、かつ、平日と土曜日・日曜日の差が男性より小さい。
3次活動のうち、テレビ等と休養は心身を休める活動と位置付けられる。男性有業者については、これらの行動が土曜日・日曜日に大きく増える。女性有業者についても同様の傾向が認められるけれども、平日との差は男性のそれほど大きくない。
これに対し、自由時間を利用した活発な行動としては、趣味・娯楽やスポーツが挙げられる。とくに、男性有業者においては、これらの行動時間は土曜日・日曜日に大きく増えている。女性有業者については、趣味・娯楽の行動時間が土曜日・日曜日に増えるが、スポーツの行動時間には平日と土曜日・日曜日とで大きな変化がない。
趣味・娯楽とスポーツの時間帯別行動者率
趣味・娯楽やスポーツの時間帯別の行動者率(当該行動者の対人口比)を図12.2.1~4に示す。それによると、男女とも以下の傾向が読み取れる。趣味・娯楽については、朝食と昼食の間(11:00ごろ)と昼食と夕食の間 (15:00頃)、夕食後(22:00前)に行動者率のピークが見られる。最も高いピークは15:00ごろにある。さらに、深夜の時間帯(O:0前後)にも行動者率はO%とはならない。これら傾向は平日、土曜日、日曜日に共通して観察できる。
次に、スポーツの行動者率については、朝食と昼食の問の10:00頃に最も高いピークがあり、昼食と夕食の間の土曜日、日曜日15:00前、平日は17:00前に、それよりも低いピークがある。趣味・娯楽と異なり、夕食後のピークが目立だない代わりに、朝食前にピークがあるように見える。おそらく、ウォーキングや軽い体操、ジョギングなどを朝食前の習慣とする人が一定数いるのであろう。深夜時間帯の行動者率はほぼO%である。
趣味・娯楽
趣味・娯楽行動者率の推移
趣味・娯楽の行動者率は、1986年から91年に一旦上昇し、その後は低下した。しかし、2006年から16年にかけて、継続的に上昇した。男女差は縮小傾向にあり、2016年には、男子行動者率87.2%、女子行動者率は86.4%となり、両者の差は1%ポイントに満たない。
種目別趣味・娯楽行動者率の推移
余暇に楽しむ趣味・娯楽の種類については男女差が見られる。
男性の主な趣味・娯楽の行動者率を図12.3.2に示す(映画館での映画鑑賞を除く)。全体的に趣味・娯楽の行動者率は低下する傾向にある。ただし、種目別にみた趣味・娯楽の行動者率の低下幅は、スポーツよりも小さい。例外的に、テレビゲーム・パソコングームの行動者率は上昇傾向にあり、1986年の23%弱から2016年の40%強へと約20%ポイント上昇した。
女性の主な種目別趣味・娯楽行動者率を図12.3.3に示す(映画鑑賞を除く)。2001年以降、低下傾向にあるものは、趣味としての読書、演芸・庭いじり・ガーデニング、カラオケ、和裁・洋裁である。逆に上昇しているのはテレビゲーム・パソコングームである。その他は、同水準で推移している。
遊園地、動植物園、水族館の行動者率と行動者数
遊園地、動植物園、水族館の利用は、趣味・娯楽と行楽の要素を持つ。家族連れによる利用も多い。図12.3.4によれば、男女とも、10~14歳の行動者率が高く、15~19歳でいったん低下し、40歳前まで再び上昇した後に、徐々に低下している。おそらく、小学生の頃は親と一緒に、結婚後は幼少の子供といっしょに訪れることが多いのであろう。
男女・年齢階級別の行動者数については、ほとんどの年齢階級において女性の行動者数が多い。さらに、年間行動日数の分布を比較すると、10~29歳においては、女性の年間行動日数5日以上の行動者の割合が男性のそれよりも大きくなっている。
男女とも、65~69歳の行動者数が前後の年齢階級のそれよりも多い。この年齢層は団塊の世代にあたり、今後の行動者数の変化が注目される。
スポーツ
スポーツ行動者率の推移
「社会生活基本統計・生活行動編」からスポーツの行動者率を時系列的にみると、2011年まで男女とも低下傾向で推移した。低下傾向は男性の方が顕著であった。しかし、16年には男女とも反転して、06年を上回った。種目別に11年と比べると、卓球やバドミントンの行動者率の上昇が大きかった。これは、16年のリオデジャネイロ五輪開催も上昇の一因と考えられる。
2016年調査における都道府県別スポーツ行動者率を図12.4.2に示す。行動者率が全国のそれ(68.8%)より低い県が36ある。行動者率の高い3都県は、東京都(75.7%)、埼玉県(72.6%)、神奈川県(72.4%)、低い3県は、青森県(56.0%)、岩手県(60.6%)、秋田県(60.6%)となっている。
種目別スポーツ行動者率の推移
2011年から16年にかけて、スポーツ行動者率は上昇したけれども、個別には低下した種目もある。上昇の大きかっか5種目は、ウォーキング・軽い体操(35.7%から42.1%)、器具を使ったトレーニング(9.9%から14.9%)、ジョギング・マラソン(8.6%から11.2%)、卓球(3.9%から5.9%)、バドミントン(4.0%から5.7%)であった。逆に、低下の大きかった5種目は、サイクリング(8.4%から7.6%)、ソフトボール(2.9%から2.4%)、ゴルフ(8.3%から8.1%)、ボウリング(12.1%から11.9%)、剣道(0.6%から0.5%)であった。総じて、行動者率の上昇した種目数が多く、低下した種目も減少幅が小さかったので、スポーツ全体の行動者率が上昇した。
スポーツ観覧の推移
スポーツは観覧の対象でもある。スポーツ観覧(テレビなどによる観覧を除Oの行動者率は、男性で1986年(30%)から2011年(21.2%)にかけて10%ポイント程度低下し、女性では1986年(16.3%)から2011年(14.6%)の間、わずかな上下動はあるものの、ほとんど変化しなかった。しかし、2016年は男性25.2%、女性17.0%と男女とも反転し、06年の行動者率(男性24.7%、女性16.2%)を上回った。
スポーツ観覧の代表としてプロ野球とJリーグの年間入場者数と1試合当たり入場者数を図12.4.4と図12.4.5にそれぞれ示す。16年のプロ野球入場者数は約2498万人で前年よりも約74万人の増加、Jリーグ入場者数は約550万人で前年よりも約5万人の増加となった。16年の1試合当たり平均入場者数はプロ野球が約29千人で前年よりも0.9千人の増加、Jリーグは約18千人で前年よりも200人弱の増加であった。
ボランティア活動
ボランティア活動・社会的参加活動の行動者率
総務省「社会生活基本統計」におけるボランティア活動・社会的参加活動(以下、ボランティア活動)は、報酬を目的とせず、自分の労力、技術、時間を提供して地域社会や個人・団体の福祉のために行う活動と定義される。2001年から16年までの男女別ボランティア活動行動者率を図12.5.1に示す。男性(10歳以上)の行動者率は2001年の27.0%から06年(25.1%)に低下した後は約25%、女性(同)も01年の30.6%から06年に27.2%と低下したけれども、その後は約27%で推移した。
2016年における年齢別の行動者率を図12.5.2に示す。30歳まで行動者率が低下する傾向は男女に共通している。しかし、その後は男女に相違がみられる。男性は、概ね年齢が高くなるほどボランティア活動行動者率も高くなる。女性の行動者率は、45歳まで上昇し、その後は低下する。
ボランティア活動の種類
表12.5は、ボランティア活動の種類別行動者率を示す。ほとんどの種類は、低下ないしほとんど変化しなかった。例外的に、子供を対象とした活動は増加する傾向にある。災害に関係した活動については、3月に東日本大震災の発生した11年に行動者率が急上昇している。調査月が10月なので、震災の影響が認められる。
2016年において行動者数の多かったボランティア活動の3種は、男性ではまちづくりのための活動、安全な生活のための活動、子供を対象とした活動となっている。女性では、子供を対象とした活動、まちづくりのための活動、高齢者を対象とした活動の順になる。
娯楽・趣味やスポーツに比べると、ボランティア活動の行動者率は低い。しかし、行動者に注目すると、活動の頻度は高い。このことは、とくに女性に当てはまる。たとえば、子供を対象とした活動、高齢者を対象とした活動の双方で、年5日以上活動した者が行動者の過半をしめている。年間100日以上の行動者も相当数存在する。
どのボランティア活動をみても、総じて、女性の行動者数が多く、頻度も高い。例外は、スポーツ・文化・芸術・学術に関係した活動である。行動者数と頻度ともに、男性が女性を上回っている。この項目には、少年野球や少年サッカーのコーチ役なども含まれている。習い事の頻度の目安となる週1回以上の行動者の割合が比較的高くなっていることから、この項目には、ボランティアとはいいながら、定期的な行事(練習)のサポートが多く含まれていると思われる。
生活時間の配分
1次活動、2次活動及び3次活動の時間の変化
「社会生活基本統計」にみられる1991年から206年にかけての行動の種類別生活時間の変化は以下のようにまとめられる。
1次活動、すなわち、生理的に必要な活動の時間は、1991年から2016年にかけて、徐々に増加している。高齢者ほど身の回りの用事、食事に時間をかける傾向があり、高齢化の影響が認められる。
2次活動、すなわち、社会生活を営む上での義務的な性格が強い活動の時間は下げ止まった。とくに、女性において、家事の時間が減る一方、仕事と通勤・通学の時間が増加した。これは、女性の労働力人口比率の上昇に見合った結果である。とはいえ、項目別には男女間で大きな相違がみられる。仕事と通勤・通学については男性の活動時間が長く、家事と買い物、育児については女性の活動時間が長い。
3次活動、すなわち、各人の裁量で自由に行動する時間は、2011年まで増加傾向にあった。しかし、16年には男女ともわずかながら減少しか。項目別には、11年から16年にかけて男女ともテレビ・ラジオ・新聞・雑誌(以下、テレビ等)の活動時間が減少し、休養と趣味・娯楽の活動時間が増加した。交際・付き合いの活動時間は男女とも減少し続けた。
勤務間インターバルと通勤時間・睡眠時間
総務省は勤務間インターバル(以下、勤務間隔)に関する試算を公表した。勤務間隔とは、勤務終了から翌日の勤務開始までの時間を指す。通常の雇用者は、この間隔の中で、職場から帰宅し、睡眠を取って翌朝出勤する。それ以外の時間が平日の余暇に当たる。
EUでは、法律によって、11時間が勤務間隔の最低限とされる。
表12.1.2には、ホワイトカラーと分類できる4つの職業大分類別に、勤務間隔11時間未満の者の比率、勤務間隔の四分位点、最頻帯、平均通勤時間、平均睡眠時間を示す。それによると、専門的・技術的職業従事者は、短勤務間隔者の割合が高く、通勤時間も相対的に長い。結果的に、平均的な睡眠時間も短くなっている。
表12.1.3は、専門的・技術的職業従事者の中で職業中分類別に勤務間隔に関連する統計を示す。教員は、短勤務間隔者が2割弱存在し、平均的な睡眠時間も最短になっている。保健医療従事者については、勤務間隔が8時間未満と極端に短い者の割合が高いことが指摘されている。
生活時間の曜日効果
曜日による総平均時間の比較
平日と土曜日・日曜日では、仕事や趣味・娯楽に費やす時間に大きな違いがある。男女とも、有業者の方が無業者よりも平日と土曜日・日曜日の時間差が大きい。とくに、男性において顕著な差がある。その一因は、女性は有業者のパート・アルバイト比率が男性よりも高く、男性の有業者の平日の自由時間が短いことにあると考えられる。
平日に比べて日曜における時間が長くなる活動は、男性ではテレビ等、睡眠、趣味・娯楽の順であり、女性では睡眠、テレビ等、趣味・娯楽の順となる。平日に仕事や通勤・通学に費やされる時間が、休日には睡眠や3次活動に向けられる。就業状態が同じ場合、女性の睡眠時間は男性のそれよりも短く、かつ、平日と土曜日・日曜日の差が男性より小さい。
3次活動のうち、テレビ等と休養は心身を休める活動と位置付けられる。男性有業者については、これらの行動が土曜日・日曜日に大きく増える。女性有業者についても同様の傾向が認められるけれども、平日との差は男性のそれほど大きくない。
これに対し、自由時間を利用した活発な行動としては、趣味・娯楽やスポーツが挙げられる。とくに、男性有業者においては、これらの行動時間は土曜日・日曜日に大きく増えている。女性有業者については、趣味・娯楽の行動時間が土曜日・日曜日に増えるが、スポーツの行動時間には平日と土曜日・日曜日とで大きな変化がない。
趣味・娯楽とスポーツの時間帯別行動者率
趣味・娯楽やスポーツの時間帯別の行動者率(当該行動者の対人口比)を図12.2.1~4に示す。それによると、男女とも以下の傾向が読み取れる。趣味・娯楽については、朝食と昼食の間(11:00ごろ)と昼食と夕食の間 (15:00頃)、夕食後(22:00前)に行動者率のピークが見られる。最も高いピークは15:00ごろにある。さらに、深夜の時間帯(O:0前後)にも行動者率はO%とはならない。これら傾向は平日、土曜日、日曜日に共通して観察できる。
次に、スポーツの行動者率については、朝食と昼食の問の10:00頃に最も高いピークがあり、昼食と夕食の間の土曜日、日曜日15:00前、平日は17:00前に、それよりも低いピークがある。趣味・娯楽と異なり、夕食後のピークが目立だない代わりに、朝食前にピークがあるように見える。おそらく、ウォーキングや軽い体操、ジョギングなどを朝食前の習慣とする人が一定数いるのであろう。深夜時間帯の行動者率はほぼO%である。
趣味・娯楽
趣味・娯楽行動者率の推移
趣味・娯楽の行動者率は、1986年から91年に一旦上昇し、その後は低下した。しかし、2006年から16年にかけて、継続的に上昇した。男女差は縮小傾向にあり、2016年には、男子行動者率87.2%、女子行動者率は86.4%となり、両者の差は1%ポイントに満たない。
種目別趣味・娯楽行動者率の推移
余暇に楽しむ趣味・娯楽の種類については男女差が見られる。
男性の主な趣味・娯楽の行動者率を図12.3.2に示す(映画館での映画鑑賞を除く)。全体的に趣味・娯楽の行動者率は低下する傾向にある。ただし、種目別にみた趣味・娯楽の行動者率の低下幅は、スポーツよりも小さい。例外的に、テレビゲーム・パソコングームの行動者率は上昇傾向にあり、1986年の23%弱から2016年の40%強へと約20%ポイント上昇した。
女性の主な種目別趣味・娯楽行動者率を図12.3.3に示す(映画鑑賞を除く)。2001年以降、低下傾向にあるものは、趣味としての読書、演芸・庭いじり・ガーデニング、カラオケ、和裁・洋裁である。逆に上昇しているのはテレビゲーム・パソコングームである。その他は、同水準で推移している。
遊園地、動植物園、水族館の行動者率と行動者数
遊園地、動植物園、水族館の利用は、趣味・娯楽と行楽の要素を持つ。家族連れによる利用も多い。図12.3.4によれば、男女とも、10~14歳の行動者率が高く、15~19歳でいったん低下し、40歳前まで再び上昇した後に、徐々に低下している。おそらく、小学生の頃は親と一緒に、結婚後は幼少の子供といっしょに訪れることが多いのであろう。
男女・年齢階級別の行動者数については、ほとんどの年齢階級において女性の行動者数が多い。さらに、年間行動日数の分布を比較すると、10~29歳においては、女性の年間行動日数5日以上の行動者の割合が男性のそれよりも大きくなっている。
男女とも、65~69歳の行動者数が前後の年齢階級のそれよりも多い。この年齢層は団塊の世代にあたり、今後の行動者数の変化が注目される。
スポーツ
スポーツ行動者率の推移
「社会生活基本統計・生活行動編」からスポーツの行動者率を時系列的にみると、2011年まで男女とも低下傾向で推移した。低下傾向は男性の方が顕著であった。しかし、16年には男女とも反転して、06年を上回った。種目別に11年と比べると、卓球やバドミントンの行動者率の上昇が大きかった。これは、16年のリオデジャネイロ五輪開催も上昇の一因と考えられる。
2016年調査における都道府県別スポーツ行動者率を図12.4.2に示す。行動者率が全国のそれ(68.8%)より低い県が36ある。行動者率の高い3都県は、東京都(75.7%)、埼玉県(72.6%)、神奈川県(72.4%)、低い3県は、青森県(56.0%)、岩手県(60.6%)、秋田県(60.6%)となっている。
種目別スポーツ行動者率の推移
2011年から16年にかけて、スポーツ行動者率は上昇したけれども、個別には低下した種目もある。上昇の大きかっか5種目は、ウォーキング・軽い体操(35.7%から42.1%)、器具を使ったトレーニング(9.9%から14.9%)、ジョギング・マラソン(8.6%から11.2%)、卓球(3.9%から5.9%)、バドミントン(4.0%から5.7%)であった。逆に、低下の大きかった5種目は、サイクリング(8.4%から7.6%)、ソフトボール(2.9%から2.4%)、ゴルフ(8.3%から8.1%)、ボウリング(12.1%から11.9%)、剣道(0.6%から0.5%)であった。総じて、行動者率の上昇した種目数が多く、低下した種目も減少幅が小さかったので、スポーツ全体の行動者率が上昇した。
スポーツ観覧の推移
スポーツは観覧の対象でもある。スポーツ観覧(テレビなどによる観覧を除Oの行動者率は、男性で1986年(30%)から2011年(21.2%)にかけて10%ポイント程度低下し、女性では1986年(16.3%)から2011年(14.6%)の間、わずかな上下動はあるものの、ほとんど変化しなかった。しかし、2016年は男性25.2%、女性17.0%と男女とも反転し、06年の行動者率(男性24.7%、女性16.2%)を上回った。
スポーツ観覧の代表としてプロ野球とJリーグの年間入場者数と1試合当たり入場者数を図12.4.4と図12.4.5にそれぞれ示す。16年のプロ野球入場者数は約2498万人で前年よりも約74万人の増加、Jリーグ入場者数は約550万人で前年よりも約5万人の増加となった。16年の1試合当たり平均入場者数はプロ野球が約29千人で前年よりも0.9千人の増加、Jリーグは約18千人で前年よりも200人弱の増加であった。
ボランティア活動
ボランティア活動・社会的参加活動の行動者率
総務省「社会生活基本統計」におけるボランティア活動・社会的参加活動(以下、ボランティア活動)は、報酬を目的とせず、自分の労力、技術、時間を提供して地域社会や個人・団体の福祉のために行う活動と定義される。2001年から16年までの男女別ボランティア活動行動者率を図12.5.1に示す。男性(10歳以上)の行動者率は2001年の27.0%から06年(25.1%)に低下した後は約25%、女性(同)も01年の30.6%から06年に27.2%と低下したけれども、その後は約27%で推移した。
2016年における年齢別の行動者率を図12.5.2に示す。30歳まで行動者率が低下する傾向は男女に共通している。しかし、その後は男女に相違がみられる。男性は、概ね年齢が高くなるほどボランティア活動行動者率も高くなる。女性の行動者率は、45歳まで上昇し、その後は低下する。
ボランティア活動の種類
表12.5は、ボランティア活動の種類別行動者率を示す。ほとんどの種類は、低下ないしほとんど変化しなかった。例外的に、子供を対象とした活動は増加する傾向にある。災害に関係した活動については、3月に東日本大震災の発生した11年に行動者率が急上昇している。調査月が10月なので、震災の影響が認められる。
2016年において行動者数の多かったボランティア活動の3種は、男性ではまちづくりのための活動、安全な生活のための活動、子供を対象とした活動となっている。女性では、子供を対象とした活動、まちづくりのための活動、高齢者を対象とした活動の順になる。
娯楽・趣味やスポーツに比べると、ボランティア活動の行動者率は低い。しかし、行動者に注目すると、活動の頻度は高い。このことは、とくに女性に当てはまる。たとえば、子供を対象とした活動、高齢者を対象とした活動の双方で、年5日以上活動した者が行動者の過半をしめている。年間100日以上の行動者も相当数存在する。
どのボランティア活動をみても、総じて、女性の行動者数が多く、頻度も高い。例外は、スポーツ・文化・芸術・学術に関係した活動である。行動者数と頻度ともに、男性が女性を上回っている。この項目には、少年野球や少年サッカーのコーチ役なども含まれている。習い事の頻度の目安となる週1回以上の行動者の割合が比較的高くなっていることから、この項目には、ボランティアとはいいながら、定期的な行事(練習)のサポートが多く含まれていると思われる。
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