未唯への手紙
未唯への手紙
コンビニ難民を減らすために
『コンビニ難民』より 「コンビニ難民」を減らすことはできるのか
「合従連衡」による立地の多様化
では実際にそのコンビニを以後も有効活用していきたいと考えるならどうすべきか。そのためには、やはり店舗の徒歩圏人ロカバー率を引き上げることが重要となる。
そこでまずコンビニ難民の減少に一役買いそうな動きに着目したい。それはコンビニ業界で始まった合従連衡だ。
これまで、コンビニ各社が採用するフランチャイズ方式は、本部同士が合併してもフランチャイズ加盟店との契約調整が一つひとつ必要になり、多大な時間と労力がかかることから、コンビニはM&A(企業の合併・買収)が難しい業界といわれてきた。
2016年9月に、ファミリーマートはサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスと経営統合する。これにより、コンビニと総合スーパーを核とする流通グループが誕生し、セブン&アイ・ホールディングス、イオンに次ぎ、小売業国内3位の規模になる。
また、ファミリーマートは2015年10月には、中堅コンビニチェーンのココストアを完全子会社化した。ファミリーマートを存続会社とし、吸収合併することによりココストアが多く出店する九州・沖縄の店舗網を取り込む狙いだ。ファミリーマートの既存店と立地が重なるココストア店舗は外部に売却し、残るココストア店舗は順次、ファミリーマートヘとブランド転換する予定とされる。
同社は「コンビニを取り巻く環境が、『近くて24時間開いているという距離的・時間的な利便性追求の時代』から、『質の高い商品とより便利なサービスを展開する時代』を経て、現在は『社会・生活インフラとして顧客価値を創造し、提供していく時代』を迎えている」と捉えている。
その上で「『地域コミュニティの中心』として『品質ナンバーワン』を目指す」としており、質の向上や利便性を追求する上で、まずは規模の拡大による調達コストの削減や、インフラ機能の競争力強化を検討していく、という戦略なのだろう。
「規制緩和」によるカバー率向上
これまでコンビニを含めた商業施設の出店には、市街化調整区域(都市計画において市街化を抑制し、開発行為を原則行わないとされる区域)における制限が存在していた。
しかし最近、周辺住民の買い物に必要と思われる場合には、店舗面積に対する規制を緩和することを政府が都道府県に要請するなど、特にコンビニ店舗網の更なる拡充を促すような動きも見られはじめた(2015年7月9日付『日本経済新聞』夕刊)。
市街化調整区域では、標準的な広さのコンビニでは出店の規制対象となってしまうため、その対象にならないような狭い店舗にする必要がある。ただし、それでは商品を十分に置けないため、ほとんどの店で売上が損益分岐点に届かない、すなわち採算割れになるため、出店をあきらめるところが多かったようである。
自治体がコンビニの出店に柔軟に対応するようになれば、これまで立地を断念していたようなところでも、出店可能と判断できる場所が増えるかもしれない。
「撤退リスク」を乗り越える
人口の減少が進む日本の中でも、地方部ほど相対的に急速な人口減少に見舞われると考えられる。2010年から2040年にかけてめ人口減少ペースは、日本全体では16%と予想されているが、人口5万人以下の市町村においては3割と、さらに大きくなる。
神奈川県小田原市や大阪府岸和田市などが該当する人口20万人規模の都市であっても減少ペースは15%程度と試算され、蚕国平均並みの縮小ペースになる。
『人口蒸発「5000万人国家」日本の衝撃』(一般財団法人日本再建イニシアティブ著、新潮社)によると、現在は増加傾向にあったコンビニ店舗数も、2010年の4方5909店から、2040年には3方5136店まで、実に23%減少すると試算されている。
人口10万人以上の都市ではコンビニ店舗の減少率は16%にとどまるが、人口1万~10万人の市町村だと39%、1万人未満では48%と、人口規模が小さい地域ほど、コンビニの減少率は高まる。
彼らの分析では、人口減少に伴い、半径500m内の商圏人口が3000人を下回ってしまい、集客の低迷が予想されるコンビニ店舗のうち、2店に1店が閉店するものと仮定している。新規出店は想定していない試算であるため、将来の店舗数が少なめに出やすいとは思われるが、それを考慮しても結論は大きく変わらないはずだ。
いずれにせよ、経済合理性の成り立たない水準まで商圏人口が縮小すれば、民間企業であるコンビニは、その地域からの撤退を余儀なくされる可能性が高い。
すなわち、都市部より人口減少ペースの速い地方部において、コンビニ難民が今後発生しやすくなると推察されることには特に注意をしたい。
「労働力」の確保
経済産業省の研究会が2015年3月に取りまとめた「コンビニエンスストアの経済・社会的役割に関する調査報告書」によれば、これから各種の取り組みを強化したり、新たに実施したりする際の課題として、コンビニオーナーの立場としては「従業員の確保」、すなわち、従業員不足の問題をいかに解決するかが最も重要と認識されている。
特に地方の町村部においてスタッフの不足感が強い。少子化はもちろんのこと、人口の都市部流出の影響を受け、これまでコンビニの労働力として特に頼ってきた若い世代の減少が進み、ますますその確保が難しくなってきたのである。
そもそも慢性的な人手不足の背景には、深夜の時間帯も営業しているという、コンビニならではの事情がある。消費者にとっての利便性と表裏一体にある問題として、どうしても深夜など一部の時間帯に勤務できる人が少なくなる現状がうかがえる。さらに、夜間も開店しているスーパーや外食店などが増えるに従い、アルバイトの採用競争は激化。人手不足は構造的な経営課題と捉えられている。
今後さらにコンビニ市場が拡大するためには、深夜営業に要する人員も比例して必要になる。
この点、駅ナカなど買い物客の行列ができやすい立地の店舗を中心に、セルフレジの導入が進みつつあることは、人手不足の緩和につながる施策と期待される。ローソンでは2010年よりセルフレジの導入を進めており、朝や昼の来店客が多い時間帯における混雑緩和に役立てている。ただし、全ての商品が対象とされるわけではなく、酒類やたばこといった販売免許が必要な商品はセルフレジでは販売できないほか、セルフレジを利用したI回の買物金額は1万円までとなっている場合が多く、有人レジの必要性は残り、人員確保に関する問題が完全に解消されるとまでは言えない。
このところコンビニ各社は自治体との連携を通じ、高齢煮雇用の拡大に取り組み、店舗スタッフの確保を図ってきた。高齢者にとっても、家から近く、通勤が容易なコンビニ店舗で働き、所得を補完することは、超高齢化社会における老後の生活スタイルに適合しやすいと考えられることは既に述べた通りである。
少子化の改善が簡単には見込めない中、高齢化の進展、すなわち高齢者の高齢化(後期高齢者の増加)が進むことで、労働力人口が減少トレンドに入ることは避けられない。労働力をいかに上手く確保できるかが、やはり今後、コンビニが社会インフラとして機能するための最大の課題になるとみられる。
「合従連衡」による立地の多様化
では実際にそのコンビニを以後も有効活用していきたいと考えるならどうすべきか。そのためには、やはり店舗の徒歩圏人ロカバー率を引き上げることが重要となる。
そこでまずコンビニ難民の減少に一役買いそうな動きに着目したい。それはコンビニ業界で始まった合従連衡だ。
これまで、コンビニ各社が採用するフランチャイズ方式は、本部同士が合併してもフランチャイズ加盟店との契約調整が一つひとつ必要になり、多大な時間と労力がかかることから、コンビニはM&A(企業の合併・買収)が難しい業界といわれてきた。
2016年9月に、ファミリーマートはサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスと経営統合する。これにより、コンビニと総合スーパーを核とする流通グループが誕生し、セブン&アイ・ホールディングス、イオンに次ぎ、小売業国内3位の規模になる。
また、ファミリーマートは2015年10月には、中堅コンビニチェーンのココストアを完全子会社化した。ファミリーマートを存続会社とし、吸収合併することによりココストアが多く出店する九州・沖縄の店舗網を取り込む狙いだ。ファミリーマートの既存店と立地が重なるココストア店舗は外部に売却し、残るココストア店舗は順次、ファミリーマートヘとブランド転換する予定とされる。
同社は「コンビニを取り巻く環境が、『近くて24時間開いているという距離的・時間的な利便性追求の時代』から、『質の高い商品とより便利なサービスを展開する時代』を経て、現在は『社会・生活インフラとして顧客価値を創造し、提供していく時代』を迎えている」と捉えている。
その上で「『地域コミュニティの中心』として『品質ナンバーワン』を目指す」としており、質の向上や利便性を追求する上で、まずは規模の拡大による調達コストの削減や、インフラ機能の競争力強化を検討していく、という戦略なのだろう。
「規制緩和」によるカバー率向上
これまでコンビニを含めた商業施設の出店には、市街化調整区域(都市計画において市街化を抑制し、開発行為を原則行わないとされる区域)における制限が存在していた。
しかし最近、周辺住民の買い物に必要と思われる場合には、店舗面積に対する規制を緩和することを政府が都道府県に要請するなど、特にコンビニ店舗網の更なる拡充を促すような動きも見られはじめた(2015年7月9日付『日本経済新聞』夕刊)。
市街化調整区域では、標準的な広さのコンビニでは出店の規制対象となってしまうため、その対象にならないような狭い店舗にする必要がある。ただし、それでは商品を十分に置けないため、ほとんどの店で売上が損益分岐点に届かない、すなわち採算割れになるため、出店をあきらめるところが多かったようである。
自治体がコンビニの出店に柔軟に対応するようになれば、これまで立地を断念していたようなところでも、出店可能と判断できる場所が増えるかもしれない。
「撤退リスク」を乗り越える
人口の減少が進む日本の中でも、地方部ほど相対的に急速な人口減少に見舞われると考えられる。2010年から2040年にかけてめ人口減少ペースは、日本全体では16%と予想されているが、人口5万人以下の市町村においては3割と、さらに大きくなる。
神奈川県小田原市や大阪府岸和田市などが該当する人口20万人規模の都市であっても減少ペースは15%程度と試算され、蚕国平均並みの縮小ペースになる。
『人口蒸発「5000万人国家」日本の衝撃』(一般財団法人日本再建イニシアティブ著、新潮社)によると、現在は増加傾向にあったコンビニ店舗数も、2010年の4方5909店から、2040年には3方5136店まで、実に23%減少すると試算されている。
人口10万人以上の都市ではコンビニ店舗の減少率は16%にとどまるが、人口1万~10万人の市町村だと39%、1万人未満では48%と、人口規模が小さい地域ほど、コンビニの減少率は高まる。
彼らの分析では、人口減少に伴い、半径500m内の商圏人口が3000人を下回ってしまい、集客の低迷が予想されるコンビニ店舗のうち、2店に1店が閉店するものと仮定している。新規出店は想定していない試算であるため、将来の店舗数が少なめに出やすいとは思われるが、それを考慮しても結論は大きく変わらないはずだ。
いずれにせよ、経済合理性の成り立たない水準まで商圏人口が縮小すれば、民間企業であるコンビニは、その地域からの撤退を余儀なくされる可能性が高い。
すなわち、都市部より人口減少ペースの速い地方部において、コンビニ難民が今後発生しやすくなると推察されることには特に注意をしたい。
「労働力」の確保
経済産業省の研究会が2015年3月に取りまとめた「コンビニエンスストアの経済・社会的役割に関する調査報告書」によれば、これから各種の取り組みを強化したり、新たに実施したりする際の課題として、コンビニオーナーの立場としては「従業員の確保」、すなわち、従業員不足の問題をいかに解決するかが最も重要と認識されている。
特に地方の町村部においてスタッフの不足感が強い。少子化はもちろんのこと、人口の都市部流出の影響を受け、これまでコンビニの労働力として特に頼ってきた若い世代の減少が進み、ますますその確保が難しくなってきたのである。
そもそも慢性的な人手不足の背景には、深夜の時間帯も営業しているという、コンビニならではの事情がある。消費者にとっての利便性と表裏一体にある問題として、どうしても深夜など一部の時間帯に勤務できる人が少なくなる現状がうかがえる。さらに、夜間も開店しているスーパーや外食店などが増えるに従い、アルバイトの採用競争は激化。人手不足は構造的な経営課題と捉えられている。
今後さらにコンビニ市場が拡大するためには、深夜営業に要する人員も比例して必要になる。
この点、駅ナカなど買い物客の行列ができやすい立地の店舗を中心に、セルフレジの導入が進みつつあることは、人手不足の緩和につながる施策と期待される。ローソンでは2010年よりセルフレジの導入を進めており、朝や昼の来店客が多い時間帯における混雑緩和に役立てている。ただし、全ての商品が対象とされるわけではなく、酒類やたばこといった販売免許が必要な商品はセルフレジでは販売できないほか、セルフレジを利用したI回の買物金額は1万円までとなっている場合が多く、有人レジの必要性は残り、人員確保に関する問題が完全に解消されるとまでは言えない。
このところコンビニ各社は自治体との連携を通じ、高齢煮雇用の拡大に取り組み、店舗スタッフの確保を図ってきた。高齢者にとっても、家から近く、通勤が容易なコンビニ店舗で働き、所得を補完することは、超高齢化社会における老後の生活スタイルに適合しやすいと考えられることは既に述べた通りである。
少子化の改善が簡単には見込めない中、高齢化の進展、すなわち高齢者の高齢化(後期高齢者の増加)が進むことで、労働力人口が減少トレンドに入ることは避けられない。労働力をいかに上手く確保できるかが、やはり今後、コンビニが社会インフラとして機能するための最大の課題になるとみられる。
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