未唯への手紙
未唯への手紙
失意の楽観主義者
『かつての超大国アメリカ』より
アメリカとその未来について、私たちは悲観主義者ではない。私たちは楽観主義者だが、失望している。失意の楽観主義者なのだ。私たちの見解では、そのふたつの姿勢は両立する。私たちが楽観主義者なのは、自由に行動する精神、意見や才能の多様性、柔軟な経済、勤勉を旨とする労働倫理、創意工夫が大好きといった特徴をそなえたアメリカ社会が、私たちの暮らしているとてつもない難題に満ちた世界で繁栄するのに、申し分なく適しているからだ。私たちが楽観主義者なのは、アメリカの政治経済制度がきちんと機能すれば、国の人材やエネルギーを利用して、国が直面している難題に取り組むことができるとわかっているからだ。さらに、私たちが楽観主義者なのは、アメリカのこれまでの偉業の数々の記録が、現在の困難を乗り越えられることの充分な証左であるからだ。
だが、私たちが失望している理由もそこにある。アメリカの未来についての楽観もしくは悲観は、たんに偉業を成し遂げる能力や、偉業を成し遂げてきた歴史だけに関わるものではない。そうしたことをふたたび現実にやるという、私たちの意志に関わるのだ。現在も多くのアメリカ人がすばらしいことをやっているが、その規模は小さい。慈善事業、ボランティア活動、個人の野心的な計画。どれもすばらしいが、国がもっとも必要としているのは、大規模な一丸となった行動だ。
アメリカには、創造的で、才能にあふれ、勤勉に働く人々がおおぜいいるのだから、悲観的になってはいけない。しかし、どうしても失望せざるをえないのは、そういう人々の大多数が、国は彼らの必要とする労働力を教育していないし、彼らの求める活気あふれる移民を受け入れていないし、彼らが要望するインフラに投資していないし、先を見越した彼らの研究に予算を計上していないし、的確な税制や、競合する国がすでに実施している優遇策を取り入れていない、と感じているからだ。
ゆっくりした衰退には主な原因が四つあることを、論証していきたい。
一、冷戦終結後、アメリカ人、ことにアメリカの政治指導者たちは、公共政策の策定にとって重要なふたつの問いを自問することを、やめてしまった。すなわち「私たちが暮らしている世界はどのようなものであるのか?」という問いと、「その世界で繁栄するには、具体的になにをやる必要があるのか?」という問いである。
二、この二○年間、私たちは--国家として、最大の問題のいくつかと取り組むの怠ってきた--ことに教育、双子の赤字と負債、エネルギーと気候変動の問題だ。そして現在、それらが無視できないほどに悪化して、一丸となった行動や集団の犠牲がなければ有効な取り組みができないほどになっている。
三、さらに悪いことに、私たちはアメリカの昔ながらの偉大さの秘訣、建国の父たちの時代からあった秘訣に、自分たちの力を注ぎ込むのをやめてしまった。
四、これから述べるように、私たちが問題を解決できず、自分たちの力を再投資することができなくなったのは、アメリカの政治体制が麻揮し、価値観の体系が深刻に蝕まれているからだ。だが、最後に、私たちは楽観主義者として、こうした問題を乗り越える戦略を示すっもりでいる。
アメリカとその未来について、私たちは悲観主義者ではない。私たちは楽観主義者だが、失望している。失意の楽観主義者なのだ。私たちの見解では、そのふたつの姿勢は両立する。私たちが楽観主義者なのは、自由に行動する精神、意見や才能の多様性、柔軟な経済、勤勉を旨とする労働倫理、創意工夫が大好きといった特徴をそなえたアメリカ社会が、私たちの暮らしているとてつもない難題に満ちた世界で繁栄するのに、申し分なく適しているからだ。私たちが楽観主義者なのは、アメリカの政治経済制度がきちんと機能すれば、国の人材やエネルギーを利用して、国が直面している難題に取り組むことができるとわかっているからだ。さらに、私たちが楽観主義者なのは、アメリカのこれまでの偉業の数々の記録が、現在の困難を乗り越えられることの充分な証左であるからだ。
だが、私たちが失望している理由もそこにある。アメリカの未来についての楽観もしくは悲観は、たんに偉業を成し遂げる能力や、偉業を成し遂げてきた歴史だけに関わるものではない。そうしたことをふたたび現実にやるという、私たちの意志に関わるのだ。現在も多くのアメリカ人がすばらしいことをやっているが、その規模は小さい。慈善事業、ボランティア活動、個人の野心的な計画。どれもすばらしいが、国がもっとも必要としているのは、大規模な一丸となった行動だ。
アメリカには、創造的で、才能にあふれ、勤勉に働く人々がおおぜいいるのだから、悲観的になってはいけない。しかし、どうしても失望せざるをえないのは、そういう人々の大多数が、国は彼らの必要とする労働力を教育していないし、彼らの求める活気あふれる移民を受け入れていないし、彼らが要望するインフラに投資していないし、先を見越した彼らの研究に予算を計上していないし、的確な税制や、競合する国がすでに実施している優遇策を取り入れていない、と感じているからだ。
ゆっくりした衰退には主な原因が四つあることを、論証していきたい。
一、冷戦終結後、アメリカ人、ことにアメリカの政治指導者たちは、公共政策の策定にとって重要なふたつの問いを自問することを、やめてしまった。すなわち「私たちが暮らしている世界はどのようなものであるのか?」という問いと、「その世界で繁栄するには、具体的になにをやる必要があるのか?」という問いである。
二、この二○年間、私たちは--国家として、最大の問題のいくつかと取り組むの怠ってきた--ことに教育、双子の赤字と負債、エネルギーと気候変動の問題だ。そして現在、それらが無視できないほどに悪化して、一丸となった行動や集団の犠牲がなければ有効な取り組みができないほどになっている。
三、さらに悪いことに、私たちはアメリカの昔ながらの偉大さの秘訣、建国の父たちの時代からあった秘訣に、自分たちの力を注ぎ込むのをやめてしまった。
四、これから述べるように、私たちが問題を解決できず、自分たちの力を再投資することができなくなったのは、アメリカの政治体制が麻揮し、価値観の体系が深刻に蝕まれているからだ。だが、最後に、私たちは楽観主義者として、こうした問題を乗り越える戦略を示すっもりでいる。
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