都知事選もスタートして3日目。
当選ラインの票数まで言われだす。でも、大きな選挙は、まだこれから半月の間に大きく変わる。
どうも、ネットの様子を見ていると、増田氏には、マイナス点が発掘されて流されている雰囲気。
しかも、猪瀬元知事は知事時代に自民党都議らによほど苦しめられたのだろう、選挙中に激しく反撃(仕返し??)している。当然、増田氏にとっては大きなマイナス。
産経★≪猪瀬元東京都知事がインタビューで、「都議会のドン」に関する衝撃的な発言を炸裂(さくれつ)させた。2011年に自殺した自民党都議が、ドンのいじめに遭っていた-というすさまじい内容だ。猪瀬氏は自身のツイッターで、遺書ととれる「殴り書き」の公開にまで踏み切った。都知事選を直撃しかねない、強烈な「爆弾」が投げ込まれた格好だ。≫(夕刊フジ)
小池氏は、「ハチマキ」をするなど意外にパットしないし、ネットでも同様の印象。
一番出遅れた鳥越氏は、どういう政策が示されてくるか、注目されているようだ。どう転ぶかは、それら次第か。
なお、ヘイトスピーチ問題で街頭行動などに制約のある在特会の関係者は、選挙という公式の自由宣伝活動の場を痢レ要しようというのか、そんな立候補。事実なので、記事だけは、後半で記録しておく。
ところで、今朝は20度だったので、快適にノルディックウォークしてきた。
●都知事選、当選ラインは200万票か 各陣営の票読みは/朝日 2016年7月15日
●News Up 都知事選告示 ソーシャルでの関心は/NHK 7月14日
●<都知事選>事務所にも戦略あり 都庁・新宿区設置は1人/東京 7月15日
●猪瀬直樹氏が衝撃発言 自殺した都議は“都議会のドン”にいじめられていた…「遺書」画像も公開/産経 7.15
●【在特会の前会長、桜井誠氏、豪雨の中「雨宿りしている人が私の話を聞かざるを得ない」と気勢/産経 7.15
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●都知事選、当選ラインは200万票か 各陣営の票読みは
朝日 2016年7月15日
舛添要一前知事の辞職に伴う東京都知事選(31日投開票)は、21人が立候補し論戦を繰り広げている。主要政党の与野党が対決する構図になったことなどから、複数の陣営が投票率が前回2014年(46・14%)を上回るとみる。都内の有権者数は約1130万人で、勝敗を分ける当選ラインは200万票前後になると予想する。
2016東京都知事選
都民に寄り添うリーダーを 都知事選告示、論戦の行方は
選挙戦には、野党4党の統一候補となった鳥越俊太郎氏(76)=民進、共産、社民、生活の党と山本太郎となかまたちなど推薦=、自民、公明、日本のこころを大切にする党の推薦を受ける増田寛也氏(64)、元防衛相の小池百合子氏(64)らが立候補。小池氏は自民党都連との対決姿勢を打ち出しており、自民系の「分裂選挙」となっている。
鳥越氏を支援する民進都連幹部は、増田氏、小池氏と3人で票を分け合うと想定し、「当選ラインは200万票」。別の幹部は、増田氏が組織を固める自民らしい選挙を徹底し、小池氏は保守票と無党派層の一部を取り込むと読む。「鳥越さんのフィールドはそれ以外のすべて。受け皿としてやりやすい」
増田氏の陣営幹部も同様に200万票と見立てる。「参院選で自民、公明が都内の比例区で得た計約284万票に近い票をどこまで出せるか」。選挙戦の前半は、支援者に増田氏の名前を浸透させる方針だ。
小池氏の陣営幹部は、投票率を「5割強」とみる。想定の当選ラインは170万~180万票。「増田氏、鳥越氏と3人で争うと思う。200万票とれれば勝利は堅い」。陣営には党の支援がないが、「応援してくれる人は増えている。正攻法で訴えていきたい」。
03年から14年まで5回あった都知事選では、トップの得票は200万票超。最多は12年の猪瀬直樹氏の約434万票で、知名度がある候補が大量の得票で圧勝してきた。
当選者の得票が200万票を切ったのは1999年(投票率57・87%)。自民系が分裂したが、石原慎太郎氏が初当選した。得票は次点に81万票差の166万票。石原氏以外の候補者5人が60万票以上を集めたため、得票が伸び悩んだ。
投票率は、11年(57・80%)までは統一地方選と重なり、12年は衆院選と同日選で62・60%だったが、単独選挙となった14年は46・14%と低かった。都内では、投票率が10%下がれば投票者数が113万人減少するため、投票率の増減が当選ラインに大きな影響を与える。
●News Up 都知事選告示 ソーシャルでの関心は
NHK 7月14日
東京都知事選挙が14日に告示されました。投票日は今月31日です。事前に注目の人物が立候補を辞退したりなど今回も話題の多い都知事選ですが、ソーシャルメディアではどのようなテーマに関心が集まっているのでしょうか。その傾向を探りました。
候補の名前が挙がるたびに関心が急上昇候補の名前が挙がるたびに関心が急上昇
・・・・・(略)・・・
「税金」の使い方に関心
政治や選挙に関しては、どのようなワードに関心が集まったのでしょうか。
候補者の名前などを除いて調べたところ、まず多かったのは「税金」です。
「都知事選」と「税金」とともに投稿されたワードの種類を表したものが、この図です。
・・・・・・(略)・・・
「知名度」よりも「政策」を?
また、「政策」というワードにも関心が集まっていました。告示前の1か月は、候補者の名前が挙がるたびに関心が高まりましたが、「政策」とともに投稿されたワードの図です。告示日が近づくにつれて、「東京都知事選挙の候補選び。本来は政策がまずあってのはず」、「東京都知事選挙、流石(さすが)に今回は知名度ではなく、政策で選ぶべきですよね」などの投稿もあり、知名度よりも政策を重視したいという傾向もうかがえます。
ソーシャルメディアでは、個別の候補者を巡る投稿も増えており、今月31日の投票日に向けて、さらに分析を続けていきます。
●<都知事選>事務所にも戦略あり 都庁・新宿区設置は1人
東京 2016年7月15日
過去最多の二十一人が立候補した東京都知事選(三十一日投開票)。主要三候補の選挙事務所について取材すると、立地にそれぞれの戦略が浮かび上がる。 (都知事選取材班)
告示二日前に出馬表明したジャーナリスト、鳥越俊太郎さん(76)の事務所があるのは、港区南青山のビル二階。十日の参院選で当選した、民進党の蓮舫さんが事務所に使った場所だ。鳥越陣営は「どこがいいとか言っている時間はない。手っ取り早く使えるところを押さえた」と明かす。
広さは蓮舫さんが使った際の三倍のスペースを借りる。鳥越さんを推薦する民進、共産、社民、生活の野党四党の議員秘書らが“同居”するためだ。あるスタッフは「誰が何をやっているかまだ分からないが、急いで体制を整えたい」。
■ 自民と公明、日本のこころが推薦する元総務相の増田寛也(ひろや)さん(64)の事務所は、永田町に近い千代田区隼町に設置された。自民党本部からは約五百メートルの距離で、新宿区の公明党本部からも車で約七分。増田さんを支援する各種団体の事務所も近く、支援者が集まりやすいという。
組織選挙を象徴するように、事務所内は壁いっぱいに、ため書きと呼ばれる「祈必勝」のメッセージがずらり。陣営は「岩手県知事や総務相を務めた経験から、ほかの現職知事や区市町村長からも激励が届く」と強調した。
■ 東京10区(豊島区、練馬区の一部)選出の自民党衆院議員だった元防衛相の小池百合子さん(64)は、地元・池袋のビルに事務所を開設した。「衆院時代にこの事務所で勝ってきたから縁起がいいし、池袋の真ん中で多くの人の目に触れる抜群の立地でもある。広さもちょうどいい」と陣営幹部は語る。
スタッフの間では、事務所に集まるよう連絡をする場合にも、ビル名の「のとや」にちなんで「のとや集合」と言うだけで伝わるくらいに定着。「今回もここに構えたのは自然の流れ」という。
都選管によると、立候補した二十一人のうち選挙事務所の設置を届け出たのは十三人。このうち、元労相の山口敏夫さん(75)は永田町、前兵庫県加西市長の中川暢三(ちょうぞう)さん(60)は新宿に事務所を構えた。都庁のある新宿区に事務所を置いたのは中川さん一人だけという。
●猪瀬直樹氏が衝撃発言 自殺した都議は“都議会のドン”にいじめられていた…「遺書」画像も公開
産経 2016.7.15
猪瀬直樹元東京都知事がインターネット上のインタビューで、「都議会のドン」に関する衝撃的な発言を炸裂(さくれつ)させた。2011年に自殺した自民党都議が、ドンのいじめに遭っていた-というすさまじい内容だ。猪瀬氏は自身のツイッターで、遺書ととれる「殴り書き」の公開にまで踏み切った。都知事選を直撃しかねない、強烈な「爆弾」が投げ込まれた格好だ。(夕刊フジ)
インタビューが掲載されたのは、ニュース共有サービス「NEWS PICKS」(ニューズピックス)で、13日に公開された。
猪瀬氏は、自民党都議の樺山卓司(かばやま・たかし)氏(当時)が、11年7月1日に自宅で自殺した原因について、「(都連実力者の)A氏にあります(中略)。A氏に何をされたかというと、都議会議員の集まりの中で嫌がらせ的に罵倒されたり、議長になれたのにならせてもらえなかったり、ギリギリといじめ抜かれた(中略)。『反A氏』の声を上げると粛清されてしまう-そんな世界が都議会にはあるわけです」と語っているのだ。
猪瀬氏が名指ししたA氏は、都知事選に出馬した小池百合子元防衛相も「都議会のドン」と呼び、注目を集めたことでも知られる。
猪瀬氏は先日、樺山氏の親族から「父は憤死した」との連絡を受け、遺書を見せてもらったという。猪瀬氏は証拠を示すかのように自身のツイッターで遺書を公開した。
その遺書には、《これは全マスコミに発表して下さい。Aを許さない!!人間性のひとかけらもないA。来世では必ず報服(原文ママ)します!御覚悟!!自民党の皆さん。旧い自民党を破壊して下さい》という壮絶な殴り書きが確認できる。
なお、産経新聞は11年7月2日付朝刊で、樺山氏が1日未明に死亡したとの記事を掲載し、「警視庁は、自殺の可能性が高いとみて調べている」と報じている。
猪瀬氏が投げ込んだ「爆弾」は、都知事選を「A氏ら自民党都連に支援された増田寛也元総務相」と「A氏らと戦う小池氏」という構図にするのか。猪瀬氏はインタビューの中で、小池氏について「期待したい」と語っている。
◇ A氏は14日朝、夕刊フジ記者の直撃取材に対し、猪瀬氏のインタビュー内容について、「そんなのコメントしたくない。バカみたいな話」と語った。夕刊フジ記者が「あり得ない話なのか?」と聞くと、A氏は「はい」と言い切った。同氏の事務所も同日、「事実無根だ」とコメントした。
●【東京都知事選】在特会の前会長、桜井誠氏、豪雨の中「雨宿りしている人が私の話を聞かざるを得ない」と気勢
産経 2016.7.15
舛添要一前東京都知事の辞職に伴う都知事選(31日投開票)に無所属で立候補した「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の前会長、桜井誠氏(44)は14日午後3時すぎ、東京都豊島区の池袋駅前で第一声を上げ、「日本を愛する魂があれば、桜井誠に一票を」と支持を呼びかけた。
スラックス姿で、ワイシャツに青いネクタイを締めて選挙カーに上がった桜井氏は、自民、公明両党が舛添氏を都知事に推した経緯をあげ「紹介した責任は自民党にある。本来、候補者など立ててはいけない」と断じた。
また、舛添氏の就任直後から、デモなどで政策を批判していたのは「われわれだけだった」と強調。他の保守系候補らを「(当時)何もしないでどこが保守だ」と厳しく批判した。
一方、軍事的圧力などを強める中国や北朝鮮の動向を厳しく非難し、国防の重要性を強調。日本国内について「外国人犯罪の温床になっている」と指摘した。
演説中、豪雨に雷も鳴り響き、びしょぬれとなったが「雨が降ってもやりが降ってもやめない。私には恵みの雨。雨宿りしている人が私の話を聞かざるを得ない」と気勢を上げた。
桜井氏は「日本を取り戻す7つの約束」として、外国人生活保護の廃止▽都内の不法滞在者の半減▽反日ヘイトスピーチ禁止条例制定▽総連、民団施設への課税強化▽違法賭博パチンコ規制の実施▽韓国学校建設中止▽コンパクトな東京五輪の実施-を掲げている。
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都知事選の告示の前日と当日の驚きは次のこと。
≪天皇≫が「生前退位」の意向と報道されたのは、告示日前日の13日(水)の夕方、のよう。
NHKの19時の全国ニュースで長時間流していた。昨日の朝もそう。そして告示された昨日の19時からのNHKの全国ニュースでは、この報道が一番に始まり、済んだのは10分ごろ、だろうう。次が都知事選のニュース。
≪天皇≫案件で、各報道が一斉にそちらに流れたという背景が気になる。経過にふれた記事では、≪毎日★宮内庁の一部の幹部が水面下で検討を進めていた。首相官邸の房副長官とすり合わせ、方向性が定まった≫という。
そうなら、絶対漏れてはならない協議。
性質上、当然、安倍氏が聞いていないわけはない。そういう特殊な案件を都知事選のスタートに、どこかのスクープとしてぶつけて、各社報道を占領しようというのは、権力側の仕組んだこと、と考える人は私だけではないだろう。
参院選における政権・自民党側からの報道への抑圧、牽制は知られるところだけど、今回は報道を誘導する作戦か。
参院選の報道が少なかったと指摘されるNHKの姿勢、この都知事選でも同様らしい。
ということで今日は、次を記録。
●鳥越氏「野党統一」で出馬取りやめ宇都宮氏と共闘/日刊スポーツ 2016年7月14日9時55分
●<生前退位意向>5月から検討加速 宮内庁幹部ら5人/毎日 7月14日 15時0分
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●鳥越氏「野党統一」で出馬取りやめ宇都宮氏と共闘
日刊スポーツ 2016年7月14日9時55分
舛添要一氏の辞職に伴う東京都知事選は、今日14日に告示される。社会面では「出直し!東京」と題し、新しい東京の顔を目指す各候補の戦いをリポートしていく。元日弁連会長の宇都宮健児氏(69)は13日、小池百合子元防衛相(63)、増田寛也元総務相(64)、ジャーナリスト鳥越俊太郎氏(76)の3候補とともに都内で日本記者クラブ主催の公開討論会に出席。政策などを述べたが、同日夜に一転、出馬断念を表明した。
宇都宮氏は13日夜、都内で会見し、都知事選の出馬を取りやめると発表した。野党統一候補として鳥越氏が12日、出馬の意向を表明し、野党系候補も分裂危機にあったことから「保守の候補者が分裂しているという状況、都政をより都民の生活に優しいものへと転換していく、千載一遇の機会だ」とし、自ら決断した。
鳥越氏とはこの日、日本記者クラブでの会見後に弁護士会館で面会。宇都宮氏の政策について「ほとんどに賛成する」との言葉をもらった。宇都宮陣営が政策を実行するとの確約を得たのが「土壌汚染問題が残る築地市場移転の一端中止」「外環道などの道路建設の見直し」「横田基地へのオスプレイ配備反対」。鳥越氏が都知事に当選した暁には政策ブレーンにとの依頼も受けた。
苦渋の決断だった。14年都知事選の落選後、選対メンバーと何度も都議会を傍聴し、都民の生活に直結する政策研究を重ねての出馬。12日の選対会議では「戦うべき」との声が多かった。その日、選対幹部が事務所を出たのは深夜2時。かんかんがくがくだった。
選対幹部は「日本記者クラブで鳥越さんが政策について(レベルが)ひどかったら、そのまま戦おうと思っていた」と明かした。しかし、午後6時ごろから最後の選対会議を開き、メンバーらが涙を流す中「大局的に判断して」と、不出馬を決めた。
選対スタッフを思ってのことでもあった。「降りろ」との誹謗(ひぼう)中傷の電話が鳴りやまなかった。「それだけはやめろと。我々は3年間、本気で都政を変えようとやって来たんだ…」。弱者に寄り添い続けてきた人権派弁護士が、涙で悔しがった。【三須一紀】
●<生前退位意向>5月から検討加速 宮内庁幹部ら5人
毎日 7月14日(木) 15時0分
<生前退位意向>5月から検討加速 宮内庁幹部ら5人
明治時代以降初となる天皇の「生前退位」に関し、天皇陛下のご意向を受け、宮内庁の一部の幹部が水面下で検討を進めていたことが分かった。今年5月半ばから会合を重ねて検討が本格化。首相官邸にも連絡してすり合わせてきた。こうした動きは内々に進められてきたが、天皇制に関する転換点であることを踏まえ、今後、公表のタイミングを計り、広く国民の理解を図る考えだ。
宮内庁関係者によると、検討を進めていたのは、風岡典之長官ら「オモテ」と呼ばれる同庁の官庁機構トップ2人と、「オク」と呼ばれ、陛下の私的活動も支える侍従職のトップ2人。皇室制度に詳しいOB1人が加わり、皇室制度の重要事項について検討。「4+1」会合とも呼ばれている。
陛下は7年前から、皇太子さま、秋篠宮さまと3人でお会いする機会を月1回程度設けてきた。この中で、今後の皇室に関する話題も出ることがあったという。
「4+1」会合はそれを受けて開かれることもあり、5月半ばから、早朝に会合を行うなど活動が加速。生前退位に伴う手続きの検討とみられ、午前8時過ぎに同庁長官室に集まることもあった。頻繁に会合を重ね、皇室典範の改正や新法、元号の問題、退位後の呼称なども検討。結果を首相官邸の杉田和博官房副長官とすり合わせ、方向性が定まったことについては両陛下に河相周夫侍従長らが報告してきた。
最近では、両陛下が静養のため神奈川県の葉山御用邸に出発した今月11日の前日にも報告しており、風岡長官は参院選の最中にも官邸に足を運んでいた。【大久保和夫、高島博之】
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昨夕のニュースで、宇都宮さんが立候補を取りやめると発表したと流れた。ホット安心した。
これで、分かりやすい3局構造の都知事選になる。大きい選挙ほど「分かりやすさ」が大事。
今回の都知事選で一番心配していたのは、「安倍と橋下が組んで、橋下都知事」を画策したら・・ということ。今年の春前ごろから一部ではその懸念も指摘されていた。
橋下選挙は分かりやすい選挙。今回の3人と比べれば、ダントツに抜け出る。
実質3人の争いになる今回の都知事選。まさか、一晩で橋下氏の立候補もないだろうからと安心。
デイリースポーツ★≪前大阪市長の橋下徹弁護士(47)が13日、ツイッターで、14日告示の東京都知事選について「しかし東京都知事選候補者は、コメンテーター候補が多いな。政治の実行プロセスを知らない人ばかり」とツイートした。≫
橋下氏だって、最初の選挙の時は「政治の実行プロセスを知らなかった」のに。
ともかく、今日の朝告示なので私の観点で幾つかのニュースを記録しておく。
状況を端的に示しているのは次。
産経★≪都連所属の中堅議員は「小池氏は与党票も野党票も一定程度取る。鳥越氏が野党票の大半を固めた上に、浮動票を得て自民分裂の『漁夫の利』を得る可能性はある」と話す。知名度の高い小池氏と鳥越氏による劇場型選挙に巻き込まれ、増田氏が埋没することを懸念している。小池氏側は、俳優の石田純一氏の出馬断念で解消されたはずの浮動票奪い合いの懸念が、鳥越氏の出馬で再燃した格好。「政権への批判票は、小池氏ではなく鳥越氏に向かうのでは」(自民党幹部)と鳥越氏の“脅威”は小池氏にも及んでいる。≫
加えて、増田氏は、原発事故の東電にも平気で取締役をやっていたらしい。
読売★≪増田氏、東電HD社外取締役を辞任…≫
なお、組合系の連合は割れる。
時事★≪2014年の前回選挙では、民主党が細川護熙元首相を実質支援したのに対し、連合東京は自民、公明両党が推した舛添要一氏を支持している。≫
●東京都知事選 宇都宮氏が立候補取りやめ/NHK 7月13日 19時31分
●【東京都知事選】与党、鳥越俊太郎氏出馬に危機感 分裂選挙で浮動票も流出/産経 7.13
●増田氏、東電HD社外取締役を辞任…選挙集中か/読売 7月13日
●連合は自主投票=民進と対応分かれる【都知事選】/時事 7/13
●橋下氏 都知事選候補らをバッサリ「コメンテーター気分」…会見より先に政策協定を/デイリースポーツ 7.13
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●東京都知事選 宇都宮氏が立候補取りやめ
NHK 7月13日 19時31分
14日告示される東京都知事選挙に立候補を表明していた日弁連・日本弁護士連合会の元会長の宇都宮健児氏は、13日夜、記者会見し、野党4党が支援するジャーナリストの鳥越俊太郎氏が、立候補することを受けて、「大局的な観点から撤退という判断をした」と述べ、みずからの立候補を取りやめることを明らかにしました。
14日告示される東京都知事選挙を巡って宇都宮氏は、11日記者会見して立候補を表明していましたが、12日、野党4党が支援する鳥越氏が立候補することを受けて、支援者らと対応を協議していました。
宇都宮氏は、13日夜8時前から都内で記者会見し、「立候補を取り下げるという判断をした」と述べて、みずからの立候補を取りやめることを明らかにしました。そのうえで、「きのうになって、野党の方々が、ほかの候補者を立てたことで、市民運動を担っている方々にも、非常に悩ましい対立的な状況が生まれかねない状況になった。
一方で、今回の都知事選挙は、保守の候補者が分裂している状況にあり、都政を都民生活に優しいものに転換していく千載一遇のチャンスと考えている」と述べました。そして鳥越氏と12日と13日の2回会ったことを明らかにしたうえで、「鳥越氏から私たちの政策を参考にしていくとうかがい、大局的な観点から考え、撤退という判断をした。多くの都民に心よりお礼とおわびを申し上げる」と述べました。
また宇都宮氏は「野党は責任を持って政策論争ができるよう鳥越さんを支えていかなければいけない。態勢作りや政策作りが急務だ」と述べ、鳥越氏に対する野党の支援態勢が重要だという認識を示しました。また鳥越氏から支援の要請を受けた場合の対応については、「そのとき考えたいと思う」と述べました。
宇都宮氏が、立候補を取りやめたことで、東京都知事選挙は、告示前日の夜にようやく構図が明確になりました。
民進都連会長「宇都宮氏に敬意」
民進党東京都連の会長を務める松原元拉致問題担当大臣は、13日夜、記者団に対し「宇都宮氏が都民のために大きな決断をされたことに心より敬意を表したい。鳥越氏に一本化できたことが何よりも重い。鳥越氏に、幅広く都民の思いを結集し安倍政権の暴走を止めるための象徴的な戦いとして勝利を目指して頑張っていきたい」と述べました。
●【東京都知事選】与党、鳥越俊太郎氏出馬に危機感 分裂選挙で浮動票も流出
産経 2016.7.13 23:23
東京都知事選告示を目前に控え、増田寛也元総務相を推薦する自民、公明両党に危機感が広がっている。自民党の小池百合子元防衛相が出馬して分裂選挙となったうえ、知名度の高いジャーナリストの鳥越俊太郎氏が野党統一候補になったことで、一定の浮動票が流れるとみられるからだ。
「都知事選と憲法、国政と都政の問題は分けるべきだ」。増田氏は13日、日本記者クラブでの記者会見で、改憲阻止を出馬理由に挙げた鳥越氏を牽制(けんせい)した。
自民党都連幹部が注目するのは、参院選東京選挙区の投票結果だ。当選した自民党候補2人のうち都連が組織を総動員した現職候補に公明党候補の得票を足した約165万票が増田氏の“基礎票”と分析。前回平成26年知事選で舛添要一前知事が獲得した約211万票を勝敗ラインとみれば、どこまで浮動票を上乗せできるかがカギを握る。
都連所属の中堅議員は「小池氏は与党票も野党票も一定程度取る。鳥越氏が野党票の大半を固めた上に、浮動票を得て自民分裂の『漁夫の利』を得る可能性はある」と話す。知名度の高い小池氏と鳥越氏による劇場型選挙に巻き込まれ、増田氏が埋没することを懸念しているのだ。
自民党都連は11日付で小池氏を念頭に党が推薦していない候補者を応援した場合、「除名などの処分対象になる」との文書を所属国会議員や地方議員に配布した。ただ、露骨な組織の引き締めは、小池氏への同情票につながりかねない。
一方の小池氏側は、俳優の石田純一氏の出馬断念で解消されたはずの浮動票奪い合いの懸念が、鳥越氏の出馬で再燃した格好。「政権への批判票は、小池氏ではなく鳥越氏に向かうのでは」(自民党幹部)と鳥越氏の“脅威”は小池氏にも及んでいる。(沢田大典)
●増田氏、東電HD社外取締役を辞任…選挙集中か
読売 2016年07月13日 17時47分
東京電力ホールディングスは13日、社外取締役の増田寛也・元総務相が8日付で辞任したと発表した。
増田氏は東京都知事選への出馬を表明しており、選挙戦に集中するためとみられる。
同社によると、11日に増田氏から辞任の申し出があり、理由の説明はなかったという。増田氏は2014年6月から社外取締役を務めていた。
●連合は自主投票=民進と対応分かれる【都知事選】
時事 2016/07/13-18:55
民進党最大の支援団体である連合は、東京都知事選(14日告示、31日投開票)で特定候補を支援せず、自主投票で臨む方針を決めた。地方組織の連合東京が13日の執行委員会で正式決定した。前回の都知事選に続き、連合東京と民進党(旧民主党)の対応が分かれた。
連合東京の岡田啓会長は執行委員会後の記者会見で、自主投票とした理由について「候補者それぞれの政策を検証する時間もない中で、1人を選ぶのは困難と判断した」と説明した。
民進党本部は13日、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)の推薦を決定。これを受け、同党都連会長の松原仁衆院議員が連合東京を訪れ、鳥越氏への推薦を要請したが、岡田会長は自主投票の方針を伝え、要請に応じなかった。
2014年の前回選挙では、民主党が細川護熙元首相を実質支援したのに対し、連合東京は自民、公明両党が推した舛添要一氏を支持している。
今回も連合の一部には自公両党が推す増田寛也元総務相(64)について「政策的に近い」として、民進党に「相乗り」を促す動きがあった。しかし、同党執行部は参院選で共闘した他の野党と共に鳥越氏を擁立。連合側は民進党と真っ向から対立するのを避け、傘下労組の判断に委ねることにした。
●橋下氏 都知事選候補らをバッサリ「コメンテーター気分」…会見より先に政策協定を
デイリースポーツ 2016.7.13
前大阪市長の橋下徹弁護士(47)が13日、ツイッターで、14日告示の東京都知事選について「しかし東京都知事選候補者は、コメンテーター候補が多いな。政治の実行プロセスを知らない人ばかり」とツイートした。
橋下氏は「まず最初にやるべきは記者会見ではなく都議会各会派との政策協定」と指摘。「僕も知事選挙のときは自民党・公明党と政策協定をやった」「政党の推薦を受けない候補者は自分が語っていることが実行できるのか確認。コメンテーター気分ではダメ」と記した。
また都議会との対決姿勢を打ち出している小池百合子元防衛相についても「小池さんや他の候補者もまずは都議会との協議だよ。小池さんは課題意識を議会にぶつけて合意できなければそこで宣戦布告」と求めた。
都知事選を巡っては12日に、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)が出馬表明の会見を行ったが明確な政策は示されなかった感がぬぐえず、急な出馬決定のためか、他の出馬表明者の公約を把握しておらず、争点など問われても「わかりません」を連発していた。
また元ジャーナリストの上杉隆氏(48)も出馬表明している。
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昨日のブログで、「野党共闘の成果」について、次のように書いてから、関連データを見た。
≪首長選挙などで「共産党が候補を出さなければ」というケースがたくさんある・・逆転の可能性が乏しくなり有権者の期待観が減じて・・今回の都知事選でも、そんなことになってしまいそうな雰囲気。出ない選択も大事。最後にそれぞれが決断してほしい≫
東京の参院選は「野党共闘でなかった」ので、知事選もここまでくると難しいかと思っていたから。
それが夕方のニュースを見て、野党4党統一候補に鳥越氏、とあった。宇都宮さんが降りることは、個々の団体や共産党系が認めないだろうと思った。ところが、4党幹部が鳥越さんを囲んで握手している映像が流れて、これは決まったと思った。将来(の衆議院選など)に向けての共闘の評価、位置づけだろう。
この「究極の後出し」の経過についての報道を見ていて、背景に「参院選の東京選挙区の合計得票数は野党共闘が自公を上回っていた」旨の事実も作用していたらしい。次の2件の報道が分かりやすかった。
そのあたりを記録しておく。
スポニチ★≪都知事選の出ばなで蓮舫氏(48)という“無双候補”の擁立に失敗し迷走を続けた民進党が、告示2日前の土壇場で「これ以上ない最強カード」(民進党関係者)の鳥越俊太郎氏を手に入れた。なぜこの「代打逆転満塁ホームラン」(同)は起きたのか・・「改憲への危機感」から出馬した鳥越氏だが、参院選翌日に決意した背景には“勝算”という、もう一つの理由があった。「東京選挙区の各候補者別の得票数を与野党の枠組みで比べてみたら、野党共闘が自公を上回った。しかも相手は分裂状態。勝てる!と踏んだ」(同)
出馬会見に古賀氏を飛び入りさせ、すぐに宇都宮健児氏のところへ出向いたのも、その勝算の表れ。「鳥越氏には東京で戦った蓮舫氏のスタッフがそのまま引き継ぐ。態勢は万全」と、迷走ぶりがウソのように民進の鼻息は荒くなっている≫
fnn-news★≪東京都知事選の野党4党統一候補として鳥越俊太郎氏が立候補を表明。先出しジャンケンの小池氏に、「究極の後出しジャンケン」と言わしめた、鳥越氏。究極の後出しジャンケンは、どのようにして生まれたのか。
まずは、6月16日。当初、「ポスト舛添」として名前が挙がっていた、民進党の蓮舫代表代行が、知事選には出ないと明言。この直後から、民進党は、鳥越氏に出馬を打診していた。・・鳥越氏は「参院選の開票状況を見て、日本も戦後70年、平和な時代をずっと過ごしてきたのに、時代の流れがちょっと変わり始めたなと、参院選の時に感じました」と述べた。ここから、究極の後出しジャンケンに向けて、動きが急加速した・・≫
●都知事選 野党4党統一で鳥越氏出馬 自公は増田氏推薦/毎日 2016年7月12日 20時58分
●共闘重視で土壇場決着=人選迷走、結束課題に-野党陣営・都知事選/時事 7/12-20:49
●民進 結果オーライ ドタバタの末に後出し「最強カード」ゲット 東京都知事選/スポニチ 7月13日
●都知事選 野党4党統一候補として鳥越 俊太郎氏が立候補を表明/fnn-news 7/13 02:09
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●都知事選 野党4党統一で鳥越氏出馬 自公は増田氏推薦
毎日 2016年7月12日 20時58分
東京都知事選への出馬を表明し野党4党の幹部らと握手するジャーナリストの鳥越俊太郎氏(中央)=東京都千代田区で2016年7月12日、宮間俊樹撮影
東京都知事選(31日投開票)で12日、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)が都内で記者会見して立候補を表明した。野党4党が統一候補として支援する。自民、公明両党は同日、前岩手県知事の増田寛也元総務相(64)の推薦を決定した。
自民党衆院議員の小池百合子元防衛相(63)も出馬表明しており、自民党は「分裂選挙」となる。3回目の挑戦を表明している宇都宮健児・元日本弁護士連合会会長(69)と合わせ、選挙戦の構図がほぼ固まった。都知事選は14日に告示される。
●共闘重視で土壇場決着=人選迷走、結束課題に-野党陣営・都知事選
時事 2016/07/12-20:49
野党側の東京都知事選候補選びは、告示2日前の土壇場で決着した。参院選で一定の成果を挙げた野党共闘の枠組みを重視した結果、人選に時間を要した格好だ。ただ、その過程で何人もの候補が浮かんでは消えたほか、最後は民進党執行部が同党都連の頭越しに鳥越俊太郎氏の擁立を決めており、陣営内の結束が課題になりそうだ。
民進、共産、社民、生活の4野党が統一候補として推す鳥越氏は、ジャーナリストとして知名度が高く、2007年の都知事選でも立候補が取り沙汰された。民進党の枝野幸男幹事長は12日の記者会見で「幅広く市民に呼び掛け、都政を刷新していきたい」と述べ、市民団体との連携に期待を示した。同席した鳥越氏も「力いっぱい戦い抜き、市民の声に応えたい」と呼応した。
4野党が共闘して臨んだ10日の参院選では、東日本の1人区で善戦。都知事選でも、まとまれば勝機はあるとみている。民進党幹部は、参院選東京選挙区での与党候補3人と、民進、共産両党候補3人の得票合計の差が3000票だったことに触れつつ「与党陣営が割れている今回はチャンス」と関係者を説いて回っている。
ただ、ここに至るまで民進党東京都連を中心とした人選は迷走を重ねた。最初に名前が挙がった同党の蓮舫代表代行は都政への転出を固辞。一部には「国政の枠組みを都政に持ち込むべきではない」と、自民党が推す増田寛也元総務相への相乗り論があったほか、長島昭久元防衛副大臣の立候補に期待する声も出た。11日には元経済産業省官僚の古賀茂明氏に出馬を要請した。
これとほぼ同時刻、「二股」をかける形で岡田克也代表が、共産党にも期待があった鳥越氏と接触。古賀氏にそれを通告したのは同日夜だった。
岡田氏は12日、党本部で松原仁都連会長と会い、「いろんなことがあってこうなったけど、悪かった」と陳謝。その上で「曲げて、都連を挙げた鳥越氏への支援をお願いする」と要請した。
●民進 結果オーライ ドタバタの末に後出し「最強カード」ゲット 東京都知事選 (14日告示、31日投開票)
スポニチ 2016年7月13日
都知事選の出ばなで蓮舫氏(48)という“無双候補”の擁立に失敗し、グダグダの迷走を続けた民進党が、告示2日前の土壇場で「これ以上ない最強カード」(民進党関係者)の鳥越俊太郎氏を手に入れた。なぜこの「代打逆転満塁ホームラン」(同関係者)は起きたのか――。
本紙の取材では、元々民進党は鳥越氏に打診していた。過去2度、健康問題などを理由に固辞されており「今回もあっさり断られた」(民進党都議)。それが「前向きになった」との情報が入ったのは今月6日。俳優石田純一(62)の名前が浮上した時だ。懇意にしている党幹部が確認に動いたが「家族が反対している」との報告で、告示のタイムリミットが迫っていた都連会長の松原仁衆院議員は古賀茂明氏にかじを切った。
一転したのは、都連による古賀氏への出馬要請会見があった11日。その5時間前、鳥越氏から党幹部に電話が入り、夜の岡田克也代表との会談で一気に決めた。だが、都連はその動きを「全く知らなかった」(都議)。
先に把握したのはその後に身を引く古賀氏。噂を聞き、午後8時半に岡田代表に電話を入れると「確かに今そういう話が出ています」。そこで松原氏に「鳥越さんが出るので僕は出ません」と伝えると「エーッ!」と仰天していたという。
赤恥の都連は「今更なんだ!」と党本部に怒り心頭だったが「足並みがそろわないのはウチの“お家芸”。翌日(12日)に岡田さんが松原さんに謝罪して収まった」(同党関係者)という。
「改憲への危機感」から出馬した鳥越氏だが、参院選翌日に決意した背景には“勝算”という、もう一つの理由があった。「東京選挙区の各候補者別の得票数を与野党の枠組みで比べてみたら、野党共闘が自公を上回った。しかも相手は分裂状態。勝てる!と踏んだんです」(同党関係者)
出馬会見に古賀氏を飛び入りさせ、すぐに宇都宮健児氏のところへ出向いたのも、その勝算の表れ。「鳥越氏には東京で戦った蓮舫氏のスタッフがそのまま引き継ぐ。態勢は万全」と、迷走ぶりがウソのように民進の鼻息は荒くなっている。
●都知事選 野党4党統一候補として鳥越 俊太郎氏が立候補を表明
fnn-news 07/13 02:09
東京都知事選の野党4党統一候補として、鳥越 俊太郎氏(76)が立候補を表明した。水面下では、どんな動きがあったのか。
ジャーナリストの鳥越 俊太郎氏は「住んで良し、働いて良し、環境に良しという、この3つの良しを持つ東京都のために、わたしの全力をささげたいと、心から思っております」と述べた。
東京都知事選の告示まで、あと2日。
ぎりぎりのタイミングで、ジャーナリストの鳥越 俊太郎氏が、戦いに名乗りを上げた。
鳥越氏は「アウトサイダーをずっと気取ってていいのかと、最後に1回ぐらい、インサイダーで責任を果たしてみる気はないのかという、内なる声に、私は導かれて、決断をするに至りました」と述べた。
まさに、電光石火の出馬表明。
先行するライバルたちに、衝撃が走った。
小池 百合子元防衛相(63)は「究極の後出しジャンケンになったなと思います。ぜひ、都民の目線で論戦を重ねていきたいと思います」と述べた。
増田寛也元総務相(64)は「とにかく、政策論争をきちんとやりたいと思っています」と述べた。
先出しジャンケンの小池氏に、「究極の後出しジャンケン」と言わしめた、鳥越氏。
「究極」といわれるゆえんは、タイミングだけではなかった。
鳥越氏は会見で、「古賀さんがどうしてここにいるのか、僕はわか
りません」と述べた。
記者たちが驚きの声を上げる中、突然現れたのは、元経済産業省官僚の古賀茂明氏(60)。
民進党都連が11日、出馬を要請するなど、その動向が注目されていた。
古賀氏は「4党とかは、まとまったんでしたっけ? 各党は、まとまったんでしたっけ? これから? 市民の声を1つに集めるというのが、一番大事なことだと思う」と述べた。
鳥越氏の出馬を受け、古賀氏は出馬を辞退し、支援に回ることを表明。
鳥越氏と、笑顔で固い握手を交わした。
一気に加速する、野党候補一本化への動き。
野党4党の幹事長らに囲まれ、笑顔を見せる鳥越氏。
野党4党の会談で、統一候補にすることが正式に決まった。
そして、11日、一足先に出馬を表明した元日弁連会長の宇都宮 健児氏(69)は「野党4党は、本当に都政のことを考えているのか?」と述べた。
野党4党が鳥越氏を擁立する動きに、不快感を示していたが、出馬会見を終えた鳥越氏との会談では、鳥越氏の健康を気遣っていた。
宇都宮氏が「この度は、よく決断されましたね」と述べると、鳥越氏は「ありがとうございます」と答えた。
さらに、宇都宮氏が「体の方は、大丈夫ですか?」と聞くと、鳥越氏は「大丈夫です。一番健康な時期かな。がんも、克服しましたので」と述べた。
会談後、宇都宮氏は、出馬の取りやめも含め、13日までに結論を出す考えを示した。
宇都宮氏は「告示で出馬することを決めたら、取り下げられない。あしたまで、仲間がいますから、そこで相談して、決断したい」と述べた。
この究極の後出しジャンケンについて、時事通信社の田崎史郎特別解説委員は、「結果としては、ベストに近い形。自公にとっては、敵を小池さんだとみなして、小池さんも、都連を敵だと見なして、目の前の敵をつぶすことしか考えてなかった。ビッグネームの鳥越さんが出てきて、今は慌てている」と話した。
都知事選の舞台に小池氏が、崖から飛び降りたのを皮切りに、相次いでスカイツリーやヘリから飛び降りる覚悟で名乗りを上げる中、水面下を潜航し、12日、突如浮上した鳥越氏。
究極の後出しジャンケンは、どのようにして生まれたのか。
取材をもとに振り返ると、その構図が見えてきた。
まずは、6月16日。
民進党の蓮舫代表代行は「今は、とにかく参院選を考えています」と述べていた。
当初、「ポスト舛添」として名前が挙がっていた、民進党の蓮舫代表代行が、知事選には出ないと明言。
この直後から、民進党は、鳥越氏に出馬を打診していた。
それに対し、鳥越氏は、体調面や家族の反対を理由に、断り続けていたという。
そんな中で迎えた、参院選の投票日。
この日の夜の段階で、岡田代表ら民進党の執行部の中では、古賀氏と石田氏を軸に調整するという方向で、まとまっていた。
事態が大きく動いたのは、7月11日。
民進党の幹部は、「11日の朝に、鳥越さんから電話で、『都知事選挙に出馬したい』という連絡が入り、それで一気に事態が変わった」としている。
鳥越氏は「参院選の開票状況を見て、日本も戦後70年、平和な時代をずっと過ごしてきたのに、時代の流れがちょっと変わり始めたなと、参院選の時に感じました」と述べた。
ここから、究極の後出しジャンケンに向けて、動きが急加速した。
11日午後4時半ごろ、民進党の松原 仁東京都連会長は「行政のエキスパートとして、経済産業省でみがいた腕を、古賀さんには、ぜひ振るっていただきたい」と述べていた。
古賀氏に出馬要請をし、笑顔で握手を交わした松原会長。
この時、松原会長は、鳥越氏の心変わりを知らなかったという。
11日夕方、岡田代表は、鳥越氏の自宅を訪れ、出馬の意向を確認した。
この時、鳥越氏の妻は、「わたしは反対です」と話したという。
一方、増田氏と小池氏は11日夜、BSフジの「PRIME NEWS」に生出演した。
増田氏は「一番心配なのは、高齢化に、どう対応していくか」と述べた。
小池氏は「女性の自己実現を、本当に真剣にやりたい」と述べた。
表舞台で公約を語った2人に対し、民進党は、水面下での調整を続けていた。
11日午後6時ごろ、都内のホテルで足早に車に乗り込んだのは、民進党の枝野幹事長。
このホテルで、宇都宮陣営と会っていた。
時を同じくして、岡田代表は古賀氏と会談。
ここで野党統一候補として、鳥越氏を推すというレールが敷かれ、候補者一本化に向け、大きく動き始めた。
政治評論家の田崎氏は「究極の後出しジャンケンで、非常にインパクトがあった。たくらんだわけではないですけど、結果として、ベストに近い形。(民進党は)なかなか、まとめづらい政党だったんですけど、それが、この場合は幸いした」と話した。
究極の後出しジャンケンを経て、与野党の構図が固まりつつある都知事選。
14日の告示を前に、ほかには、マック 赤坂氏、立花孝志氏、中川暢三氏、山口節生氏、桜井 誠氏、高橋尚吾氏、河野 なみ平氏、山中雅明氏、今尾貞夫氏、上杉 隆氏、山口敏夫氏が出馬を表明している。
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参議院の選挙での野党共闘の成果をどう評価するか、それが分かれている。
少定数、特に首長選挙など端的だけど、「共産党が候補を出さなければ」というケースがたくさんある。
言葉で言えば、「複数候補が対抗することで、逆転の可能性が乏しくなり有権者の期待観が減じて、なお、盛り上がりを欠き、さらに逆転しにくくなる」というようなこと。実際、私自身も候補の当事者として経験したことがある。
今回の都知事選でも、そんなことになってしまいそうな雰囲気。
出ない選択も大事。最後にそれぞれが決断してほしい。
今回の共闘は、ザックリいうと、東の方ではうまくいき、西の方ではあまりうまくいかなかった傾向、ということか。
だからか、西の新聞は評価が厳しい。
東京新聞は、東の傾向をまとめている。そして
★≪今後は次期衆院選の小選挙区でも、統一候補を擁立するかどうかが焦点になる。民進党の岡田克也代表は「市民を中心に各党が集まった。新しい政治の流れを加速したい」と今回の選挙戦を評価。次期衆院選について「二人も三人も(候補を)出したら、与党を利するだけだ」と共闘を継続する考えを示した。≫
≪共産党の志位和夫委員長は記者会見で「最初のチャレンジとしては大きな成功だ」とした上で、都知事選での野党共闘についても「四野党プラス市民という枠組みを大切にし、急いで話し合いを進めていきたい」≫
ということで、次を記録しておく。
●1人区、野党共闘に成果/東京 2016年7月11日
●民進、改選議席大幅割れ…野党共闘は一定効果/読売 7月11日
●1人区、自民21勝11敗=野党共闘、一定の成果【16参院選】/時事 7/11
●全32の1人区、共闘野党11勝 比例や西日本で伸びず/朝日 7月11日
●「野党共闘」ただよう敗北感 3分の2阻止できず、難しさも浮き彫りに/西日本 7月11日
●=解説= 形だけの「共闘」不発 佐賀/佐賀 7月11日
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●1人区、野党共闘に成果
東京 2016年7月11日
三十二ある一人区全てで実現した民進、共産、社民、生活の野党四党の統一候補は福島、長野、三重、沖縄など十一議席を獲得、自民党は栃木、群馬、富山、石川など二十一議席を得た。前回二〇一三年の参院選で自民党が勝利した複数の選挙区で統一候補が勝利。野党共闘が成果を挙げたことで、民進、共産両党は今後の協力に前向きな姿勢をみせている。
参院選一人区で非自公系が獲得した議席は、前回は三十一選挙区のうち二議席で、民主党政権だった一〇年は二十九選挙区のうち八議席。前回の参院選を基に本紙が試算したところ、野党票を合計すれば自民党候補の得票を上回るのは九選挙区。今回、野党側はこれを二つ上回った。
福島選挙区は前回、自民、旧民主、共産、社民各党がそれぞれ候補を擁立。自民党候補の得票は非自民候補の票の合計より約十三万票多かったが、今回は統一候補の民進党の増子輝彦氏が勝利した。山梨選挙区も前回は自民党候補が当選。今回は、統一候補の宮沢由佳氏が自民党候補を破った。
改選議席数が二から一になった長野選挙区でも、野党統一候補の民進党の杉尾秀哉氏が、自民党の若林健太氏に勝利した。
一方、限界もみえた。栃木選挙区では、自民党の上野通子氏が、無所属で四野党推薦の田野辺隆男氏を破って再選。一三年の参院選では、当選した自民党候補が約三十八万票、非自民各党候補の票を合わせると約四十万票で、共闘していれば逆転する計算だったが、今回、野党統一候補の票は約三十一万票だった。
野党四党は前回、それぞれが候補を立てて政権批判票の分散を招いた反省から、統一候補擁立を進めた。市民団体「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」も一本化を促した。
今後は次期衆院選の小選挙区でも、統一候補を擁立するかどうかが焦点になる。民進党の岡田克也代表はNHK番組で「市民を中心に各党が集まった。新しい政治の流れを加速したい」と今回の選挙戦を評価。民放番組で、次期衆院選について「二人も三人も(候補を)出したら、与党を利するだけだ」と共闘を継続する考えを示した。
共産党の志位和夫委員長は記者会見で「最初のチャレンジとしては大きな成功だ」とした上で、都知事選での野党共闘についても「四野党プラス市民という枠組みを大切にし、急いで話し合いを進めていきたい」と述べた。 (生島章弘)
●民進、改選議席大幅割れ…野党共闘は一定効果
読売 2016年07月11日
民進党は、前回2013年参院選で民主党が獲得した17議席から上積みを果たしたものの、改選議席の45を大幅に下回り、振るわなかった。
旧維新の党との合流・党名変更を決断し、選挙戦に臨んだが、与党に改選定数の過半数確保を許す結果となった。一方で、野党共闘には一定の手応えも感じており、次期衆院選での候補者一本化に向けた共産党との協議が進む可能性もある。
岡田代表は10日夜、党本部で記者会見し、「(前回選から)かなり増えたことは間違いないが、まだ再建途上だ。政権を担えるところまでもっていかないといけない」と述べた。選挙戦で展開した安全保障関連法の廃止を掲げる市民団体との連携については、「非常に高く評価している。さらに広がっていくことを期待したい」と歓迎した。
今後の憲法改正論議に関しては、「まず与党が何を変えたいのか明確にしてもらう必要がある」と述べる一方、「安倍首相の立憲主義の解釈が理解できない」と語り、改めて首相の下での改憲論議に消極的な姿勢を示した。
民進党では、野党統一候補が善戦した4月の衆院北海道5区補欠選挙を契機に共産党との共闘を容認するムードが高まった。しかし、選挙戦で共産党が自衛隊を「違憲」と明言したことや、藤野保史・共産党政策委員長(当時)が防衛費を「人を殺すための予算」と発言したことで、共闘の危うさを指摘する声も漏れた。
枝野幹事長は民放番組で、野党共闘について、「一定の効果はあったと思うが、いろいろと課題も浮かび上がった。今回の結果をよく分析したい」と語った。
9月に予定される党代表選では、共産党などとの共闘路線のあり方が議論されそうだ。岡田氏は代表選への出馬について、「これからしっかり考えたい」などと明言を避けているが、岡田氏周辺は11日未明、「代表選に出ない理由はない」と語った。党内で責任ラインとみられていた「30議席」を超えたことや、代表として進退をかけた地元・三重選挙区で勝利したことが理由だ。一方で、代表選には、共産党との共闘に冷ややかだった前原誠司元外相や細野豪志元環境相の出馬も取りざたされている。
●1人区、自民21勝11敗=野党共闘、一定の成果【16参院選】
時事 2016/07/11
10日の参院選では、全国で32ある改選数1の「1人区」のうち、自民が21選挙区を制し、大きく勝ち越した。ただ、3年前の前回参院選では自民が29勝2敗と圧勝したのに対し、今回は野党側も11選挙区で議席を確保。野党共闘が一定の成果を上げたと言えそうだ。
【特設ページ】参院選2016~開票結果、最新ニュース~
共産の候補取り下げなどにより、全ての1人区が自民と野党統一候補による事実上の一騎打ちとなった。自民は滋賀、奈良、岡山で議席を奪還したが、福島では現職閣僚が落選し、初めて議席を確保できなかった。
一方、野党側は、減員区の宮城、新潟、長野で自民に競り勝ち、これにより新潟では18年ぶり、長野では21年ぶりに自民が議席を得られなかった。1人区で勝利した野党候補の内訳は民進7、無所属4だった。
2人区は全て、自民、民進が「指定席」を分け合った。
3人区では、北海道、千葉で自民、民進が2議席獲得を目指して激突。北海道では民進、千葉では自民に軍配が上がった。公明は増員区となった兵庫、福岡で新たに議席を獲得した。
4人区の神奈川では、自民が追加公認を含め2議席を獲得。大阪では、おおさか維新の積極策が奏功した。民進は、そのあおりを受け両選挙区で現職が落選。ただ、かつての「民主王国」愛知では2議席を獲得して面目を保った。
唯一の6人区の東京では、自民、民進がともに2議席を獲得。残り2議席を公明、共産が分け合い、おおさか維新の東京進出はかなわなかった。
●全32の1人区、共闘野党11勝 比例や西日本で伸びず
朝日 2016年7月11日
民進党など野党4党は、与党に大きく水をあけられ、伸び悩んだ。一方で、「野党統一候補」を擁立した全国32の1人区では、11選挙区で与党に競り勝ち、共闘の効果を示した。
民進と共産、社民、生活の党と山本太郎となかまたちの野党4党は、自民など改憲4党による憲法改正発議が可能となる「3分の2確保の阻止」を目標に掲げた。自民「1強」に対し、1人区では野党共闘が一定の成果を示す一方、比例区や西日本の選挙区では民進、共産ともふるわず、与党の改選過半数確保は阻止できなかった。
民進や共産は今回の連携効果を検証し、次期衆院選の選挙区での共闘について検討するとみられる。
与野党攻防の焦点となった全国…
●「野党共闘」ただよう敗北感 3分の2阻止できず、難しさも浮き彫りに
=2016/07/11付 西日本新聞朝刊=
ざっくり言うと
野党は改選1人区で共闘したが改憲勢力による3分の2議席を阻止できなかった
政策や理念が一致しない政党同士による共闘の難しさが浮き彫りに
岡田克也氏は10日、「かみ合わないまま終わってしまった」と恨み節も述べた
テレビ局のインタビューに答える共産党の志位委員長=10日午後10時25分、東京都渋谷区の党本部
野党4党は全ての改選1人区で共闘したが、改憲勢力による「3分の2議席」を阻止できなかった。民進党の岡田克也代表は10日夜に党本部で記者会見し「残念ながら3分の2を許してしまったのは事実」と率直に認める一方、「首相が正々堂々と憲法改正を掲げたなら力が足りなかったということだが、逃げたのでかみ合わないまま終わってしまった」と恨み節も。代表は9月の任期まで続ける考えを示し、次期代表選への立候補についても「白紙だ」と踏み込まなかった。
執行部の責任を問われた岡田氏は、改憲勢力とされながらも9条改正は時期尚早とするおおさか維新の会を引き合いに「どこまでが改憲勢力に含まれるのか。いろんな解釈があると思う」と述べ、けむに巻いた。
岡田氏は選挙前、「全責任を負う」と決意表明。民進、共産、社民、生活での共闘を進め、32ある改選1人区全てで野党候補者の一本化を実現した。多くの1人区で接戦に持ち込んだが、協力関係の濃淡も目立ち、政策や理念が一致しない政党同士による共闘の難しさも浮き彫りにした。
こうした実態を与党は「野合」と批判。安倍晋三首相は「民進と手を組む共産は憲法違反の自衛隊を将来解散すると言う。無責任だ」と非難した。討論番組で共産党議員が防衛費を「人を殺すための予算」と発言すると「民共」批判に拍車がかかり、民進党内にも「共産アレルギーがある保守票が逃げていく」(関係者)と懸念が広がった。
選挙中盤、岡田氏は地元の三重選挙区で公認候補が敗れた場合、次期代表選に立候補しないと発言。与党幹部が三重に入って“波状攻撃”を仕掛ける展開になり、岡田氏も地元に5日間も入る守りの戦いを強いられたが、かろうじて議席を死守した。
勝敗ラインを明確にしてこなかった岡田氏。この日の記者会見で、2013年参院選の17議席の倍となる34議席を目指していたことを明かした。「3年前は底だったが、再建途上だ。政権を担えるところまで持って行く。次の総選挙は非常に大事だ」と述べた。
次期衆院選で野党共闘をするのかテレビ番組で問われた岡田氏は「市民を巻き込んだ新しい政治が始まっている。この流れをさらに加速したい」。共産の志位和夫委員長も「最初の挑戦で効果を上げた。さらに発展させたい」と意欲を示した。
●=解説= 形だけの「共闘」不発 佐賀
佐賀 2016年07月11日
今回の参院選佐賀選挙区は「野党統一候補」が実現したにもかかわらず、自民党が圧倒的得票で「保守王国」の強さを見せつけた。圧勝劇の背景には自民の組織力や候補への個人票が確かにあったが、「野党共闘」の不完全燃焼が響いたといえる。
民進の候補が決まったのは5月。奈良から連れてきた元国会議員で知名度はほぼゼロ。さらに共産党との「共闘」は、市民団体を間に置くという中途半端な形でしかできなかった。
出遅れによって労組など支援団体との連携も十分機能せず、形だけの「共闘」は無党派層へのアピール力を欠いた。参院に解散がないことを考えれば、準備する時間は十分にあった。自民圧勝劇は、組織整備という民進が抱える長年の課題を改めて浮き彫りにした。
本紙の世論調査では、自民候補を支持した人でもアベノミクスに厳しい評価をした回答が5割を超えた。政策の失望感はあるものの自民候補を支持せざるを得ないという有権者が一定程度いるという現実を、野党はもちろん自民も受け止める必要がある。
与党大勝で憲法改正の議論が現実味を帯びてきた。ただ今回の選挙戦では憲法改正の論議は深まっていない。この結果をもって改憲の「民意」とみるのは早計であり、慎重に議論を進めるべきだ。
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参院選の結果はご承知のとおり。
今日は、その結果と、無党派層や18・19歳の投票先の調査結果のほか公明支持層の投票先などの情報を記録しておく、
●自民党、単独過半数には1議席届かず/日刊スポーツ 2016年7月11日
●参院選の全当選者が確定 自民、単独過半数には届かず/日経 7/11
●無党派層の投票先、自民と民進競る 参院選出口調査/共同 7/11
●18・19歳の半数、比例区で自公に投票 朝日出口調査/朝日 7月11日
●公明支持層24%、1人区野党候補に 朝日出口調査/朝日 7月11日
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●自民党、単独過半数には1議席届かず
日刊スポーツ 2016年7月11日
第24回参院選は11日午前、改選121議席全ての当選者が確定した。
自民党は改選50議席から55議席へ伸ばし、参院第1党を維持した。非改選65議席を合わせて計120議席となった。追加公認した無所属1人を含めた新勢力でも、単独過半数(122)には1議席届かなかった。改選43議席の民進党は32議席にとどまり、非改選を含めて49議席へ勢力が後退。自民党との議席数の差が拡大した。
連立与党の公明党は現行制度下で最多の14議席を確保した。おおさか維新の会は7議席、共産党は6議席を獲得。社民、生活両党は各1議席にとどまった。日本のこころを大切にする党、新党改革は議席を得られなかった。
選挙区(改選73)の内訳は自民36、民進21、公明7、おおさか維新3、共産1、無所属5だった。比例代表(改選48)は自民19、民進11、公明7、共産5、おおさか維新4、社民1、生活1となった。
自民党は比例で、女性ボーカルグループ「SPEED」メンバーの今井絵理子氏や、徳島、高知両選挙区の「合区」に伴い出馬した元高知県議の中西哲氏らが当選した。
民進党は、日本郵政グループ労組の難波奨二氏や、日教組の那谷屋正義氏らが労組の安定的な支援を受け勝ち上がった。おおさか維新では旧みんなの党の渡辺喜美元代表が国政復帰を果たした。
総務省によると、選挙区の投票率は54・70%だった。(共同)
●参院選の全当選者が確定 自民、単独過半数には届かず
日経 2016/7/11
第24回参院選は11日午前、改選定数121の全当選者が確定した。自民党は改選50議席を上回る56議席を獲得。32ある改選定数1の1人区で21勝11敗と勝ち越した。27年ぶりの単独過半数には1議席足りなかった。公明党は改選9議席を上回る14議席を確保し、与党で70議席に達した。安倍晋三首相が勝敗ラインにかかげた改選過半数(61議席)を超えた。
●無党派層の投票先、自民と民進競る 参院選出口調査
日経 共同 2016/7/11
いわゆる無党派層は全体の20.9%だった。票がどこに向かったのかをみると、民進党が比例代表で23.2%、選挙区で32.3%といずれもトップ。自民党は比例代表で22.3%、選挙区が25.1%だった。2013年参院選や14年衆院選では、自民党が無党派層の比例投票先として旧民主党を上回ったが、今回は順位が逆転した。
過去2回の選挙では、第三極の旧みんなの党や旧維新の党が無党派層の一定の受け皿になっていた。旧みんなの解党や旧維新の党の分裂によって、第三極に流れていた「非自民票」を民進党が獲得したとみられる。自民党が無党派層の2割強を取るという傾向は今回も変わっていない。
他の野党と共闘した共産党も無党派層に一定の浸透をみせ、比例代表では14.7%、選挙区で10.0%だった。選挙区では、野党統一候補を含む無所属が14.8%に上った。おおさか維新の会は比例代表で11.4%、選挙区では6.6%だった。
▽出口調査の方法 共同通信社が実施。47都道府県の1856の投票所で、投票を終えた有権者に、選挙区で投票した候補者、比例代表で投票した政党、候補者、支持政党などを回答してもらった。回答者数は男性3万7702人、女性3万7602人の計7万5304人
●18・19歳の半数、比例区で自公に投票 朝日出口調査
朝日 2016年7月11日編集委員・堀江浩
今回、初めて投票した18、19歳は、比例区では半数が自民と公明両党に入れていたことが、朝日新聞社が実施した出口調査でわかった。投票の際に重視した政策は「景気・雇用」が最も多かった。
比例区投票先は、ほかの年代でも自公両党が半数近くになるが、18、19歳と20代は半数を超えた。個別にみると自民40%、公明10%、野党は民進17%、おおさか維新8%、共産8%などとなっている。
年代ごとにみると、若年層ほど与党に投票し、年代が上がると野党の割合が増える傾向がある。自公両党に投票した割合は20代が最も高かったが、18、19歳はそれに次ぐ。自民への投票だけでみても、20代に続いて18、19歳が2番目に多い。男女別では男性45%、女性は35%だった。
●公明支持層24%、1人区野党候補に 朝日出口調査
朝日 2016年7月11日峰久和哲
32の1人区で野党の選挙協力は実を結んだのか。朝日新聞社の出口調査によると、回答者の支持政党別の選挙区投票先はグラフのようになっている。
1人区、野党共闘の効果は
野党4党の支持層が野党統一候補に投票した割合は、民進90%、共産84%、社民83%、生活79%といずれも高率を示した。協力は一部では成功し、11選挙区で当選したが、21選挙区で自民候補に及ばなかった。
32選挙区を合算した自民支持率は47%、公明支持率は5%で、与党が過半数。野党は単に4党支持層を固めるだけでは足りず、当選に結びつけるには補強材料が必要だった。今回、二つの要素が見えた。無党派層の票をどれだけ集めるか。それに加えて、自民と選挙協力をしているはずの公明支持層の票がいかに流れたか、だった。
グラフのように、公明支持層の…
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支配しようとするものは、報道に圧力をかけ、教育を統制・偏向させようとすることは、よく言われていること。
自民党の政治の中でも、安倍政権は特別にその傾向が強い。なぜそうなるかといえば、安倍氏が特にその志向が強いからであり、群がる人たちも同様にふるまうから、だろう。
今回の選挙では、それが顕著。
もちろん、それを指摘する人たちもいる。
今日はそんな観点で記録してみた。
一番納得は、池上氏の次。圧力の話。「電話」のことにも触れられている。
私の経験で、圧力まがいの電話といえば、いろいろな市民運動をしているとき、行政幹部から直接自宅に電話がかかってきたりということがある。中には、報道の表の関係者から「てらまちさんのやってることは・・・」との旨の強い電話があったこともある。その人の言動を見ていれば、その人は○○系と思しき。
元に戻って、LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見 2016.07.06。ちょっと抜粋してみると次。
★≪池上彰がテレビ局の「忖度」の裏に安倍政権の圧力があることを明言!「テレビ局には連日、抗議と“電凸”が」≫
≪・・安倍政権において、メディア圧力はもはや日常茶飯事になっている。そして、テレビ局は完全に飼いならされ、圧力をかけられる前に自ら政権の意向を忖度し、過剰な自主規制を行っている。・・
池上氏は・・「さらに深刻なのは『電凸』です。・・一般の読者や視聴者が、気に食わない報道があると、スポンサー企業に一斉に抗議電話をかける。『不買運動をする』なんて言われるとビックリするんですね。昨年6月に自民党の議員が、マスコミを懲らしめるためにスポンサーに圧力をかけることを提案して、問題になりました。それも実際にはすでに行われているんです」
池上氏は・・自身の体験談を明かしていた。「私も『(週刊)こどもニュース』をやっているころにですね、まあ、それこそ大きな政治の問題をやるわけですよね。すると、いろんな人から抗議の電話がかかってくるわけです。・・ああ、こうやっていろんなテレビ局はこういう微妙な話を取り上げなくなっているんだ、って感じましたね」
ネトウヨの「電凸」に放送局が屈するとは、それこそ涙が出るほど情けない話だが、しかし、この「電凸」にしても、自民党、とくに安倍氏周辺が下野した時代に、自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)というかたちでネトウヨを組織し、その下地をつくってきたものだ。
池上彰がテレビ局の「忖度」の裏に安倍政権の圧力があることを明言!
「最近までは権力を持つ側は『メディアに圧力をかけてはいけない』というのが共通認識でした。(略)ところが、安倍政権になってからは、自民党はおもなニュース番組をすべて録画して、細かい部分まで毎日のように抗議し、訂正を求め、注文をつけてくる。すると、テレビ局は『面倒くさい』となる。対応が大変で、次第に『文句を言われない表現にしようか』となってしまうのです」
以上が抜粋。ともかく、時代が進む方向はいかに、の観。選挙が終わって何が来るか・・・
●自民、教育現場の調査呼び掛け 政治的中立性逸脱する教諭の事例/共同通信 47NEWS 2016/7/9 13:14
●自民、一部削除し再び呼び掛け 教育中立性の調査/共同通信 47NEWS 2016/7/9 19:40
●自民、「政治的中立を逸脱」した教師の事例をネット募集/朝日 2016年7月9日 21時54分
●NAVER まとめ/自民党「学校教育における政治的中立性についての実態調査」で「密告」をお願い→削除→修正後復活→再修正/ matome.naver
●池上彰がテレビ局の「忖度」の裏に安倍政権の圧力があることを明言!「テレビ局には連日、抗議と“電凸”が」/LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見 2016.07.06
●石田純一の都知事選会見に震えた! CM打切り覚悟で、野党共闘を呼びかけ、安倍の参院選“改憲隠し”を痛烈批判/編集部 2016.07.08
●参院選情勢報道に重大な疑義 同一調査データ使い回しの可能性/HUNTER(ハンター)政治、行政の調査報道サイト 2016年6月24日
●参院選情勢報道、各紙とも見出しは「うかがう」で統一 でも、英文記事表記はバラバラ/j-cast 2016/6/24
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●自民、教育現場の調査呼び掛け 政治的中立性逸脱する教諭の事例
共同通信 47NEWS 2016/7/9 13:14
自民党が、教育現場で政治的中立性を逸脱する教諭の事例がなかったかを把握する実態調査への協力を、ホームページ上で募っていたことが9日、分かった。インターネット上では「密告社会の到来だ」などと批判が相次いでおり、該当するページにアクセスできない状況になっている。
党の木原稔文部科学部会長は7日、選挙権年齢の「18歳以上」への引き下げを踏まえ「中立性を逸脱した先生がいる。高校生が特定のイデオロギーに染まった結論に導かれることを危惧している」と自身のツイッターで回答を呼び掛けた。
●自民、一部削除し再び呼び掛け 教育中立性の調査
共同通信 47NEWS 2016/7/9 19:40
自民党は9日午後、教育現場で政治的中立性を逸脱する教諭の事例がなかったかを把握するための実態調査に関し、一部文言を削除した上で、あらためて協力を呼び掛ける文章をホームページ上に記載した。午前中は該当するページにアクセスできなかった。
当初、中立性逸脱の事例として挙げていた「子供たちを戦場に送るな」と主張する教諭がいるとの内容が削除された。
この文言については「子どもを戦場に送るのに抵抗すると反日教師らしい」との批判が出ていた。
●自民、「政治的中立を逸脱」した教師の事例をネット募集
朝日 2016年7月9日 21時54分
自民党が党公式ホームページ(HP)で、教育現場での「政治的中立を逸脱するような不適切な事例」を募るネットアンケートを始めた。18、19歳に選挙権が拡大されたことを受け、「主権者教育が重要な意味を持つ中、偏向した教育が行われることで、生徒の多面的多角的な視点を失わせてしまう恐れ」があることを調査理由に挙げている。ネット上では「この調査こそ教育への政治的介入」と批判の声も出ている。
自民党HPは、調査の呼びかけで「教育現場の中には『教育の政治的中立はありえない』と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実」と断定。「高校等で行われる模擬投票等で意図的に政治色の強い偏向教育を行うことで、特定のイデオロギーに染まった結論が導き出される」などと主張し、「不適切な事例」をアンケート形式で情報提供するよう呼びかけている。
HPには当初、教育現場で「子供たちを戦場に送るな」と主張する教員がいるとする表現があり、その後、「安保関連法は廃止にすべきだ」と訴える教員がいるとの表現に変えられたが、いずれも削除された。
●NAVER まとめ/自民党「学校教育における政治的中立性についての実態調査」で「密告」をお願い→削除→修正後復活→再修正
matome.naver
★昨日(7/7)、自民党文部科学部会長の木原みのるさんがツイートして宣伝していた模様
木原みのる 残念ながら教育現場に中立性を逸脱した先生がいます。18歳の高校生が特定のイデオロギーに染まった結論に導かれる事を危惧してます。そこで、学校教育における政治的中立性についての実態調査を実施します。皆さまのご協力をお願いいたします。
そして今日(7/8)、批判殺到→削除?
【拡散】自民党が学校現場における「政治的中立性」なるものの調査を始めた。いわく『「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です』←これが逸脱!?
なんですかコレ? #自民党に質問 #戦前が来る
党文部科学部会では学校教育における政治的中立性の徹底的な確保等を求める提言を取りまとめ、不偏不党の教育を求めているところですが、教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」、あるいは「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です。
学校現場における主権者教育が重要な意味を持つ中、偏向した教育が行われることで、生徒の多面的多角的な視点を失わせてしまう恐れがあり、高校等で行われる模擬投票等で意図的に政治色の強い変更教育を行うことで、特定のイデオロギーに染まった結論が導き出されることをわが党は危惧しております。
そこで、この度、学校教育における政治的中立性についての実態調査を実施することにいたしました。皆さまのご協力をお願いします。
★これ、誰が作らせたのか説明して欲しいね
★以下、政治的中立を逸脱するような不適切な事例を具体的(いつ、どこで、だれが、何を、どのように)に記入してください。
★《自民党サイト》学校教育における政治的中立性についての実態調査 政治的中立を逸脱するような不適切な事例を具体的(いつ、どこで、だれが、何を、どのように)に記入してください。 … ⇨すごいなこれ。自民党のチクリフォーム。
★うえー。自民党のサイトに教師の密告通報フォーム。 … 「教育現場には…「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です」 子どもを戦場に送るのに抵抗すると反日教師らしいよ。
★なんか嫌なものを見つけてしまったんですが。密告社会の到来ですかね。…
★これヤバいだろ。完全密告じゃん。… こんなのを促す政党が大勝ちして憲法変えたらどうなるか、わかるだろ。
★自民党が学校教育における「政治的中立性」についての実態調査に乗り出している。しかし何が「非中立的」かって、この調査それ自体じゃないか。例えば裁判で争っている当事者の片一方がメディアに対して「中立」かどうかを監視しているようなもの。
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●池上彰がテレビ局の「忖度」の裏に安倍政権の圧力があることを明言!「テレビ局には連日、抗議と“電凸”が」
LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見 2016.07.06
圧力小杉みすず池上彰
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テレビ東京『TXN選挙SP 池上彰の参院選ライブ』番組サイトより
本サイトで既報のとおり、今回の参院選に際して、自民党は弁護士を引き連れて放送局に乗り込み、公職選挙法違反の政党CMを流せと圧力をかけた。安倍政権において、こうしたメディア圧力はもはや日常茶飯事になっている。そして、テレビ局は完全に飼いならされ、圧力をかけられる前に自ら政権の意向を忖度し、過剰な自主規制を行っている。
ところが、これまで本サイトが何度も具体的に報じてきたように、テレビメディアにかかわる当事者たちからは、なかなか具体的な話が出てこない。安倍政権に追い詰められてキャスター辞任に追い込まれたテレビ朝日『報道ステーション』の古舘伊知郎氏にしても、TBS『NEWS23』の岸井成格氏にしても、最後まで「政治的な圧力はなかった」「特定の圧力を感じたことはない」という姿勢を崩さなかった。結局、これからもテレビの世界で生きていくことを考えると、本当のことは言えない、ということなのだろう。
しかし、そんななか、いまも現役で数々のテレビ番組に出演中の有名ジャーナリストが、この圧力問題についてかなり踏み込んだ証言をした。
そのジャーナリストとは池上彰氏。池上氏は緊急復刊された「朝日ジャーナル」(朝日新聞出版)における元共同通信社編集主幹の原寿雄氏との対談で、テレビ局の自主規制、さらに政権からの圧力の詳細を具体的に語っているのだ。
池上氏はまず、「『報道の自由度』と言いますが、国が報道の自由を制限しているか、それとも報道機関の側が勝手に自主規制したり、忖度したりして、自ら自由を狭めているのか。日本では後者が多いような気がします」と指摘した上で、古巣のNHKの体たらくを嘆く。
「高市早苗総務相が、政治的公平性を欠く放送を繰り返した放送局に電波停止を命じる可能性に言及した際、ジャーナリストらが抗議会見を開きましたが、NHKは取材にも行かなかった。情けないですね」
しかし一方で、池上氏は、この「忖度」はメディアが勝手にやっているわけではなく、それを生み出したものがあることをはっきり指摘している。
「最近までは権力を持つ側は『メディアに圧力をかけてはいけない』というのが共通認識でした。(略)ところが、安倍政権になってからは、自民党はおもなニュース番組をすべて録画して、細かい部分まで毎日のように抗議し、訂正を求め、注文をつけてくる。すると、テレビ局は『面倒くさい』となる。対応が大変で、次第に『文句を言われない表現にしようか』となってしまうのです」
つまり、安倍政権による大量の抗議が、テレビ局を萎縮させ、局内に「忖度」の空気を蔓延させているというのだ。
また、池上氏はネット右翼による放送局への抗議電話、いわゆる「電凸」についても、このように語っている。
「さらに深刻なのは『電凸』です。『電話で突撃する』という意味のインターネット用語ですが、一般の読者や視聴者が、気に食わない報道があると、スポンサー企業に一斉に抗議電話をかける。『不買運動をする』なんて言われるとビックリするんですね。昨年6月に自民党の議員が、マスコミを懲らしめるためにスポンサーに圧力をかけることを提案して、問題になりました。それも実際にはすでに行われているんです」
「現代的に言うと『反知性主義』という言葉に言い換えることができるのではないでしょうか。冷静に議論をするのではなく、『マスゴミ』『反日』と罵倒して、数の力で封殺する。その状況でも冷静に立ち止まって議論することが、メディアの役割ですよね」
池上氏は4月27日放送の『荻上チキ・Session-22』(TBSラジオ)に出演した際にも、こんな自身の体験談を明かしていた。
「私も『(週刊)こどもニュース』をやっているころにですね、まあ、それこそ大きな政治の問題をやるわけですよね。すると、いろんな人から抗議の電話がかかってくるわけです。その応対に1時間から2時間、ずっと相手をしているわけですね。すると、面倒くさくなりますよね。次からやめておこう……ああ、こうやっていろんなテレビ局はこういう微妙な話を取り上げなくなっているんだ、って感じましたね」
ネトウヨの「電凸」に放送局が屈するとは、それこそ涙が出るほど情けない話だが、しかし、この「電凸」にしても、自民党、とくに安倍氏周辺が下野した時代に、自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)というかたちでネトウヨを組織し、その下地をつくってきたものだ。
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●石田純一の都知事選会見に震えた! CM打切り覚悟で、野党共闘を呼びかけ、安倍の参院選“改憲隠し”を痛烈批判
編集部 2016.07.08
ishidajyunichi_160708_top.jpg 石田純一オフィシャルサイトより
「(与党が強いなか)野党が集結しないと、いまの現状では思いを力に変換できていけない」
きょう、都知事選への出馬が取り沙汰されている石田純一が会見を開いた。「野党統一候補であるならば、ぜひ出させていただきたい」と出馬に意欲を示したが、同時に「野党統一候補がほかの方に決まったら、もちろん喜んで応援させていただきたい」「(統一候補が)割れちゃった場合は自分が降りて、力を結集したほうがいい」と語り、あくまで野党共闘が第一優先だとした。
しかも、きょうの石田の会見は、都知事選というよりも、明後日に控えた参院選を強く意識したものだった。
・・・・・(略)・・・
いま、なぜ石田が会見を開いたのか。その理由が参院選にあることは明らかだ。
自民党による憲法改正の争点隠しをメディアは追及せず、NHKは参院選の報道さえ消極的。当然、改憲勢力3分の2を阻止するための「野党共闘」という大きなうねりの意味さえ伝えず、「野党は与党の批判ばかり」「選挙の争点がはっきりしない」などと話を逸らしつづけている。
●参院選情勢報道に重大な疑義 同一調査データ使い回しの可能性
HUNTER(ハンター)政治、行政の調査報道サイト 2016年6月24日
新聞各紙の選挙情勢調査に重大な疑義が浮上した。
大手新聞各社の24日朝刊トップは参院選情勢調査の結果。いずれも自民党が勝利し、公明やおおさか維新を加えると、改憲に必要な3分の2に届く勢いであることを予想する内容だ。そろい過ぎた数字に違和感を覚え、各紙の調査方法を精査したところ、特定の調査会社の数字が使い回されている可能性が濃くなった。
参院選の公示からわずかに2日。調査対象を固定電話とする少ないデータを使い回して選挙戦の流れを作った形となっており、意図的な世論操作が疑われる事態といえそうだ。
読売、日経のサンプル数が一致
24日の読売新聞朝刊。記事の詳細は省くとして、調査結果は与党優位を示す内容だ。ほぼ同じ記事を掲載したのが日本経済新聞。リードの部分に若干の違いはあるものの、その後の記事は構成も中身もほぼ同じ。冒頭で投票先未定の割合を示したあと、自民、公明、民進、共産、その他の野党の順で情勢を分析。“見出しが結論”という格好で、自公勝利を予測している。問題は、調査方法だ。
下は、読売、日経の記事の最後。調査対象は「世帯」と「人」で違う表現だが、サンプル数はともに「2万7640人」。まったく同じ数字になっている。
日経は記事の中で調査を行ったのが同紙のグループ会社で世論調査、マーケティングなどを専門にしている「日経リサーチ」であることを明記している。一方、読売はリードの冒頭で「読売新聞社は7月10日投開票の第24回参院選に関し、22,23の両日、全国世論調査を実施し……」。まるで独自の調査を行ったかのような書きぶりだ。しかし、全国調査でサンプル数がここまで一致するということはあり得ない。おかしいと思って世論調査の詳細を記した11面を開いたところ、左隅に次の説明が掲載されていた。
同一データ使い回しの可能性
『本社世論調査』とある記事の基礎データは、日経リサーチ社のもの。読売は、日経と同じデータを使って、同じような記事を垂れ流していた。姑息なのは、1面の記事でまったくそのことに触れていないこと。調査方法まで読み込む読者が数多くいるとは思えず、たいていは読売が独自に行った調査に基づく報道と思い込むだろう。実態は、与党に都合のいい数字を使った政権の犬たちによる誘導記事。公平・公正が聞いて呆れる。
不可解なのは、同じく与党勝利を予測した毎日や共同通信のサンプル数まで日経リサーチのそれと同じであること。毎日は回答者数「2万7500人」、共同は「約2万7000人」。新聞各社の全国調査で、サンプル数がこうまで揃うことは奇跡に近く、報道各社が同じ調査会社の数字を使い回している可能性が否定できない。
国政選挙の度に繰り返される選挙情勢報道。近年は、公示から1~2日で一斉に選挙結果の予想が報じられ、そのまま終盤までの流れが固まる状況だ。前回総選挙では、自民優勢を伝える報道が相次いだことで、「投票に行くのがバカバカしくなった」として棄権する人が続出。低投票率を望む自公を喜ばせる結果となった。日経は政府寄りで知られる会社。その子会社のデータを使い回して選挙予測が行われているとすれば、明らかに読者への背信行為である。
●参院選情勢報道、各紙とも見出しは「うかがう」で統一 でも、英文記事表記はバラバラ
j-cast 2016/6/24
2016年7月10日投開票の参院選に向けて報道各社が行った情勢調査の結果が6月24日の朝刊紙面で出そろった。総じて自民、公明の与党の堅調ぶりを伝える内容だ。・・実は、こういった文脈での「うかがう」という言葉は情勢報道以外ではほとんどみられない。そのため、意味を解釈するのに苦労したのか、日本語では各社同じだった見出しも英語版では表現がバラバラだ。
・・・・・・(略)・・・
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安倍氏の悲願の戦前の日本への回帰、そのための憲法改正、それらが問われるはずの選挙。
しかし、選挙では「改憲」には自ら触れずに行くという信じられない政治家。
18才選挙権が認められて若者の声が反映する機会なのに、新聞は、高齢者の意見が反映される傾向と批判される「電話調査」結果などを前提に選挙結果の予測を流す。まるで投票への意欲をなくさせるような、無関心を誘発するような流れ。
ともかく、次の幾つかの報道を記録した。まとめた要点は次。
時事★≪第24回参院選は10日、投開票される。安倍政権の経済政策「アベノミクス」や憲法改正が主要争点≫
朝鮮日報★≪参院選:戦争ができる日本、安倍首相の夢は実現するか 「任期中に果たしたい」≫
ダイヤモンド・オンライン★≪自民は1人区で最悪14敗する可能性も≫ ≪1人区は重要だが、今の自民は地方で弱い。アベノミクスの恩恵が大企業や都市ばかりに集中し、地方には行き届かなかったこと、農家を中心としたTPPへの反発、少子高齢化への対策がないがしろにされていたことなどが、地方の安倍政権への不満につながっているという≫
信濃毎日 社説★≪参院選に問う 憲法論議 隠れた争点見抜く目を≫ ≪憲法については、有権者に分かりにくい選挙になっている。ただ、首相と自民党の改憲姿勢は明確だ。改憲を容認する議員が3分の2以上を占めたときは、首相は「国民の信任を得た」としてアクセルを踏み込むのは目に見えている。・・・・(略)・・・安倍政権は昨年、「憲法違反」とする研究者らの反対意見を無視して安全保障関連法案を成立させた。政治の手法が憲法規範から外れていないかどうか。この観点からの政権評価も欠かせない。≫
ロイター★≪もともと薄かった選挙に対する関心がさらに薄くなり、投票率が低水準にとどまる可能性がある。その場合、自公の連立与党が圧勝しても、必ずしもアベノミクスが国民に評価されているわけではないとの解釈も成り立つ。・・・・・(略)・・・自民党が大勝して、改憲派が3分の2議席を占めるケースの方が、市場は嫌気しそうだとみている。「経済第一戦略から憲法改正に政策の軸足が移るのではないかと、警戒感が強まりやすいため」だという。さらに同氏は「自民党が大勝しても、アベノミクス政策には手詰まり感が強く、選挙で評価されたとポジティブに受け止める向きは少ないだろう」との見方だ。≫
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●参院選:戦争ができる日本、安倍首相の夢は実現するか
朝鮮日報 2016/07/08
「任期中に果たしたい」
安倍晋三首相が今年3月に日本の国会で改憲について語った時の言葉だ。日本で改憲をするには3つのハードルを越えなければならない。まず、衆議院100名、参議院50名以上が同意しなければ改憲案を国会に上程できない。そして衆参両院でそれぞれ在籍議員の3分の2以上が賛成しなければ改憲案を国民投票に付すことができない。最後に、18歳以上の有権者過半数が賛成票を投じて初めて改憲が実現する。
■主要メディアの世論調査「3分の2議席確保の模様」
これまで安倍首相は2番目のハードルの前で止まっていた。改憲に賛成している自民党・公明党・おおさか維新の会・日本のこころを大切にする党という改憲4党の参議院議席が61%にとどまっていることが彼の足を引っ張っていた。しかし、10日に迫った参議院選挙で安倍首相は2番目のハードルも越えるだろうという世論調査結果が出ている。
●参院選、10日投開票=与野党が追い込み【16参院選】
時事 2016/07/08
第24回参院選は10日、投開票される。安倍政権の経済政策「アベノミクス」や憲法改正が主要争点。改憲に前向きな勢力が発議に必要な3分の2(162)の議席を確保するかが注目される。与野党の各党首は8日、接戦が伝えられる選挙区で街頭に立ち、支持拡大へ追い込みに努めた。
3年ごとの参院選は、定数242の半数(121)が改選される。今回、選挙区に225人、比例代表に164人の計389人が立候補した。安倍晋三首相は勝敗ラインを「与党で改選過半数(61)」と設定。自民、公明両党の改選議席は59のため、2議席の上積みで目標を達成できる。
自公両党と、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の改憲勢力4党が78議席を獲得すれば、非改選と合わせて3分の2に届く。改憲に前向きな諸派と無所属の非改選議員4人も考慮すると、「3分の2」ラインは4党で74議席に下がる。
選挙戦で首相は、経済政策を最大の争点に据えてアベノミクス継続を訴えた。参院選後に改憲論議を進める意向を示しているものの、街頭演説などでは前面に出さなかった。首相は8日の札幌市での演説で「前進か後退かを決める選挙だ」と声を張り上げた。
また、公明党の山口那津男代表は民進、共産両党の共闘に対し「野合」批判を展開。川崎市の街頭では「政権を取ろうという資格は初めからない」と切り捨てた。
これに対し、民進党の岡田克也代表は「アベノミクスは失敗」と断じるとともに、「改憲勢力3分の2阻止」を訴えた。8日の兵庫県加古川市での講演では「今の状況では与党だけで3分の2を取りかねない」と危機感を前面に出した。
共産党の志位和夫委員長も「安倍政権の暴走ストップ」を掲げ、横浜市では、生活の党の小沢一郎代表とそろい踏みで、「野党共闘は安倍政権を倒すまで続けたい」と訴えた。
おおさかは行財政の「身を切る改革」を主張。松井一郎代表(大阪府知事)は神戸市で「改革を言い続ける勢力が大事だ」と強調。社民、こころ、新党改革もそれぞれ支持拡大を訴えた。
●自民勝利はきわどいか、攻防続く参院選の行方
ダイヤモンド・オンライン 2016年7月8日 松原麻依【清談社】
7月10日に投開票が行われる参議院選挙は、安倍首相にとっては「憲法改正」実現に向けた一歩であり、野党にとっては改憲を阻止するという、重要な意味合いがある。各党の思惑がせめぎあうなか、投開票日の迫った選挙情勢を、政界の動向に詳しいジャーナリストの鈴木哲夫氏に聞いた。
安倍首相の悲願「憲法改正」なるか 選挙区は地方を中心に野党が攻勢
・・・・・・(略)・・・ しかし、舛添要一・前東京都知事の政治資金問題が自民党批判に飛び火するなど、支持率アップは筋書き通りとはいかなかったようだ。そうした背景もあって、自民が目標としている「改憲勢力3分の2以上」は微妙なラインとなっている。
「参院選全体の情勢としては、今のところ、自民が勝敗ラインにギリギリ届くか否かといったところ。選挙区では野党が追い上げていますが、比例区は自民が優勢です」
野党は比例区で統一名簿を作り自民に対抗する動きも見せていたが、それも実現せず、結局各党がバラバラに出馬。そのため、比例では相対的に大政党である自民党が有利になっているという。
「参院選の比例区は得票数の多い人から順番に議席が割り振られるため、どの候補者も自分で票を取りにいかなくてはいけません。衆院選のように予め決められた名簿の順に当選するわけではないので、自民党の候補にとっては、敵は陣内にあり、といったところでしょうか」
岩城光英氏や島尻安伊子氏も当落の危機!自民は1人区で最悪14敗する可能性も
一方、改憲勢力で3分の2を獲得できるかどうかの分け目となっているのが選挙区。特に注視されているのが1人区で、地方を中心に野党の追い上げが目立つ。
「他党と接戦、もしくはリードされている選挙区を、自民党は『重点区』に指定しています。重点区は青森・宮城・岩手・山形・福島・新潟・長野・山梨・三重・滋賀・大分・沖縄の12ヵ所。自民党自身が行っている世論調査などでは、これらのうち福島の岩城光英氏や沖縄の島尻安伊子氏は、現職の大臣でありながら、当落の危機という状況です」
「序盤ではこの重点区で自民の12敗も危ぶまれていましたが、山梨の高野剛氏や滋賀の小鑓隆史氏は挽回の可能性が大きくなりました。しかし、新たに愛媛などは野党の統一候補が盛り返しています」
「一部、自民が攻勢になった1人区もありますが、逆にリードされているところもあるので、トータルで32ある1人区のうち野党は2ケタを取るかもしれません。自民にとっては最悪、14敗する可能性も出てきました」
社会党の土井たか子委員長がマドンナ旋風を巻き起こした1989年の参院選では、野党が1人区で23勝3敗をあげて与野党が逆転。2007年の参院選でも、民主党が1人区で圧勝したことで2年後の政権交代へとつながった。
「ここでの勝敗が次の政局を決める」と言われているほど1人区は重要だが、今の自民は地方で弱い。アベノミクスの恩恵が大企業や都市ばかりに集中し、地方には行き届かなかったこと、農家を中心としたTPPへの反発、少子高齢化への対策がないがしろにされていたことなどが、地方の安倍政権への不満につながっているという。
「また、複数区、たとえば北海道・千葉・神奈川などは最後の1議席を自民党の2人目と野党候補で取り合っている状況で、最後の最後までどうなるかわかりません」
改憲勢力「3分の2」達成は 公明・おおさか維新の議席数で決まる
・・・・・・(略)・・・
●参院選に問う 憲法論議 隠れた争点見抜く目を
信濃毎日 7月7日
選挙戦で憲法論議が深まらない。一番の原因は安倍晋三首相が論戦を避けていることにある。このままだと議論が足りないまま改憲へのレールが敷かれる状況になりかねない。
選挙戦は大詰めの段階だ。有権者として、憲法論議を注意深く見守って投票に備えたい。
首相は公示の前後を通じ、憲法にあまり触れようとしていない。唯一の例外と言えるのが、公示3日前に行われたネット動画中継サイトの討論会だった。
「参院選の結果を受け、条文の中身の議論を進めていきたい」。選挙後の臨時国会で衆参両院の憲法審査会を始動させる考えを明らかにした。ネットは自分の支持者が比較的多いとみたのか、踏み込んだ発言だった。
自民党としては、改憲を目指す姿勢をこの選挙で後退させているわけではない。幹部が折に触れ言及している。
例えば稲田朋美政調会長は公示後のNHK番組で「改憲自体がいけないというのは日本が主権国家をやめることだ」と述べた。党の公約は最後のところで「国民の合意形成に努めて憲法改正を目指す」と書いている。
選挙情勢は与党有利に運んでいると伝えられている。自公の与党と、改憲に前向きな政党、議員で改憲発議に必要な3分の2を確保するかどうかが焦点だ。
憲法に対する各党の姿勢は「改憲対護憲」と二分できる状況にはなっていない。民進、共産など野党4党は1人区で共闘しているものの、改憲問題では温度差がある。「憲法は争点にならない」と繰り返し、首相の改憲姿勢をけん制する公明党も、選挙後にどう対応するかはっきりしない。
憲法については、有権者に分かりにくい選挙になっている。
ただ、首相と自民党の改憲姿勢は明確だ。改憲を容認する議員が3分の2以上を占めたときは、首相は「国民の信任を得た」としてアクセルを踏み込むのは目に見えている。憲法はやはり、最重要の争点の一つである。
関連するテーマに立憲主義がある。憲法の役目は政治権力を縛ることにある、とする考え方だ。
安倍政権は昨年、「憲法違反」とする研究者らの反対意見を無視して安全保障関連法案を成立させた。政治の手法が憲法規範から外れていないかどうか。この観点からの政権評価も欠かせない。
●焦点:市場が警戒する改憲勢力圧勝シナリオ、経済後回しを懸念
ロイター 2016年 07月 6日
[東京 6日 ロイター] - 市場関係者の間では、10日に行われる参院選で安倍晋三首相の目指す憲法改正に賛同する勢力が圧勝した場合、首相の関心が「改憲」にシフトし、経済対策の優先順位が下がってしまうのではないかとの懸念が広がっている。
国内報道各社の世論調査によると、自民党は、1989年以来27年ぶりに参議院で単独過半数を確保する可能性がある。公明党と合わせれば、安倍首相が目標としていた改選過半数の61議席を超えることはほぼ確実とみられている。
安倍首相は、今回の参院選をアベノミクスに対する国民の支持を問う選挙と位置付けている。金融緩和、財政支出、構造改革というアベノミクスの三本の矢は、すでに効果が薄れてきているとの見方もある。
参院選で圧勝すれば、安倍首相は政策が国民に承認されたと主張するだろうが、英国の欧州連合(EU)離脱や、7人の日本人が亡くなったバングラデシュの襲撃事件などのニュースによって、もともと薄かった選挙に対する関心がさらに薄くなり、投票率が低水準にとどまる可能性がある。
その場合、自公の連立与党が圧勝しても、必ずしもアベノミクスが国民に評価されているわけではないとの解釈も成り立つ。
大和証券・チーフ為替ストラテジスト、今泉光雄氏は、自民党が大勝して、改憲派が3分の2議席を占めるケースの方が、市場は嫌気しそうだとみている。「経済第一戦略から憲法改正に政策の軸足が移るのではないかと、警戒感が強まりやすいため」だという。
さらに同氏は「自民党が大勝しても、アベノミクス政策には手詰まり感が強く、選挙で評価されたとポジティブに受け止める向きは少ないだろう」との見方だ。
ウィズダムツリー・ジャパンの最高経営責任者(CEO)、イェスパー・コール氏も「市場は、安倍首相が強い政権を維持することを望んでいるが、その勢力を、憲法改正ではなく、経済を第一に発揮してほしいと考えている」と言う。
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アベノミクスの失敗を示すデータが、また明らかになった。
それは大手企業の賃上げ額のこと。
ニュースで、「ことしの春闘で大手企業が妥結した月額の賃金の引き上げ額は、平均で7400円余りとなり4年ぶりに前の年の実績を下回る」(NHK)と流していた。
安倍政権になって、大企業の本体が利益をため込んだ時期がちょっとあった。しかし、それが中小企業はむろん、従業員や国民に還元されることはなかった。それが、今回のデータの示すこと。
選挙になって安倍氏や自民は「アベノミクスのエンジンをさらにふかす」と公約し宣伝しているらしい。
つまり、大企業に幾分の益がとどまるだけで、格差はますます広まるということを安倍氏自ら公約しているわけか・・・
ということで、参院選の争点のアベノミクスをまとめた報道と、大手企業の賃上げ関係を記録しておく。
なお、今日は、岐阜で「35度」の予報がでている。朝は通常程度の暑さで、ノルディックウォークしてきた。
●アベノミクス、論戦に熱 与党「道半ば、ギアを上げる」 野党「潤うのは、富裕層だけ」 参院選/朝日 2016年7月6日
●春闘 賃上げ平均7400円余 前年下回る/NHK 7月6日
●春闘賃上げ2.27%7497円に鈍化 3年連続2%超 経団連まとめ/sankeibiz 7.7
●16年春の賃上げ前年割れ 大手企業2.27%、経団連最終集計/日経 7/6
●大手企業の賃上げ率は2・27% 3年連続で2%超も伸び率鈍化、経団連まとめ/産経 7.6
●賃上げ予定企業は前年度より減少、関経連など調査 /日経 6/15
●2016年「賃上げ、同一労働同一賃金」に関するアンケート調査/東京商工リサーチ 6月29日
●東京都、春闘最終集計発表 - 民間企業の平均妥結額4年ぶり減/マイナビニュース 7/6
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●アベノミクス、論戦に熱 与党「道半ば、ギアを上げる」 野党「潤うのは、富裕層だけ」 参院選
朝日 2016年7月6日
10日に投開票される参院選は終盤に入り、安倍政権が掲げる経済政策「アベノミクス」をめぐる与野党の論戦がなお熱を帯びる。アベノミクスをさらに推し進めれば景気はよくなると主張する与党に対し、民進、共産など野党は「潤うのは大企業だけだ」と批判。家計を直接支援する分配政策に軸足を移すべきだと転換を迫っている。
「アベノミクスは決して失敗はしていないが、まだ道半ば。やるべきことは、この道をしっかり前へ力強く進めることだ。ギアを2段も3段も引き上げる」
安倍晋三首相は5日、新潟県十日町市で行った街頭演説でこう訴えた。選挙期間中、何度も繰り返してきたフレーズだ。
政権が推進するアベノミクスはまず、「大胆な金融緩和」と「機動的な財政出動」で企業にお金が行き渡るようにする。企業がもうかれば、設備投資や賃上げで他の企業や家庭にもお金が流れ、消費が改善して企業の業績はさらに良くなる、という「好循環」を描く。今は消費が低迷するなど「道半ば」だが、この路線を推し進めれば成長軌道に戻れるという主張だ。
実際、首相はすでに「総合的かつ大胆な経済対策」を盛り込んだ今年度の第2次補正予算案を秋の臨時国会に出す方針を表明している。自民党内からは、大規模な公共事業などを含む10兆円規模以上の対策を求める声も上がっている。
さらに、「1億総活躍社会の実現」というスローガンも掲げ、アベノミクスによる成長で増えた税収は子育てや介護分野の支援などに積極的に充てる方針も示す。選挙戦でも「成長と分配の好循環を回していく」とアピールし、連立を組む公明党の山口那津男代表も「税収をアベノミクスの及んでいないところに及ぼしていく」と訴える。
これに対し、野党はアベノミクスを続けても、潤うのは大企業や富裕層だけだと批判。子育て政策や社会保障を充実させ、家計を直接支援することで消費を上向かせるべきだと訴える。
民進党の岡田克也代表は5日、北海道での街頭演説で「国民の8割が景気回復を実感していない。国民の生活はどうなるのか、方針転換しなきゃいけない」と強調。その上で、返済がいらない給付型奨学金の創設や、低年金者に月5千円を配る交付金などの政策を訴え、「分配重視」の姿勢をアピールした。
また、共産党は「税金の集め方のチェンジ」(志位和夫委員長)を前面に打ち出す。政権が企業に投資を促すために進めてきた減税を「大企業への優遇税制」と批判し、政権が実施した法人減税をもとに戻すべきだと訴える。民進、共産ともに高所得者の所得税率の引き上げも唱えている。
■与野党とも課題
しかし、与野党ともに具体策には課題が多い。
アベノミクスの金融緩和も、当初は急激な円安や株高につながって企業業績を押し上げたが、すでに3年を超え効果は薄れている。今年に入り、日本銀行はマイナス金利を導入したが、為替はむしろ円高方向に進んでいる。
財政出動も効果は見通せない。秋に打ち出す経済対策について、財務省幹部は「リニア新幹線の前倒しや保育士の賃金引き上げでは即効性は薄い」と話す。公共事業を増やすにも建設業は人手不足が深刻で効果的な対策が浮かばない。仮に企業業績が下支えされたとしても、それが消費の回復にまでつながる具体的な道筋は描けていない。
野党の主張で最大の問題は、社会保障充実策などに充てる財源だ。3日のNHKの番組で民進党の枝野幸男幹事長は「行政改革によって財源は生み出せる」と訴えたが、旧民主党政権時代に子ども手当などの財源を確保できなかった経緯があり、自民党の谷垣禎一幹事長は「行政改革であれもできる、これもできるは民主党政権の公約だ」と批判した。大企業や富裕層への課税強化にも限界がある。
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●春闘 賃上げ平均7400円余 前年下回る
NHK 7月6日
ことしの春闘で大手企業が妥結した月額の賃金の引き上げ額は、平均で7400円余りとなり4年ぶりに前の年の実績を下回りました。
経団連は6日、東証一部に上場し、従業員が500人以上の大手企業118社の、ことしの春闘の妥結状況を最終集計として発表しました。
それによりますと、月額の賃金の引き上げ額は平均で7497円となり、3年連続で7000円を超えましたが、去年の実績を738円下回りました。
月額の賃金の引き上げ額が前の年の実績を下回るのは、平成24年以来4年ぶりで、17業種のうち13業種で去年を下回りました。
これは、ことしの春闘が、中国など世界経済の先行きへの懸念から株安や円高が進むなかで行われたため、経営者の間に賃上げに慎重な姿勢が強まったことが背景にあるとみられます。
経団連は「過去2年で高い水準のベースアップを実施した企業の中には、月額の賃金の上昇を抑えて、ボーナスを増やすところも多かったのではないか」と話しています。
●春闘賃上げ2.27%7497円に鈍化 3年連続2%超 経団連まとめ
sankeibiz 2016.7.7
経団連は6日、2016年春闘の妥結状況(118社回答)を発表した。大手企業での定期昇給と賃金水準全体を底上げするベースアップ(ベア)による月例賃金の引き上げ率は2.27%、額は7497円となった。
安倍晋三政権が企業に賃上げを要請する「官製春闘」によって、3年連続で率が2%、額も7000円を超えた。しかし、中国などの新興国経済の減速や円高の進行などで、景気の先行き不透明感が増したことに加え、労組側もベア要求額を減らしたため、賃上げ率は過去2年に比べ、鈍化した。
業種別で賃上げ率が最も高かったのは建設だった。3.17%で、額も1万6194円と高水準となった。東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設特需で、業績が大きく改善していることに加え、建設業界での人手不足から初任給の引き上げなどで他業界を上回った。これに、造船が2.38%、自動車が2.37%で続いた。
調査は原則、東証1部上場で、従業員500人以上の主要21業種251社の大手企業を対象にしている。
連合が6月末時点の回答をまとめた中堅・中小企業も含めた春闘集計でも、賃上げ率は2.0%だった。3年連続で2%を超えたものの、昨年の2.2%に比べ、伸び率は下回った。
●16年春の賃上げ前年割れ 大手企業2.27%、経団連最終集計
日経 2016/7/6
経団連が6日公表した春季労使交渉の最終集計によると、大手企業の定期昇給とベースアップ(ベア)を合わせた賃上げ額は月7497円だった。中国経済減速や円高・株安の影響で経営者が慎重姿勢を強め、賃上げ率は2.27%と4年ぶりの前年割れとなった。
2016年の賃上げ額は3年続けて7000円を超えた。ただ賃上げ率は17年ぶりの高水準となった15年(2.52%)に比べると伸びが鈍く、賃上げを起点とする「経済…
●大手企業の賃上げ率は2・27% 3年連続で2%超も伸び率鈍化、経団連まとめ
産経 2016.7.6
経団連は6日、平成28年春闘の妥結状況(118社回答)を発表した。大手企業での定期昇給と賃金水準全体を底上げするベースアップ(ベア)による月例賃金の引き上げは、額が7497円、率が2・27%となった。安倍晋三政権が企業に賃上げを要請する「官製春闘」3年目で、26年、27年に続き、額で7千円、率で2%を超えたが、上昇率は過去2年に比べ、鈍化している。
今回賃上げ率が伸び悩んだのは、中国経済の減速や円高の進行などで、景気先行き不透明感が増したことに加え、労組側もベア要求を減らしたことが要因と、経団連では分析している。
業種別では、賃上げ率が最も高いのが建設。会社や業界団体の要請で詳細は明らかにしていないが、3%を上回り、額でも1万円を超えているもようだ。東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設特需で業績が大きく改善していることに加え、建設業界での人手不足から初任給の引き上げなどで他業界を上回った。これに、造船が2・38%、自動車が2・37%で続いた。
調査は原則、東証1部上場で、従業員500人以上の主要21業種251社の大手企業を対象にしている。
●賃上げ予定企業は前年度より減少、関経連など調査
日経 2016/6/15
関西経済連合会と大阪商工会議所が15日に発表した関西企業の景気動向調査で、2016年度に賃上げを予定する企業が15年度よりも減っていることがわかった。円高や新興国経済の減速で景気の先行き不透明感が強まっており、企業が賃上げに慎重になっている。
「賃上げを実施する」との回答は79.2%と前年度調査(83.9%)を下回った。ベースアップも34.3%と8.5ポイント低下した。賞与など一時金の増額は37.3%にとどまり、前年度(48.8%)から減少した。
4~6月期の国内景況判断指数(「上昇」と答えた企業の比率から「下降」を引いた値)はマイナス18.6となり、1~3月期(マイナス28.1)に続いてマイナスとなった。関西企業の業況判断指数はマイナス10.9で2期連続でマイナスとなった。なかでも大企業が8期ぶりのマイナスに転じた。
調査は5月16日から6月1日に関経連と大商の会員企業1666社を対象に実施し、有効回答率は25.6%。
●2016年「賃上げ、同一労働同一賃金」に関するアンケート調査
東京商工リサーチ(TSR)2016年06月29日
全国の企業を対象に、2016年の賃上げ状況に関するアンケート調査を実施した。その結果、2016年の賃上げ実施企業は8割(構成比80.0%)に達し、このうち約5割(同49.1%)は、賃上げ幅が月2,500円未満(年3万円未満)だった。
日本経団連が4月18日に発表した2016年の春季労使交渉の第1回集計によると、従業員500人以上の東証1部上場企業の定期昇給とベースアップをあわせた賃上げ率は、前年から月額2.1%増加(7,174円増)した。前年の2.5%増(8,235円増)に比べ伸びは鈍化したが、引き続き増加基調が続いている。
今回のアンケートで中小企業にも賃上げの動きが広まっていることがわかった。だが、有効求人倍率が改善し人手不足が顕在化する中で、中小企業の人材確保を目的に賃上げせざるを得ない苦悩も浮かび上がった。
●東京都、春闘最終集計発表 - 民間企業の平均妥結額4年ぶり減
マイナビニュース [2016/07/06] 御木本千春
東京都は7月4日、2016年春季賃上げ・妥結状況の最終集計結果(2016年6月30日現在)を発表した。それによると、妥結した都内民間労働組合570組合のうち集計可能な488組合の平均妥結額は5,664円、賃上げ率は1.78%となり、前年と比べて金額で663円、率で10.48%下回った。前年比(同一組合)が減少するのは4年ぶり。
過去10年間の要求・妥結結果(2007年~2016年)(出典:東京都Webサイト)
前年比が最も高かった業種は「ゴム製品」
産業別・業種別妥結金額の分析対象(5組合以上)となった27業種のうち、前年比が最も高かったのは「ゴム製品」で16.11%増。以下、「その他運輸」が9.28%増、「非鉄金属」が8.62%増と続いた。一方、前年比が最も低かったのは「輸送用機械器具」で32.36%減、次いで「情報サービス」が27.65%減、「学術研究、専門・技術サービス業」が20.09%減となった。
産業別・業種別の妥結額をみると、「情報通信機械器具製造業」が9,175円で最も高く、以下、「情報制作(出版等)」が7,846円、「電気機械器具」が7,740円と続いた。反対に最も低かったのは「情報サービス」の2,434円だった。
交渉内容については(回答267組合)、「定期昇給(賃金カーブ維持)+ベースアップ」を要求した組合は145組合(54.3%)、「定期昇給(賃金カーブ維持)+ベースアップ」で妥結した組合は78組合(29.2%)となった。
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昨日は、参院選の最中ということで、各党の政策比較の情報を見た。
そのテーマは「格差解消」。今日は、その格差の象徴の一つの「子どもの貧困対策」。
以下を記録しておいた。
●未来へ問う 2016参院選/3 子どもの貧困対策 親の働く環境整備を/毎日 2016年7月4日
●「食」の支え合い、各地で手探り 「子ども食堂」急増/朝日 7月2日
●【つくられた貧困】「自己責任論」を超えて 湯浅誠・社会活動家/西日本 6月27日
●子どもの貧困放置で「経済損失50兆円、財政負担20兆円」/〈AERA〉dot.ドット 7/ 1
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●未来へ問う 2016参院選/3 子どもの貧困対策 親の働く環境整備を
毎日 2016年7月4日
6月初旬の夜、福岡県内のシングルマザーの女性(43)の元をNPO法人フードバンク北九州ライフアゲイン(北九州市)の担当者が訪ねた。軽トラックの荷台から米10キロやパン、缶詰、野菜などが入った箱を降ろし、女性に手渡す。2週間置きに支援を受ける女性は「前回分はほとんどなくなった。特にお米が助かる」と喜んだ。
中学生の一人息子と2人暮らし。息子の父親は、妊娠中に姿を消した。生活保護には頼らず、非正規労働を続けながら1人で息子を育ててきた。現在は時給750円のパートで会社の受付をこなし、休日はチラシ配りを掛け持ちする。それでも月の手取りは12万円ほど。給料日前は、安いモヤシをみそ汁や野菜炒めにする。「うちって貧乏なんかな」。友達の家から帰ってきた息子の何気ない一言が胸に刺さる。両親に譲られた古い家があるから何とか生活できる。
ライフアゲインは女性のような困窮家庭46世帯と児童養護施設など61施設に企業や農家、個人から寄付された食料を無償で届けている。支援する家庭の半数以上は母子家庭だ。生活保護以下の収入で暮らす家庭も多い。
親の介護でほとんど働けず、「おなかすいたよ」とぐずる小学生と保育園児の2人を連れ、山でツクシやツワブキを採ってしのいでいた母親もいた。ライフアゲインや他の支援団体が届けるバナナを、空腹を抱えた児童に渡している校長先生もいる。
福岡のシングルマザーの女性がいま気がかりなのが息子の教育費だ。日本政策金融公庫の調査によると、高校入学から大学卒業までにかかる入学と在学費用は約900万円。女性にとっては6年分の稼ぎだ。「息子が希望すれば大学にも行かせてあげたいが、貯金は少なく、これ以上仕事も増やせない」と頭を抱える。
子どもの6人に1人が貧困下にある日本。2014年には「子どもの貧困対策推進法」が施行され、国や自治体は、貧困状況にある子どもの教育支援などに取り組まねばならない。参院選でも各党がこぞって返済の要らない給付型奨学金の創設を掲げ、ひとり親や貧困家庭への支援拡充などに力を入れる姿勢を見せる。
ただ、福岡の女性のように行政に頼らず歯を食いしばる親子を何人も見てきたライフアゲインの原田昌樹理事長(51)は、そうしたメニューをいくら並べても支援の網から漏れる人がいると指摘する。「本当に支援を必要とする家庭を漏れなく把握して支えるには、学校、行政、地域、NPOが情報を共有する連携の仕組みが必要だ」
そもそも、子どもを抱えた親たちが貧困に陥らないで済む社会を目指すのが先ではないのか。「シングルマザーの多くは給料の安い非正規の仕事にしか就けず、非正規ゆえに働き続けられる保障もない。そういう人たちが安心して子どもを育てられる社会を国はつくってほしい」と望んでいる。【高芝菜穂子】=つづく
各党が掲げる主な子ども関連政策
自民 児童扶養手当の第2、3子以降の加算。幼児教育の無償化
民進 児童扶養手当を20歳までに。保育・医療等の自己負担軽減
公明 低所得者層への給食費補助充実。子ども医療費の無料化
共産 大学授業料を10年間で半額に。子どもの医療費無料化推進
維新 憲法改正による教育無償化。幼児教育も無償
社民 高校授業料の無償化。大学、大学院等の学費無償化
生活 月2万6000円の子ども手当実現。高校授業料無償化
こころ 貧困対策やひとり親世帯への支援策の充実
改革 子どもの問題に対応する「こども庁」を新設
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●「食」の支え合い、各地で手探り 「子ども食堂」急増
朝日 2016年7月2日 河合真美江、中塚久美子、丑田滋
全国で開設が相次ぐ子ども食堂。朝日新聞の調査では、活動資金をどう確保するか、困っている子に足を運んでもらうにはどうすればいいかを課題に挙げるところが多かった。貧困対策というイメージから抵抗感を持たれるケースもあり、各地で模索が続いている。
「子ども食堂」全国に300カ所 開設急増、半数が無料
全国の子ども食堂一覧はこちら
■「困窮者向け」印象強く
「ハラ減った~。早く~」。6月の土曜正午、沖縄県中部の公共施設。われ先に飛び込む小学生らの声が響いた。
3月から週3回開かれている無料の子ども食堂。この日は約50人が集まった。メニューはそうめん。ボランティアの女性数人が錦糸(きんし)卵やキュウリをのせ、つゆをかけていく。「朝ご飯食べてない」と、待ちきれず先に手をつける子もいた。
配膳を手伝い、最後に食べ始めた中学3年の女子生徒(14)は母子家庭で、5人きょうだいの末っ子。兄姉は仕事やバイトで帰りが遅く、女子生徒が炊事、洗濯、掃除を担う。公民館で週2回開かれる無料塾にも通い、そこで夕食もとる。
「家に食べるものがない時もあるからうれしい。大きな家族ができた感じ」
2013年に子どもの貧困対策法が成立。関心の高まりを背景に昨年から子ども食堂が急増した。「夏休みには給食がなくなり、やせる子もいる」と長期休みを意識する声が目立ち、開設を急いだ食堂もあった。
一方、「貧困の子が行く場所」という認識が、ハードルになるケースもある。
東日本の山間部で今春、公民館で子ども食堂を開きたいと地区の区長に依頼にいった民間団体のメンバーは、問い詰められた。「なぜ、うちでやるのか。困窮者が集まる地域と思われる。どんな趣旨で開くのか」。他の地域で開いたときの新聞記事を後日持っていき、誰でも交流できる場と説明。「どんな子も楽しめるなら」と許可された。団体側は「きちんと説明できる態勢にしてから申し込むべきだった」と振り返る。
九州でも昨年、公民館で開こう…
●【つくられた貧困】「自己責任論」を超えて 湯浅誠・社会活動家
西日本 2016年06月27日
私がホームレス支援を通して貧困問題に関わり始めた1990年代半ばは、「自己責任論」の嵐だった。2008年のリーマン・ショックや「年越し派遣村」を経て、政府が09年に初めて「相対的貧困率15・7%」を発表。子どもの貧困問題も「見える化」され、焦点が当たり始めた。当然、子どもに罪はないから、自己責任論という最初の大きなヤマを越えていると考えたが、必ずしもそうではなかった。
子どもの貧困を解決するには親の生活を改善する必要がある。雇用や家計支援に話が及ぶと、「なぜ親がもっと頑張らないのか」「離婚なんてするからだ」という反応が一気に来る。
貧困に関する自己責任論には「貧困はあなたの問題であって、俺の問題じゃないし、社会の問題でもない」という意識がある。それは同じ社会の一員という自覚に欠けた「社会的無責任論」だ。人はつながりの中で生きており、結局、自分に跳ね返ってくる。
私の兄は筋萎縮性の難病で身体障害者だ。障害年金を受け取りながら社会福祉法人で働いている。もし「そんなところに税金を投入する必要はない」と言われて兄が働く場を失えば、母が一日中、家でケアすることになり、私や周りにいる人たちにも影響が広がる。
生活保護やホームレスへのバッシングにも、経済的な生産性だけ見て「社会のお荷物だ」と排除する論理がある。そうやって障害者や高齢者、貧困家庭を排除しても問題は解決しない。
例えば貧困の連鎖を放置すると、支援をすれば納税者になり得る子どもたちが、生活保護受給者となり、税金を使う側になる。「排除」は結局高くつく。
多様な人を受け入れると、周りがそこから学び、地域の問題解決能力が上がっていく。それこそが豊かで強い社会だと思う。
■ ■
私は、子ども食堂がその入り口になると考え、各地に広げる活動を5月から始めている。子ども食堂は、福祉の専門家で語られているだけだった貧困問題を、お茶の間に広げた。
今はややブームと言える状況で、地域で息長く、学校などと連携していくためには自治会などの関わりが必要だ。公民館で月1回やっている高齢者サロンに子どもが来られるようになるだけでいい。共に過ごす場があると、「あの子は課題を抱えている」と見えなかったものが見えてくる。
そんなアンテナが大人たちに立っていけば、地域で子どもを見守る力が育ち、解決力がついていく。それこそが地域および社会の、責任感のある引き受け方だろう。 =おわり
▼子どもの貧困の「見える化」 相対的貧困率(平均的所得の半分に満たない世帯で暮らす人の割合)を政府が初めて発表したのは、2009年10月。全体の貧困率は15.7%、子どもの貧困率は14.2%だった。
それまでの歴代政権は「言われているほどの格差はない」(小泉純一郎元首相)などと貧困の存在を認めていなかった。08年のリーマン・ショック後に製造業などで「派遣切り」が増え、年末年始に東京・日比谷公園に失業者らが集まった「年越し派遣村」で深刻な実態が明るみに出た。貧困率の発表は民主党への政権交代直後だった。
09年11月にはひとり親世帯の貧困率が54.3%に上ると発表。先進国の中で際立って高いことが判明した。以降、貧困の連鎖を止めるための子どもの貧困対策推進法成立(14年施行)などにつながっていく。
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●子どもの貧困放置で「経済損失50兆円、財政負担20兆円」
〈AERA〉dot.ドット (更新 2016/7/ 1 16:00) by 編集部・深澤友紀 ※AERA 2016年7月4日号
参院選を前に格闘の政策は?
政府支出はこんなに違う
損失は50兆円以上、財政負担は20兆円──。日本の将来にかかわる大問題。この問題を各党はどう考えているのか。参院選を前に聞いた。
子どもの貧困を何の対策もせずに放っておけば、15歳の1学年だけでも、経済損失は約2.9兆円におよび、国の財政負担は約1.1兆円増える──。日本財団と三菱UFJリサーチ&コンサルティングが昨年末、こんな試算を発表した。
問題を放置すると、学力や進学率など教育格差が生まれ、将来の賃金格差にもつながる。「子供の貧困対策に関する大綱」によると、大学や専門学校などへの進学率は、全世帯が73.3%なのに対し、生活保護世帯は32.9%、児童養護施設だと22.6%、ひとり親世帯は41.6%と、経済状況によって進学率に格差があるのは明らかだ。貧困世帯の子どもは塾に通えないということもあるが、家庭環境に問題を抱えていて勉強に身が入らないという背景もある。
試算では、進学率が今のままのシナリオと、貧困世帯の進学率が非貧困世帯並みに改善するシナリオを比べた。しかも、この推計はたった1学年分なので、これを子ども全体(18歳以下)で考えると、単純計算で国全体の経済損失は50兆円以上。さらに生活保護の支給などが増え、国の財政負担が約20兆円も増える。子どもの貧困は「かわいそうだから対策すべき」と思われがちだが、実は経済問題として解決すべき課題でもあり、当事者だけの問題ではなく、将来への投資として国全体が取り組むべき課題なのだ。
●所得再分配効果少ない
そもそも日本で子どもの貧困格差がこんなにも深刻なのはなぜなのか。
もちろん、親の所得格差が開いてきたことが理由に挙げられるが、首都大学東京教授で、同大が15年に設立した「子ども・若者貧困研究センター」のセンター長を務める阿部彩さんは、教育と社会保障の問題点を指摘する。本来なら、教育は経済格差を緩和する機能を持つべきなのに、日本では経済格差がそのまま学力差になる。
「同じように毎日学校に通っていてどうしてこんなに学力格差が出てしまうのか。学校での教え方について、もう一度見直す必要がある」(阿部さん)
また、税や社会保障制度については、数年前まで国の所得再分配によって、子どもの貧困率がアップするという逆転現象が起きていた。
「所得再分配」といえば、税制や社会保障などを通じて、所得の高い人から低い人へ富を移転させて貧困を削減することが期待されているのに、日本では低所得層の社会保険料や税の負担が大きいうえに、子育ての負担を減らす社会保障の給付が少ないために再分配後の貧困率が高くなってしまっていたのだ。
阿部さんによると、児童手当拡充の効果などで09年に逆転現象が解消されたが、それでも再分配効果は他の先進諸国と比べて依然小さいという。
「貧困世帯への支援はもちろんですが、貧困に陥っていないギリギリのところで頑張っている世帯にも手厚い給付や負担の見直しが必要です」(阿部さん)
深刻化する子どもの貧困問題に対し、13年に「子どもの貧困対策法」が成立し、翌年には「子どもの貧困対策大綱」が策定された。
大綱によると、当面の重点施策は、「教育支援」「生活支援」「保護者の就労支援」「経済的支援」「実態調査」の5分野だが、これまでにある施策ばかりで目新しいものはなく、有識者でつくる内閣府の検討会が提言した「給付型奨学金」の創設や児童扶養手当の支給対象年齢延長は記載されなかった。
●各党が注力するテーマ
国の対策が不十分な中、政府は経済界の協力を募り、民間資金をあてにしようとしていた。
それが今年3月に民主党(現民進党)の蓮舫代表代行が参院予算委員会で費用対効果の悪さを指摘した「子供の未来応援基金」。子どもの貧困対策のために寄付を募り、子どもの支援活動をするNPOへの支援などに充てる計画で、政府は広報などに約2億円の予算を充てて昨年10月から寄付を呼びかけてきたが、今年2月までに約2千万円しか集まらず、蓮舫氏は「2億円を基金に入れれば良かった」と訴えた。
本来は民間頼みではなく、国が率先して貧困対策に取り組むべきではないのか。今回の参議院議員選挙では、各党は子どもの貧困問題をどう考えているのか。アエラは、6月1日現在で5人以上の国会議員を有する7党に向け、政策アンケートを実施した(右の表)。
まずすべての党が参院選に向けた公約に「子どもの貧困対策」を掲げていた。今回アンケートを実施しなかった党でも、「日本のこころを大切にする党」は6月3日に発表した「政策実例」の2項目で貧困対策とひとり親世帯への支援策の充実を掲げ、「新党改革」は「2016約束」の中で給付型の奨学金の創設などを明記。子どもの貧困解消は各党が注力するテーマだ。
7党には、高齢者向けの政策が重視され、子育て世代と比較して予算も多くつく「シルバー民主主義」の現状についても、どう考えるか聞いてみた。
国立社会保障・人口問題研究所によると、年金や介護など高齢者向けの13年度支出は54兆6247億円。一方、児童手当や保育所整備などの子育て向けの支出は6兆568億円。対GDP比で見ても、高齢者向けは11・31%、子育て向けは1・25%と9倍の開きがある(左上のチャート)。背景には、高齢者が有権者の4割を占め、そのうえ下の世代と比べて投票率が高いことがあると考えられている。
●世代間対立ではなく
各党は、「世代間の給付と負担の公平の確保を図っていく」(自民)、「高齢者向けを削って子ども向け予算に回す、という発想では問題の解決にならない。両方増やす」(共産)、「社会保障の重点は子ども・子育て支援にシフトさせるべき」(維新)、「(高齢者と子育て世代への予算配分は)1対1にできれば良い」(生活)などと回答した。
消費増税の延期による社会保障費の不足については、政権与党からは「優先順位を考える」(自民)、「あらゆる財源を捻出する」(公明)と心もとない回答が。野党側は「金融所得課税の5%引き上げ」(民進)、「所得税の累進性の強化、法人税率の引き上げなどで税収を増やす」(社民)と、税制改革で新たな財源を確保すべきと回答した。
前出の阿部さんは言う。
「貧困は高齢者層でも深刻で、世代間の対立をあおるのは違う。年齢ではなく所得階層でしっかり負担と給付を見直すことが大切です。また、圧倒的に予算が少ないことが問題。消費増税が延期されましたが、負担が将来に持ち越されただけで政治の責任逃れ。日本の未来を考えて、国民に『負担してください』と言える政治家を選ばなければ、問題は解決しません」
(編集部・深澤友紀)
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今は参院選の最中。候補者が乗っているらしい選挙カーは一度も「その音」を聞いていない。政党の宣伝カーらしき音を聞いた記憶は2度。そんなに縁遠さのある選挙。
ともかく、各党の政策比較も必要。
「格差解消」のことは、私も政治にかかわっていた後半、ずっと強く言い続けたことで、今は、時代もその認識が定着しているテーマ。
ネットで見て、最も納得した一つは西日本新聞の≪【つくられた貧困】格差広げる所得再分配 大沢真理・東京大教授≫の見解。私が絞る要点は、
★≪今は子どもの貧困が深刻。背景の一つに、親世代の雇用環境の悪化がある。・・90年代半ばから政府が進めた規制緩和で、非正規労働者が増加したことが原因だ。さらに「非正規=低賃金」という日本固有の構図がある。・・しかも、日本の最低賃金は時給798円(2016年度の平均)で、主な先進国19カ国で最低レベルだ。この原因は「男が外で稼ぎ、女は家を守る」という性別役割分業を基にした制度設計にある。≫
≪もう一つ、本来は高所得層から税や社会保険料を取り、年金や手当、生活保護などの社会保障給付で低所得層に還元する「所得再分配」が、逆に貧困の拡大を招いている現実がある。・・所得再分配が正常に機能していないのは、高所得層に優しく、低所得層に厳しい税制が大きな原因だ。80年代は70%だった所得税の最高税率を40%前後まで下げた。90年代後半から法人税も繰り返し下げ、年間10兆~20兆円規模の税収を放棄する一方で、消費税や社会保険料の引き上げで低所得者に負担を強いてきた。日本はOECD諸国の中で、税の累進性が最低レベルだ。≫
ということで、幾つかを記録しておく。
●【つくられた貧困】格差広げる所得再分配 大沢真理・東京大教授/西日本 6月21日
●街の人に聞いた/貧困問題、50代男性「心まで貧しくなっていく」/週刊女性プライム 7月04日
●貧困報道を「トンデモ解釈」する困った人たち ある階級の人たちは「想像力」が欠如している 「貧困報道」は問題だらけだ/東洋経済オンライン 6月22日 鈴木大介
●「貧困対策」主要政党のスタンスを参院選前に確認する/ダイヤモンド・オンライン 2016年7月1日 みわよしこ
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●【つくられた貧困】格差広げる所得再分配 大沢真理・東京大教授
西日本 2016年06月21日
日本で貧困といえば、1980年代は高齢者の問題だったが、今は子どもの貧困が深刻だ。
背景の一つに、親世代の雇用環境の悪化がある。15~24歳の非正規労働者の割合は90年は男女とも2割だったが、2010年は男性の4割、女性の5割に上っている。新卒者がなかなか正社員になれていない。90年代半ばから政府が進めた規制緩和で、非正規労働者が増加したことが原因だ。
さらに「非正規=低賃金」という日本固有の構図がある。他の先進国は同じ仕事ならば正規、非正規の時間給の差は15%程度だが、日本は30~40%。しかも、日本の最低賃金は時給798円(2016年度の平均)で、主な先進国19カ国で最低レベルだ。
この原因は「男が外で稼ぎ、女は家を守る」という性別役割分業を基にした制度設計にある。
女性の労働に「103万円の壁」を作り出した配偶者控除や、「130万円の壁」を設けた年金の第3号被保険者制度や健康保険制度が、「働くのは損」と労働参加をゆがめ、家計補助のパートで良しとし、女性の低賃金労働を許す要因となっている。「ひとり親の8割が働いているのに、5割が貧困」という理不尽を生む要因となっている。
■ ■
もう一つ、本来は高所得層から税や社会保険料を取り、年金や手当、生活保護などの社会保障給付で低所得層に還元する「所得再分配」が、逆に貧困の拡大を招いている現実がある。
政府による所得再分配の前と後で、貧困率がどれくらい下がったかを示す「貧困削減率」という指標がある。経済協力開発機構(OECD)の09年の分析では、各国は再分配後に貧困率を20~80%削減しているが、日本だけが唯一、共働き世帯やひとり親世帯で、貧困率を8%増加させていた。
所得再分配が正常に機能していないのは、高所得層に優しく、低所得層に厳しい税制が大きな原因だ。80年代は70%だった所得税の最高税率を40%前後まで下げた。90年代後半から法人税も繰り返し下げ、年間10兆~20兆円規模の税収を放棄する一方で、消費税や社会保険料の引き上げで低所得者に負担を強いてきた。日本はOECD諸国の中で、税の累進性が最低レベルだ。
こうして見ると、子どもの貧困は政府がつくり出してきたと言える。
正規、非正規労働者の賃金格差をなくすため、「同一価値労働同一賃金」の原則を徹底し、最低賃金を上げる。配偶者控除のような高所得層を優遇する制度は撤廃する。所得税の最高税率を引き上げる。子どもの貧困を解決するため、政府が取るべきはこうした政策だ。
▼貧困率と所得再分配 平均的所得の半分に満たない世帯で暮らす子どもの割合を示す「子どもの相対的貧困率」は2012年時点で過去最高の16.3%。貧困ラインは、日本では生活保護ラインにほぼ相当するとされている。
経済協力開発機構(OECD)の調査では、働いているひとり親の相対的貧困率は日本が突出して高く、約60%。子どもの貧困率が日本より高い米国でも約35%で、デンマークなどの北欧諸国は3~5%だ。1人で家計を支える親の賃金の低さや支援の乏しさを物語る。
所得再分配政策が正常に機能しているかどうかを示す「子どもの貧困削減率」は主要18カ国中、日本は唯一のマイナス。1980年代から一貫して再分配後に貧困率が上がっている。イタリアなども80年代はマイナスだったが、プラスに改善した。
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●街の人に聞いた/貧困問題、50代男性「心まで貧しくなっていく」
週刊女性プライム 2016年07月04日
年功序列の賃金も、年金もあてにできない現代。子どもたち、未婚女性、シングルマザー、高齢者……と、幅広い世代で貧困にあえぐ人々が増えている。そこで街の人の声を聞いた。
「保育園落ちた日本死ね」発言が国会で取り上げられて以降、子育てや労働環境を見直そうという風潮が強まる昨今。
「保育園に預けられないから、働きたくても働けない。結局、無認可の保育園に預けたものの、認可に比べると無認可は保育料が高額。ようやくパートとして働くことができたけど保育料がパート代を上回り働いている意味がわからなくなった。ノイローゼになりそうです」(30代・女性)
「舛添都知事の公約のひとつが、『待機児童をゼロにする』だった。でも、フタを開ければ何ひとつ進んでいない。権力者の驕奢な暮らしを支えるために、私たちは爪に火をともすような子育てをしなければならないの?」(20代・女性)
最近では、お金がないために結婚できない貧困女子も増えているという。
「月給から家賃を引いて8万5000円以下だと貧困女子層に分類されるらしいんですが、まさに私の置かれている状況です。お金がないので着飾って婚活なんてできない。仮にパートナーがお金を持っていても、夫婦の所得に差がありすぎてうまくいくわけがない」(30代・女性)
「30歳までに夢を叶えられなかったら、まともな仕事に就こうと決めていました。夢破れて働き口を探したもののなかなか見つからなくて……せめて手に職のつく夢を見るべきでした。30歳でゼロからのスタート、不安で仕方ないです」(30代・女性)
「大学のために奨学金を借りた友人たちは、就職後まったく貯蓄ができないため“このまま20代を地味な生活で終えるのかな……”とボヤいていましたね」(20代・男子)
「うちの娘は30代ですが、いまだに実家暮らし。親に甘えているせいで、離職後もまともに復職しようとせずにアルバイト生活です。1度もひとり暮らしをしたことがないので結婚できるかどうかも心配。負の連鎖の止め方がわからない」(60代・女性)
下流老人という言葉が生まれたように、貧困の魔の手は全世代に忍び寄る。
「妻から熟年離婚を叩きつけられ、50歳を過ぎて単身になってしまった。財産は取られ、家もなくし、今は郊外にアパートを借りて暮らしている。心まで貧しくなっていくのがわかる」(50代・男性)
「治療による高額の医療費に生活が圧迫されています。この後、何年生きるのかわからないのにお金を支払い続けるくらいだったら、確実に死ねる薬があるなら100万円で購入して安楽死を選びたいくらい」(60代・女性)
「ようやく子育てが終わったと思ったら、今度は親が認知症に。介護施設に入居させたいけど、保育園同様に入所待ち。福祉が充実していないことで、必ず誰かに貧困というしわ寄せが及ぶ。金持ちケンカせず……そんな暮らしがしてみたいです」(40代・女性)
●貧困報道を「トンデモ解釈」する困った人たち ある階級の人たちは「想像力」が欠如している 「貧困報道」は問題だらけだ
東洋経済オンライン 2016年06月22日鈴木 大介 :ルポライター
鈴木大介氏による貧困報道への提言。今回のテーマは「かわいそうバイアスの限界」について
「もし食い物万引きしちゃいけないって言うなら、3日間公園の水だけ飲んで暮らしてみればいいんすよ。非行少年なんか、親が3日飯食わせなかったら誰だってなるんすよ」
「子供のことが心底憎いって思ってる親がいるはずがないって、わたし、生まれてから100回ぐらい他人に言われた。けどわたしが施設で暮らしてる間、母親から“あんた生むんじゃなかった”って手紙も100通ぐらい送られてきた気がする。母親の手紙にカミソリ入ってたことだってある」
「俺はヤクザになりたくないから東京に来たんですよ。中学卒業して地元で食っていきたかったら、ゲソ付ける(ヤクザになる)かヤクザの下で働く以外に選択肢がない地元って、鈴木さんわかります?」
「少なくともウチが通ってた高校じゃ、高校中退した理由が親の失業だって同級生がクラスに8人いました」
「初めての援交の相手はママの元カレです。あたしのママは、ばあちゃんに“シングルマザーでも娘3人生めば家が建つ”って言われて育ったんだって。女は中学卒業すりゃ夜職に突っ込んで稼がせることできるからって。実際、ママは中3からずっと夜職」
「鈴木さんて大学進学したやつはみんな親が金持ちとか思ってません? 鈴木さんの頃はどうだったかわかんないっすけど、僕の周りはだいたい家賃とか仕送りとか学費とか、大学行ってる間に親に払ってもらったもんは卒業したら返すのが前提ですからね」
目からウロコが落ちた取材対象者の言葉
ここ数年の取材で目からウロコが落ちた取材対象者の言葉を、思いつくままに並べてみた。
目からウロコが落ちるとはつまり、自分の生きる世界とは違う世界の常識を目の当たりにしたり、想像の範疇の外側をのぞいてしまったということ。取材記者を続けてきて痛感するのは、記者自身も含めて、「人間の想像力が及ぶ範囲とは恐ろしく限定的なものだ」ということである。
・・・・・・・(略)・・・
そこにきれい事はない
抱えてきた苦しみが大きいほど、そこにきれい事はない。
だからこそ支援者には専門性が必要なわけで、一方でその「かわいそうバイアス報道」が当事者を失望させるだけの安易なアマチュア支援者やにわか支援希望者を量産してきたとすれば、僕のこれまでの著作は「害毒」と言っても過言じゃないだろう。
随分、自虐的だとは思うが、この「ハンパにきれいに書くのも問題よ」という言葉は、思えばもう6年も前に、貧困者支援の最前線で戦う支援者から僕に投げかけられた言葉だ。
とはいえ「まずは可視化だ」ということで、かわいそう報道=苦しみの可視化報道を続けてきたが、その前に立ちはだかったのは、「想像力の壁」だった。一言で言ってしまえば、「人は自分が見たことのあるものにしかリアリティを感じられない」生き物だということ。それはこれまでの執筆活動の中で、読者の反応で痛いほどに味わってきたことだ。
読者の反応は3つに分かれる
コンテンツとしてブームになる前から子供や女性、若者の貧困をテーマに執筆を続けてきたが、その読者の反応は大きく3つに分かれた。
ひとつは実際にそうした困窮者の支援サイドにいる方々からの「私たちの見ている日常をよく描いてくれた」「よくぞ当事者の代弁をしてくれた」という反応。
もうひとつは「知らなかった! こんな人たちがいるなら私もなんとか力になりたい!」「知りたくなかったし、もう絶望。私はなんの力にもなれない」。
そして最後に、少なからずいるのが「こんな世界は見たことがない、これが本当に日本の光景なのか」「ファンタジーじゃないのか」と反応する読者だ。
描写にバイアスをかけているとしても、僕自身は取材対象者の物語を作るほどの才能はないし、その当事者の「 」(カギカッコ)内の言葉を絶対に改変したくないということで担当編集者たちと戦ってきた。だからそのリアルに自信はあるし、ファンタジーでこんな面倒くさい取材続けてられるか!とも思ったが、実は最も重く受け入れるべき読者の反応は、3番目なのだ。
その理由が、まさにその「想像力の壁」こそが、貧困問題の解決に大きな壁となって立ちはだかる現実だからである。
・・・・・・・・・(略)・・・
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●「貧困対策」主要政党のスタンスを参院選前に確認する
ダイヤモンド・オンライン 2016年7月1日みわよしこ [フリーランス・ライター] 【第54回】
2016年7月10日に行われる参院選の選挙戦が始まっているが、貧困問題は主要な争点とは考えられていない。貧困の拡大に対する各政党のホンネは、どこにあるのだろうか?
公約には全く記述なし 自民党の生活保護政策の中身
参院選前に各党の貧困対策へのスタンスを確認したい
2016年7月10日の参院選が6月22日に公示され、本記事を執筆している2016年6月30日は、選挙戦がたけなわである。しかし、公約を比較すると、社会保障や生活保護については大きな差が見受けられず、「当たり障りない」あるいは「どうにでも取れる」文言が多い。
たとえば、自民党の今回の公約を見てみると、なんと生活保護に関する記述が全くないのだ。ただし、2016年6月20日に発行されたばかりの「総合政策集2016 Jファイル」には、
「291 生活保護制度、生活困窮者自立支援制度
生活保護制度については、真に必要な人に生活保護が行き渡るとともに、国民の信頼と安心感を取り戻し、納税者の理解の得られる構成な制度に改善します。」
と、生活保護に関する言及がある。相変わらずといえば相変わらず、むしろ「自民党にしては、ずいぶんおとなしい」と感じるくらいだ。
続くくだりを読むと「自助努力による生計の維持ができない者に対する措置ということを原点」「就労による自立促進」「健康や生活面等に着目した支援」などの文言が並ぶ。つまり「本人の」自己責任とし、その自己責任の「本人を」支援といいながら指導(いっそ「支配」というべきか)すれば解決するであろうという毎度の話が、同じように繰り返されているわけだ。
この繰り返しの始まりは、生活保護法新法が成立した1950年からわずか4年後、1954年、大蔵省(当時)の意図を汲んだ厚生省(当時)が「適正化」の名の下に生活保護の利用抑制に踏み切らざるを得なくなった時期にある。以後、現在まで、「自己責任」で生活困窮に陥った本人、さらに「暴力団」「怠け者」「外国人」「家族としての扶養責任を果たさない人」など分かりやすい「悪者」を仕立てあげ、メディアのキャンペーンを並行させての生活保護バッシングが断続的に繰り返されてきている。
松任谷由実の歌詞を借りれば「リフレインが叫んでる」。生活保護と生活困窮者支援に関し、今回の自民党の公約に、目新しい要素は見当たらない。2012年末に第2次安倍内閣が成立して以後の削減路線を踏襲する心づもりなのだろうか? そうであれば、生活保護政策という一点ゆえに、私は自民党を支持するわけにいかない。
LPレコードがCDに置き換えられる以前、レコードの盤面の傷が原因で、延々と同じ箇所が再生され続けることがあった。今回の公約での生活保護政策・生活困窮者支援政策のリフレインは、次回選挙以後、消えてほしいものである。自民党が、長年の政権党としての実績と人材の層の厚さを活かせば、生活保護を必要とする人々にとっての現在と近未来の生活の質を一定以上に担保することを、いわゆる「納税者の納得」と両立させることも可能なはずだ。
民進党の生活保護政策にはどこまで期待が持てそうか?
・・・・・・・・・・・(略)・・・
民進党には、まず、現在の状況を「より『悪くなく』する」こと、特に貧困の拡大に対して、実際に生活困窮状況にある人々・生活保護で暮らす人々・就労などによる経済的自立ができてはいるものの苦しい人々を具体的に「よりラク」「よりマシ」にすることを期待したい。自民党が、実質的に逆行させる動きをした場合、歯止めとなってほしい。でも、どこまで期待できるのだろうか? 公約と政策集を読む限り、私の口からは「うううううむ……」という唸り声しか出てこない。
民進党のうち旧民主党の人々に、「もう一度、政権を担いたい」という志が本当にあるのなら、次回以後の選挙では、読んだ選挙民が「やってください! 応援しますよ!」という気持ちになれるように、公約や政策集を作成してほしい。公約等に書いたからといって、100%実現できるわけではない。でも、公約に書かれていない内容や姿勢が、実際に「それ以上」になることはないだろう。起草者の文章力の問題なら、腕のよいコピーライターに外注し、まず候補者たちが読めばモチベーションを高められるものにすることも考えてほしい。
ともあれ、民進党に関しては、私は投票の瞬間まで、
「政策決定のバランスからいって、非自民・非公明に一定の勢力は必要だけど……生活保護はねえ……どこが最良の歯止め、改善の最大の推進力になってくれる……?」
と悩むことになりそうだ。
生活保護関連の質問に答えない公明党の不気味な沈黙
公約では分かりにくい個別政策へのスタンスに関し、数多くの団体が、各政党に公開質問を行っている。
・・・・(略)・・・
回答しなかった3政党のうち、公明党の不回答の理由は「ご希望に添えないと思います」。かつて「福祉の公明党」とまで呼ばれた公明党の沈黙に、私はなんとも不気味なものを感じる・・・公明党に何も期待すべきではないのだろうか?
・・・・(略)・・・
各党のスタンスを評価してみた
・・・・(略)・・・
各政党の方針から、貧困解消・格差解消(生活保護・科学技術政策)・不透明な将来への耐性・政府政策との整合性 の5点を評価したのが、下記の表だ。「-」は「無回答」あるいは「記述なし」を示す。
敢えて、総合評価は行わなかった。「格差解消なしの貧困解消を考えているか? それは実現できそうか?」「格差について、生活保護と科学技術政策で異なる意見を持っているか?」「実現可能性と考えあわせたとき、どの程度安全か? どの程度危険か?」など、読者の皆様それぞれに、ご自分の投票を考える参考としていただければ幸いである。
・・・・(略)・・・ |
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イギリスのEU離脱を国民が選択して10日ほど。イギリスだけでなく、ヨーロッパや世界全体への影響、日本への影響など、報道されるようになってきた。なかには、EUの解体にもつながり得る旨の指摘もある。
それで気になった報道の一部や直近のものはタイトルにリンクだけつけてメモにしておく。
なお、今朝は24度ほどの気温でノルディックウォーク。今8時過ぎで早くも27度を超えている。
●EU解体「第2幕」の始まり~ジョージ・ソロス&ストラトフォー最新分析/高島康司 マネーボイス 2016年7月3日
●2分でわかる「英国EU離脱」の「私たちの生活への影響」/ライフハッカー編集部 6.25
●【iRONNA発】英EU離脱 日本はリーマン・ショックの轍踏むな/産経 7.3
●英EU離脱の余波が日本経済を浸食し始めている/週刊ダイヤモンド 7月4日
●英EU離脱 世界一複雑な離婚協議が始まる /日経 6/24
●EU離脱はまだモメる、国内手続きすら不確定 誰が新首相なっても離脱交渉が容易ではない理由/日経ビジネス 7月4日
●EU離脱で英国経済に長期低迷の可能性/週刊ダイヤモンド 7月4日
●EU離脱、イギリスはどうなる? 数日後、数カ月後、数年後のシナリオ/The Huffington Post 6月26日
●EU離脱で混迷を深めるイギリス与野党の党首選 候補者の顔ぶれは?/The Huffington Post 7月02日
●人気ブログランキング = 今、1位
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●EU解体「第2幕」の始まり~ジョージ・ソロス&ストラトフォー最新分析
=高島康司 マネーボイス 2016年7月3日
今回は英国のEU離脱決定後に発表されたジョージ・ソロスの論文やCIA系シンクタンク『ストラトフォー』の分析を紹介する。プロセスはどうあれ、EUは解体に向かっているようだ。(未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ・高島康司)
※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2016年7月1日号の一部抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初の購読は特にお得です!
EU解体は避けられないのか? ソロス&ストラトフォーの見方
「歴史的な転換点」となる英EU離脱
今回のテーマはイギリスのEU離脱と今後の予想である。これは明らかに、歴史的な転換点になる出来事である。離脱は、政治や経済のみならず領土紛争まで、あらゆる危機の連鎖をさまざまな地域で多発させるスイッチの役割を果たす可能性がある。<中略>
影響が多方面に及ぶ出来事なので、当然1回の記事で書ききれるものではないが、数回に分けてあらゆる方面から解析してみよう。
国論を二分した国民投票後の政治空白
まずは基本的な事実の確認である。もはや改めて解説するまでもないだろうが、6月23日、EU離脱の是非を問う国民投票で、大方の予想に反して離脱派が僅差で上回り、イギリスのEU離脱が決定してしまった。投票の最終結果は、離脱が51.9%、残留が48.1%という国論を二分する結果だった。
これを受けてEU首脳部は、EU基本条約の「リスボン協定」が定めた第50条の離脱規定に基づいて、イギリスができるだけ早く離脱の意志を通知するように迫っている。
一方イギリス国内では、国民投票後の政治状況が混迷している。キャメロン首相が辞任の意志を表明する一方、野党労働党のコービー党首も残留に積極的ではなかったと党内から批判され、労働党の影の政府も辞任した。
さらに、保守党で離脱運動を率いた元ロンドン市長のボリス・ジョンソン下院議員も、もともとEU残留支持だったのが人気取りのため離脱運動を率いたのではないかと非難されている。
ジョンソン下院議員は次期首相の最有力候補と見られていたため、イギリスではまさに次の指導者がはっきりしない政治的な空白の状況になりつつある。このためイギリスは、EU本部に離脱の意志を通知することができない状況にある。
他方、ジョンソン下院議員は、リスボン協定第50条の適用ではなく、2020年の離脱を目標にEUとの新たな協定を再交渉する方針を打ち出している。だがEU本部は、これを拒否している。次のリーダーが決まらないいまのような状況では、第50条に基づいて離脱を通知するのか、それともイギリス主導で交渉するのか、明確に決定することができなくなっている。
ポンド安と世界同時株安
このようななか、ポンドは過去30年来の記録的な水準まで下落した。さらに、イギリスはEU諸国の最大の輸出先のひとつであるため、EU諸国を中心として世界同時株安が発生した。日本7.92%、ドイツ6.8%、フランスで8%、スペイン12.4%、イタリア12.5%、そしてアメリカで3.6%という大きな下落であった。
このように大幅に株価が下落した背景は、ポンド安による輸入価格の上昇からイギリス経済が失速する懸念があったからだ。輸入価格の高騰からインフレが発生し、イギリス国民の実質所得は下落する。すると、イギリス国内の個人消費は冷え込み、輸入は大幅に落ち込む。
ドイツの自動車産業やイタリアのワイン産業などをはじめとして、イギリス市場に依存する産業は非常に多い。そのためポンド安は、こうした産業の低迷の原因となると見られたのだ。
ロンドンのシティから逃げ出す金融機関
またEU離脱は、イギリスの主要産業である金融産業を決定的に低落させる原因になる。EUに加盟している現在、金融機関はロンドンで金融業のライセンスを取得すれば、ほかのすべてのEU加盟国で同時にビジネスができた。
しかし離脱によってこれが不可能となるため、多くの金融機関はEUで新たにライセンスを取得する必要に迫られる。このため、多くの金融機関が、拠点をロンドンのシティから、パリやフランクフルトへ移転する準備をしている。
「JPモルガン」「ゴールドマンサックス」「バンク・オブ・アメリカ」「シティグループ」「モルガンスタンレー」などが静かに準備を進めている。ちなみに英大手経済紙の『フィナンシャルタイムス』によると、「JPモルガン」は16000人のスタッフのうち4000人を、「モルガンスタンレー」は1000人の移転をすでに決定したとしている。
この動きは、海外だけではなくイギリス国内の金融機関も例外ではない。英最大手行のひとつである「HBSC」は、1000人の移転を決めた。また2600人の社員のいる野村・インターナショナルも人数は明らかにしていないが、移転を検討している。
イギリスの経済ではサービス業がGDPの72%を占めており、なかでも金融産業の割合は際立って高い。そのような状況でロンドンのシティからの金融機関の移転は、イギリス経済にとって大きな損失になることは間違いない。
Next: 解体に向かうイギリス連邦、各国に飛び火するEU離脱運動の脅威
●2分でわかる「英国EU離脱」の「私たちの生活への影響」
ライフハッカー編集部 2016.06.25
英国の国民投票で「EU離脱」が過半数を超えました。スコットランドの首相がEU残留と英国からの独立を主張、都市部ロンドンと北アイルランドも残留の意思を示す一方、そのほかの地域は離脱派であり、デーヴィッド・キャメロン英首相は辞意を表明。英国内は激しく揺れています。そうした英国の状況を受けて、金融市場では2016年6月24日午後に一時1ドル00銭を記録するなど円高となっており、今後株価・為替の乱高下が起こることが予想されます。
英国の国民投票のこうした結果は、私たちの生活に影響があるのでしょうか? ライフハッカー[日本版]で以前から連載をしてくださっているファイナンシャル・プランナーの吉武亮さんに「英国EU離脱が私たちの生活に及ぼす影響」についてお話をうかがいました。要点をまとめると以下のようになります。
1. 日本の物価が下がり、消費が楽になる可能性が高い
── 英国の国民投票の結果は、私たち日本人の生活一般にはどのような影響を及ぼすのでしょうか?
吉武:予想から言うと、日本の物価が下がり、消費が楽になる可能性が高いです。
EU全体の英国への信用が低下し、ポンド売りが始まるでしょう。諸外国の通貨への信用が落ちると、世界的に円が買われる傾向があるので、円高になると思います。
私たちの生活は原油から食料品まで、海外からの輸入に大きく依存していますが、円高になると安く輸入することができるので、物価は下がるはずです。
2. 株式・外貨の売買は相場が落ち着くのを待つ
── 株式市場や為替相場の乱高下が予想されますが、保有している株や為替はどのように扱うべきでしょうか?
吉武:為替相場では反発が起こる可能性があり、手放すタイミングを間違えると、底値で売ってしまい、大きな損失を被る可能性があります。これは株式市場についても同様です。
リーマンショックのときも、ドルへの信用低下から円が買われ円高が進行しましたが、日本としては円高はリスクなので国が円安誘導を行いました。今回、ポンドへの信用低下によって円高が進行したとしても、そのときと同様に円安誘導が行われると思います。そのため長期的に見ると、現時点では下手に手持ちの株式や外貨を売り買いしないほうがいいでしょう。
もし動くのであれば、為替がいったん落ち着いたタイミングで、国内株や外貨を新たに購入するのがいいと思います。
3. 英国のEU離脱は世界的な金融市場の不安定化を招く可能性も
── リーマンショックのような世界的連鎖金融危機が起こる可能性はありますか?
吉武:残念ながらあります。あくまで1つの予測ですが、世界的な金融市場であるロンドンには多額の投資が集まっています。今回の事態を受けて投資が他国に逃げだし、世界的に金融市場が不安定化するかもしれません。
たとえば、英国を見て「EUから離脱していいんだ」という雰囲気がほかのEU諸国に広まって、英国に追従する国が現れたら、EUが崩壊してしまうでしょう。そうしてヨーロッパの信用が低下すると、今ヨーロッパに投資している金融会社は世界のどこかほかの場所での投資を考えるのではないでしょうか? その結果として金融市場が世界的に不安定になるかもしれないのです。
当面は消費面で円高の効果による物価安を享受できる可能性が高いようです。しかし、円高が続けば、輸出に依存する企業の業績の悪化は私たちの収入に悪影響を及ぼすことになるでしょう。日本政府からも「リーマン・ショック級のリスクが発生する可能性がある」と警戒を促す発言が出ており、麻生外務大臣も市場介入の可能性を示唆するなど、予断を許さぬ状況だと言えます。そんな状況下で私たちにできるのは「株式や外貨を保有していても、無理に動かないこと」。保有額によってはファイナンシャル・プランナーなどに相談すべきでしょう。
●【iRONNA発】英EU離脱 日本はリーマン・ショックの轍踏むな
産経 2016.7.3 高橋洋一氏
世界が固唾(かたず)をのんで見守った英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票は、離脱派が勝利し、欧州統合は大きな転換期を迎えた。世界経済にも波及した英国のEU離脱。リーマン・ショックをも上回る世界恐慌の足音が徐々に忍び寄る。
(iRONNA)
◇
英国はもともと欧州大陸から離れており、自らを「欧州市民」と考える国民の割合は他の欧州諸国と比較して低いが、特にEUに属していなかった時代の経験を持つ高齢者は「英国は欧州でない」という意識が強い。
EUから離脱すると、英国は貿易自由化や資本取引自由化の恩恵を受けられなくなる。短期的な経済苦境をもたらすのは確実ながら、移民流入を認めたくないオールドパワーが低所得者層と結び付いて、ヤングと高所得者層を破った。
いずれにしても、英国のEU離脱によって、短期的にはポンド安、通貨不安になるのは避けられない。また、欧州大陸への輸出に関税などのコストが発生する可能性がある。さらに、欧州各国で根強いEU統合懐疑派のスペインなどで離脱運動を勢いづかせるだろう。
未知の世界
英財務省によると、EU離脱後は景気後退に陥り、2年後の経済成長率は残留だった場合より3・6~6・0ポイント下回るという。すると、金融業界をはじめとして産業競争力がなくなって雇用が激減し、英経済は壊滅的になる。離脱の場合、経済成長の落ち込みに対応する失業率は1・3~2・2ポイントも増加する。
国際通貨基金(IMF)も「国民投票が今の英国を取り巻く最も不確実なリスクだ」と指摘しており、英国が離脱した場合、2018年の経済成長率は1・3~5・2ポイント減少し、失業率は0・3~1・2ポイントも増加するという。
これらの試算は、離脱を警告する意味があり、ちょっとオーバーかもしれないが、EU離脱という未知の世界では的外れともいえない。
負の連鎖反応
では、世界経済はどうなるのか。英国が離脱した場合、まずシティの金融部門が大きく影響を受ける。ここで思い出されるのが、08年の大手投資銀行、リーマン・ブラザーズの破綻に端を発した「リーマン・ショック」である。
金融機関の経営不安や一部金融市場の機能不全によって、信用収縮等を通じて大きな下押し圧力となり、実体経済に負の影響を及ぼし、金融危機と実体経済悪化の悪循環が生じた。しかも、英経済とアメリカ経済はシンクロ度が高い。シティで起こった話はアメリカのウォール街に波及して、米英の実体経済に悪影響を及ぼすことも有り得る。
IMFの試算では、18~19年の世界の経済成長率が英国のEU離脱でどうなるかが書かれている。それによれば、EU諸国で0・2~0・5ポイント低下、その他の国で0・2ポイント以内の低下となっている。
ただし、筆者はもっと厳しいのではないかと思っている。政治的な離脱交渉の不透明感が経済活動を長期に萎縮させるからだ。かつて、リーマン・ショックの際に「ハチに刺された程度」と対策を怠り、深刻な円高不況を招いた過去を忘れてはいけない。英国のEU離脱は、世界経済に負の連鎖反応を起こす可能性が高い。
むろん、日本も影響を受ける。英国のEU離脱がリーマン級になる可能性がある以上、消費増税の見送りは日本にとっては正解だった。その判断の前提であった安倍晋三首相の「ひょっとしたらリーマン級のことが世界に起こり得るリスクがある」という懸念は、結果として慧眼(けいがん)であったといえよう。もし、消費増税を決めた後で、英国がEU離脱になったら目も当てられないことになっていたはずだ。
日本としては、内需振興策、金融緩和、為替介入、さらにヘリコプターマネーを含めて政策を総動員すべきだ。世界経済への大変動に備えるための経済政策である。繰り返すが、リーマン・ショック後の「経済無策」の二の舞いだけは避けなければいけない。
◇
iRONNAは、産経新聞と複数の出版社が提携し、雑誌記事や評論家らの論考、著名ブロガーの記事などを集めた本格派オピニオンサイトです。各媒体の名物編集長らが参加し、タブーを恐れない鋭い視点の特集テーマを日替わりで掲載。ぜひ、「いろんな」で検索してください。
●英EU離脱の余波が日本経済を浸食し始めている
週刊ダイヤモンド編集部 2016年7月4日
EU離脱派が勝利した英国の国民投票。市場はまさかの結果に動揺し、離脱に票を投じた英国民でさえも困惑の声を上げる。離脱ショックは英国・欧州だけでなく日本経済・企業をも大きく揺さぶる。(「週刊ダイヤモンド」編集部 EU問題取材班・・・・・(略)・・・
●英EU離脱 世界一複雑な離婚協議が始まる (1/3ページ)
日経 2016/6/24
●EU離脱はまだモメる、国内手続きすら不確定 誰が新首相なっても離脱交渉が容易ではない理由
日経ビジネス 2016年7月4日 蛯谷敏
●EU離脱で英国経済に長期低迷の可能性
週刊ダイヤモンド編集部 2016年7月4日
国民投票で離脱派が勝利したことで、英国はどうなるのか。次期首相もEUとの交渉スケジュールも決まっていない中、先行きは不透明で混乱は長期化しそうだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 EU問題取材班・・・・・(略)・・・
●EU離脱、イギリスはどうなる? 数日後、数カ月後、数年後のシナリオ
The Huffington Post 執筆者 Charlotte Alfred 2016年06月26日
6月23日にイギリスで行われたEU離脱(ブレグジット)の国民投票はイギリスとヨーロッパに新しい時代をもたらすこととなり、その衝撃は世界中に広がっている。
この新しい時代が、どのようなものになるのかはよく分からない。
52%の投票者がEU離脱に、48%がEU残留に投票した後の24日、イギリスは動揺していた。国民投票を呼びかけ、残留を呼びかけていたデビッド・キャメロン首相は退陣を表明した。金融市場とイギリスポンドは大幅に下落した。
衝撃と不安定な状況のなか、イギリスに関係する世界中の国の間で湧き上がっている疑問。――この後どうなるのか?
多くのことは不透明だが、この数日、数カ月、数年に及ぶ影響をまとめてみた。
今週の動き
1日ですべてが変わるという訳ではない。キャメロン首相は保守党が新しい党首を選出するまでその座にとどまる。イギリスは公式の離脱交渉が成立するまでEUの一員だ。
・・・・・・・・・(略)・・・
今後数カ月の予定
いま最も重要な問題は、イギリスがいつEUの離脱条項(リスボン条約第50条)を行使するかだ。これが発動されると、2年をかけてイギリスのEU離脱条件、離脱後の関係について両者間の交渉がなされる。それには貿易や移民の問題も含まれる。
いつどのように第50条が行使されるか、それに続く交渉がどのようなものになるのかは全く見通せない。これまでにEUを離脱した国など存在しないからだ。
・・・・・・・(略)・・・イギリスで新たな首相が決まるのに数カ月かかり、EUとの離脱交渉がまとまるのには数年を要する
2017年
EU首脳は、共同体としての一体感を取り戻し、さらなる離脱懸念を鎮めるためにもイギリスとの離脱交渉に際しては速やかに、そして強い決意をもって臨もうとするだろう。EUに懐疑的な政治運動が著しい他の国が離脱しようとする動きを阻止するため、EUはイギリスに対し強い態度で交渉することになるだろう。
しかし、いくつかの要因で、手続きがスムーズに運ばない可能性がある。2017年はフランス、ドイツ、オランダで選挙が予定されている。フランスでは極右政党国民戦線のマリーヌ・ル・ペン党首が4月の大統領候補者として世論調査でリードしている。彼女自身、フランスもEU離脱を問う国民投票を実施すべきだと主張している。
オランダで反移民を訴える自由党のヘルト・ウィルダース党首もまた、自国での国民投票実施を求めている。彼は2017年3月の選挙を前にして支持率を上げている。
ドイツでは、来年の選挙に向けてメルケル首相が厳しい戦いに直面している。自身の支持率が低下しているほか、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が首相の移民・難民政策に対し強い不満を表明しているからだ。
その後
リスボン条約第50条では、特定の国がEUを離脱するのに2年の時間軸を定めているが、期間延長も認められている。
交渉や延長手続きをしないで期限切れになった場合、技術的な話をすればイギリスはそのままの状態でEUから離脱し、EU法は一切適用されなくなる。
EUとイギリスの交渉がまとまれば、次にEUの全27加盟国が交渉内容に批准しなくてはならない。EUのトゥスク大統領によれば、その手続きにはさらに5年かかるという。
●EU離脱で混迷を深めるイギリス与野党の党首選 候補者の顔ぶれは?
The Huffington Post | 執筆者:Charlotte Alfred 2016年07月02日
イギリスのEU離脱(ブレグジット)を問う6月23日の国民投票で、離脱という結果が出て以来、イギリス政治は混乱状態にある。
イギリスのEU離脱(ブレグジット)が決定して1週間以上が経過しても政治ドラマがイギリスを揺るがし続けている。ブレグジットの旗振り役となったボリス・ジョンソン前ロンドン市長は次期首相の最有力候補と見られていたが、30日朝に与党・保守党の党首選に立候補しないことを表明した。
この衝撃的な表明により、先の国民投票の結果を受けて辞任する意向を示したデーヴィッド・キャメロン首相の後任を決める党首選の行方は予想のつかないものとなった。
イギリスでは、議会与党の党首が首相となる。つまり、少なくとも次の総選挙が行われるまでは保守党のメンバーが議会と国のリーダーを選ぶことになる。
まずは保守党の議員が投票で候補者を2人に絞り、それから議員以外の党員も含めた投票で党首を決める。党首選は来週から始まり、9月初め頃に最終結果が出る見込みとなっている。
ブレグジットの旗振り役で、デーヴィッド・キャメロン首相の後任最有力と見られていたボリス・ジョンソン議員は、1日、党首選に立候補しないと表明した。
一方、野党第一党の労働党も党内部に激震が走っている。
労働党議員は党内左派のジェレミー・コービン党首に退任を迫っており、彼がイギリスのEU残留のために十分な働きかけをしなかったこと、彼が党首では次の総選挙に勝てないことを指摘している。今週初めには不信任と「影の内閣」の大半が辞任するという事態になったが、コービン党首は辞任を拒否した。
コービン党首は30日、党内の反ユダヤ主義撲滅に取り組むと発言したが、イスラエルをIS(イスラム国)の戦闘グループと比較したとしてユダヤ系の労働党議員から猛烈な批判を受けた。労働党内部での対立が深まる中、党首選の有力候補たちはその時を待っている。
一連の大騒動を受け、近いうちに今までとは大きく異なるイギリス政治のリーダーが誕生するかもしれない。以下は、両党党首選の立候補者の顔ぶれだ。
■与党・保守党、党首選の顔ぶれは?
今回の国民投票でボリス・ジョンソン前ロンドン市長の右腕として活躍したマイケル・ゴーブ司法相は、ジョンソン氏の発表直前、党首選に立候補するという驚きの発表を行った。
マイケル・ゴーブ司法相は30日、党首選への立候補という驚きの発表を行い、保守党内のシェイクスピア的ドラマにさらなる混乱を招くことになった。
ゴーブ司法相はEU離脱のキャンペーンでジョンソン氏の右腕となり、影の頭脳として活躍した。今回の党首選では、長年首相の座を目指してきたジョンソン氏の立候補を支持するものと見られていた。ゴーブ司法相は党首になるつもりはないと一貫して発言していた。
29日、ゴーブ司法相の妻で新聞社のコラムニストであるサラ・バイン氏の電子メールが流出した。彼女はそのメールの中でゴーブ司法相に対し、「ジョンソン氏に内閣での職を確約させ、自分のサポートがなければ保守党またはイギリスメディアの後ろ盾は得られない」と警告するよう求めている。
30日朝、ゴーブ司法相はキャンペーンを開始した。「ためらいはありましたが、ボリス(ジョンソン議員)には今後の課題に向き合うだけのリーダーシップがなく、組織作りもできないという結論に達しました」と彼は述べた。数時間後、ジョンソン議員は立候補しないことを表明した。ジョンソン氏のある側近は、ゴーブ司法相が最初からこの元市長を陥れようと画策していたのではないかと批判した。
スコットランド育ちの48歳、元ジャーナリストのゴーブ司法相は評価がはっきり分かれる人物だ。教育相時代には急進的な教育改革で教員の信頼を失い更迭された。他の大半の離脱派に比べてより理性的に(かつ排外主義的な発言は控えめに)自らの立場を明らかにしたことで、EU離脱派から敬意を集めた。しかし残留派からはナチズムの専門家との関係や、トルコのEU加盟に対して人種差別的に恐怖を煽ったとして批判を受けた。
ゴーブ司法相は、自分は変化をもたらし、EUに投票した多数派の要求に誰よりもうまく応えられるリーダーだと自ら述べている。しかし彼の立候補は議論を呼びそうだ。
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年金の将来が危機的状況であることは指摘されている。
その年金について、国民からあずかっている、もしくは準備しているお金を運用しているのが、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」。
安倍政権になって、特に昨年から、この将来のお金である「基金」を株などの投資に使う枠が拡大された。
「投資」はうまくいくときは良いけど、具合が悪いと「大幅に目減りする」。株などの投資に使う枠が拡大したことで、目減り、損失が大幅に拡大しているとの指摘が以前からある。
今回も政府がその公表につき、参院選後の7月末にするという。誰が見ても、政権与党の選挙対策は明らか。
この損失につき、単に「株などの投資」だけでなく、日本の「株価維持」に使われているらしい数字が出て来た。
例えば、今年の冬から春の株価低迷時、この基金が日本の株を支えた、らしい。
ブルームバーグ、6月17日「GPIFや3共済:日本株9654億円買い越し、株安・円高の1-3月」
★≪年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や公務員らが加入する共済年金は1-3月期に日本株を9654億円買い越した。世界的な株安や円高の中でも株式投資を進めた。≫
さらに、政府が明らかにしない裏の損失が指摘されている。
NetIB-News 6月30日 「年金資金など損失は37兆円か植草一秀氏ブログ『知られざる真実』
★≪安倍政権は年金資金運用で巨大な損失を発生させているから、そのデータを参院選前に公表することを避けて、参院選後に公表期日を先送りした。目的のためにはいかなる卑劣な手段でも用いるという、おぞましい姿だ。野党関係者の発言については、マスメディアを総動員して総攻撃するくせに、自分の不正については一切の報道、論評を許さない。文字通り、日本は暗黒国家への道を転げ落ちている。≫
★≪しかし、政府が隠している巨大損失は年金資産の日本株投資での損失だけでない。≫
★≪ドル安で9.5兆円の損失が生まれたことになる。株式と合わせれば、何と16兆円の損失になる。≫
★≪日本政府は日銀から借金をして1兆2,540億ドルの外貨資産等を保有。圧倒的に多いのが米国国債。これを1ドル=120円から1ドル=100円へのレート変化で換算すると、円評価額は128兆円から107兆円への減少していることになる。半年足らずで、21兆円もの損失が生まれている≫
★≪この損失は、すべて、日本の国民が負担することになる。年金の損失と合わせると、なんと半年で37兆円もの巨大損失が生まれていることになる。≫
ということで、上記2件の他、以下を記録した。
なお、昨夕19時前の気温は29度、23時で25度、今朝は22度。それで、短パンでノルディックウォークしてきた。
●イギリスのEU離脱 日本の年金資金に10兆円規模の運用損が発生する懸念/ZAKZAK(夕刊フジ)6月27日
●【英EU離脱】企業年金、離脱決定で運用四苦八苦 利回りさらに低下/産経 6.27
●長期金利、底見えず 20年・30年債利回り最低更新 /日経 6/27
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●GPIFや3共済:日本株9654億円買い越し、株安・円高の1-3月
ブルームバーグ 2016年6月17日 野沢茂樹、北中杏奈
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や公務員らが加入する共済年金は1-3月期に日本株を9654億円買い越した。世界的な株安や円高の中でも株式投資を進めた。日本銀行が17日公表した資金循環統計で明らかになった。
GPIFや国家公務員共済組合連合会(KKR)、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団、年金特別会計などの「公的年金」による日本株の買い越しは3四半期連続だ。ただ、3月末の保有残高は40兆9207億円と2四半期ぶりに減った。TOPIXがその間に12%を超える下落率となるなど、市場全体の売り圧力を受けた格好だ。
外国証券は867億円の売り越し。8四半期ぶりの売り越しで、残高は59兆4114億円と2四半期ぶりに減った。ブルームバーグによると、世界の取引所の時価総額は3月末に年初来3%弱の減少だった。国債・財融債は1兆3624億円の売り越しで、11四半期連続。残高は52兆4955億円と10四半期ぶりに増えた。日本銀行によるマイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入など、市場金利全般への下げ(債券価格は上げ)圧力が掛かったことが影響したようだ。
3月末の主な金融市場の指標では、新発10年物国債利回りがマイナス0.05%と昨年末から32ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。米国債の10年物利回りは1.77%と50bp下げた。一方、株式指数では、TOPIXが12.9%下落の1347.20、MSCIコクサイ・インデックス(円換算)が6.6%下落の187266.37。ドル・円相場は7円65銭円高・ドル安の1ドル=112円57銭だった。
今回の統計によると、国債・財融債と国庫短期証券を合わせた「国債等」の残高は3月末に1075兆円と、昨年12月末の1034兆円から増加。そのうち公的年金が保有する比率は4.9%と、3カ月前の5%とほぼ横ばいだった。
世界的な景気減速や金融市場の混乱を背景に国内外で株安・円高基調が強まっている。3共済は昨年10月から、資産構成見直しで先行するGPIFと運用を一元化し、利回り目標やリスク許容度などを共有しており、対象となる資産規模は昨年末に合計で約23.6兆円に上った。
クレディ・アグリコル証券の尾形和彦チーフエコノミストは、年明け以降の世界的な株安や円高を考えれば、公的年金の保有資産に「ある程度の評価損が生じたのは無理からぬところだ」と指摘。3共済がGPIFに追随して資産構成の変更を進める方針に変わりはないとの見方を示した。
厚生年金と国民年金の積立金を運用するGPIFは14年10月末に大幅な資産構成の見直しをした。保有する国内債の目標値は従来の60%から35%に、内外株式はそれぞれ12%から25%に、外債は11%から15%へ変更。株式と債券が半分ずつ、または国内資産6割・外貨建て資産4割という分散型だ。
収益額は、資産構成の変更がほぼ一巡した直後の昨年7-9月期に約7.9兆円のマイナスと、同一基準でさかのぼれる08年度以降で最悪を記録した。10-12月期は持ち直したが、1-3月期は5.5兆円前後の評価損を被ったと市場関係者はみている。GPIFは同期間の運用収益と3月末の資産残高などの情報公開を参院選後の7月29日に行う予定だ。
高橋則広理事長は4月のインタビューで、足元のポートフォリオの状況を尊重しながら運用していく意向を示し、保有で債券額の大幅削減や日本株などの急増は考えていないと述べた。GPIFは5月末に、基本ポートフォリオの定期検証結果を踏まえ、変更の必要はないとの判断を公表した。
●2016年上半期、年金資金など損失は37兆円か植草一秀氏ブログ「知られざる真実」
NetIB-News 2016年06月30日
NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は2016年上半期で国民の財産は37兆円減少している可能性があるとする、6月29日付の記事を紹介する。
安倍政権は老後の生活を支える国民の財産である公的年金資金=GPIFの資金運用配分比率を変更する運用方針を2014年10月31日に大きく変更した。年金資産の資金運用の資産別配分比率を大幅に変更したのである。
従来の資金配分比率である国内債券60%、国内株式12%、外国債券11%、外国株式12%を国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%の新しい資金配分比率に変更した。
国内株式の運用比率が12%から25%へと2倍強に引き上げられた。外国証券の運用比率も23%から40%へと大幅に引き上げられた。2015年12月末のGPIF運用資産残高は139兆8,249億円、この時点での日本配分比率23.35%を基準にすると、日本株式残高は2015年12月末で32兆6,491億円だった。
民進党の玉木雄一郎議員が仮定計算しているように、昨年12月末の株価水準はTOPIXで1547.3。6月27日のTOPIXは1225.76で、日本株式が20.8%下落した。
この下落率を当てはめると、日本株式残高は25兆8,664億円に減少していることになり、日本株式だけで、年初来、6兆7,847億円の損失が生じたことになる。日経平均株価は2012年11月14日に8,664円の水準だった。2014年10月31日の終値は16,413円だった。
つまり、安倍政権は政権発足直前の水準から2年で、株価が約2倍の水準に暴騰した局面で、日本株式での運用比率を2倍に引き上げたのである。
8,664円の水準だった2012年11月に日本株式の運用比率を2倍に引き上げて、株価が2倍になった2014年10月末に元の比率に戻したと言うなら適正だが、その逆をやった。ところが、株価は2015年6月をピークに下落トレンドに転換した。円安・株高の流れが円高・株安の流れに転じたのだ。
その結果、年金資産の損失が急拡大している。
また、外国証券の比率が40%に引き上げられているから、円安の局面では利益が生まれるが、円高の局面では損失が拡大する。円高・株安のトレンドが生じるなかで、日本株式、外国証券偏重の資産配分は、国民に甚大な損害を与えており、その責任が問われるのは当然のことだ。
安倍政権は年金資金運用で巨大な損失を発生させているから、そのデータを参院選前に公表することを避けて、参院選後に公表期日を先送りした。目的のためにはいかなる卑劣な手段でも用いるという、おぞましい姿だ。
野党関係者の発言については、マスメディアを総動員して総攻撃するくせに、自分の不正については一切の報道、論評を許さない。文字通り、日本は暗黒国家への道を転げ落ちている。
しかし、政府が隠している巨大損失は年金資産の日本株投資での損失だけでない。140兆円の資産残高のうち、外国証券での運用比率が40%だとすると、その残高は56兆円である。
年初の1ドル=120円が1ドル=100円になれば、為替変動で17%の損失が生じる。仮にこの変動率で計算すれば、ドル安で9.5兆円の損失が生まれたことになる。株式と合わせれば、何と16兆円の損失になる。
そして、さらに驚くべきことがある。日本政府は日銀から借金をして1兆2,540億ドルの外貨資産等を保有している。外貨準備というものだ。このうち、1兆693億ドルが外貨証券である。圧倒的に多いのが米国国債だ。
これを1ドル=120円から1ドル=100円へのレート変化で換算すると、円評価額は128兆円から107兆円への減少していることになる。半年足らずで、21兆円もの損失が生まれていることになる。
この損失は、すべて、日本の国民が負担することになる。年金の損失と合わせると、なんと半年で37兆円もの巨大損失が生まれていることになる。
・・・・・・・(略)・・・
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●イギリスのEU離脱 日本の年金資金に10兆円規模の運用損が発生する懸念
news.livedoor. 2016年6月27日 ZAKZAK(夕刊フジ)
ざっくり言うと
英国のEU離脱で株安による年金資金の動向が気になると筆者は述べる
株安が長期化すれば、GPIFには10兆円規模の含み損が発生する懸念もある
リーマン・ショックのあった08年度には9兆3000億円の損失を出した
英国の欧州連合(EU)離脱ショックは長引くのか。リーマン・ショック級の事態となれば、公的年金資金も10兆円規模の運用損が懸念されるが、大丈夫なのか。
国民生活で気になるのは、株安による年金資金の動向だ。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による約137兆円資金運用は、2015年度に5兆円規模の損失が出たとの試算もある。これまでの運用実績では、リーマン・ショックのあった08年度に9兆3000億円の損失を出している。GPIFは14年以降、株式投資の比率を増やしていることから、株安が長期化すれば、10兆円規模の含み損が発生する懸念もある。
民進党の野田佳彦前首相は24日、参院選の応援演説で「急激な円高と株安になった。安倍政権はみなさんの年金資金をたくさん株に投入している。これだけ下がれば大損する」と批判した。
GPIFの昨年末までの累積収益は50兆円あるうえ、公的年金の9割以上は将来の保険料収入と国庫負担によって賄われており、目先の運用損で騒ぐ意味は小さい。
一方で「公的年金の積立金は10兆円程度を国債で運用すれば十分だ。不必要な運用リスクを抱えてまで民間企業の株式に手を出す必要はない」(嘉悦大教授の高橋洋一氏)との指摘もある。EU離脱問題で金融市場の不安定化が長期化する恐れもあり、GPIF不要論も高まりそうだ。
●【英EU離脱】企業年金、離脱決定で運用四苦八苦 利回りさらに低下
産経 2016.6.27
企業年金の国債離れが一段と加速しそうだ。日銀のマイナス金利政策で市場金利が低下する中、英国のEU離脱決定を受け、国債利回りのさらなる低下が進んでいるためだ。企業年金の運用難はしばらく続くとの見方が強まっている。
JPモルガン・アセット・マネジメント(AM)が27日に発表した調査によると、平成27年度末の企業年金の資産運用に占める国債の比率は20年度の調査開始以来、初めて3割を割り込んだ。
調査は日銀のマイナス金利政策導入後の3月上旬~5月上旬に行われ、確定給付型を中心に127の企業年金が協力した。
それによると、27年度末の国債投資比率は前年度比0.4ポイント減の29.9%。代わりに増えているのはインフラや不動産、保険関連の「代替投資」で、1.2ポイント増の14.0%だった。
マイナス金利政策に伴う運用環境の変化について尋ねたところ「変化した(する)」との回答は約8割を占めた。
さらに先週の英国のEU離脱決定を受け、国債利回りは一段と低下している。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは、24日に過去最低のマイナス0.215%を付けた。
JPモルガンAMの国京彬氏は「年金基金は市場の急変動に対する問題意識が高い。米国の利上げなどと同じように、英国のEU離脱をリスクの一つとして気にしている」と話している。
●長期金利、底見えず 20年・30年債利回り最低更新
日経 2016/6/27 23:55
長期金利の底が見えなくなってきた。英国の欧州連合(EU)離脱決定で投資マネーがリスクに敏感になり、安全資産とされる日本国債に集まっているためだ。満期までの期間が長い20年債、30年債の利回りが27日、過去最低を更新。年金や生命保険会社などの長期安定運用を狙う投資家の運用が難しくなっており、個人の老後資金などにも影響が広がりそうだ。
27日の債券市場では代表的な指標である10年債利回りが一時、先週末に付けた過去最低水準(マイナス0.215%)まで再び低下。20年債利回りは0.080%、30年債利回りは0.095%まで下がり、それぞれ過去最低を更新した。
特に利回りの低下が目立つのが、20年債や30年債といった期間が長い国債(超長期債)だ。満期まで持てば必ず損が出るマイナス金利の10年債は買えないという投資家も多い。わずかでもプラスの利回りが残る超長期債を投資家が奪い合っている構図で「20~40年債の利回りも近いうちにゼロになりかねない」(SMBC日興証券)状況だ。
金利低下の流れは27日の欧州市場でも続いた。混乱の震源地となった英国の10年債利回りが一時1%を下回ったほか、ドイツの10年債もマイナス0.1%程度と過去最低に近い水準で推移している。
英EU離脱決定で円高・株安が進み、「日銀の追加緩和が避けられない」(JPモルガン証券)との見方が増えていることも、日本の長期金利の低下に拍車を掛けている。日銀は7月28~29日に金融政策決定会合を開く。仮にマイナス金利の深掘りなどが決まれば「超長期債がマイナス金利に突入する」(同社の山脇貴史チーフ債券ストラテジスト)との声もある。
財務省が27日開いた国債投資家懇談会でも、銀行や生命保険会社などの参加者から、英国のEU離脱を受けた金利低下への懸念の声が漏れた。国債の利回りが次々にマイナス圏に沈み、運用難がかなり深刻になっているためだ。
年金や生命保険などは長い期間をかけて、資金を安全に運用することが求められている。国債の利回りが低いからといって、リスクの高い株式や外国債券などの比率を高めすぎるわけにはいかない立場だ。
マイナス金利が定着したことで、一部の保険商品は販売停止や保険料の引き上げを迫られた。運用難は多額の資産を持つ高齢者の富裕層だけでなく、老後資金をこれから蓄えていく若い世代にも大きな影響を及ぼす。
国はマイナス金利で国債の利払い費を抑制することができ、浮いたお金を経済対策に回すことも検討している。ただ、家計が将来受け取るお金は低金利によって確実に目減りしており、家計から国へと富の移転が進んでいるとみることもできる。
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