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てらまち・ねっと



 参院選もあと2日で投票日。
 特に政党中心の傾向が強い選挙だから、「支持政党なし」「無党派」の私としては「どうしよう」と困る今回。
 「一発で政権交代」といえる、あるいは期待できるようなタイミングなら結論は早いとして、今回は・・・
 戦前の政治、戦争国家を作ろうという安倍氏政権、自公政権が「ノー」なのは当然として、投票先は・・・・

 投票日が近くなって、そんなことを考える。
 ともかく、今日は格差社会の現実、原因のひとつの非正規雇用などの問題を見てみた。

 以下のような意見を記録しておくけれど、ブロゴスのニャート氏(「元編集者。過労で退職→ニート→派遣(現在)。私は年収200万円台の派遣社員」)の★≪非正規雇用の貧民が「アベノミクス死ね」と願った理由≫も説得力がある。≪・・社員は200円、派遣は500円の定食を食べながら・・≫ともあるのは現場の実感か。≪・・日本の景気回復は、非正規労働者はカヤの外で進んでいくのだろう。
正規雇用と非正規雇用、「身分の違い」による経済格差を国が推し進めていく・・≫

 なお、自民党の「議席調査・最新生データ」を入手して書かれたらしい★≪週刊現代/参院選「落ちる議員/落ちそうな議員」≫(賢者の知恵 | 現代ビジネス 7月4日)は一応見ておきたい。他に、知人の記者の書いた記事もあった。

●3人に1人が非正規雇用 10年前から2割増/日経 2016/6/28
●日本のゆくえ・公約点検 2016参院選/7 同一労働同一賃金 与党も一転、積極姿勢 仕事の評価手法課題/毎日 7月5日
●<公約点検>(5)働き方改革 「同一賃金」中身に濃淡/東京 6月28日

●社説 同一労働・賃金 非正規の不公平ただせ/東京 7月5日
●実現できれば格好の選挙対策に!「同一労働同一賃金」、まずはココから マスコミは後ろめたくて及び腰だが・・・/『週刊現代』7月2日号より

●非正規雇用の貧民が「アベノミクス死ね」と願った理由/ブロゴス ニャート 6月28日
●週刊現代 自民党の議席調査「最新生データ」を入手! 参院選「落ちる議員/落ちそうな議員」/賢者の知恵 | 現代ビジネス 7月4日
●社説 社会保障 将来の不安に応えよ/中日 7月6日

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●3人に1人が非正規雇用 10年前から2割増
         日経 2016/6/28
 雇用の不安定な非正規労働者は増え続けている。総務省労働力調査によると、2015年の非正規雇用者数は1980万人で、10年前の05年に比べ2割増えた。雇用者全体に占める割合も37.5%と、3人に1人以上に高まっている。

 増加の背景の一つが04年の改正労働者派遣法の施行だ。製造現場への派遣が解禁され、派遣労働者が増えた。正社員に比べると賃金…

●日本のゆくえ・公約点検 2016参院選/7 同一労働同一賃金 与党も一転、積極姿勢 仕事の評価手法課題
           毎日 2016年7月5日
 全労働者の4割を非正規が占め、正規と非正規の賃金格差が問題になっている。非正規の賃金は欧州では正規の8割程度なのに対し、日本は6割に満たない。参院選では8党が公約に「同一労働同一賃金」を明記したが、選挙後、速やかに制度が実現するかというと、そう単純ではない。

 従来、同一労働同一賃金は旧民主党など野党が訴えてきた。昨年の通常国会に野党主導の議員立法として提出された同一労働同一賃金推進法案は、派遣社員と正社員の待遇の「均等」を図るのが目的だった。

 しかし、自民、公明両党は勤続年数や責任の重さなどを考慮する「均衡待遇」の考え方を加えるよう主張。修正され成立した法律は、賃金格差を容認する余地を残す骨抜きの内容になった。

 当時、安倍晋三首相は「ただちに理解を得るのは難しい」と同一労働同一賃金に消極的だった。ところが、今年1月の施政方針演説で一転して「同一労働同一賃金の実現に踏み込む」と表明したのをきっかけに政策課題として急浮上。自民、公明両党が公約に取り入れた。公明党は「非正規労働者の時間当たり賃金を欧州並みの8割程度に」と目標を明示し、「正社員の処遇を引き下げて対応しない」と民進党を支援する連合同様の主張も盛り込んだ。

 安倍政権の突然の方針転換を民進党の岡田克也代表は「驚きを隠せない」と批判する。与党に対抗するため、民進、社民両党は「同一価値労働同一賃金」を打ち出した。知識・技能、責任、仕事の負担・負荷、労働環境の4要素で職務を評価し、違う仕事でも価値が同じなら原則、同じ賃金にする考え方だ。国際労働機関(ILO)が推奨し、欧米で普及している。

 民進党は、賃金や待遇に差をつけた場合、それが合理的かどうかの立証責任を企業に負わせることも提案した。共産党は「均等待遇」を関係法律に明記するよう求めた。

 年功賃金、終身雇用が主流の日本で同一労働同一賃金を導入しようとすれば、企業は大きな変革を迫られる。おおさか維新の会は「年功序列型の職能給から、同一労働同一賃金を前提とする職務給に転換する」と日本の雇用慣行の見直しを提唱した。

 政府の「ニッポン1億総活躍プラン」は同一労働同一賃金の実現に向けて「ちゅうちょなく法改正の準備を進める」とうたっている。政府は改正パートタイム労働法(昨年4月施行)の規定を派遣労働者らに広げる方針だ。

 同法は、職務の内容や「人材活用の仕組み」(人事異動の有無や範囲)が同程度なら、パートタイム労働者と正社員の差別的な処遇を禁じている。それでも何を「同一労働」とみなすかの判断は難しく、同一賃金が実現したのはパート労働者約940万人のうち約32万人にとどまる。

 遠藤公嗣明治大教授は「有権者が学び、政党に訴えなければ、選挙後、効果のない施策でお茶を濁される可能性がある」と警鐘を鳴らす。【中村かさね】

●<公約点検>(5)働き方改革 「同一賃金」中身に濃淡
         東京 2016年6月28日

 「働き方改革」も大きな争点の一つだ。中でも非正規労働者と正社員の給与格差の是正に向けては、各党が「同一労働同一賃金」の実現を公約に掲げた。同じ仕事なら同じ賃金がもらえる制度。民進党発足前の旧民主、維新両党が二〇一四年衆院選で公約にしていた。安倍晋三首相は今年一月の施政方針演説で実現を目指す考えを示し、自民党も参院選公約にした。

 各党の掛け声は同じだが中身には濃淡がある。自民は、同一労働同一賃金の実現で「正規・非正規の格差を是正する」と表明。具体策には踏み込まなかった。

 公明党は、正社員の六割程度にとどまる非正規の賃金を「正規の八割程度に引き上げる」と明記。その際に「正社員の処遇を引き下げて対応しない」と加えた。
 かねて同一価値労働同一賃金を主張してきた民進党は、安倍政権の姿勢を「かぶせてきた」(岡田克也代表)と批判。公約では、合理的な理由のない賃金・待遇差別を禁じる立法を主張。制度導入にあたり「非正規労働者の賃金・待遇に全体を合わせることがないようにする」と訴える。

 非正規労働者に関するほかの待遇改善策として、自民党は正規雇用への転換を「果断に進める」と強調。公明党も正社員転換に向け「能力開発の機会を充実」させるとした。

 民進党は、非正規労働者を正社員として雇った中小企業に、社会保険料の事業主負担分の二分の一相当を助成する支援策を公約した。共産党も正社員化を主張する。
 安倍政権は昨年、労働者派遣法を改正し、企業は働く人さえ代えれば、どの業務でも従来の三年の期限を越えて派遣労働者を雇い続けられるようになった。民進、共産など野党は「一生派遣」が増えると反発し、公約に再改正を掲げた。

 各党は長時間労働の見直しも公約する。自民党は「是正する」と強調。公明は時間外労働の規制を検討するとした。一方で、政府は研究開発部門などに従事する社員について労働時間制限を事実上撤廃し、仕事の成果で賃金決定する制度を導入する法案を国会に提出している。
 野党は法案を「残業代ゼロ法案」と批判。民進、共産両党は公約に残業時間の上限を定めると明記した。終業から次の始業まで一定の休息時間を設ける仕組みも挙げた。 (中沢佳子)

●社説 同一労働・賃金 非正規の不公平ただせ
        東京 2016年7月5日
 各党は、雇用形態による賃金差をなくす「同一労働同一賃金」の実現をうたうが、具体的な道筋は見えない。非正規労働者の待遇底上げと同時に、正社員化を進める施策の議論を深めてほしい。

 日本では雇用の不安定な非正規労働者は増え続けている。二〇一五年は37%超。三年間で2・3ポイント上昇している。

 正社員との賃金差も大きい。正社員に対する非正規労働者の賃金水準は、欧州の八~九割に比べ、日本は六割弱だ。

 仕事の内容が同じなら賃金も同じにする同一労働同一賃金は、欧州では一般的とされる。非正規労働者の待遇改善は待ったなしの課題であることはいうまでもない。

 しかし、欧州などでは、各産業別に労働組合が組織され、能力の水準と仕事の内容などに応じて賃金等級が決められており、非正規にも適用される。日本とは労働慣行が大きく異なっており、制度の導入が即、非正規の待遇改善につながるとは限らない。

 仮に正社員の賃金を非正規労働者の水準まで引き下げれば、同一労働同一賃金は完成するが、賃金の底上げにはならない。

 自民党は公約で「正規、非正規の格差を是正する」とする。公明党は非正規の賃金水準を欧州並みに引き上げるとし、制度導入にあたり「正社員の処遇を引き下げないようにする」と条件を付ける。

 これに対し、最大野党の民進党は「同一価値労働同一賃金」の法律をつくり、公明と同じように非正規の賃金に「全体を合わせることがないようにする」と記した。

 国が定める時給の最低額である最低賃金の引き上げも欠かせない。最低賃金すれすれで働く人はパートやアルバイトが多く、非正規の賃金アップにつながる。

 政府は「一億総活躍プラン」で、全国平均を現在の時給七百九十八円から年3%程度ずつ上げ、千円を目指すことを盛り込んだ。自民、公明両党の公約はこれを踏襲する。

 民進、共産、社民、生活の野党四党は市民連合と合意した共通政策で、全国平均ではなく、すべての地域で千円以上にすることを打ち出している。

 総務省の調査によると、非正規労働者の17%が、正規の仕事がなかったため非正規雇用に就いた、と回答している。

 一家の大黒柱が非正規労働者という世帯も増えている。賃金底上げと同時に、正社員への転換を促す施策も重要だ。

●実現できれば格好の選挙対策に!「同一労働同一賃金」、まずはココから マスコミは後ろめたくて及び腰だが・・・
       現代ビジネス 2016年06月26日ドクターZ 『週刊現代』2016年7月2日号より
現行法では「努力義務」
正社員と非正規雇用者の格差をなくす「同一労働同一賃金」。その議論がいよいよ本格化してきた。政府が今月閣議決定した一億総活躍プランの中で、目玉政策のひとつとして掲げたからである。

しかし、正社員と非正規雇用者の格差をなくすことなど本当に可能なのか。そもそも「同一労働同一賃金」とはどういうことなのか。

まず世界的に見て、同一労働同一賃金はかなり普遍的な考え方である。国際労働機関憲章(ILO憲章)前文や国連の世界人権宣言第23条にも規定がある。

重要なのは、その理念を労使関係のなかでいかに具現化させるかだ。日本では労働基準法第4条に「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」とある。

そのうえ同法第3条では、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」とある。つまり、同一労働同一賃金の理念は労基法にきっちり規定されている。

一方で、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)を見ると、「事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金を決定するように努めるものとする」とある。

つまり、格差是正はあくまで努力義務。パートタイマーと正社員の間には格差があるものだとも解釈できてしまう。そのため、法整備としてはここから一歩先の議論が求められ、安倍政権はまさにそれを進展させようとしているわけだ。

次ページ 日本で実現できるのか
まずは保育士不足問題から

そもそも「同一労働同一賃金」とは、どのような雇用形態でも同じ仕事を務める労働者に対して同一賃金が支払われること。日本でこれを実現しようとする場合、現在の職能給や年齢給を変えて、職務給へ移行していかなければいけなくなる。

職務給は欧米では一般的だが、日本でこれを実現しようとする場合、非正規と給料を一緒にされる正社員からは大きな不満が出るだろう。正社員と非正規の格差が厳然と存在するテレビ業界が、この問題を大きく報じようとしない理由もそんなところにあるのだろう。

では日本で同一労働同一賃金の実現は不可能なのかといえば、そんなことはない。たとえば現在話題の保育士の雇用問題について、公立保育園と私立保育園との間では大きな給与格差が生じていることから、まずはその格差見直しを行う政策などから始める手があり得る。

さらに、私立保育園内でも正規保育士と非正規保育士の間で格差があるので、ここで同一労働同一賃金の実現を目指すのもいい。保育士不足問題の有効な対応策にもなる。

これが実現できれば、安倍政権にとっては格好の選挙対策。雇用情勢が改善に向かう中、同一労働同一賃金は実現しやすい環境にある。

そうした中で、誰もが否定できない原則を用いながら、当面は適用対象を限定しながら、ゆくゆくは拡大していくことで、選挙戦略に有利な状況を作り出すことができるからである。同一労働同一賃金は本来であれば左派野党の民進党が率先すべき政策なのだが……

●非正規雇用の貧民が「アベノミクス死ね」と願った理由
          ブロゴス ニャート 2016年06月28日 元編集者。過労で退職→ニート→派遣(現在)。
私は、年収200万円台の派遣社員だ。
この金額では一人暮らしもできない。給料の半分を入れてはいるが、実家で暮らしている。

貧民の私が、なぜ「アベノミクス死ね」と願ったかを書く前に、日本の実質賃金の推移について述べたい。

実質賃金は90年代後半から下がり続けている
つまり、世界規模でも後ろから数えた方がいいほど、日本の給料は上がっていないのである。


賃金を上げずに、内部留保を貯め込む大企業
では、アベノミクスはどこに還元されたのか。
それは大企業である。
アベノミクス期間で、大企業の内部留保は27兆円増えて過去最高を更新し、300兆円の大台に迫る勢いとなった。

それなら、内部留保を原資として、賃上げをすればいい。
実際に、国公労連が試算したところ、主要企業88社が内部留保の3%未満を取り崩せば、非正規を含めたすべての労働者において、月2万円の賃上げが可能だという。
だが、経団連は下記のようにきっぱりと拒絶している。
・・・・・・・・・・(略)・・・
アベノミクスを経て、この状況は一層悪くなっている。

円安のデメリットだけが非正規労働者を直撃した
さらに、円安である。
アベノミクスは、金融緩和による株高円安誘導を進めてきた。
例えば、「クジラ」と呼ばれる、年金積立金管理運用独立行政法人などの公的マネーが円を売りまくり、円は2012年近辺につけた78円台から、2015年には125円台まで売られた。
(今回は述べないが、株高円安から再び株安円高になってどれだけ年金が減ったか、考えるだけで恐ろしい)

円安で輸出企業は大いに潤い、大企業の正社員の給与や賞与は上がったという。
だが、非正規労働者の賃金は上がっていない。

円安の仕組みを、簡単に説明する。
アメリカ人が1万ドル持っているとする。
1ドル=75円の時は、75万円にしかならないが、1ドル=125円の時は、125万円に換えられる。
また、日本人が、いくらかの円を1600ドルに換えたいとする。
1ドル=75円の時は、12万円で足りたが、1ドル=125円の時は、20万円必要になる。

乱暴に言うと、ドル円が75円から125円になったことで、手取り20万円の給料の価値が12万円にまで下がったことになる。

円安を受け、食料品などの生活必需品の物価が次々と上がった。
賃金が上がらない非正規労働者を、アベノミクスによる円安のデメリットだけが襲った。

アベノミクスの間、地域の派遣求人をずっと見ていたが、時給は1円も上がっていない。
昇給も賞与もない。それどころか、交通費も教育費も、健康診断代さえ自腹だ。
ドル円が120円台になった頃、社食でNHKのニュースが告げる為替レートを見ながら、私は「アベノミクス死ね」と願っていた。
社員は200円、派遣は500円の定食を食べながら。

「身分の違い」による経済格差を国が推し進める
貧民の私にとって、アベノミクスによる円安は、その前の不景気よりずっと辛かった。
アベノミクスが潤したのは、株を買える金持ちと、大企業と、その正社員だけだ。

周りは豊かになっていくのに、自分だけが前よりもっと貧しくなっていく。こんな恐怖はない。

日本の景気回復は、非正規労働者はカヤの外で進んでいくのだろう。
正規雇用と非正規雇用、「身分の違い」による経済格差を国が推し進めていく。

●週刊現代 自民党の議席調査「最新生データ」を入手! 参院選「落ちる議員/落ちそうな議員」
       賢者の知恵 | 現代ビジネス 2016年07月04日(月)
 文字通り日本中を駆け回る、安倍総理をはじめ自民党の面々。しかし、どこへ行っても敵味方入り乱れる激戦地で、早くも消耗ぎみだ。彼らが手にする「苦戦リスト」には、誰の名が書かれているのか。

サヨナラ、法務大臣
「私はどうしても、第一声を、熊本から、発しようと、このように考えました」

4月に起きた大地震の爪痕がいまだ消えない熊本城。参院選の公示日である6月22日の朝、安倍総理はいつも以上に一言一言を区切って、この選挙戦で最初の演説を始めた。しかし——。

「熊本城では、さすがに自民党の支持者を集めていたので何事もなかった。しかし、その後に行った市内の商店街では、総理に向かって『選挙なんかより復興のほうが先じゃないのか!』と観衆から罵声が飛んだんです。

熊本の人は、選挙どころじゃないというのが本音で、このままいけば投票率は相当下がる。まあ、下がれば下がるほど自民党が有利になりますから、別に問題ではないんですが……」(九州ブロック選出の自民党議員)

公示前の6月8日から22日まで、安倍総理が遊説で訪れた場所を順に挙げてゆくと、山梨、山形、奈良、三重、愛媛、長野、岩手、宮城、青森、秋田、大阪、滋賀、新潟、千葉、熊本、福島となる。

これらはほぼすべて、自民党候補が苦戦するとみられる「重点選挙区」だ。今回の選挙で、安倍総理や小泉進次郎衆院議員をはじめとする自民党の「顔」は、そこに的を絞って遊説に回っている。

「ただ、総理は20日に行く予定だった北海道での遊説を取り止めたのに加えて、実は東京都下での演説もドタキャンしているんです。

公示日の22日夜はテレビのニュースにも出ましたが、化粧をしても顔が青白かったし、何となくやせたような気もする。党内では『(21日に急逝した)鳩山(邦夫)さんじゃないが、安倍さんも体調、大丈夫か』と言う人もいます」(自民党関係者)

本誌は今回、自民党が5月中旬、そして6月の第1週~第3週の週末に行った世論調査データを入手した。重点選挙区や注目度の高い21の選挙区に絞って、その「生データ」を最終ページに掲載している。それに沿って、全国の選挙区を見ていこう。

東北各県で特に苦戦
熊本を訪れた22日の午後、その足で安倍総理が向かった福島も、重点選挙区の筆頭格だ。

自民党の岩城光英氏は現役の法務大臣。しかし、調査データを見てみると、民進党現職の増子輝彦氏との差は14ポイントを超え、ますます開いている。東北ブロック選出の自民党議員が言う。

「厳しいです。皮肉なことに、地元では『岩城さんが法務大臣なのがよくない。何で復興大臣じゃないんだ』と言われています。福島県民の最大の関心事は復興とTPPですからね。

さらにまずかったのが、福島入りした森雅子(参院議員)さんの演説。『(復興)財源が必要な時期に、福島で与党の国会議員を減らすなんて考えられない』『復興に水を差す、金を捨てる、ブレーキをかけることなのです』と言ったのが、『自民候補が落ちたら、復興予算を削る』という恫喝めいて聞こえてしまい、支持者に不評だった」

新潟、長野、三重で負ける

もうひとつ、安倍総理の思うように運んでいないのが山形である。自民党新人の月野薫氏と、無所属で元参院議員の舟山康江氏(民進・社民推薦)の差は、最新の調査でやや縮まってはいるものの、依然として約12ポイントと大きく開いている。

山形は、遠藤利明五輪担当相のお膝元。月野氏は遠藤氏が連れてきた候補者だが、引退を表明している現職の重鎮・岸宏一氏が遠藤氏と折り合いが悪く、「遠藤が勝手に立てた候補者なんて応援できない」と、協力拒否を公言していた。

「6月9日に安倍総理が山形を訪れたあと、遠藤さんが岸さんに東京の料亭で正式に頭を下げて、いちおうは手打ちになった。岸さんは表向き『ようやく非を認めてもらえた』と言っていましたが、かといって、これで本気で月野さんを支援するとは思えない。

総理も岸さんには一度頭を下げていますから、一向に岸さんが腰を入れないとなると、総理の怒りはますます遠藤さんに向かうでしょうね」(自民党関係者)

データを見ると、自民党が特に苦戦を強いられているのは東北各県だが、北陸~中部・東海でも野党候補との差が徐々に開いているのが分かる。新潟や長野、三重だ。

大車輪の小泉進次郎だが
今回から1人区となった新潟では、生活の党の元祖「小沢ガールズ」、森裕子氏が野党統一無所属候補として出馬し、有利に戦いを進めている。民進党衆院議員が言う。

「鷲尾英一郎(衆院議員)は同じ野党なのに、『次の衆院選で社民党候補を出さないように根回ししてくれたら、支援する』などと言って、まったく森さんのことを支援していません。ただ、今のところ自民党の調査でも6%近く差が開いていますから、普通にやれば逃げ切れるでしょう。

相手の中原八一は元県議ですが、かろうじて支持層があるのは新潟市内の1区だけで、田舎では森さんが圧倒的に強い。10万票近く差がついているんじゃないかな」

島尻・沖縄担当大臣は完敗
接戦とされていた長野は、フタを開けてみると元TBSキャスターの杉尾秀哉氏が圧倒。23日には小泉進次郎氏が長野市内で街頭演説に立ったが、16ポイントの差は、彼の力をもってしても巻き返すには大きすぎる。

「進次郎は山形、新潟、岩手、長野、熊本、沖縄と、たった3日の間に、一番キツイところをほとんど回っている。われわれも『選挙が終わるまで永田町には帰って来るな』と茂木(敏充選対委員長)さんから言われましたが、やっぱり自民党イチこき使われるのは進次郎でしょうね」(自民党中堅議員)

しかも今回、進次郎氏は18歳選挙権対策の役目も負わされている。18歳・19歳の人口は240万人で、全有権者の2%。進次郎氏は演説のたびに聴衆の中から若者を指して「キミ、何歳?」と聞くのだが、このパフォーマンスがどこまで功を奏するかは未知数だ。

西日本に目を転じると、さすがに自民党の支持基盤が強い地域が多いだけに、データの上でも自民党候補が有利な選挙区がほとんど。ただ、大阪の数字に関して、民進党議員からこんな疑問の声が上がっている。

「自民党の調査では、ウチの尾立(源幸)さんが8%台で6番手になっていますけど、民進党の調査では4番手なんですよね……。

民進党内で言われているのは『共産党候補が民進党候補に勝っているように見せたほうが、共産票が民進党に流れるのを防ぐことができるから、数字をいじっているんじゃないか』という話。勘繰りすぎですかね?」(前出と別の民進党議員)

「完勝」には程遠い!?
ともあれ、自民党の新人で、元外務官僚の松川るい氏がトップの構図は揺るがない。2番手・3番手がおおさか維新の会政調会長の浅田均氏と、公明党の石川博崇氏というところまで、情勢はほぼ固まっている。

改選議席3の兵庫は、おおさか維新の会の片山虎之助共同代表が元NHK記者の次男・大介氏を送り込み、安泰という。

「自民党の末松(信介)さんも30%近い支持をキープしている。残り1枠を民進党現職の水岡俊一と公明党新人の伊藤孝江が競っていますが、意外に水岡が苦戦中です。

というのも、兵庫は公明党が『何としても取る』と重点選挙区に設定し、大阪からも党関係者・支援者を大量に派遣している。大阪の公明党候補の石川博崇が大丈夫だと分かったので、関西の戦力をここに集中させたわけです」(近畿ブロック選出の自民党議員)

九州では、激戦が予想されている大分で、自民党新人の古庄玄知氏が民進党現職の足立信也氏を約4ポイントリードし、追い落とす勢いだ。一方、かねて自民党の苦戦が報じられていた沖縄は、現職の島尻安伊子沖縄担当相が、野党統一候補の元宜野湾市長・伊波洋一氏にほぼダブルスコアで差を付けられている。

上記の最新調査から推計すると、自民党の獲得議席数は50~55。公明党の獲得議席は10を超えるとみられるため、「自公で改選過半数の61議席を超える」という目標には達するが、「完勝」とはとうてい言えない。

「早くも、自民党内の関心は『岩城さんと島尻さんが落ちたら、空いた閣僚ポストには誰が座るか』に移っています。ベテラン勢が浮き足立ち始めた」(前出・自民党中堅議員)

投開票まで1週間を切った。この参院選が、安倍政権のターニングポイントになる。

議席調査「最新生データ」


●社説 社会保障 将来の不安に応えよ
         中日 2016年7月6日
 参院選の世論調査で関心の高い政策のトップは「社会保障」だ。それだけ将来への不安が強いということだろう。各党には、社会保障を具体的に語ってほしい。

 この三年間で、個人消費を支える中間層が減少し、高所得層と低所得層への二分化が進んでいる。

 子ども、現役世代、高齢者と、全世代で貧困・格差が広がる。生活保護を受給する世帯のうち、高齢者を中心とする世帯が今春、初めて五割を超えた。

 日本世論調査会の調査で社会保障制度について「安心できない」「あまり安心できない」と回答したのは計七割超に達している。

 消費税の増税を財源に社会保障の充実・安定を図るとした社会保障と税の一体改革の枠組みは、二度の増税延期で破綻している。

 その一方で、社会保障の切り下げはどんどん進む。二〇一五年度から介護保険について、一定所得以上の利用者負担が引き上げられたほか、介護施設に入る低所得者への補助縮小などの給付カットが実施されている。医療保険の自己負担も上がった。年金も目減りし、生活保護も減額された。

 安倍政権は昨秋、誰もが活躍できる「一億総活躍社会」をつくるとして「介護離職ゼロ」などの目標を掲げた。しかし、その足元で介護保険の軽度者向けのサービスの一部を保険対象から外すなど、さらなる給付カットが検討されている。介護離職ゼロどころか、介護離職者を増やしかねない。

 急速な少子高齢化が進む。全人口に占める高齢者の割合は四人に一人となり、五十年後には四割を超える見通しだ。高齢化により社会保障費は、毎年五千億~六千億円増え続けている。とはいえ、このまま一律にカットを進めれば、弱い人はより追い詰められる。

 社会保障の給付と負担はどうあるべきなのか-。与野党の論戦では、十年後、二十年後を見据えた将来像は語られないままだ。これでは、国民の不安が募るのも当然である。将来への不安は消費をも停滞させる。

 病気になる、失業する、介護が必要になる-。こうした個人のリスクに社会全体で備える「生活の安全網」が社会保障であり、その機能の劣化は許されない。

 誰もが生き生きと暮らせる社会を実現するために、再分配機能を強化したい。財源には、高所得層や富裕層への課税率引き上げも必要だ。「支え合い」の制度を空洞化させてはならない。

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