ここのところの話題を独り占めしている道路特定財源と暫定税率の問題。
今朝の毎日新聞が面白かった。
「道路特定財源を一般財源化、実現すれば土建国家と言われる政治のありようが変わる可能性がある。底流を探った」という記事。
民主は民主で深い政治的思惑の中にあるらしい。
ということで、暫定税率が廃止になるという象徴的な夜にあげるブログはこれ。
なお、関連として3月11日ブログ
⇒ ◆道路特定財源の問題。「暫定税率」問題との混同??市町村にとって何が本当なのか
3月21日ブログ ⇒ ◆道路特定財源。暫定税率分を一般財源化 >
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毎日新聞 2008年3月31日
読む政治:土建国家、岐路に 道路特定財源一般化、自民若手は賛成
福田康夫首相は09年度から道路特定財源を一般財源化する方針を表明した。実現すれば半世紀ぶりの政策転換で、「土建国家」と言われる政治のありようが変わる可能性がある。首相提案に至る一般財源化論の底流を探った。
◆「道路財源、政権かけるメリットない」
◇一般化、自民若手は賛成
27日、首相は新提案表明の記者会見を前に、平将明自民党衆院議員ら若手議員約30人の訪問を受けた。議員らが示した「一般財源化案」は首相案とほぼ同じ。首相は「若いのだからもっと高めのボールでもよかったよ」と、笑みを浮かべた。
平氏は「特定財源は自分たちのカネという役人の意識が不信を招いた。一般財源化で情報公開と統治能力を高めなくては、国民の信頼は得られない」と力説する。首相の孤立が指摘されるが、党内の一般財源化賛成論者は少なくない。
◆
道路特定財源制度は田中角栄元首相らの議員立法で、1954年に始まった。74年、揮発油(ガソリン)税などの税率を引き上げる暫定税率が生まれ、その後も継続した。
道路への財源の集中投資は遅れていた道路整備を促進し、日本は経済大国に成長した。
と同時に、道路特定財源がもたらした負の側面が政治の世界を侵食していった。各地に生まれた「ミニ角栄」は、国土交通省(旧建設省)から獲得した公共事業を土建業者に渡し、業者は人とカネを使って選挙を支えるという構図が出来上がった。
自民党議員同士がしのぎを削った中選挙区制下では、「公共事業獲得」が保守票争奪戦を制するポイントだった。そのチャンピオンが津島派の源流の田中派、竹下派だ。
衆院小選挙区制度の導入(94年)で状況は変化していく。中選挙区と違い、全体の5割の票を獲得しなくてはならないため、特定の業界団体票だけでは通用しない。口利き、談合など公共工事をめぐる不正に対する国民の目も厳しくなった。
経済成長は鈍り、少子高齢社会が現出する。増大する社会保障費用や教育、環境分野などに財源を振り分けなければならない。公共事業関連費は毎年3%カットされ、聖域ではなくなった。
派閥会長の秘書だった中堅衆院議員はこう証言する。
「なぜ道路かというと、建設業者に事業を持っていけるからだ。昔は業者の選定も当たり前のようにしていた議員が多かった。だから業者は見返りとして選挙を応援した。もちろん今でも、日ごろから役所とパイプが太ければ事業は取りやすい。ところが景気が落ち込んできて道路建設のパイ自体が減り、思うようにいかない」
「さらに事業を持ってきても、後は地元の入札に任せざるを得ない。期待していたのに受注できない業者もたくさん出てくるから、結局、選挙も応援しなくなる」
それは「もはや政権をかけてまで特定財源を守るメリットはない」という言い分だ。
◆「福田政権、誰がつくったかお分かりか」
◇道路族圧力、試練の首相
小泉純一郎元首相は道路公団民営化に取り組み、05年12月には「道路特定財源の見直しに関する基本方針」を打ち出した。安倍晋三前首相も一般財源化を目指した。
特定財源は、国交省にとっては使い道を任された財布のようなものだが、一般財源化によって厳しく吟味される。財布の中身が減ることも予想される。
「母屋(一般会計)でおかゆを食べているのに、離れ(道路特別会計)ですき焼きを食べている」との例えで一般財源化論議に火を付けたのが、小泉政権で財務相を務めた塩川正十郎氏だ。
塩川氏は「小泉内閣以前からこの問題は指摘してきたが、福田派(町村派の源流)は少数だった。文相の時に、教育施設に特定財源から予算を回そうとしたが少数意見で通らなかった。(一般財源化など)小泉改革は田中派政治に対する否定だった」と話す。
◆
民主党の抵抗が予想されたのに昨年末、なぜ、すんなりと59兆円の道路整備中期計画が決まったのか。
26日夜、東京都内の日本料理店に町村信孝官房長官、古賀誠選対委員長、谷垣禎一政調会長らが集まった。
「福田政権は誰がつくったのか、お分かりでしょうか」。出席者によると町村氏に古賀氏はささやいたという。
古賀氏は道路族の中心人物で、選対委員長として次期衆院選対策の指揮をとる。すでに道路整備計画を背景に42都道府県を回り、各地の建設業など各種団体に協力を訴えた。
党内では、小泉構造改革=地域格差の拡大=選挙敗北という分析が力を持ち、道路も衆院選を強く意識したものになった。
福田政権は国民的人気に支えられた小泉政権と成り立ちが違い、派閥連合の上に立つ。首相は、総裁選で世話になった道路族の実力者を敵に回すことができるのか。首相の覚悟を試す場面は早晩やってくる。
◇「集票構造崩し」狙う民主
一方、民主党は暫定税率にこだわるが、「党の背骨」(藤井裕久税調会長)は暫定税率廃止ではなく一般財源化だ。
今年2月に党が作成した「道路特定財源の改革」というパンフレットには「暫定税率の廃止自体は目的ではなく、一般財源化の結果、実施される政策だ」と明記されている。
民主党が参院に提出している「道路特定財源制度改革法案」では暫定税率の廃止、一般財源化とともに、国直轄事業の地方負担金廃止が3本柱の一つになっている。
暫定税率廃止での減収を補う施策だが、同時に特定財源を地方の自主財源に切り替えることで、中央(省庁や族議員)から切り離す意味がある。
自民党政治は、特別枠の財源を特定の議員が握り、地方に配分するシステムを作ることで地方をコントロールしてきたと、民主党はとらえる。業界や首長を通じた自民党の集票構造につながり、そこを崩さないと政権はとれないという見方だ。
藤井氏は「道路特定財源を作った田中角栄さんの直系の小沢一郎代表と、田中内閣の二階堂進官房長官秘書官だった自分が道路特定財源制度を変えようとしている」と言う。
国会審議では一般財源化を軸に据えた民主党だが、年度末には暫定税率廃止に回帰した。世間の注目度の高いガソリン代値下げに焦点を当てた方が政権を倒せるという、政局論が台頭したのだろう。
これに対して前原誠司前代表は「暫定税率の廃止がなければダメだと突っぱねるのはおかしい。一般財源化こそ改革の本質だ」と批判する。
首相は、民主党が反対しても一般財源化を貫くという。最悪なのは小沢氏と道路族に挟撃され、首相提案がたなざらしになることだ。
●暫定税率が失効=ガソリン25円下げ、福田首相陳謝-再可決で4月政局緊迫
時事 2008/03/31-18:15
揮発油(ガソリン)税などの暫定税率は4月1日から失効、ガソリン価格は1リットル当たり25.1円下がることになる。道路関係以外の租税特別措置は、「つなぎ法」成立により5月末まで効力が延長されたものの、国民生活や経済への影響は不可避。政府・与党は4月末にも、租税特別措置法改正案を衆院で再可決し、暫定税率を復活しガソリン価格を元に戻す方針だが、民主党など野党は暫定税率廃止の恒久化を要求。対立解消のめどは立たず、政局が緊迫する事態も予想される。
福田康夫首相は31日夜、首相官邸で記者会見し、租特法改正案が年度内に成立しなかったことについて「地方財政、国民生活への混乱を防げなかったことは残念だ。政治のツケを国民に回す結果になったことを心よりおわびする」と陳謝した。
また、同改正案の衆院再可決を念頭に、暫定税率を早期に元の水準に戻す意向を示すとみられる。これに先立ち、首相は太田昭宏公明党代表と国会内で会談し、値下げ競争に直面するガソリンスタンドの資金繰りなどを支援するなど、対策に万全を期すことを確認する見通しだ。一方、参院議院運営委員会は同日午後の理事会で、4月2日の参院本会議で同改正案の審議入りを決めた。
2月29日の衆院通過以来、1カ月以上たってようやく審議が始まるが、暫定税率の即時撤廃を求める民主党は早期採決には応じない考えだ。
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