古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

メタボ健診

2009-09-14 | 経済と世相
 08年4月1日、「後期高齢者医療制度」が始まりました。これと同じ日、「特定健診制度」(40歳以上74歳以下対象)が始りました。通称、「メタボ健診」です。
この「メタボ健診」、始った時から、私は腑に落ちません。以下、腑に落ちない理由。
第一に、メタボの判断基準がおかしい。
第二に、メタボと判断された人に、医師あるいは看護師が指導をするというが、指導と言ったって、「運動しなさい」と言うしかない。そんなこと言われたって、運動できる人は既にしているし、出来ない人はできない。つまり、指導の実効性がないのでは?
第三に、健保財政の赤字がこれだけ問題になっている時に、わざわざ、お金をかけてまで行う価値があるものか?

第一について言うと、例えば腹囲でメタボを判断する基準が、男子85㎝以上、女子90㎝以上?何故体格が大きい男子が85㎝で、女子が90㎝なの?逆ならわかるが?
LDLコレストロール、従来140以上が異常値だったが、メタボ基準は120以上。
空腹時血糖値 従来90~110が正常値。ところがメタボ基準では100以下が正常。
γGTP 従来60以上だったのが、51以上でメタボ。等々
つまり、すべて基準が厳しい側に移った。まるで、国民総てをメタボにしたいみたい。

11日、放送大学愛知学習センターに行った帰りに図書館で『命の値段が高すぎる!』(永田宏著、09年7月刊、ちくま新書)を借りてきました。この本が、以上の疑問に答えていました。ついでながら、この本、非常に良い本ですが書名が良くない。何のことかわからない。実は、後期高齢者医療制度を中心に小泉政権の行った医療改革の実態を解説した本でとても面白く、読み始めたら巻を置くあたわず一気に読み通しました。書名の意味は、医療費削減策を、「政府は我々の命の値段が高すぎる」と言うのか!と批判するものです。

さて、メタボ健診の目的は何でしょう。表向きは、「国民の健康増進と医療費節約」ということになっている。しかし、敵は本能寺にあり。
小泉医療改革の目標は高齢者医療の財源問題の解決である。メタボ対策はその中心に位置づけられる。メタボ対策と後期医療制度をリンクさせることによって、前期高齢者を含む現役世代が後期医療に支払う支援金を割り増しする、というものだ。
「高齢者の医療の確保に関する法律」によると(かみくだいて書きます)、
メタボ対策の目標値を達成できなかった保険者(健保・国保組合)から、ペナルテイとして後期医療の支援金を、2012年から最大10%増しで徴収するという。
逆に2012年までに現役世代のメタボが減れば、健保・国保からの支援金が最大10%減る。その金額は08年度実績で計算すると約4000億円にも達する。その間の事情をある町の国保組合のパンフレットで見る。
Q:(メタボ健診を)受けないとどうなるの。
A:町に後期高齢者支援金の負担が加算されます。これは75歳以上の人の医療費を、74歳以下の人で支える制度で、加算された場合は、保険料に跳ね返ります。
メタボ健診は、ペナルテイを稼ぐのが目的だった!
私の疑問が氷解しました。この本には、もっと面白い話題ががありますが、次回に。

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