古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

アベノミクスの評価

2014-01-13 | 経済と世相
 1月もはや中旬になりました。今年の世の中の動き、識者はどう見ているかと、13日、県図書館に出掛け雑誌に目を通しました。
 「世界」2月号に、寺島実郎さんが「脳力のレッスン」と題する寄稿で述べていました。
【世界的脈絡の中でのアベノミクス再考。
 アベノミクスの本質が外国人投資家依存の株高幻想に過ぎないことは何回か触れてきた。2012年11月の「解散総選挙」、「安倍政権成立」から1年、異次元の金融緩和と財政出動を誘発剤として外国人の投資を招きこんで形成してきた危うい臨界点に差し掛かってきた。2013年12月6日の時点で、解散(2012年11月16日)からの外国人投資家の日本株への買い越しは累計15.0兆円となった。この間の日本の機関投資家は累計6.2兆円、個人投資家は累計7.7兆円の売り越しであり、日本人は累計13.9兆円も売り越しているのである。「アベノミクス効果での株高」とはやしながら、実は日本人は心底でアベノミクスなど信じていない。日本の未来などに投資することなどなく、外人によって株が上がっているのをよいことに、平然と売りぬいてきたのである。
 外国人投資家といっても、主体は「育てる資本主義」の産業金融ではなく、ヘッジファンドなど「売りぬく資本主義」のマネーゲーマーである。株、債券、為替、不動産、いかなる分野であれ、「利ざやを狙う」ことだけを考える、移ろいやすい主体である。先進国こぞっての超金融緩和と新興国(BRICS)への過剰期待が後退した局面で、行き場のないカネが日本に流れ込むという世界金融構造の歪みを背景とした株高であり、決して実体経済の向上ではない。春先からは世界金融は、異常な緩和基調からの「出口」を求めて動き始めるであろう。
 日本の資本主義の性格が変わりつつある。この1年間で外国人が15兆円買い越し、日本人が14兆円売り越したことにより、東証上場企業の外国人保有比率は3割を超した。配当性向への配慮など、日本の企業経営は変わらざるをえないだろう。それは、労働分配へのしわ寄せをも意味する。「格差と貧困」は静かに進行している。ヘッジファンド主導のユーフォリヤ(株高幻想)が去った時、食い散らされた焼け跡に立ち尽くすことになってはならない。技術と産業に立つ「実体経済」と、税と社会福祉の在り方を問い詰める「公正な分配」についての真剣な議論が今こそ喚起されねばならない。
 愚かな呪術経済学にはまり、「異次元の金融緩和」に酔いしれていた時代としてアベノミクスが位置付けられるようでは、国民的悲劇である。「成長力を取り戻す日本」を世界は期待していると思いがちだが、現実は、歪んだ金融資本主義のマネーゲームの草刈り場を提供し、おだてられ陶酔しているにすぎない。】
 筆者の主張を、私はこう解釈する。
 『アベノミクスは、実体経済にほとんど何の影響も及ぼしていない。この意味で、「安倍・黒田氏は何もしていない」という主張は正しい。しかし、先進各国に倣って、異次元の金融緩和をしたので、カネは世界の投機資金をふくらまし、その投機資金の多くが、日本円を売り、日本株の買いに、廻った。「アベノミクス」効果とは、アナウンスメント効果である。』

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