古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

時評:狐と狸の騙しあい

2011-06-07 | 経済と世相
5月27日の中日朝刊「特報」の記事は面白かった。要旨は。

 【首相は5月6日、浜岡原発原子炉停止を要請。同月18日には、電力会社の発電・送電部門の分離を検討する考えを表明した。

 さらに事故の原因を調べる「事故調査・検証委員会」の設置を5月24日に決定。翌25日、外遊先のパリで、太陽光や風力など自然エネルギーの総電力に占める割合を2020年代の早期に20%へと拡大する方針も打ち出した。

 これに対し谷垣自民党総裁は、17日、不信任案を提出する意向を表明し、公明党の山口代表も即座に同調した。表向きは「東日本大震災の復旧に向けた第二次補正予算案の今国会提出を見送った場合」ということだったが、原発をめぐる首相の言動が念頭にあったことは間違いない。】そして

 【日本経団連米倉会長はこの間、首相の足を引っ張り続けた。浜岡停止要請に「思考の過程がブラックボックス」、発送電分離は「(原発事故の)賠償問題に絡んで出てきた議論で動機が不純」、自然エネルギーの拡大には「目的だけが一人歩きする」と発言を続けるという具合だ。】

つまり、原発には膨大な利権が絡んでいる。簡単に正論ぶって「脱原発」を、首相に唱えてもらっては困るのだ。

【戦後政治史を振り返ると、自民党と原発の関係は深い。

 1954年、当時若手議員だった中曽根元首相が、「原子力の平和利用」をうたい、原子力基本法が成立。その後の自民党の原発推進政策につながっていった。

 74年には田中角栄内閣の下で、原発などの立地を促す目的で、自治体に交付金を交付金を支出する電源算法交付金制度がつくられ、各地に原子炉を建設する原動力となる。自民党と電力会社の蜜月関係は今見続く。

 自民党の政治資金団体「国民政治協会」の2009年分の政治資金収支報告書を見てみると、九電力会社の会長、社長ら役員が個人献金をしている。・・・

 「ジョン万次郎の会」というのがある。60年、自民党幹事長だった小沢氏が、東電の平岩外四会長の援助を得て、日米の草の根交流を目的として設立した。現在「ジョン万次郎ホイットフィールド記念・国際草の根センター」に名を変えたが、今でも小沢氏が会長、東電の勝俣会長が顧問、「原発事故は神様の仕業としか説明できない」などと東電擁護の発言を繰り返す与謝野氏も現在は大臣就任で休職扱いだが、副会長だ。

 電力総連は、連合加盟の有力労組であり、民主党の政策に大きな影響を及ぼしてきた。

エネルギー政策の見直しを打ち出した菅首相は、これだけの勢力を敵に回した可能性がある。】

 【金子勝慶大教授はフクシマ原発の事故について「財界中枢の東京電力、これにべったりの経済産業省、長年政権を担当してきた自公という旧態依然とした権力が引き起こした大惨事だ」と指摘する。

 「菅首相は人気取りかもしれないが、自公や財界が一番手を突っ込まれたくないところに手を突っ込んだ。自公は事故の原因が自分たちにあることが明らかになってしまうと焦った。それを小沢氏があおったのではないか」】

 「人気取り」の問題を見つけることに、菅さんは天才的だ。民主党不人気の現在、原発事故で、自然エネルギー開発は、国民にアッピールする絶好のテーマになると見た。

 昔、「風見鶏」といわれる政治家がいた。菅さんも風を見るのが巧い。しかし、昔の「風見鶏」は、自分で考えた方向に吹く風を待ったが、菅さんに自分の考えた方向はあるのだろうか。

 所詮、「狐と狸の騙しあい」ではないか?

 【結局、菅首相は「死に体」となり、発送電分離や再生可能エネルギー拡大への道筋は不透明になった。】と記事は結論しているのだが・・・

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