古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

税金を払っていない大企業リスト

2012-05-01 | 経済と世相
 『税金を払っていない大企業リスト』という面白い記事が、文藝春秋5月号に載っていました。筆者は富岡幸雄氏、中央大学名誉教授です。
 【経団連は「日本の法人税は高い」といっているが、巨大企業の税負担は極端に低い。税額は。税率×課税ベースである。この課税ベースが、種々の租税特別措置で軽減されるためだ。その特別措置のほとんどは、大企業向けで、その結果、法人税を法定どおり(30%)に払っているのは、中小企業のみで、資本金100億円以上の企業の真実実効税率(法人税納付額/利益相当額)は16%程度。
企業の社会的負担を(法人税負担+社会保障負担+賃金支払い)/粗付加価値額として、国際比較すると、最も高いのはデンマーク、ついでスウェーデン、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカと続く。日本は、これら主要先進国の比率を3.6~6.3ポイント下回って、最低のレベルである。
次に消費税を見てみよう。
消費税導入の1989年から2011年度までの23年間で、国の一般会計の歳入となった消費税の国税分は、191兆5377億円である。対して、国の社会保障関係支出は、消費税導入直前の1988年度の後、140兆9189億円増加している。
社会保障関係支出増加より国税増収分のほうが50兆6188億円も多いのだから、これまでの消費税収入のすべてが、社会保障増額とイコールではないことは明らかだ。
法人税は1989年度の18兆9933億円をピ-クにして減少し、同年度からの減少額の累計は2011年度まで153兆757億円である。また、年所得2000万円超の高所得者への減税による減収額が毎年2兆円と推定されるので、23年間で46兆円になる。
両者を合計すると199兆円になる。国民の納めた消費税から社会保障増額分をマイナスした額とほぼ見合うのである。】
副総理は「消費税はすべて社会保障に使う」と述べているが、消費税で納められる税金も、法人税や所得税で納められる税金も、カネに色はついていないから、「この金は消費税のオカネだ」と区別できない。だから、消費税で納めた税金が100%社会保障に回されたと、どうやって証明するつもりだろう。
この論文の言うように、消費税増税前の社会保障費と増税後の社会保障費を比較して、増額分が消費税の増額分と見合っていれば、「消費税はすべて社会保障費に使われた」と言えるのだが、副総理はそういう意味で言っているのか。
「消費税はすべて社会保障に使う」ことの証明方法を、政府は国民に説明する必要がある。もっとも、マニュフェストの約束破りは常習となっている民主党政権の約束を信ずる国民は、いないかもしれない。
この論文から思うこと、もう一つ。日本は従来、企業に対する優遇措置を数々講じてきた。それは、過去の日本においては、企業は国民の生活を守る存在であったため、企業を保護し企業が成長すれば、国民の生活も向上したからである。
しかし、グローバル化と称する施策によって、いまや企業が利益を上げても国民の生活とは無関係になりつつある。
そうなっても、企業を優遇する租税特別措置は必要なのだろうか。
従業員の生活を守ることを法律で企業に義務付けるか(製造業の派遣は原則禁止するなど)、さもなければ、企業優遇措置は徐々に廃止するか、どちらかでなければならない。

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