税金の話を一つ。中国で植林活動をするNPO法人を主
宰する高見さんから、先日,以下のようなメールをいただきました。
税金についての財務省の考えが伺われて面白いと、以下に転載します。
【 国税庁長官から、「認定特定非営利活動法人」に、認定され、昨日、その通知
を受け取りました。
> 有効期間は、2005年6月1日から2007年5月31日までの、2年間です。
> 「認定」がつくことで、なにが変わるかというと、
> 緑の地球ネットワークへの寄付金が、税の控除対象になります。
ぶっちゃけた話、「どうせ、税金にいくのなら、使い道がはっきりしていて、自
分も共感できるNGOに寄付しようか」と、いったところでしょうか。
> でも、じっさいには、寄付した金額が、所得から控除されるだけで、寄付したお
金の全額分の、税金が安くなるわけではありません。
> おおざっぱに、寄付金額×税率ぶん、税金が減ります。】
つまり、彼のNPOに寄付した金額は税金の申告で、所得控除になると言うことで
す。
【この制度が発足して、すでに3年半がすぎたのに、これまでで、認定されたのが、
34団体しかない!全国で、ですよ!
> 特定非営利活動法人は、3万を超えたのに、認定NPO法人は、その0.1%しかな
い。
> 千三つ(せんみつ)といえば、あまりに少ないことへのヤユですが、さらにその
3分の1しかないわけで、制度として、生きていないということでしょう。】
つまり、制度は出来たが、財務省は極力、所得控除の対象にしたくないようです。
【 緑の地球ネットワークのばあいも、きわめて難産でした。
> 昨年6月の、第10回会員総会で、申請を決めました。
> 予備的な準備は、そのまえからすすめていたのです。
> たとえば、最低でも、青色申告に準ずる会計が必要だということで、税理士さん
の、お世話になりました。たくさん、というよりは、膨大な書類を、準備しました。
> なんどか、大阪国税局の担当者とすりあわせをし、港税務署に、申請書を提出し
たのは、10月19日でした。
>
>その後、11月末から12月初めにかけて、3日間、大阪国税局の担当者による、「調
査」がありました。
> 帳簿、預金通帳、会員名簿などはもとより、会費や寄付金が払い込まれてくる、
郵便振替通知票まで、1枚1枚チェックしました。】
【 そのあと、日経新聞の取材があったんですね。12月25日の夕刊、プリズム現代
第21集 踊り場のNPO(5)「『非合理な要件』認定の壁」と題する記事に、次のよう
にあります。
>
> 「特定非営利活動法人(NPO法人)を財政面で支援しようと、2001年にできた認
定NPO法人制度。
> 今秋、認定の申請をした「緑の地球ネットワーク」(大阪市)の
> 高見邦雄事務局長(56)には、疲労感と憤りが残った。
>
> 同会は長年、中国で緑化協力事業を続け、大阪府のおおさか環境賞大賞も受賞し
たNPO法人。
> 会費や助成金、支援者の寄付が収入の柱だ。
> 認定法人になると、寄付者が税控除などの優遇措置を受けられるため、寄付を集
めやすくなる。
> しかし現在、全国の認定法人は約2万ある全NPO法人の約0.1%にあたる26団体し
かない。
> 「制度を作った意味がない」と評されるほど要件が厳しいためだ。
> 実際に申請してみて高見さんもそう感じた。】
【 もっとも困ったのは「親族や特定グループの人数が、役員、正会員の3分の1を超
えていない」という要件だった。
会員には研修旅行などを通じて入会した有力企業の社員が目立つが、1社で何割も
占めているわけではない。特定の一族の組織的加入もない。
> しかし、会員全員が所属組織の肩書や別会員との血縁関係を示して入会している
わけではなく、「6親等以内の人間が多くいない証明をしろと言われても……」と困
惑せざるをえなかった。
国税局には補足資料で役員と会員全員の名簿の提出を求められたが拒み、係官が事
務所で名簿や会費の郵便振替通知票などをチェックして今月、申請手続を終えた。
>
> 「非合理な要件が多いから申請が少ないのではないか。
> 仮に認定されても、2年後また同じことをする必要があると思うとうんざりす
る」
>
> 私たちにかんする記事は、ここまでです。私が話したことを、おだやかにまとめ
てくれたと思います。】
こんなこともあったそうです。
【 「会員全員の名簿の提出」については、説明の必要があるでしょう。
> 国税局の最初の説明では、「かならず提出する必要があります。例外はありませ
ん。東京では、こんなに厚い名簿を提出した団体もあります」ということでした。
>
> それはまた、所轄の税務署で、閲覧の対象になる、ということでした。
> 「国税庁の決定の公正さを、閲覧によって、担保する必要があります」というの
が、その理由です。
> 私たちは、個人情報保護が、これほど重要視される時勢に、いくらなんでもひど
すぎる、そのようなことは制度上も求められていない、といって、申請時に、そのよ
うな名簿を提出しませんでした。】
> 事務所での調査にさいしても、何回も何回も、やりとりした結果、
国税局の説明は、「必ず提出する必要がある、閲覧対象になる、といったのは、ま
ちがいだった。
> 審査をスムーズにすすめるために、協力をお願いする性格のものだ」というふう
に変化したのです。
> それで、私たちは、「そういうことなら、提出はいたしません」といって、提出
しませんでした。
> 「メモもだめですか?」と問われて、「ご遠慮ください」と答えました。
>> 名簿がないために、スムーズな審査ができなかったのでしょうか?
> 認定がきまったのは、申請書の提出から8か月目です。】
以上のやり取りから推定できることは,財務省は、【 ぶっちゃけた話、「どうせ、
税金にいくのなら、使い道がはっきりしていて、自分も共感できるNGOに寄付しよう
か」と、いったところでしょうか。】
が、絶対に気に入らないのです。
【税金の使い道は、我々官僚が決めるべきもの。愚民が口を挟むものではない。だか
ら、どんなに良いことに愚民がカネを使っても,税金を少なくするなどもってのほか
! 】
以下は,小生の多少過激な意見。
【主権在民とは、ぶっちゃけた話、税金をどのように使うかを国民が決めること。
ただ国民が直接それを決めるのは手続き的に難しいので議会に(実際は官僚に)委託
しているだけだ。だから、若し直接国民が決められるなら国民が決めるべきだ。一番
良いのは、防衛力強化に予算をつけたい人は防衛庁に寄付する。教育に税金を使って
欲しい人は、文部省とか、教育のNPOに寄付する。寄付金額は所得控除でなく、税
額控除することにする】
こんなことを考えるのは、頼みもしないのにイラク出兵でカネを使ったり、助けな
くても良いメガバンクに膨大な税金を使い、その結果が大増税になるのは敵わない。
本当に国民の福祉にカネを使うのなら快く増税に応じたいと思うのですが・・・
エリート官僚に「主権在民」の考えは、ない。
宰する高見さんから、先日,以下のようなメールをいただきました。
税金についての財務省の考えが伺われて面白いと、以下に転載します。
【 国税庁長官から、「認定特定非営利活動法人」に、認定され、昨日、その通知
を受け取りました。
> 有効期間は、2005年6月1日から2007年5月31日までの、2年間です。
> 「認定」がつくことで、なにが変わるかというと、
> 緑の地球ネットワークへの寄付金が、税の控除対象になります。
ぶっちゃけた話、「どうせ、税金にいくのなら、使い道がはっきりしていて、自
分も共感できるNGOに寄付しようか」と、いったところでしょうか。
> でも、じっさいには、寄付した金額が、所得から控除されるだけで、寄付したお
金の全額分の、税金が安くなるわけではありません。
> おおざっぱに、寄付金額×税率ぶん、税金が減ります。】
つまり、彼のNPOに寄付した金額は税金の申告で、所得控除になると言うことで
す。
【この制度が発足して、すでに3年半がすぎたのに、これまでで、認定されたのが、
34団体しかない!全国で、ですよ!
> 特定非営利活動法人は、3万を超えたのに、認定NPO法人は、その0.1%しかな
い。
> 千三つ(せんみつ)といえば、あまりに少ないことへのヤユですが、さらにその
3分の1しかないわけで、制度として、生きていないということでしょう。】
つまり、制度は出来たが、財務省は極力、所得控除の対象にしたくないようです。
【 緑の地球ネットワークのばあいも、きわめて難産でした。
> 昨年6月の、第10回会員総会で、申請を決めました。
> 予備的な準備は、そのまえからすすめていたのです。
> たとえば、最低でも、青色申告に準ずる会計が必要だということで、税理士さん
の、お世話になりました。たくさん、というよりは、膨大な書類を、準備しました。
> なんどか、大阪国税局の担当者とすりあわせをし、港税務署に、申請書を提出し
たのは、10月19日でした。
>
>その後、11月末から12月初めにかけて、3日間、大阪国税局の担当者による、「調
査」がありました。
> 帳簿、預金通帳、会員名簿などはもとより、会費や寄付金が払い込まれてくる、
郵便振替通知票まで、1枚1枚チェックしました。】
【 そのあと、日経新聞の取材があったんですね。12月25日の夕刊、プリズム現代
第21集 踊り場のNPO(5)「『非合理な要件』認定の壁」と題する記事に、次のよう
にあります。
>
> 「特定非営利活動法人(NPO法人)を財政面で支援しようと、2001年にできた認
定NPO法人制度。
> 今秋、認定の申請をした「緑の地球ネットワーク」(大阪市)の
> 高見邦雄事務局長(56)には、疲労感と憤りが残った。
>
> 同会は長年、中国で緑化協力事業を続け、大阪府のおおさか環境賞大賞も受賞し
たNPO法人。
> 会費や助成金、支援者の寄付が収入の柱だ。
> 認定法人になると、寄付者が税控除などの優遇措置を受けられるため、寄付を集
めやすくなる。
> しかし現在、全国の認定法人は約2万ある全NPO法人の約0.1%にあたる26団体し
かない。
> 「制度を作った意味がない」と評されるほど要件が厳しいためだ。
> 実際に申請してみて高見さんもそう感じた。】
【 もっとも困ったのは「親族や特定グループの人数が、役員、正会員の3分の1を超
えていない」という要件だった。
会員には研修旅行などを通じて入会した有力企業の社員が目立つが、1社で何割も
占めているわけではない。特定の一族の組織的加入もない。
> しかし、会員全員が所属組織の肩書や別会員との血縁関係を示して入会している
わけではなく、「6親等以内の人間が多くいない証明をしろと言われても……」と困
惑せざるをえなかった。
国税局には補足資料で役員と会員全員の名簿の提出を求められたが拒み、係官が事
務所で名簿や会費の郵便振替通知票などをチェックして今月、申請手続を終えた。
>
> 「非合理な要件が多いから申請が少ないのではないか。
> 仮に認定されても、2年後また同じことをする必要があると思うとうんざりす
る」
>
> 私たちにかんする記事は、ここまでです。私が話したことを、おだやかにまとめ
てくれたと思います。】
こんなこともあったそうです。
【 「会員全員の名簿の提出」については、説明の必要があるでしょう。
> 国税局の最初の説明では、「かならず提出する必要があります。例外はありませ
ん。東京では、こんなに厚い名簿を提出した団体もあります」ということでした。
>
> それはまた、所轄の税務署で、閲覧の対象になる、ということでした。
> 「国税庁の決定の公正さを、閲覧によって、担保する必要があります」というの
が、その理由です。
> 私たちは、個人情報保護が、これほど重要視される時勢に、いくらなんでもひど
すぎる、そのようなことは制度上も求められていない、といって、申請時に、そのよ
うな名簿を提出しませんでした。】
> 事務所での調査にさいしても、何回も何回も、やりとりした結果、
国税局の説明は、「必ず提出する必要がある、閲覧対象になる、といったのは、ま
ちがいだった。
> 審査をスムーズにすすめるために、協力をお願いする性格のものだ」というふう
に変化したのです。
> それで、私たちは、「そういうことなら、提出はいたしません」といって、提出
しませんでした。
> 「メモもだめですか?」と問われて、「ご遠慮ください」と答えました。
>> 名簿がないために、スムーズな審査ができなかったのでしょうか?
> 認定がきまったのは、申請書の提出から8か月目です。】
以上のやり取りから推定できることは,財務省は、【 ぶっちゃけた話、「どうせ、
税金にいくのなら、使い道がはっきりしていて、自分も共感できるNGOに寄付しよう
か」と、いったところでしょうか。】
が、絶対に気に入らないのです。
【税金の使い道は、我々官僚が決めるべきもの。愚民が口を挟むものではない。だか
ら、どんなに良いことに愚民がカネを使っても,税金を少なくするなどもってのほか
! 】
以下は,小生の多少過激な意見。
【主権在民とは、ぶっちゃけた話、税金をどのように使うかを国民が決めること。
ただ国民が直接それを決めるのは手続き的に難しいので議会に(実際は官僚に)委託
しているだけだ。だから、若し直接国民が決められるなら国民が決めるべきだ。一番
良いのは、防衛力強化に予算をつけたい人は防衛庁に寄付する。教育に税金を使って
欲しい人は、文部省とか、教育のNPOに寄付する。寄付金額は所得控除でなく、税
額控除することにする】
こんなことを考えるのは、頼みもしないのにイラク出兵でカネを使ったり、助けな
くても良いメガバンクに膨大な税金を使い、その結果が大増税になるのは敵わない。
本当に国民の福祉にカネを使うのなら快く増税に応じたいと思うのですが・・・
エリート官僚に「主権在民」の考えは、ない。
支払いたくなる目的の税金は歓迎ですね。
省庁の予算があるので消化される税金、国連常任になるから増額予算要求の外務省に支払う税金、国交を大切にしないことによる無駄な行動に要する諸費用に使われる税金、都市公団など本来行政の一環ですみそうな仕事をするための余分な人件費を支払うための税金・・・きりがないですね。
確かに気持ちよく税金は支払いたいですね。