古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

奥村宏さんに注目

2015-08-29 | 読書
 最近、資本主義システムの限界を説く本が出ている。
『資本主義の終焉と歴史の危機』(水野和夫著、集英社新書、2014年3月刊)。
『21世紀の資本』ピケテイ著(みすず書房)。
 資本主義の危機が認識された80年代、新自由主義政策が導入され危機を打開しようとしたが、「1%対99%の格差拡大」をもたらし、アメリカを代表する資本主義国の危機をさらに鮮明にした。なぜ資本主義が危機に陥ったか、
 資本主義だけでなく、社会主義も1989ベルリンの壁崩壊、1901ソ連解体と既に限界が露呈。
なぜ社会主義が行き詰ったか、
エコノミストの奥村宏さんが、面白い説を提起しています。
「資本主義の危機の大きな原因は、資本主義を支えてきた巨大株式会社が大きくなりすぎたためであり、ソ連の社会主義が行き詰ったのは、国有企業が大きくなりすぎたためだ。」(『資本主義と言う病』、東洋経済新報、2015年5月)というのです。
著者の奥村さんは、1930年生まれ、著書に「会社本位主義は崩れるか」(岩波新書)、「株式会社に企業責任はあるか」(同)、新聞記者を経て大学教授(中央大学、立教大学)。この本の最後に特別解説として「株式会社の定点観測者――奥村宏小論」(平川克美)なる特別解説が載っています。
この解説によると、
 【民主党政権実現の少し前、奥村が教授を勤めていた同じ中央大学の宇沢弘文が中心になって「シンクネット・センター21」という民主党系のシンクタンクを発足させ、奥村は乞われてそのメンバーになった。そこで「企業システムの改革」というプロジェクトを立ち上げ、提言をまとめた。
 しかし、残念なことに、このシンクタンクは、おそらくは現実性はないということで、突然閉鎖されてしまった。しばらく後に民主党政権が誕生し、そして東電の事故が起きた。
もしあの時、奥村の提言を民主党が受け入れ、実行の緒についていたら、原発事故は避けられなかったとしても、その後の経緯は違ったであろう。】ということです。奥村宏に注目です。