古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

量的金融緩和の結果

2014-03-28 | 経済と世相
『アベノミクス株価は絶対に暴落する』という面白い記事が文藝春秋4月号に載っていました。筆者は、投資銀行家の神谷秀樹さんです。
 本当に株価は暴落するかどうかは別として、安倍内閣登場後の経済に関する認識は、小生と神谷さんとは全く一致していました。
論文の最初は、2枚の2グラフです。
 表1は、日経平均225と米ドル/円の2012.12~2013.12までの推移、表2は、米国の中央銀行のバランスシートの大きさとS&P500株価の2009~2014までの動きのグラフです。
 2枚のグラフとも、2本の線がほぼ一致しています。
 表1は「日本株は円とドルの為替相場に連動して動いてきた」ことを示し、表2は「連銀のバランスシート拡大(量的緩和)と米国の株価は連動する」ことを示します。
 神谷さんはこう言う。
「量的緩和は、日米ともに、消費者物価指数の上昇にはさして寄与しない。日本で物価が若干上がったのはほとんどが輸入物価の上昇によるものだ。一方、「資産価格のインフレ」には大いに寄与するのだ。
 「これほどに日米株価を買い上げたお金はいったいどこからきたのか」。ほとんどが借金(信用取引)でなされた投機である。
 『アベノミクスの異次元金融緩和も米国連銀の量的緩和も、結果は投機資金を増やしたことだけ』というのが、小生と神谷さんの共通認識です。
 ある人がため息交じりにつぶやいた。
「株価はその国の経済の実力とは関係なく、中央銀行がお札を刷れば刷るほど上がっているということですね」
 その通りです。と神谷さんは言う。
多くの投機が借金でなされる時は、みなが「株価はさらに上がる。だから売れば、借金を返済してかならず儲けることができる」と考える時だ。これが「バブル」だ。一方これが崩壊すると「売りが売りを呼ぶバブル崩壊になる。
 何故そうなるか、多くの売買(米国の3分の2、日本の3分の1)がコンピュータでなされるようになったことが原因ですが、これについては詳述しません。

問題は今後の株価です。
「円安は株高」と言うことで、両者は連動してきた。今後もそうか。そうなら黒田日銀が「異次元の金融緩和」を継続する以上、円安が進行し、株価は上がるということになるのだが、・・・・
 そもそも外国投機家はなぜ(円安で)円の価値が下がるのに日本株を買うのか。
「日本企業は円安になれば輸出競争力が増し、外貨を稼ぎ業績が改善する」と考えたのだ。
 実際はどうであったか。円安でも輸出数量はほとんど伸びていない(円高対応のため海外での生産を進めてきた日本企業は、円安になったからといって海外生産を減らすわけにいかない)。輸出金額は輸入金額の伸びを下回っている。
 この一年余りの円安によってドル建て債権の評価額が上がり、海外子会社宛て投資の評価替えが起こったので、会社業績は一見改善したように見えた。しかし、これからは輸入原材料が値上がりする。
「あれ、円安でも日本企業はあまり儲からない」と評価が変わる可能性がある。どこかの時点で、外国投機家は「円安なら日本株は買い」とプログラムせず、「円安なら売れ」とプログラムを入れ替える可能性が高まる。
「円安が株価の上昇を招かない」となった時、黒田日銀はパニックに陥りアベノミクスは崩壊する。それどころか、日本経済は窮地に陥る可能性がある。もし「円安は株を売れ」となれば、円建て資産全般を見限った外国人投機家は一斉に投資を引き上げる。その時は、債券も売られ、日本の国債金利は上昇する・・

私の認識もまったく同じです。