古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

株主総会で思ったこと

2013-06-29 | 経済と世相
 
 6月下旬は株主総会の季節です。27日、例年通りD社の総会に出席しました。
「それでは質問のある方・・」の議長(会長)の声に最初に手を挙げました。
「為替相場が当社の業績に与える影響、についてお聞きします。
為替相場が激変しています。今後も変動があると思いますが、その場合、当社の業績はどうなるかを知るために、もし昨秋以来1ドルが80円で推移したとすると、今期の業績がどうなったかを知りたいと思います。
 売り上げの変化、資産評価額の変化、両面から解説してください。」
「では、S取締役から・・」
「円が安くなると多少売り上げが増えますが、原材料の値上がりがあるので、収益に大きな変化はありません。なお、当社の輸出取引は円建てが大部分です。また、海外資産は、為替リスクをヘッジするため、資産と均衡するように負債も増やしているので、為替変動で大きく評価額が変わるということはありません。80円であったとしても業績が大きくは変動しなかったと考えます。」
 日本の多くの会社は、為替に関してこうした方針を取っているのでは、ないだろうか。すると、円安で、企業が利益を増やしたとしたら、実海外取引よりも、保有株式の株価上昇による評価益の影響の方が大きいのでは?
金融緩和は確かに円安効果があることは実証できたが,原材料・エネルギー輸入の多い日本としては、トータルとしてはマイナス? 実際、円安以後の輸出は、(金額は増えても)数量としてはあまり多くなっていないと聞く。
となると、いわゆるアベノミクスの効果は、通貨の増加→投機資金の増加→株価の上昇→資産評価増であったのでは?
 日銀のバランスシートで金融機関の当座預金残高が急増しているそうだ。増えたお金は設備投資に回らず、銀行に滞留するだけ。
 アベノミクスで儲けたのは、日本の大衆株主がそのおこぼれに与ったとしても、海外のファンドだけだったのでは?
そんなことを思った。
 「次の質問・・」私が立ちました。
「事業報告によると減益の要因は、“メキシコ工場建設をはじめチェコ、中国、インドネシヤの工場増設等事業拡大に伴う初期費用負担の増加などによる”という。
 当年度における設備投資の国内分と海外分の額は?
 社長が答えた。「連結ベ-スで104億円の投資だが、国内・海外半々です」
 どこの企業も、半分ぐらいは海外に投資しているから、輸出で稼いでも国内の投資は増えない。国内景気の振興が難しいのだ。
 別の株主が手を挙げる。
「特別配当を落として普通配当のみになっているが、配当性向が低すぎる。内部留保に回すというなら、取締役の報酬も減らすべきだ」等々1.5時間ほど質疑が行われた。
 小生も最後にもう一度質問した。
「当社のライバル企業と目されるT者の株価は1100円台、当社は600円台、500円の差は、経営指標から見て、経営者として妥当と考えるか?」
 質問を振られたS取締役は、答えにくかったらしい。「他社の株価をコメントする立場にありません。またT社の株価をベンチマーキングしているわけではありません。ただ時価総額では1:1.1程度です。」
 それはないと思った。時価総額は株価×株数だから、株価の結果である。私が聞いたのは株価の原因である。
 私が期待した答えは、「1株当たり株主資産は、D社が828円、T社は1600円です。自己資本を高める努力をします」という回答だった。大いにベンチマーキングしてほしい。
 とは思ったものの、答える人の立場を考えて、追求しないことにした。
 議論はあったものの、最後は議案を承認し11時50分閉会。20分の休憩後、ケーキセット付の「株主懇談会」が開かれ、1時半、今年の総会を終えました。