古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

バブルの仕組みと日本の先行性

2012-09-20 | 経済と世相
私と同じ問題意識(「日本の社会と経済は、明治以後、そして終戦以後も、欧米先進国の後を追ってきました。
ところがバブルの崩壊と金融危機は、日本が欧米先進国に先立って体験しました。
日本はこれに関しては、世界の最先端を行きました。いつから、そしてどうして日本は、世界の先頭を走るようになったのか?下記URL参照)を持っている人がいました。
水野和夫さんです。エコノミストの水野さんと、哲学者で「国家論」を研究する萱野稔人さんの対談を纏めた『超マクロ展望 世界経済の真実』(集英社新書、2010年10月刊)なる本を県図書館の棚でみつけました。
 第4章の「バブルの仕組みと日本の先行性」に、こう記されている。
 バブルが引き起こされるためには、余剰資本が蓄積される必要があるとして
萱野 そもそもなぜ日本ではアメリカよりも早くバブルが起こったのでしょうか。
水野 前提条件として、日本には自国の貯蓄で十分バブルを起こせるくらいの資本が蓄積されていたということが挙げられます。日本は近代資本主義のしくみ、すなわち実物経済で安く仕入れて高く売るというしくみでもっとも利潤を獲得することができた国なのです。
――アメリカは自国内にバブルを引き起こせるほどの貯蓄がなかったと。――
水野 そうです。アメリカでは貯蓄率が低いわけですから(金融のグローバル化で)他国の貯蓄から(アメリカの)金融空間にお金をもってこなくてはなりません。
――バブルを引き起こすだけのお金を抱え込むのに、アメリカは時間がかかった。その分遅くなったということですね。――
水野 もうひとつ、谷口智彦氏が、80年代の土地バブルはアメリカの対ソ冷戦の構図のなかで起きたということを述べています。
「日本は自らバブルを創出することによって対米資金還流を積極化し、折から軍拡を続けていた米国を金融面で支えたこと、その意味で日本のバブル経済化とは、冷戦にとどめを刺そうとしていた米国の覇権を裏から支える国際政治的意味合いを持っていた」と。
 レーガン政権はソヴィエトと激しい軍拡競争をしましたよね。それによって拡大する財政赤字を日本の企業がファイナンスしたのです。たとえば日本のセイホ、ザ・セイホといわれて、プラザ合意でドル安になったとき、たしか大手7社で1.7兆円を上回る損を出しています。――
 損をしたので引き上げるとなったら、アメリカは困ってしまう。それで、ザ・セイホがドル債で損しても、それをはるかに上回るような含み益があればいいということで、アメリカの要請のもとで日本でバブルが引き起こされたんだという説明です――
 バブルピークは、ベルリンの壁が崩壊した直後の89年12月末に日経平均株価38000円台を記録したときですが、――外国人投資家主導で売り浴びせがなされるんですね。
 アメリカからすれば、冷戦が終われば、日本のマネーはもう必要ないわけですし、日本のプレゼンスがこれ以上大きくなるのは好ましくない

尚、余剰資本について、水野さんは、本の最後でこう述べている。
【今後の世界経済にとって、余剰資本をどうやってコントロールしていくかということは非常に重要な課題になるのではないでしょう。というのも、2008年の金融危機までのバブルによって莫大な金融資本が蓄積されましたが、それは低成長時代にも残って、放っておくとまたバブルを引き起こしかねませんから。
 ――ふたたびバブルが引き起こされて世界経済が壊滅的にならないためには、蓄積された金融資本を別の仕方で活用できるしくみが必要ですね。――
 私はトービン税のような、国際的な金融取引に課税するしくみがいいと思っています。】

http://blog.goo.ne.jp/snozue/d/20120826