『将棋ソフトの創造性』と題するコラムが2月4日の中日夕刊に載りました。
匿名記者の原稿ですが、面白い内容でしたので、以下に紹介します。
『将棋の元名人米長邦雄さんとコンピュータソフト「ボンクラーズ」が対戦した電王戦は、
ボンクラーズが圧勝した。「コンピューターがプロ棋士に初勝利」と話題を呼んだが、
内容はまるで面白くなかった。
後手版の米長さんは2手目に62王と指し、ボンクラーズの攻めを封じる作戦に出た。
この手は、人間同士ならはっきり悪手である。
相手が現役プロ棋士なら、たちまち劣勢に陥ったであろう。
ところが、ボンクラーズはこの手を咎められず、自陣で飛車を左右に行ったり来たり、
この時点では米長さんが優勢だった。
だが、米長さんの読みに穴があり、そこを突かれて一気に敗勢に。
要するに、米長さんの一人相撲だった。
ミスを逃さずに突くボンクラーズは確かにすごい。
だが、ただの一手も驚くような手を指してくれなかった。
勝負は挑まず、ひたすら相手のミスを待つ。
米長さんが引き分けに持ち込もうとすれば楽にできただろうが、
それでは興ざめだし、敢えて避けたのだろう。
電王戦は来年も行われるという。
ならば、将棋ソフトの開発者の皆さんには来年までに、自分のソフトに、
人間を楽しませる創造的な手を指す能力を付与するよう注文をつけておこう。』
これを読んでの私の感想を下記します。
面白いコメントですが、これは難しい!何故難しいか、私の愚考です。
記憶の中では、複数の事象が回路で結び付けられています。
時たま回路のない事象が結び付けられる。これがミスです。
ところが、たまたま関係のなかった事象AとBとが、結び付けられて、
そこに新しい論理が発見されることがある。新しい発想です。
ですから、関係のなかった事象を結びつけるという点で、
ミスと発想は脳回路の同じ機能によって生ずる。
ミスしない脳からは、新発想を創造することは出来ない。ミスをする機械は、機械でないと思います。