古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

リーダーの役割

2011-06-01 | 経済と世相
「無趣味のすすめ」という村上龍の文庫本(幻冬舎、23年4月刊)という本を読んでいます。著者が雑誌【GOETHE】に連載したエッセイを集めたものです。
 「リーダーの役割」という章がありました。
【そもそもリーダーの役割とは何か・・・リーダーになるのは「どういう対応策をとるか」分かっている人だ。
 人望があるとか、豪胆であるとか、忍耐強いとか、リーダーとしての資質が話題になることが多い。だが、私はリーダーの「資質」などどうでもいいと覆う。どんなに優れた資質があっても、「何をすればいいのかわからない」リーダーは組織を危うくする。・・・
 「わたしが日本を変えます」という政治家に対し、いつもわたしは「まずオマエが変われ(代われ)」と思う。どう変えるのか、そのために何をするのか。優先順位はどうなっているのか、結果が出なければどう責任をとるのか、そういった具体的なことを言わないリーダーは信頼できない。
 ダメなリーダーに共通する特徴がある。訓示や演説や会見において主語と述語がはっきりせず修飾語を多用するのもその一つで、最近だと、「しっかりと」「きちんと」「粛々と」などが流行っているようだ。】
ご尤も。これを原発事故に当てはめると。
事故で電源が停止したとき(3月11日)、直ちにバスをチャーターして、近くの住民を数10kmはなれた地点に避難させるべきだった。さすれば、原発は壊れても水素爆発(3月12日)による住民の被爆は避けられた。
事故から2月も経った最近になって、メルトダウンを起こしていたなどと発表しているが、専門家が大勢いるのだから、冷却電源停止で、メルトダウンは想定できていた。だから、放射能漏洩の危険に対応してまずやるべきは住民の避難である。「何をやるか」をリーダーが分かっていなかった好事例といえる
原発事故に限らず、最近の政治家は、どうも何をなすべきかが分かっていないのでは、と疑われる。
何故そうなるのか?日本は外国を見ていれば、先行モデルがあるので、それを真似すれば対応が出来た。ところが、80年代後半から、日本が世界の中で最先行モデルになってしまった。外国に先行例がない。そこから日本はおかしくなった。まねが出来ない時、どうすべきかは自分の頭で考えるしかない。自分の頭で考えるリーダーを、日本は選んでこなかったと思う。
村上龍の本から最近の原発事故に思いを馳せました。