shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

【追悼】Jerry Lee Lewis のシングル盤特集

2022-10-30 | Oldies (50's & 60's)
 ジェリー・リー・ルイスが亡くなった。チャック・ベリー、リトル・リチャードに続いて、50'sロックンロール・ブームを牽引したレジェンド最後の生き残りだったジェリー・リーまでもが逝ってしまい、改めてAll Things Must Passを痛感している。今日はそんなジェリー・リー・ルイスの追悼・シングル盤特集だ。

①Whole Lotta Shakin' Going On (SUN 267)
 1956年末に出たデビュー・シングル「Crazy Arms」は不発に終わったものの、翌1957年3月にリリースされた2ndシングル「Whole Lotta Shakin' Going On」はジェリー・リーを一躍スターダムに押し上げる大ヒットとなり、全米3位、全英8位を記録した。彼の唯一無比と言ってもいい “バンピン・ピアノ・スタイル” が曲の良さを更に引き立ててごきげんなスウィング感を生み出している。実にカッコ良いロックンロール・クラシックスだ。
Jerry Lee Lewis -Whole Lotta Shakin Going On (Live 1964)


②Great Balls Of Fire (SUN:281)
 “火の玉ロック” の邦題で知られる1957年11月リリースの3rdシングル「Great Balls Of Fire」は全米2位、全英1位に輝いた、ジェリー・リーの代名詞と言ってもいい最大のヒット曲。前作で打ち出したスタイルに磨きをかけて “クレイジー・バンピン・ピアノ・ロッカー” としての名声を決定づけた記念碑的なナンバーだ。わずか1分50秒という短さで聴く者にこれほどのインパクトを与える曲には滅多にお目にかかれない。ロックンロール史上に燦然と輝く金字塔と言える名曲名演だ。
Jerry Lee Lewis - Great Balls Of Fire (Shindig)


③Breathless (SUN:288)
 超特大ヒット「Great Balls Of Fire」の後を受けて1958年2月にリリースされた4thシングル「Breathless」は全米7位、全英8位止まりと、チャート成績的には中ヒットといったところで前2曲には遠く及ばなかった。彼のピアノ・スタイルは良く言えばユニーク、裏を返せばワンパターンで、たたみかけるように疾走する曲想のナンバーでは向かうところ敵なしなのだが、イキそうでイカない(?)タイプのこういう曲では彼の持ち味が①②ほど活きていないように感じる。これはこれで私は結構好きなのだが...
Jerry Lee Lewis - Breathless (1958) - BETTER QUALITY


④High School Confidential (SUN:296)
 1958年4月にリリースされた5thシングル「High School Confidential」は幼妻との二重婚スキャンダルのせいもあってか全米21位が精一杯で、この頃からそれまでの勢いに翳りが見え始めたように思うが、曲の出来としては①②に次ぐカッコ良いロックンロール。左手でベース・ラインを弾き、右手で三連を駆使する彼のブギウギ・スタイルにピッタリのアッパー・チューンだ。
Jerry Lee Lewis - sings High School Confidential


⑤The Return Of Jerry Lee (SUN:301)
 6thシングル「The Return Of Jerry Lee」はナレーションと彼の過去のヒット曲の断片を組み合わせた摩訶不思議なシングル。曲というよりは自虐ネタを扱った短編ギャグ(?)という感じで、例えば “How do you feel about being back home?” というナレーションの問いかけに対して「Great Balls Of Fire」の一節 “Ooh it feels good” が流れるという、どこぞのラジオ番組の面白企画みたいなノリで、自らのスキャンダルをもネタにしているところが面白い。それにしてもこんなふざけたシングルをリリースしてしまうサン・レコードのオーナー、サム・フィリップスってある意味凄い人だと思った。
Jerry Lee Lewis - The Return of Jerry Lee


⑥I'm On Fire (Philips:BF1324)
 ジェリー・リーは1962年にサンを離れてマーキュリー・レコード傘下のスマッシュ・レーベルに移籍し、徐々にカントリー色を強めていくのだが、1964年に出た移籍第2弾シングル「I'm On Fire」(→私の手持ちはフィリップスからリリースされたUK盤)ではまだまだ元気にロックンロールをブチかましている。私は映画「Great Ball Of Fire」(1989年)のサントラ盤でこの曲の再演ヴァージョンを聴いて好きになったのだが、オリジナルに勝るとも劣らないエネルギッシュなプレイに驚かされたのをよく覚えている。
Jerry Lee Lewis - I'm On Fire


【おまけ】2006年にジェリー・リーがアルバム「Last Man Standing」でジミー・ペイジを迎えてカバーしたのがこの「Rock 'n' Roll」だ。憧れのレジェンドとの共演で気合い十分のペイジがノリノリでプレイしているのが微笑ましい。
Jerry Lee Lewis "Rock 'n' Roll" (featuring Jimmy Page on guitar)